雪降る季節に楽しみたい、冬の特別な和菓子
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まだまだ寒い日が続く1月。寒いのは苦手ですが、しんしんと降る雪を眺めてると、冬が終わるのも惜しいほど。日本人は古来から、雪の美しさを工芸やお菓子でも表現してきました。
今日は、この季節ならではの「雪をモチーフにした和菓子」をご紹介します。
新潟 「大杉屋惣兵衛」の六華
新潟県上越市の「大杉屋惣兵衛」は、創業1592年(文禄元年)の老舗。越後高田の大飴屋さんとして知られていますが、今回ご紹介したいのは、和三盆糖の小さな落雁「六華(むつのはな)」です。
これは、江戸後期に鈴木牧之(すずき・ぼくし)が越後魚沼の雪国の生活をまとめた『北越雪譜』に描かれた雪の結晶をかたどったもの。箱に詰められた落雁の雪文様は、ふたつとして同じものがありません。
ちなみに、私はこちらのお菓子を石川県片山津の「中谷宇吉郎 雪の科学館」で購入しました。雪の結晶に魅せられた後は、これはもう手に取らずにはいられず!新潟のお店にも伺ってみたいです。
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京都 「御菓子司 塩芳軒」の雪まろげ・雪華
京織物の街、京都西陣にて創業以来130年以上にわたり、京菓子をつくり続けてきた「御菓子司 塩芳軒(しおよしけん)」。風格のある町屋に、黒い長のれんが目印です。
こちらの季節ごとの生菓子などもおすすめしたいですが、私のお気に入りは「雪まろげ」という純和三盆製のシンプルなお干菓子です。
「雪まろげ」というのは、雪玉ころがしのこと。まん丸の形はほんとうに雪玉のようで、小さな箱から指先でひとつつまんで大切にいただくと、口の中で優しく溶けてなくなります。
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同じく「御菓子司 塩芳軒」から、もうひとつ。冬の季節だけの「雪華(せっか)」は、お茶のお稽古などにも人気だそう。こちらも上質な和三盆が使われているお干菓子で、指先ほどの小さな雪の結晶の形。箱入りセットではなく、ひとつずつ好きな数を包んでいただけますが、その包み紙もかわいいのでお土産にもおすすめです。こちらは春先までの販売なので、今季はどうぞお早めに。
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岐阜 「奈良屋本店」の雪たる満・都鳥
岐阜県岐阜市、天保元年(1830年)に創業した「奈良屋本店」。岐阜県なのに奈良?とお思いでしょうか。岐阜市には下奈良(しもなら)という地名があり、こちらの創業者がその出身だったことからこの店名がつけられたのだそうです。
看板商品である「雪たる満・都鳥」は、明治19年に発売されたもので、お砂糖と新鮮な卵白だけでつくった手しぼりのメレンゲ菓子。「雪のように白く、その味は甘く、雪のような口どけ」を実現し、「雪たる満」と名づけたのだそう。薄紙に包まれて、雪だるまと都鳥が仲良く曲げわっぱの中におさまる姿はなんとも言えない可愛らしさ。ちょんちょんとつけられた目がまた愛らしいのです。
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雪の和菓子、お楽しみいただけたでしょうか(美味しくいただいて、おそらく私が一番楽しませていただきました!)。
和菓子屋さんそれぞれの味と形で雪を表現されていて、もちろん食べたらなくなってしまうのですが、それがまた儚い雪を思わせて魅力的でもありました。菓子そのものだけでなく、きれいな紐や味のある包み紙にふれる瞬間もまた、和菓子の魅力ですね。
日本の北から南まで、雪への愛着はそれぞれかと思いますが、その土地ならではの、雪との縁は素敵なものでした。次の冬はどんな雪に出あえるでしょうか。
<取材協力>
「大杉屋惣兵衛」
http://ohsugiya.com
「御菓子司 塩芳軒」
http://www.kyogashi.com
「奈良屋本店」
http://www.naraya-honten.com
文・写真:杉浦葉子※この記事は、2017年2月11日の記事を再編集して掲載しました