一輪挿しにおすすめな有田焼の「涙壺」で、日常にハレを取り入れる
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お祭や祝い事など特別な「ハレ」の日と、普段の生活を区別して暮らしてきた日本人。
今日は日常に取り入れたい、ちょっとした「ハレ」のご提案です。
贅沢品としてヨーロッパの王侯貴族に愛された有田焼
まるで発光しているかのように白く透き通った素地に細やかな絵付けが施された有田焼の陶磁器。
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江戸時代からヨーロッパへ輸出され、王侯貴族の間で絶大な人気を集めました。
それは、ヨーロッパを代表するドイツの高級磁気メーカー「マイセン」にも、多大なる影響を与えたほど。
そんな贅沢品として愛されてきた有田焼を、気軽に日々のくらしに取り入れられるアイテムと出逢うことができました。
有田焼の技術が凝縮された、一輪挿しに使えるちいさな「涙壺 (なみだつぼ)」

一輪挿しとして使える、小さな「涙壺」。
「涙壺」という何だか詩的な名前の小瓶は、もともと古代ローマの女性たちが、戦場へと赴く夫を思って流した涙を入れるために使われていたものだそうです。
特徴的なのは、1600年代に有田で焼かれた壺の形状がモチーフとなっている18種類のかたち。これらには、瓢箪(ひょうたん)型、船徳利(ふなとっくり)型、達磨(だるま)型などと名前が付いており、それぞれに意味があります。
有田焼の専門商社、ヤマト陶磁器の山口武之さんがディレクションを務める、「より日常に馴染む有田焼」をコンセプトに掲げた「hibi(ひび)」シリーズのひとつとして誕生しました。
本来の5分の1に縮小して商品化することで、より日常に取り入れやすい価格とサイズ感に。
この涙壺をつくるのは、江戸時代の安政年間から窯元としてものづくりをはじめた与山窯(よざんがま)さん。製造方法には有田焼の成形方法の中でも最も手がかかるといわれている「排泥鋳込み(はいでいいこみ)」が用いられています。
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柄は、ミニマルなデザインの白地の商品のほか、染付(そめつけ)、赤絵(あかえ)といった有田独自の絵付け技法が施されたシリーズも。
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バリエーションがたくさんあって、ついつい集めたくなってしまいます。
お気に入りを選んでお花を一輪ちょこんと生けたら、日常の何気ない風景に彩りがプラスされることでしょう。
ところで涙壺は、悲しいときだけではなく、嬉し涙を受け止めるための器でもあったそう。
ささやかなお祝いのプレゼントなどに、「嬉し涙をたくさん流してね」といったメッセージを込めて贈るのもすてきです。
現代のライフスタイルに合わせてつくられた「hibi」の涙壺。有田焼ならではの上質さはそのままなので、目に入ると晴れやかな気分にしてくれます。
何気ない日常にこそ、あえて取り入れたい「ハレ」のアイテムですね。
*こちらは、2018年5月20日の記事を再編集して公開しました。
オンライン特集:辻与製陶所 別注色 涙壺