3年に1度の本祭りがいよいよ開催!ワッショイの声響く「深川八幡祭り」

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こんにちは。ライターの木村一実です。
夏祭りや花火大会が各地で開催されており、色とりどりの浴衣を目にすることの多い季節になりました。

東京・深川でも毎年8月15日を中心に富岡八幡宮例祭、通称「深川八幡祭り」が開かれます。今年は3年に1度の本祭りの年。

8月11日から15日まで氏子によっておこなわれる行事の中から、12日の神幸祭でおこなわれる「鳳輦渡御(ほうれんとぎょ)」、そして翌13日の水かけ祭りとも呼ばれる「各町神輿連合渡御(みこしれんごうとぎょ)」をご紹介します。

12日 本祭り限定の鳳輦渡御(ほうれんとぎょ)

鳳輦渡御とは、地域住民の繁栄を願い、氏子地域一帯を八幡さまの乗り物である鳳輦が渡御(出かけていくこと)することを指します。富岡八幡宮の氏子地域にはお台場や豊洲なども含まれるので、鳳輦渡御は湾岸の地域にまで及ぶ広範囲を渡御します。

昭和の初め頃は牛車に引かれていた御鳳輦でしたが、現代では装飾されたトラックの荷台に乗せて運ばれており、神主さんなどたくさんの人々がお供をし、神さまが氏子地域をくまなくまわることで神の力を授けてくださるそうです。

13日 観客が参加できる水かけ祭り。見せ場は朝一番から

鳳輦渡御に感謝しておこなうのが各町神輿連合渡御です。神さまからの授けを受けた氏子地域がお神輿を出すことで謝意を表すそうで、今年は8月13日におこなわれます。

赤坂日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに江戸三大祭のひとつとされる深川八幡祭りは、「神輿深川、山車神田、だだっ広いが山王様」と言われるように、何と言ってもお神輿が特徴のお祭りです。

朝一番から注目したいのが、はんてん姿の担ぎ手たちと53基の大神輿が八幡宮前に一同に集結する出発風景です。伝統的な「ワッショイ、ワッショイ」という掛け声に担ぎ手たちの気迫が表れ、出発の花火が鳴り響くといよいよ始まる神輿連合渡御に観客側も気持ちが高ぶります。

大鳥居前の永代通りは、担ぎ手とお神輿でいっぱいになります

担ぎ手たちへのお清めの水として、また、真夏におこなわれる祭事で体を冷やすために水をかけるところから「水かけ祭り」としても名が知られています。観客が担ぎ手に水をかけてお祭りに参加できるところも魅力ですね。

観衆もびしょぬれになりながらお祭りに参加

午後最初の見どころは隅田川にかかる永代橋

お神輿が行き交うごとに揺れを感じる永代橋

日本橋と深川をつなぐ永代橋の周辺は観衆が多く集まる場所です。
担ぎ手は永代橋の手前でお昼の休憩に入り、力を蓄えて後半戦をスタート。橋にさしかかったところでは見せ場として、腕を伸ばしお神輿が高く持ち上げられます。お神輿を「差し上げる」の意味から高く上げることを「差す」と言うそうで、お神輿を差す担ぎ手たちの力強い様子を間近で見ることができます。

さらに永代橋からは手古舞(てこまい)と呼ばれる女性たちや木遣り歌がお神輿を先導します。手古舞とは、辰巳芸者と呼ばれた深川の芸者さんたちが得意とした芸能のこと。男まげ、片肌脱ぎの襦袢(じゅばん)、たっつけ袴(ひざから下が細く、すねの部分に布を巻いた袴)、わらじという個性的な格好をし、右手に金棒を左手には提灯を持ち、木遣り歌と呼ばれる労働歌を歌いながら練り歩きます。

永代橋を渡り終えたところにある佐賀町、永代出張所前、不動堂前でも立て続けに見せ場がやってきます。荷台にブルーシートを張って水をためたトラックからの豪快な水かけや消防団による放水はかなりの迫力!沿道の見物客もホースやバケツなどで水かけに参加し、担ぎ手と観客が一体となり神輿連合渡御は最高潮を迎えます。

たかだかと上がる消防署の放水は迫力満点

人情と粋の町“深川”で愛される江戸最大の八幡様

お祭りを楽しんだあとは、しっかりとお参りをして帰りたいですね。
最近までおこなわれていた改修工事で、鮮やかな朱色になった大鳥居や本殿、新しく生まれ変わった手水舎など八幡さまも準備万端で本祭りを迎えてくれています。

お祭りの準備の様子もワクワクします。

八幡さまに訪れる際、是非みておきたいのが日本一の黄金神輿と呼ばれる一の宮神輿です。
鳳凰の胸には7カラットのダイヤ。目、狛犬、小鳥などにもダイヤがほどこされ、鶏冠にはルビーが2,010個、屋根には純金が24キログラム使用されているという豪華さ。あまりの重さに担ぐことが難しく、軽量化した二の宮神輿が作られたそうで、こちらは本祭りの翌年に渡御されています。

展示されている一の宮神輿と二の宮神輿

まだまだあるお祭りの見どころ

お神輿を担ぐ53の町会は、全部で7つの部会に分けられています。お神輿が出る順番はこの7つの部会が毎年くじを引き決定しているそうで、決定した順番は駒番表と呼ばれる相撲の番付のようにして発表されます。

神輿連合渡御の最後尾とされる「しんがり」。今年のしんがりを担ぐのは「深濱神輿保存会」です。
かつて漁師町だった深川の漁師仲間で作られたという深濱神輿保存会は、大漁旗とともに渡御する姿が格好良く、今年もその姿を見ることができそうです。ほかにもお神輿の修復や何十年ぶりに化粧直しをおこなったという町会もあるようで、各町のお神輿を見てまわるのも楽しみのひとつです。

各町の神酒所や神輿小屋にも個性がありました

お神輿の担ぎ手たちが集まる各町会の神酒所(みきしょ)は、本来は神さまにお供えするお酒をまつる場所。お神輿が一時的に置かれる神輿小屋なども各町会ごとに違いがあり、そこにいる氏子の方々との交流もまたお祭りの楽しみではないでしょうか。

いよいよ15日には今年の大詰めを迎える深川八幡祭り。暑い夏、東京下町の人情と粋を感じに、水かけ祭りへお出かけするのはいかがですか。

開催日:2017年8月11日(金)〜15日(火)(12日神幸祭、13日各町神輿連合渡御)
富岡八幡宮:東京都江東区富岡1-20-3
アクセス:東京メトロ東西線「門前仲町」駅徒歩3分、都営地下鉄大江戸線「門前仲町」駅徒歩6分、JR京葉線「越中島」駅徒歩15分、JR「東京」駅車で15分
公式サイト:http://www.tomiokahachimangu.or.jp/

文・写真:木村一実

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