ハリオのアクセサリーは使い手にも職人にも優しい。ランプワークファクトリーで知る誕生秘話

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職人の技術継承のために生まれた、ガラスのアクセサリーがあります。

それがこちら。

HARIO Lampwork Factory

熱に強い「耐熱ガラス」でできています。

手がけたのは、1921年創業のガラスメーカー、HARIO。

日本の耐熱ガラスメーカーとして唯一、国内に工場を持ち、国内生産を続けています。

主な製品はビーカーやフラスコなどの理化学器具にはじまり、今ではティーポットやコーヒードリッパーなどのお茶やコーヒー関連まで。

「熱に強い」という特徴を活かした実用的なものが多い印象です。

どうしてわざわざ、アクセサリーを作り始めたのでしょうか。

そこには老舗メーカーのある思いと、使い手にとっても嬉しい、耐熱ガラスの秘めたポテンシャルが関係しているようです。

HARIO Lampwork Factory

耐熱ガラスとアクセサリーという組み合わせの謎を探りに、東京・日本橋にあるHARIO Lampwork Factory (ランプワークファクトリー) 小伝馬町店を訪ねてみました。

ガラスのアクセサリーが生まれる場所、HARIO Lampwork Factory

東京メトロ小伝馬町駅から歩くこと3分。レンガ造りの可愛らしいお店が見えてきました。

HARIO Lampwork Factory小伝馬町店

店内に入ると、素敵なガラスのアクセサリーがずらりと並んでいます。

HARIO Lampwork Factory小伝馬町店

その繊細なデザインは、ずっと眺めていられそうです。

HARIO Lampwork Factory
HARIO Lampwork Factory
HARIO Lampwork Factory
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商品棚の片隅にはHARIOらしいビーカーやフラスコの姿も

ガラス張りとなったお店の一角では、職人さんが黙々とガスバーナーで加工していました。

職人さんがアクセサリーを手づくりしている様子を見ながら買い物ができるので、ちょっとした工場見学気分も味わえます。

HARIO Lampwork Factory
HARIO Lampwork Factory小伝馬町店
お店の外から見ると、職人さんの手元がよく見えます

「何秒くらい炎に当てるのかなどは職人の感覚でしかわからない部分でもあるんですよ」

そう教えてくれたのは、HARIO Lampwork Factoryの所長、根本新 (しん) さんです。

HARIO Lampwork Factoryの根本新さん
HARIO Lampwork Factoryの根本新さん

「これも細やかな表現を得意とする、日本の職人だからこそできる技だと思います」

特別に作業場を近くで見させてもらうと、職人さんはガスと酸素の量を調整しながら、バーナーの炎を操り、棒状のガラスを手際よくさまざまな形に変えていきます。その様子は、さながら飴細工のようです。

HARIO Lampwork Factory
HARIO Lampwork Factory小伝馬町店
店舗2階にも作業スペースがあり、工房は365日稼働しているのだそう

「バカラやスワロフスキーなどでもガラスのアクセサリーを作っていますが、それらはガラスを研磨、カットして作っています。ここでは『フォーミング』という、粘土のように形を作っていくやり方です」

世界のガラスアクセサリーに目を向けてもHARIO Lampwork Factoryのアクセサリーは他に類を見ないものだといいます。

「ここはHARIOの原点でもある耐熱ガラスの手加工技術をつないでいくために作られた場所なんです」

原点となるバーナーワークの技術を残すために

日本の耐熱ガラスメーカーとして唯一、国内に工場を持ち、国内生産を続けているHARIO。今でこそ、急須やティーポット、コーヒードリッパーなど主力製品のほとんどは、茨城県にある工場で機械製造されていますが、かつては全て手加工で作っていたのだそう。

多い時には100人ほどいた手加工の職人たちも機械化や高年齢化に伴い、急激に減少していったといいます。今では手加工時代を知るベテランの職人はたった一人だけなんだとか。

企業として、品質や納期の安定化、コストダウンなどを目的に機械化・無人化を推し進めてきた一方で、HARIO創業時を知る幹部は手加工のバーナーワークへの思いを強く抱いていたといいます。

