夏に気持ちいいリネン素材は、実は編むのが難しい。履く人想いの靴下工場に聞く
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暑い夏の日に、室内でも屋外でも、心地よく過ごせるアイテムと出会いました。
身体に熱が伝わりにくく、さらっとした肌触りが気持ちいい、リネン素材を使った靴下やアームカバーです。
夏におすすめ!リネン素材のアイテム
天然素材のリネンは、丈夫で吸水性に優れています。
通気性が高く、肌触りがよい。
アームカバーは、日よけとしても好まれています。
ですが、実はやわらかいコットンなどと違い、リネンは繊維が不規則で硬い亜麻の茎が原料の糸で、糸切れしやすく、細かく編み上げるのは難しい素材。
そんなリネン素材の靴下やアームカバーを得意とするのが、日本の風土や季節に合わせたアイテムを提案する株式会社ニット・ウィンです。
ニット・ウィンの工場は、靴下生産ナンバー1を誇る奈良県の主要産地として知られる大和高田市、香芝市、広陵町から少し南西に位置する、葛城市にあります。
創業は1950年。一台の手廻し編み機からはじまり、現在は130台の機械が稼働する靴下メーカーです。
創業時から変わることのない「履く人のことを考えた靴下づくり」を、三代目となる西口功人さんが受け継いでいます。
“はくひとおもい”の靴下づくり
ニット・ウィンが手掛ける「NISHIGUCHI KUTSUSHITA」のコンセプトは、誰に向けたものづくりかを具体的に考え、技術を追求していく「はくひとおもいの靴下づくり」です。
伝統の技術を生かし、流行でなく、履く人の心地よさを見据えて生み出される靴下は、国内のみならず海外にもファンがいるほどです。
培ってきた技術で現代のニーズに合わせた商品づくり
パリなど海外の展示会にも積極的に出展し、自らアピールも行っている西口さん。
展示会では、「この靴下をつくったのは君か!」と喜ばれたこともあったといいます。
そんな心地よさが評判となり、次第と海外からの問い合わせも増えているそう。
中には、友人が日本に行った際、お土産でもらった靴下がNISHIGUCHI KUTSUSHITAの靴下で、その履き心地の良さに感動して直接連絡をして追加購入をしたという人も。
「うちの靴下を履いて感動した、という生の声を直接聞けるのが嬉しいし、また社員にとっても大きな活力になっています」
履く人を感動させるほどの靴下。一体どんな風にものづくりが行われているのでしょうか。
「リネン素材は編むのが難しいです。でもそれができるのは、経験を持つ職人の技があるからです」と西口さん。
工場内には、量産向きの新しい機械だけでなく、40年以上使い続けている古い機械も現役で動いています。
「古い機械を職人がいじることで、アイテムごとに編み方を変えています。細かく編むことが難しいリネンは、こうした機械の微調整ができる、職人の腕が大切なんです」
50年近く勤めるベテランの職人もいれば、30代の若手も多い。
人も機械も新旧が交ざり合い、触発し合うことで、機能性とデザインを兼ね備えた“はくひとおもい”の靴下がつくり続けられています。
<取材協力>
株式会社ニット・ウィン
0745-48-4381
奈良県葛城市木戸195−7
https://knitwin.com
<企画展のお知らせ>
ニット・ウィンが手がける「NISHIGUCHI KUTSUSHITA」のアイテムが実際に手に取れる企画展を開催。
企画展「葛城の靴下とアームカバー」
日時:6月17日(水)〜7月14日(火)
開催場所:「大和路 暮らしの間」 (中川政七商店 近鉄百貨店奈良店内)
https://www.d-kintetsu.co.jp/store/nara/yamatoji/shop/index02.html
*企画展の開催場所「大和路 暮らしの間」について
中川政七商店 近鉄百貨店奈良店内にある「大和路 暮らしの間」では、奈良らしい商品を取り揃え、月替わりの企画展で注目のアイテムを紹介しています。
伝統を守り伝えながら、作り手が積み重ねる時代時代の「新しい挑戦」。
ものづくりの背景を知ると、作り手の想いや、ハッとする気づきに出会う瞬間があります。
「大和路 暮らしの間」では、長い歴史と豊かな自然が共存する奈良で、そんな伝統と挑戦の間に生まれた暮らしに寄り添う品々を、作り手の想いとともにお届けします。
この連載では、企画展に合わせて毎月ひとつ、奈良生まれの暮らしのアイテムをお届け。
文:川口尚子、徳永祐巳子
写真:北尾篤司