老舗豆腐店が夜に開く「日本料理 かわしま」。旬の会席を隆太窯のうつわが彩る

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日本料理かわしま

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

工房を訪ねて、気に入った器を作り手さんから直接買い求める。そんな旅への憧れから、今回は佐賀県唐津へ「隆太窯」を訪ねました。今日はその日の晩のお話です。

隆太窯の中里隆 (たかし)さん (右) 、太亀 (たき) さん (左) 親子
隆太窯の中里隆 (たかし)さん (右) 、太亀 (たき) さん (左) 親子

食通で知られ、作るうつわは造形の美しさのみならず「料理が映える」「お酒の口当たりがいい」ことで有名なお二人。

何の料理に使うかイメージして作るといううつわは、目に見えないごちそうがすでに盛り付けられているようで、見ていると無性にお腹がすいてきます。

嬉しいことに、そんな隆太窯の器で本当にごちそうをいただける場所が、唐津にはあるのです。山なかの隆太窯をあとに、町へと向かいました。

*隆太窯を訪ねた時のお話はこちら:はじめての窯元めぐり|唐津・隆太窯のうつわは、せせらぎとクラシックの流れる中で生まれる

老舗豆腐店が夜にだけ開く会席料理店

JR唐津駅から歩いて5分。アーケード商店街の中に、めあてのお店があります。

日本料理 かわしま。

寛政年間創業の「川島豆腐店」が、夜限定で開く会席料理店です。

日本料理 かわしま

唐津城の藩主に代々お豆腐を献上してきた歴史を持つ豆腐づくりの老舗。「ざる豆腐」を日本で初めて考案したお店としても有名です。

豆腐店併設のカウンター席のみのお店は、朝昼は「豆腐料理かわしま」として自慢のざる豆腐を使った料理を提供。夜になると唐津の山海の幸を生かした会席料理を振る舞う「日本料理 かわしま」に早変わりします。

献立は、当日の朝に市場で仕入れた食材次第。店主の川島広史さんがその日ごとにコース内容を考えます。

店主の川島広史さん。豆腐店の家業を守り継ぎながら、このお店を開くために東京の日本料理店で修行を積んできました
店主の川島広史さん。豆腐店の家業を守り継ぎながら、このお店を開くために東京の日本料理店で修行を積んできました

一夜限りの創作料理を飾るのが、地元・唐津のうつわ。その多くが、お父様の代から親交があるという、中里隆さん、太亀さんのうつわです。

カウンターの奥に器がずらり
カウンターの奥に器がずらり
おちょこを選べるのも嬉しい。合わせる地酒はぜひ川島さんにおすすめを聞いてみよう
おちょこを選べるのも嬉しい。合わせる地酒はぜひ川島さんにおすすめを聞いてみよう

「これは太亀さん、こちらは隆さんの器ですね」と料理の説明とともに器の紹介が添えられます。

一品一品出てくる姿が美しく、食べるのがもったいないくらい。とためらうのも一瞬、美味しくてどんどん食べ進めるのですが、うつわが空っぽになっていくのが、なんだか寂しく思えてきます。

「唐津南蛮」と呼ばれる、隆太窯の特徴的な器。釉薬をかけずに焼きしめた器肌が料理を引き立てる
「唐津南蛮」と呼ばれる、隆太窯の特徴的な器。釉薬をかけずに焼きしめた器肌が料理を引き立てる
こんな高台の器や
こんな高台の器や
パキッとした黄色い器も。カモのハムに合わせて
パキッとした黄色い器も。カモのハムに合わせて

コースも終盤、少しくつろいで川島さんと今日訪ねた隆太窯の話などしていると、

「実はこの内装も、隆先生にアドバイスをいただいたんです」

と驚きのお話が。お豆腐やさんが料理店を開くという新しいチャレンジを、隆さんが支えてくれたのだそうです。

明るく、こざっぱりとした店内
明るく、こざっぱりとした店内

「見借 (みるかし。隆太窯のある土地) の方には、足を向けて寝られませんよ」

そう笑う川島さんとゆったり会話を楽しみながらいただく一品一品を、隆太窯のうつわがさりげなく彩ります。

<取材協力> *登場順
隆太窯
佐賀県唐津市見借4333-1
0955-74-3503
http://www.ryutagama.com/

日本料理 かわしま
佐賀県唐津市京町1775
090-1083-8823
https://www.zarudoufu.co.jp/

文:尾島可奈子
写真:菅井俊之

*実はこの日、昼に隆太窯でお見かけしていた女性と、かわしまさんでばったり再会。「やっぱり見ていると、食べたくなりますよね」と、口福を分け合いました。

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