見てよし、飲んでよし、使ってよし。佐賀の地酒を有田焼で味わえるカップ酒
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ずらりと並んだこの華々しいカップたち。焼き物に詳しい方なら、「有田焼かな」とピンとくるかもしれません。
でも、このカップ、ただの有田焼のカップじゃないんです。カップの中身は、お酒。何とも豪華な有田焼のカップ酒なのです。
カップ酒ブームにのって誕生
開発したのは、佐賀県伊万里市にある老舗の酒蔵・古伊万里酒造と有田焼の窯元・文八工房。今からおよそ10年前、カップ酒ブームを目の当たりにした窯元が「有田焼のカップ酒が並んでいたら美しいだろう」と、古伊万里酒造に商品開発を持ちかけました。
有田焼カップ酒の名は「NOMANNE (のまんね) 」。伊万里の方言で、「飲みませんか」「飲んでみて」という意味だそう。外国語のようにも聞こえる言葉の響きも素敵です。
2006年の有田陶器市で試作品を販売し、250個ほど用意したカップ酒は即日完売に。翌年には商品化され、お土産や贈答品として人気を博しています。
県に認められた酒を佐賀の酒器でいただく
カップ酒のプラスチックキャップの大きさが直径64ミリと決まっているため、そのサイズに合わせた飲み口になるよう、カップ部分をつくらなければなりません。
「磁器の有田焼は焼成で土が2割ほど縮むため、その調整は大変でした。窯元と試行錯誤を繰り返しましたね」と、古伊万里酒造4代目前田くみ子さん。
一方で、磁器の有田焼カップは透明ガラスのカップよりも遮光性が高いので、酒質が安定するという利点もあるのだそう。
中身のお酒は、佐賀県産のお米と水でつくられ、「佐賀県原産地呼称管理制度」で県の専門家から認められた純米酒。「NOMANNE」は、正真正銘の佐賀のお酒を佐賀の器でいただける、こだわりのカップ酒なのです。
カップ酒から学べる、有田焼の様式
現在、「NOMANNE」の絵柄は5つ。すべて白磁に有田焼の古典柄が施されています。
一般的に、有田焼の様式は「古伊万里」「柿右衛門 (かきえもん) 」「鍋島」の3つに大きく分けられ、その3様式を「NOMANNE」を通じて知ることができます。このさりげなさが何とも粋です。
お酒を飲み終わったあとは‥
飲み終わった後に、有田焼の器として活用できるのも嬉しいところ。そのままカップとして使うのはもちろん、花瓶やペン立て、箸立て、保存容器など、使い方はさまざまです。
旅の思い出の品として自分用にも、贈り物にもしたい「NOMANNE」。
「NOMANNE」片手に、しばらく会っていないあの人を「飲まんね?」と誘ってみるのも一興です。
ここで買えます
・古伊万里酒造蔵元販売所「前」
・古伊万里酒造オンラインショップ
・新宿伊勢丹酒売場
・西武池袋本店酒売場
<取材協力>
古伊万里酒造
佐賀県伊万里市二里町中里甲3288-1
0955-23-2516
http://www.sake-koimari.jp/
文・写真:岩本恵美