夏の手ぬぐい活用術を、専門店に聞く
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ハンカチよりも大きくてタオルより場所をとらない手ぬぐいは、汗をたっぷりかく夏のおともにぴったり。工夫次第でいろんな楽しみ方ができるのも遊び心をくすぐりますね。長く使うほど手になじみ、独特の風合いがでるのも手ぬぐいと過ごす喜びのひとつです。
そこで今回は、「手ぬぐい専門店にじゆら」さんに“夏”を入り口にした手ぬぐいの楽しみ方についてお話を伺いました。夏以外の季節にも役に立つ息の長い利用術も。ぜひ手ぬぐいデビューの参考にしてみてください。
「注染」は、長いさらしを糊付けしながら何重にも折り重ね、上から染料を注ぎ込んで一気に染め上げる伝統的な技法。店内にはさらしを折り重ねる作業で使用する糊台や、裁断前の長いままの手ぬぐいが置かれ、月に1回体験型のワークショップも行われています。
夏から始める、手ぬぐい活用術
<基礎編> 浴衣に合わせる
浴衣と手ぬぐいの色や柄の合わせ方はとても簡単。ポイントは浴衣と同系色にしないことと、なるべく色の濃さを揃えることなのだとか。
「例えば青い浴衣なら白やレモン色、黒や茶色の浴衣なら紫の手ぬぐいなんて良いですね。浴衣を引き立てるためにも、あまり派手すぎない色合いがおすすめです。『古典柄』と呼ばれる昔からお馴染みの柄は浴衣全体のまとまりをよくしてくれますよ」と語るのは、にじゆらの東京店「染めこうば にじゆら」で店長を務める池上 槙吉(いけがみ・しんきち)さん。
基本的なルールを抑えれば、組み合わせは自由自在。自分の浴衣に合いそうな手ぬぐいをひとつ手に入れるところから、手ぬぐいのある生活を初めてみるのもいいかもしれません。
<応用編>
その一、涼しげな「ペットボトルホルダー」
「手をぬぐうものだから『手ぬぐい』なんですが、魅力はそれだけじゃないんですよ」と池上店長。
「ペットボトルを手ぬぐいで包んでペットボトルホルダーのように使えば、鞄が水滴でびしょびしょにならずにすみます。タオルで巻いて輪ゴムで留めるよりもずっと見栄えがいいですよ」と語ります。
縁日で買った何の変哲もないペットボトルも、忍ばせておいた手ぬぐいを使えば浴衣になじむ和小物に早変わり。鞄の中に入れても水滴がつかないのはもちろん、取っ手付きなので持ち運びも簡単です。
その二、2回縫うだけ、あっという間の「あずま袋」
また、浴衣で出かけるときにおすすめなのが「あずま袋」なのだとか。手ぬぐいを2回まっすぐ縫うだけで完成するシンプルな袋で、浴衣に似合うバッグとして重宝します。
「畳んでおけば邪魔にならないので、外出先で荷物が増えたときにも役に立ちます」と池上店長。エコバッグとしても使い勝手は抜群で、ひとつ鞄に入れておくと一年を通して活躍してくれます。
その三、「半襟」に「スカーフ」、ファッションのアクセントに
手ぬぐいは浴衣に合わせる半襟としてもちょうど良いサイズをしています。四つ折りにしてピンで留めるだけで完成する手軽さもさることながら、選んだ色や柄によって浴衣の印象も変えられるのもポイント。
また、浴衣を着ていないときにもスカーフとして使用することで首元が涼しげになり、汗を吸い取ってくれる効果も。いつものファッションのアクセントとして取り入れてみてください。
その四、寝汗対策に「乗せるだけ枕カバー」
「使い道がいろいろあるのはわかったんだけど、折ったり縫ったりするのはなんとなく難しそう……」という人もいるかもしれません(何を隠そう私もそうです)。そこで、夏にぴったりの簡単な手ぬぐい活用法として、「枕に被せる」というとてもシンプルな使い方を教えてもらいました。
寝汗をかきやすいこの季節。菌やダニを繁殖させないためにも、枕を清潔に保つのは大切です。枕カバーを毎日洗濯するのはなかなか手間がかかりますが、枕に乗せた手ぬぐいを取り替えるのはとても簡単。アロマオイルやバスソルトのように、その日の気分で手ぬぐいをチョイスするのも、1日の終わりの新しい楽しみになりそうです。
手ぬぐいを育てる、手ぬぐいと育つ
夏に役に立つ手ぬぐいの活用法、いかがでしたでしょうか。池上店長は「手ぬぐいの色が抜けることを、うちでは『育てる』って言い方をしているんです」とのこと。
「デニムでもそうだと思いますが、使えば使うほど味がでるものというのが、手ぬぐいもひとつ最たるもの。『色が抜けちゃった』ではなくて『自分がこういうふうに使ってきたんだな』と、人とは違う経年変化を味わえるのもまた良さなんです」
同じ柄を友達同士で買っても、洗い方ひとつで色合いは全然変わってくるのだとか。育てれば育てるほどに愛着は増すのも、手ぬぐいの奥深さですね。
ぜひ、この夏をきっかけに手ぬぐいのある生活を始めてみてください。
<取材協力>
手ぬぐい専門店にじゆら 染めこうば店
東京都台東区上野5-9-18 2K540 AKI-OKA ARTISAN O-2区画
03-5826-4125
文・写真:いつか床子
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