京都で買える好みのお箸。御箸司 市原平兵衞商店の「みやこ箸」

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京都へお箸を探しに

こんにちは。細萱久美です。

ここ最近は仕事の関係で関西と東京を行き来しています。先日久々に銀座の中央通りを歩いていたら、団体観光バスが次から次へと。

平日でも非常に賑わいがあり、来年の東京はどんな人口密度になるのだろう‥‥と楽しみとドキドキを感じました。

関西では、住まいの奈良を拠点に大阪・京都を日常的に訪れます。どちらも言わずと知れた観光地で、場所によっては銀座に劣らぬ賑わいです。

観光目的では無いですが、奈良から近いこともあり休みの日に一番頻繁に行くのは京都です。

京都は母の出身地で、小さい頃から毎年行っていたので第二の故郷でもあります。小さな頃は、おばあちゃんちのある場所、大学生の頃は人の多さにもめげずに桜や紅葉を愛でたりのまさに観光地。

そして今は美味しいものを食べたり、ギャラリーやセレクトショップなどを巡る刺激的な街という感じで親しんでいます。定期的に開催されている骨董市もほぼ欠かさず訪れており、食とモノの街として、毎月のように訪れています。

モノと言えば、京都はかつて日本の都であったことから、日本らしい多様な伝統文化、伝統芸能、伝統行事、食文化などが生まれ、それらを支える形で産業も発展しました。

伝統の継承には難しさもあると想像しますが、今の暮らしに合わせてうまく変化、発展されるのが上手な産地とも感じます。

例えば、包丁の「有次」は、観光客の絶えない錦市場にありながら、専門的な品揃えときめ細かいサービスで、「アリツグ」の名で世界的に有名なブランドとなっています。私はまだ持っていませんが、名入れ包丁は憧れの1本です。

他にも伝統の技を継承し、クラシックなアイテムも守りながら、新しいアイテムや見せ方に発展させ、海外も視野に活躍している京都ブランドは「金網つじ」「開花堂」「唐長」などはよく知られています。

今回ご紹介する京都ブランドは、むしろ知る人ぞ知るローカル感の強いお箸の小売店「御箸司 市川平兵衛商店」です。

400種以上を揃えるお箸の専門店、「御箸司 市川平兵衛商店」

御箸司 市川平兵衛商店

四条烏丸駅から程近く、市内の真ん中にありながら、脇道に存在するので目指して行かないと辿り着かないかもしれません。

こちらは、創業明和元年(1764年)の老舗お箸の専門店。禁裏御用(今で言う宮内庁御用達)御箸司として今に至ります。

決して広くは無い店内に、お箸がぎっしりと並びます。食事用をはじめ、料理用や、京都ならではの茶懐石用など、あらゆる用途に最適な箸を揃え、その数は実に400種。言ってみれば2本の棒というシンプルな造形の箸の奥深さを感じます。

京都の専門店というと若干緊張しますが、親切な接客と、どの箸にも見本があり、持って感触を確かめることが出来るのでじっくりお気に入りを選ぶことができます。

他産地で作られた塗りのお箸も充実していますが、ここで買うならおすすめは京都で作られている竹の箸。

京都は竹の産地でもあり、茶道具なども作る腕の良い職人が多いのです。その中でも私が指名買いして愛用しているのは、こちらの看板商品である「みやこ箸」です。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

その特徴は、まず「すす竹」を使っていること。

すす竹とは天井裏などに使用されていた竹が、囲炉裏やかまどの煙でいぶされ、約150年の年月が経て、頑丈で丈夫に経年変化したものです。古い建物が減少すると共に取れなくなるので、今では大変貴重な素材と言えます。

食卓を引き立てる美しい「みやこ箸」

姿形は細身で、とりわけ箸先は細く手削りされているため小さいものもつまみやすいのです。愛用の箸は塗り箸も含め何膳かありますが、このみやこ箸を使うと、食事の所作も不思議と上品に見える気がします。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

箸自体キリッと美しく、食事用以外に、取り分け箸にも。おばんざいでもちょっと美味しそうに見えるのは気のせいでしょうか。和菓子の取り箸にも良さそうで、京都の生菓子に合わせたくなります。

使いやすさで選ばれるお箸は色々あると思いますが、食事の気分すら変えてくれるお箸との出会いはあまり多くないかもしれません。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

すす竹は一膳一膳個体差があり、中には節のあるものも。カタログは存在しないので、好みの一膳と出会えるのは実際の店舗のみです。

クラシカルなパッケージ好きの私としておまけに嬉しいのは、購入の際入れてもらえる袋が可愛いこと。ギフト用にも同様な袋が用意されています。

御箸司 市川平兵衛商店のみやこ箸

京のみやこで自分のため、人のために丁寧にお箸を選ぶなんて、ちょっと大人の旅はいかがでしょうか?

<紹介したお店>
御箸司 市原平兵衞商店
京都府京都市下京区小石町118-1
075-341-3831
https://ichiharaheibei.com/

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美

*こちらは、2019年8月6日の記事を再編集して公開しました。

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