酉の市の楽しみ方。浅草・鷲神社で体験してきました
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目指すは酉の市。東京浅草・鷲(おおとり)神社へ
外着を厚手のコートに切り替えるころ、今年もそろそろだなぁと指折り数えるお祭りがあります。
時間は午前零時。
どん、どん、どん、と一番太鼓の合図とともに、次々に境内になだれ込む人・人・人。
真夜中だというのに境内は明々と照明が焚かれ、見上げる高さまで商売繁盛の熊手が飾られた出店が立ち並び、あちこちで威勢のいい売り声が飛び交う。
ここは東京浅草・鷲(おおとり)神社。
11月の酉の日に行われる商売繁盛を祈るお祭り、「酉の市」の季節が今年もやって来ました。
そもそも、酉の市とは?
「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と詠んだのは芭蕉の弟子、其角。酉の市は江戸時代から続く商売繁盛のお祭りです。
大小様々な縁起の良い熊手が境内の露店にずらりと売られ、人々はその値段交渉も楽しみながら、お気に入りの熊手を買い求めます。
今は都内のいくつもの神社で酉の市が開かれていますが、江戸から続くのは花畑の大鷲神社と浅草の鷲神社のみ。
中でも鷲神社の酉の市は熊手を売るお店が約150店、訪れる人が70~80万人と、毎年大きな賑わいで全国的にも有名です。
*熊手の由来や作り方はこちらの記事をどうぞ:「酉の市の『熊手』に込められた願いとは?」
一の酉に行きました
市が開かれるのは11月の酉の日。年によって一の酉、二の酉、多い時には三の酉まで行われます。
私が行ったのは一の酉。と言っても日中ではありません。
酉の市は午前零時から始まり、そこから24時間続きます。
人出を見越して1時間はやく行った時にはすでに長い行列が!地元の人によるとこれでも今年は少ない方。多い時には2ブロック先まで列が続くそうです。
神社へ続く頭上には「酉の市入り口」と案内の提灯が掲げられ、いやがうえにもお祭り気分が高まります。
見ると列の中にはすでに熊手を持った人が。
神社の入り口には去年買った熊手をお返しする所があり、お参り前にここに納めて、新しい熊手を買い求めます。
ちなみに列は参拝のための列なので、零時ギリギリでなければ中に入ることもできます。混まないうちに、先に欲しい熊手の下見をしておくのも良いかもしれません。
午前零時、開門!
午前零時。どん、どん、どんの一番太鼓が鳴り響き、開門です。
待ちかねた人たちがどっと境内になだれ込みます。本殿の前はあっという間に黒山の人だかり。
何本も下げられた鈴がひっきりなしに鳴り響く頭上には、100以上はあるかという提灯の列。暗闇の中に明々と浮かび上がり、どこかへタイムスリップしたような、幻想的な風景です。
熊手選びは値段交渉も楽しんで
境内から伸びる路地にはアーケードがかけられ、お店とお店の境目がわからないほど熊手を売る露店がひしめき合います。
順番を待って無事お参りしたら、いよいよ熊手を買いに、出陣!
「はい寄ってって」
「お姉さんが初めてのお客さんだから、おまけもたくさんつけるよ」
「大入りもつけちゃう」
「うちはスタッフが若いよ」
あちこちのお店から声がかかります。いいな、と思う熊手と目があったら、いよいよ交渉スタート。
市では値段も交渉で決まります。おおよその予算を伝えてお店の人にどんどん相談しましょう。
形もサイズも様々な熊手。相場は3000円から大きいものだと数十万と言うものも。
実は熊手には交渉することでついてくるオプションがあります。
例えば稲穂、大入り袋、企業名などを入れてもらえる看板。せっかくなので恥ずかしがらず、値段交渉も楽しんで!
酉の市のハイライト、手締め
めでたく商談が成立したら、手締め(手終い)をしてもらいましょう。今回私がお願いした看板は「さんち」。
なので掛け声は、 「さんちさんの商売繁盛を祈念して、よぉ〜お!」 。
お店の人と買い求めた人で声を合わせて三本締めをします。
お祝いムードに周囲の人たちも笑顔。あちこちでこの手締めの声と手拍子が響くのが、なんといっても酉の市の風情です。