秋の益子陶器市が開催中!目利きに教わる「器の選び方」と「注目作家」
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仁平古家具店・pejiteのオーナー 仁平 透さんに聞く、益子焼のこと
今年も陶器市で盛り上がる益子。全国から60万ほどの人が訪れるそうです。
陶器市に行くと、朝淹れるコーヒー用のカップが欲しいなあとか、蕎麦にはまってるから蕎麦猪口も欲しいなあとか、どんなものを仲間にしようか、ひとつに決めるのが悩ましいことも。
それもそのはず。益子には、約250の窯元と、400人前後の陶芸家がいるというのです。益子で生まれ育った作り手でなくても、活躍できる柔軟な風土があり、作り手が全国から集まってくるのだそう。益子で民芸運動を先導した濱田庄司も、生まれは東京でした。
たくさんの作り手が生み出す魅力の中から、運命を感じる一点を選びたい! けれども、やはり悩ましい。
そこで、独自の目利きにファンが多い、仁平古家具店のオーナー・ 仁平透さんに、注目の作家さんや選ぶときのポイントをうかがいました。
001 阿久津忠男さん
1950年、栃木県高根沢町生まれ。青山学院大学卒業後、広崎裕哉さんに師事してものづくりの道へ。益子で1975年に独立・築窯してから、「東京セントラル絵画館」や「日本橋高島屋」など様々な場所で展示や出品がされてきました。
益子焼独特の重厚感があるカップや鉢は、手びねりで成形されガス窯で仕上がります。釉は陶器に吸い込まれてしまうような深い瑠璃色をしています。
「なんと言ってもこの瑠璃釉が特徴です。深みがあって奥行きがありますよね。お店を開く前から阿久津さんが好きで、店のオープン時からずっと取り扱ってます。果物を載せたくなるような料理映えするお皿かなと思います」
002 内田裕太さん
1990年栃木県生まれ。2011年に京都伝統工芸大学を卒業し、2年後に益子で制作開始。翌年、真岡市にて独立。
シックで金属のように発色する「黒錆のうつわ」と自然をイメージした優しげな「色のうつわ」を作っており、ガス窯での焼成を経て一つひとつ違う表情の器が出来上がります。「日々の楽しみになるような器づくりを」という想いが滲みでている作品が印象的です。
「フォルムがきれいですよね。黒錆のシリーズが人気です。使っていく事で黒さが増して、より渋い色になっていきます。外側がマンガン釉で、内側がマット釉ですね。陶器市で目を惹かれ、声を掛けたのが出会いでした」
003 宮田竜司さん
1976年東京生まれ。陶芸好きだったお父様の影響を受けて焼き物の世界へ。1999年から高内秀剛さんの元で制作をはじめ、2006年に益子で独立し築窯。高島屋や伊勢丹、三越などの百貨店で個展を行っています。
花が開いたような形が特徴的な器で、「型打ち成形」によって作られています。多角形の器を作る時に使われる成形手法で、ろくろで大まかな器の形状に成形をしてから、石膏で作った型にはめて型打ちをするもの。益子伝統の黒飴釉、灰釉、寺山釉を使っており、凛とした美しさがあります。
「私と同じ、日本の古い陶器が好きな方です。作品を見るだけで、ものづくりが好きなのが伝わってきます。小料理や菓子受けに使うと器が映えていいですね。」
004 久保田由貴さん
神奈川県横浜市生まれ。2014年から鈴木稔さん、2016年から額賀章夫さんに師事をしたのち、2017年に益子で独立。その年の秋に初めての個展が開催されました。
ろくろ成形で、ガス窯で焼成しています。釉薬の流れが作る大胆なデザインは、毎回その時勝負で釉薬を垂らすため、一つひとつ味が異なります。
「もちろん使うものなのですが、ダイナミックな釉には抽象画を見るような楽しさを感じます。デビューして間もないのに、「銀座松屋」の手仕事直売所に呼ばれ、400点の作品をほぼ完売させてしまう人気の作家さんです」
器の選び方
「どうしてだか、しっくり来る。心惹かれる」
器がどれも魅力的で選びがたいと仁平さんに相談したら、難しいことよりも、そんな感覚だけで自分の運命の一点が見つかるはずと教えてくださいました。
良いものを買わないと、なんて気負わずに「なんだか好きだなあ」と思ったものを手に取ってみる。
じっくり見て、それでも連れて帰りたくなったものはきっと、使う時にどこか胸が高鳴るような感覚が湧き上がってくるかもしれません。
< 取材協力 >
仁平古家具店/pejite
オーナー 仁平 透さん
pejite
所在地:栃木県芳賀郡益子町益子973-6
TEL:0285-81-5494
URL : http://www.pejite-mashiko.com
定休日:木曜日
仁平古家具店 益子店
所在地:栃木県益子町益子3435
TEL:0285-70-6007
URL : http://www.nihei-furukagu.com
営業時間/11:00〜18:00
定休日/木曜日
仁平古家具店 真岡店
栃木県真岡市荒町1095
TEL:0285-70-6007
URL : http://www.nihei-furukagu.com
営業時間/13:00〜18:00
定休日/木曜日
文:田中佑実
写真:今井駿介
*こちらは、2018年5月4日の記事を再編集して公開しました。