【デザイナーが話したくなる】「ながら温活」シリーズ
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冬の毛布の気持ち良さを湯たんぽに。無理なく楽しく続ける「ながら温活」シリーズとは
家で過ごす時間が増えた今年の秋冬、中川政七商店から「ながら温活」シリーズがデビューしました。「温活」とは、健康や美容のために基礎体温を適正な体温まで上げる活動のこと。では「ながら温活」とは?
開発のきっかけには担当デザイナー・鳥海さんの、幼い頃からの体験があります。
「からだをあたためる商品開発の話が持ち上がった時、冬の『毛布の中』の心地良さを、身の回りのアイテムで再現できないかと思い立ちました。私は北海道出身で、寒い日に毛布にくるまれている時間の、あのなんとも言えない幸せな気持ちをふと思い出したんです」
とはいえ日常は、そうそうゆっくり毛布にくるまってばかりもいられません。家のこと、仕事、趣味の時間、忙しく過ごす人にこそ、その合間の時間に何かをし「ながら」毛布のようにからだをあたためて労ってくれるアイテムを作りたい、と鳥海さんの中に「ながら温活」のアイデアが生まれました。
今回デビューするのは湯たんぽと、あたためて使うネックピロー、アイマスク。どれも肌触りのいい天然素材で作られていて、3つともカバーは洗って繰り返し使うことができます。
無理なく楽しく続けられる温活を
インタビュー中、鳥海さんが度々口にしていたのが、この「繰り返し使える」のフレーズ。実は「ながら」という言葉に込めた思いの現れでした。
「電気毛布やヒーターのような電気の暖房器具は、あたたまるのは早くて便利なのですが、消すとすぐ冷えて、室内や肌も乾燥してしまいます。
温活って言葉は聞くけれど具体的に何をするの?という人に、一時的なあたたかさではなく、無理なく続けられる温活アイテムを提案できたらと思いました。やさしくからだをあたためてくれる毛布に、つい手が伸びちゃうように」
毛布屋さんと作った「綿シルクの毛布湯たんぽ」
そこで湯たんぽカバーは「毛布屋さんでつくったら面白そう!」と大阪・泉大津の毛布メーカー、今新 (いましん) 毛織株式会社に打診。泉大津は国内毛布の約9割を生産する、毛布の一大産地です。
冬の暖かい素材というとウールが定番ですが、今回の湯たんぽカバーには綿シルクという素材が使われています。
「あえて冬の定番であるウールを選ばなかったのは、毛玉ができやすいから。 毎日使うことを考えて、足元やお腹に置いて擦れても毛玉になりにくく、かつ保温性も担保できる素材を探していたところ、綿シルクはどうか、と今新さんが提案してくれました。
生地に触れてみると、あたたかく保温性があり、何より毛布のように気持ちいい肌触り。家で手洗いできて繰り返し使えます。これで素材が決まりました」
寒い時に何気なくする仕草が、デザインのヒントに
色はベージュ・薄墨・赤の3色で、オフィスでも使えることを意識したシンプルな見た目。ですが、中にユニークな仕掛けがあります。
「実は両サイドにポケットがついていて、手を入れられるようになっているんです」
「寒い時ってコートのポケットに手を入れると安心しますよね。座っている時は足と椅子の間に手を挟んだり (笑)。
そういう、普段何気なくやっている寒い時の仕草を思い出して、この気持ちいい生地の中に手を入れられたら幸せだなと思いつきました」
毛布は基本、直線縫いです。今新さんにしてみると、このカバーは曲線縫いにポケットあり、さらに湯たんぽを出し入れしやすいようファスナー付き。おまけに綿シルクの生地はよく伸びる。普段に比べて圧倒的に複雑な仕様に、試作は難航を極めたそうですが、繰り返すうちに職人さんの腕がメキメキと上達。中でも鳥海さんが気に入っている部分があるそうです。
「湯たんぽを入れる口周りに、ブランケットステッチを入れてもらいました。全体のアクセントになるだけでなく、毛布屋さんが作っている印になったと思います」
中に入れる湯たんぽは天然ゴム製の昔ながらのかたち。奈良県大和高田市で100年以上水枕をつくり続ける、浪華ゴム工業株式会社が手掛けています。
「ゴムは、金属や陶器の湯たんぽのように火傷や割れの心配がないので、小さなお子さんやお年寄りの方でも安心して使ってもらえるかなと選びました。浪華ゴムさんは全体の85%は医療用ゴム製品を提供されていて、品質の高さも選ぶ決め手になりました。
ゴムは柔らかい素材なのでからだへのフィット感もよく、お腹に抱えたら、ちょうど動物を抱いているような感じでより幸福感が増すかなと (笑) 」
こうして完成した「綿シルクの毛布湯たんぽ」。各店の店長たちへのお披露目会でも好評だったそうです。
「『ギフトにも良さそう』と太鼓判を押してもらえました。ポケットに手を入れて、例えば仕事のちょっとした時でも、毛布の気持ち良さを味ってもらえたら嬉しいです」
家でもオフィスでも使いやすい。ネックピローとアイマスク
今回のながら温活シリーズの「ながら」には、読書しながら、寝ながら以外に「仕事しながら」も含まれています。湯たんぽがシンプルな見た目を重視したように、一緒に開発した「小豆の温熱ネックピロー/アイマスク」も、オフィスの休憩時などに気兼ねなく使えるデザインです。
「小豆の蒸気を使ったあたためアイテムは世の中にすでにあるので、何かできるとしたら見た目の部分だろうなと考えました。
オフィスに持っていってもおうち感が出過ぎないように、外側はオーガニック綿の起毛生地、肌に触れる内側は肌あたりの良い無撚糸のパイル生地でと、素材を切り替えて仕上げました。もちろんカバーは洗濯して繰り返し使えます」
最後に鳥海さんに、自分ならどう使う?を聞いてみると・・・
「アイピローは寝る前の時間や、オフィスで休憩時間にも使いたいですね。ネックピローは朝起き抜けにすぐレンジであたためて、ご飯を食べながらとか、お化粧中にもいいなと思っています。
湯たんぽは布団の中なら一晩中ポカポカですし、室内でも2~3時間はあたたかさが持続します。私は、自宅にプロジェクターをつけて映画やテレビを見るためのリラックス用の椅子があるので、そこに座って、湯たんぽをお腹に抱えながら映画鑑賞したいです」
さすが「ながら温活」の名付け親。無理なく楽しく続ける「ながら」のアイデアが、まだまだたくさんありそうです。