これなら持ち歩ける「防災ホイッスル」見つけました。メガネの素材で作る「effe」

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防災ホイッスル「effe エッフェ」

防災グッズを探していたら、こんな可愛らしいものに出会いました。

防災ホイッスル「effe エッフェ」
動物の形?
防災ホイッスル「effe エッフェ」
ネックレス?

実はこれ、どちらも災害などで助けを呼ぶときに活躍する防災用ホイッスル (救助笛) なのです。

小さな子どもやお年寄りなど、肺活量の少ない人でも簡単に音が出せるよう、構造が工夫されています
小さな子どもやお年寄りなど、肺活量の少ない人でも簡単に音が出せるよう、構造が工夫されています
防災用ホイッスル「effe エッフェ」
こちらは、アルファベットをかたどったもの。自分のイニシャルのものを選んで使っても楽しそう!
キーリングのほか、イヤホンジャック付きのタイプも。いつもそばに持っていられますね
キーリングのほか、イヤホンジャック付きのタイプも。いつもそばに持っていられますね

「いつも」と「もしも」がひとつになった、お守りホイッスル

これらは、メガネフレームの素材でできた笛のアクセサリーブランド「effe (エッフェ) 」の製品。“メガネの聖地”とも呼ばれる世界三大産地のひとつ福井県鯖江市にあるメガネ工房「プラスジャック」で作られています。

メガネ素材のセルロースアセテートはイタリア生まれ。イタリア語では「F」をeffe (エッフェ) と発音します。Fukui (福井) 、Factory (工場) 、Fue (笛) の頭文字がブランド名の由来です。

そしてもうひとつ「えっ、笛!?」と驚くような、笛の概念にとらわれないものをつくりたいという思いが込められているのだそう。いつも身につけるお守りのような存在になればと開発されました。

アクセサリーのようにいつも身につけられる
アクセサリーのようにいつも身につけられる

人の命を守るものだから

しかしなぜ、メガネ工房が防災用ホイッスルを作ったのでしょう?プラスジャック社 代表の津田功順 (こうじゅん) さんにお話を伺いました。

「製作のきっかけとなったのは、鯖江市役所防災課の藤田裕之さんからの相談でした。『メガネの素材を使って、アクセサリーのような笛が作れないでしょうか?』と。

聞けば、阪神大震災では瓦礫などの下敷きになり助けを呼べず亡くなった方が全体の7割にも上ったそうです。その教訓から、福井県の自治体では防災用ホイッスルの配布が行われました。

しかし、多くの人は配布されたホイッスルをカバンの中にしまいこんでいました。あからさまな防災グッズを日々身につけることにハードルを感じる方も多いようです。これでは、いざという時にすぐに取り出せません。

違和感なく自然にいつも身につけられるものとしてメガネ素材に目が向けられたようです」

メガネ素材のセルロースアセテートは、綿花を主体とした植物性繊維でできており、発色が良く、色味や風合いのバリエーションが豊富。熱を加えると柔らかくなり加工しやすくなるため、メガネやアクセサリーをつくるのに適した素材なのだそう。

また、軽くて温度変化が少ないことから、肌につけた時の馴染みがよく温かみを感じられます。普段から身につける素材としてぴったりだったのですね。

とはいえ、メガネの製造を一筋に続けてきた津田さんは笛を作ったことなどありません。命に関わる大変な取り組みをすぐに引き受けることはできなかったと言います。

「必要性は分かったものの生半可に取り組めるものではありませんからね。それでも何度も相談に通ってくれる藤田さんの熱意に最後は負けました。

メガネは目を補助する道具として体の一部となって人を助けます。防災用ホイッスルも人を助けるものですから、やってみようと。人の命に関わるものなので、作るからにはちゃんとした物をと決心しました」

メガネ工房の様子

「届く音」を「誰でも簡単に」出せるように

普段から身につけられるデザインにするのはもちろんのこと、防災用ホイッスルとして「しっかりと音が出る」ことが最重要。津田さんの試行錯誤が始まりました。

「まずは、適切な音や構造について調べ始めました。市にも相談して国の基準がないか問い合わせましたが、特に存在せず各社が自社判断で作っているのが現状でした。独自に研究する他ありません。

福井県工業技術センターで宇宙の音の響きを研究されている筧瑞恵先生にご協力いただきながら、検証が始まりました。既存の防災用ホイッスルを買い集めて構造や音質を調べ、実験を重ねました」

津田さんが目指したのは、子どもやお年寄りをはじめ、肺活量の少ない人でも吹けること、瓦礫の間を通り抜けて防災ヘリコプターなどの騒音があっても聞こえる音、水が入ってしまった時も振れば水抜きができてすぐ使えることなどをクリアする笛。

単に音の出る構造はすぐに作れたものの、目指す音質や機能のものが出来上がるまでには膨大な試作品作りが続きました。

「吹き込み口が大きいと肺活量が必要になる、空気の流れる角度や長さ、距離で音が変わる、吹き溜まりで音域が決まる、空気が逃げる箇所の深さも音域に関わるなど、様々な要素の微調整が必要でした。

コンマ1ミリメートルの調整で音が変わるんです。様々なバリエーションの試作品を工業試験場へ持参しては、音を測る機械にかけて試行錯誤を重ねました」

こうして、7年以上もの歳月をかけてやっと完成したのが「effe」の防災用ホイッスルでした。

考え抜かれた笛の構造は、空気の通る隙間や角度が厳密に設計されています
考え抜かれた笛の構造は、空気の通る隙間や角度が厳密に設計されています

正確なものづくりに生きる鯖江の技術

設計通りの構造で正確につくり上げ、長く使える製品にするために、鯖江で長年培われてきたメガネ作りの技術が使われています。

切り出されたパーツをはり合わせるには職人の技術が不可欠です。正確にはり合わせることで、しっかりと音が出て、長持ちするホイッスルが作られているのだそう。

つなぎ合わせるのには熟練の職人の技術が使われています
つなぎ合わせるのには熟練の職人の技術が使われています

防災、防犯に幅広く

デザインを手がけるのは、デザイナーの谷川美也子さん。性別や年齢を超えて日常的に使いやすく、安全性の高い形になっています。2018年にはグッドデザイン賞を受賞しました。

防災用ホイッスル「effe エッフェ」
防災ホイッスル「effe エッフェ」
バッグチャームとしても

近年では、子供の防犯グッズとしても注目されており、動物シリーズのバリエーションを増やしているのだそう。

私も、動物デザインに一目惚れ。家族にもプレゼントして、毎日持ち歩いています。事件や災害のない毎日を願うばかりですが、いざという時に備えておくことが大切。

お守りのように持ち歩ける「effe」のホイッスルは心強い味方になっています。

<掲載商品>
防災用ホイッスル「effe エッフェ」
https://effesabae.com/

<取材協力>
プラスジャック株式会社
福井県鯖江市御幸町1-301-11
www.plusjack.com

文:小俣荘子