スマートフォンから離れる時間をつくる。気分が整う、小さなおりん「LinNe Myo」

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日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

高倉 泰

語り手:高倉 泰

中川政七商店主催の展示会「大日本市」のディレクター。 日本各地の作り手と一緒に展示会やイベントを作りあげる。 古いものを生かした生活が好きで、奈良で築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らしています。山形県出身。風呂好き。日本酒ナビゲーター認定者。

ブランド:LinNe
推しの逸品:LinNe Myo

LinNeは、心に響くおりんの音色をもっと身近に自由に楽しんでほしいという思いから作りました。素材は、「佐波理(さはり)」という銅と錫の合金を使用。代々受け継ぐ工房独自の配合率と伝統の鋳造・加工技術で素材の特性を生かし、音色を厳選することで、二つとない音色を生み出しています。
奈良に暮らし始めてからお寺が身近にあり、鐘の音を聞くことが日常になりました。朝と夕方、鐘が鳴ると気持ちが静まります。

鐘の音には特別な力があるな、と感じていたころに出会ったのが「LinNEのおりん」でした。

騒がしい展示会場を歩いているとふしぎな音色が響いてきました。目に入ってきたのはターンテーブルで回るおりん達。もともとは仏具として使われてきたものなので、ターンテーブルとの組み合わせは意外でした。


このおりんは創業180年余りの「佐波理製鳴物」を専門に製造する、京都の南條工房さんで、一つひとつ手仕事でつくられています。「佐波理」とは銅とスズを溶かした合金で、良い音がするため、昔からおりんに使われてきました。

南條工房さんは現代の生活に取り入れられるようなおりんを開発し、音楽制作やインスタレーション、ヨガイベントなども開催し、おりんの可能性に挑戦し続けています。

音色を気に入って家に持って帰ると、置いてあるだけで空間が引き締まります。棚の上などちょっとした隙間におけるサイズ感や、暮らしに馴染む佇まいもいいですね。


LinNe Myo
左から、enn(リラックス)/ hou(リフレッシュ)/ sui(コンセントレーション)

付属する「りん棒」で打ってみると、美しい音が鳴り始めます。スーっと伸びる響きが残り、余韻があるのが印象的です。そして静寂が広がります。音が鳴ることによって音がなかったことに気が付きます。
その後にまわりのささいな音、鳥の鳴き声だったり、やかんの音や空調の音がなっていることに気が付きます。耳の感覚が研ぎ澄まされる印象です。


自宅で仕事をする時間が長くなってきましたが、煮詰まって集中力が切れたときに鳴らすと、気分が整い、気持ちを切り替えられます。
ざわつく心と向き合う時間になって、目の前のことを客観的にみるきっかけになります。

子ども達にも、おすすめしていますが、音を鳴らしてしばらくは、喧嘩なく穏やかに過ごしています(笑)


LinNe Myo

寝る前の瞑想もおすすめです。以前、仏教講座を受けて瞑想を体験してから、定期的にやってみたいなと思っていたのですが、なかなか習慣化できませんでした。このおりんがあることで、瞑想を始めるリマインドの役割も果たしてくれています。

静かにおりんを鳴らして、スマートフォンから離れる時間をつくってみようと挑戦中です。

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