「現会長である柴田は、創業者である父親がバーナーワークで理化学器具を手づくりしていたのを小さい頃から見ていたそうです。さまざまな形が作れるバーナーワークに耐熱ガラスの可能性を感じていたんじゃないかと思います」

そんなトップの強い思いから、手加工を専門とするHARIO Lampwork Factoryは2013年10月に立ち上げられました。

「実は新しいものを作るためにも手加工の技術は必要なんです。既存の機械だけでは作れないものが、職人がいることによって試作ができる。その試作をもとに職人の手作業を機械化して新商品を開発することもできます」

手加工ができることによって、フットワーク軽く商品開発に臨める。ちょっと意外な事実でした。

繊細な手仕事を活かして

Factory立ち上げ当初は、アクセサリーだけでなく、食器やオブジェなども作っていたといいます。

HARIO Lampwork Factory
持ち手部分が個性的なカップ&ソーサー。こちらは現在も販売中

「ですが、売り上げはなかなか伸びませんでした。作ったものがきちんと売れないと職人に仕事を回していけず、技術を守ることができません。そこが苦しいところでもありました」

食器類など単純な形で大きなものに関しては、システマチックな分業制でスピーディーに作って安価で提供できる海外の手加工や、機械を取り入れているHARIO自身の工場がライバルに。

そんな中、アクセサリーづくりへと舵を切ったのは、日本の職人が得意とする繊細な手仕事に価値を見出したからだそう。

「たとえば、『丸いガラスを作ってください』と言って、きれいな丸に仕上げてくるのは日本の職人が多いんですよね。その繊細な手仕事を活かせないかと考えました」

HARIO Lampwork Factory
丸い形はシンプルで簡単なように見えて、実は作るのが難しいのだそう

耐熱ガラスだからこそ叶うこと

耐熱ガラスは膨張しにくいことから、熱に強いだけでなく、伸ばしたり切ったりしても割れにくく、細かい細工がしやすいとのこと。そんな加工性の高さも、アクセサリーに向いていたといいます。

HARIO Lampwork Factory小伝馬町店
原材料となる耐熱ガラス。もとはこんな棒状のものを加工していきます

「いろんな形に加工ができるので、デザイナーは楽しんでデザインしています。花や雫など、通勤中や日常の風景で見たものをモチーフにしているそうです」

毎シーズン、新しいアイテムを作っていき、今では300種類以上のラインナップに。ピアスやイヤリング、ネックレスは金具の種類も豊富に用意されているので、自分に合ったアイテムを見つけられます。

HARIO Lampwork Factory
HARIO Lampwork Factory
こちらは金沢の金箔とのコラボシリーズ「Haku」

また、耐熱ガラスは他のガラスよりも比重が軽いことから、身につけてもストレスに感じることが少ないのだそう。

さらに嬉しいのが、手加工なので人の手で修理ができるというところ。ガラスなので不意に落として割れてしまうことがあっても、修理をすれば末永く身につけられます。

アクセサリー自体が持続可能であり、それを買うことで技術も継承されていく。

そんなHARIO Lampwork Factoryのものづくりの姿勢に、共感するお客さんが増えてきているようです。

「少しずつではありますが、ファンになってくれるお客様もいて、喜んでもらえている感触はありますね。

HARIOはメーカーで基本的には卸売り。自分たちで初めて生産から販売までを手がけたことで、作り手の苦労や思いをしっかりとお客様にも伝えたいという気持ちが以前にも増して強くなったと思います」

HARIOのアクセサリーは、使い手にも作り手にも、新しい買い方、残し方を指し示してくれているようです。

<関連商品>
HARIOのアクセサリー

<取材協力>
HARIO Lampwork Factory 小伝馬町店
東京都中央区日本橋大伝馬町2-10
TEL:03-5623-2143
https://www.hario-lwf.com/

文:岩本恵美
写真:HARIO Lampwork Factory、岩本恵美

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