実は通年楽しめる。進化する「麻」の魅力12ヶ月

中川政七商店の歩みは江戸時代、「麻」の商いからはじまりました。

麻といえば、夏のイメージ?

いえいえ、実は冬のコートに、肌に心地よいインナーにと、通年楽しめる素材なんです。

300年、麻とともに歩んできた私たちだからこそ、伝えられる楽しみ方があるはず。そんな思いから、毎月違う麻の服を提案する「中川政七商店の麻」シリーズが誕生しました。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。

四季折々のアイテムとともにご紹介します。

12ヶ月、毎月違う「麻」を提案する理由

「普段私たちが着ている服の多くが綿です。確かに使いやすくて、一年中活躍する素材です。

逆に言えば、いつも綿に慣れている分、麻って新鮮な着心地なんですね。世の中に流通している服も綿に比べれば圧倒的に少ない。

麻で創業した中川政七商店から麻の魅力をもっとお届けできれば、お客さんにとっても新しい体験になるのではないかと考えました」

中川政七商店の麻シリーズを立ち上げた商品課の中野さんは、企画のきっかけをそう振り返ります。

では、1年を通してどう魅力を伝えていくのか?麻には世の中に知って欲しい、4つの姿がある、と考えたそうです。

一、麻は通年楽しめる。四季折々の表情
二、進化する技術から生まれた、希少な生地
三、異素材との組合せで、新たな質感に
四、300年中川政七商店が守ってきた「手績み手織り麻」の魅力

この4つの提案を中野さんと共に練り上げ、一緒にシリーズを構想したのがデザイナーの河田さん。中川政七商店の麻シリーズのアイテムを手がけています。

「ただ毎月デザインの違う麻の服を提案するのではなく、異なる切り口の提案を季節ごとに掛け合わせて、12ヶ月を展開しようと考えました。

そうすれば麻好きの人は毎月いろいろなバリエーションを楽しめますし、麻のビギナーの人も様々な麻の表情を知って、手に取りやすくなるのではないかと。広く深く麻の魅力を伝えられるように組み立てていきました」

河田さんがまず取り組んだのが、四季それぞれの麻の魅力を伝えるアイテムの開発です。

一、麻は通年楽しめる。四季折々の表情を夏のワンピースで、冬のコートで。

  • 真夏にぴったりの「かや織でつくった服」

奈良の特産であるかや織 。目の粗さを生かして、風通し良くふんわりとした着心地を楽しめるように仕立てたのが「かや織でつくった服」シリーズです。

「かや織は真夏にぴったりの素材です。目がざっくりしているので洗濯してもあっという間に乾きます。手で絞って乾かすとシワ感が出ますし、アイロンをかければきちっとふんわり。二通りの楽しみ方ができるのも魅力です」

「一方で、目の粗い生地は縫っているときに歪みやすく、かや織は縫製に高い技術を要する素材でもあります。

中川政七商店の代名詞とも言える『花ふきん』もかや織ですが、ふきんの素材より密度をつめることで、縫製の問題も解決しながら、服として心地よく着られるように工夫しました」

  • 冬に麻の風合いを楽しむ「麻ウールのあったか綿入れコート」

夏には夏らしい麻の提案をする一方で、「麻といえば夏」のイメージを覆したのが、この「麻ウールのあったか」シリーズ。

しっかりと防寒しながら、カジュアルすぎない麻のアウターをつくりたいという想いから生まれました。

ロングコートとジャケットがあり、どちらも麻の自然な風合いとウールのあたたかみを兼ね備えた、他にない表情が魅力です。

「冬に着る麻の風合いに触れて欲しいという気持ちでつくりました。

染めから乾燥まで、ゆっくり時間をかけて仕上げているので麻ならではのシワ感が独特な表情です」

「機能面では、麻だからできる心地よい暖かさを追究しました。

寒い冬でも、人間の体は常に汗をかきます。麻は吸放湿性に優れている素材なので、着込んだときにも余分な熱がこもらない状態を保ってくれるんです。その特性を生かしたいと、麻を75%とたっぷり混紡したウール麻の生地でつくりました。

生地に圧力をかけない仕上げで、ふっくらした暖かさとボリューム感を出しています。それでいて、麻独特の表面の細かなタテ皺が全体をスッキリ見せてくれます。

着膨れ感なく、軽やかに暖かく着られるのは麻ならではですね」

二、進化する技術から生まれた、希少な麻100%インナー

凹凸のある麻の繊維は、もともと加工が難しい素材です。しかし時代を追うごとにその技術も進化を続け、この時期だけ織れる、この企業なら加工できる、など希少で優れた麻生地も開発されてきました。

そんな最新の技術を生かして誕生したのが、中川政七商店発のインナーブランド「更麻 (さらさ)」。

上質な麻糸の繊維に特殊加工を施すことで、麻本来のさらりとした質感と、従来にないやわらかさを兼ね備えた、麻100%のインナーが実現しました。

決まった気候条件でしか編めない繊細な麻生地が、1年を通して「気持ちいい肌」を保ちます。

「麻ってハリのあるイメージがありますが、この麻生地は繊維に特殊な加工をすることで、やわらかな肌触りを実現することができました。

麻本来の優れた吸放湿性を発揮して、夏はさらっと、冬は必要な温度を逃さず、一年を通して呼吸するように『ちょうどいい肌』を保ってくれます」

また、アトピーに悩むお子さんのために更麻を買われた方から、チクチクせず着心地が良かったとのお声もいただき、嬉しい驚きでした。 化繊が肌に合わないという方にも、ぜひ試していただきたいですね」

シリーズはキャミソール、ショーツ、半袖、長袖、レース仕様のものとバリエーションが増加中。今年の秋には、今まで技術的に実現が難しかった黒色が改良を重ねて登場します。

「麻ならではの質感や着心地を実感してもらえたら嬉しいです」

三、異素材との組合せで、新たな質感に。梅雨も楽しむ「麻の紙布」

素材の力や表情は、組み合わせることでさらに広がります。

この6月に登場するのが、麻と和紙の組合せにチャレンジした「麻の紙布」シリーズです。

6月に発売予定の「麻の紙布 かさねブラウス 白」。色は白の他、薄墨、墨の3色。
こちらは「麻の紙布 かさねスカート 墨」。

「ジメジメ、ベタベタと『憂鬱』のイメージがつきまとう梅雨を、麻を使ってちょっとでも楽しみに変えられないか?という発想から、和紙と麻の組合せでできることを考えました。

和紙も麻と同じく調湿機能に優れていて、とても軽い素材。日本人は古くからその機能を生かして、細く裂いた和紙繊維に撚りをかけて糸状にし、「紙布」を織ってきました。

この紙布にヒントを得て、たて糸に麻糸、よこ糸に和紙糸を使って織り上げたのが麻の紙布です」

「形も遊びのあるものにしたいと思って、和紙の紙っぽい直線的なイメージを生かし、薄い生地を何枚も重ねたパターンをつくりました」

「無地ですが、生地の重なった部分に陰影が生まれて、ちょっと面白い表情になるんです。左右非対称のデザインなので服に動きが出て、着心地も見た目も軽やかです」

四、300年中川政七商店が守ってきた「手績み手織り麻」の魅力

麻を楽しむ4つの提案、最後のひとつは、中川政七商店が創業以来守ってきた「手績 (う) み手織り麻」の魅力を生かしたアイテム。

1疋(約24m)の生地を織るのに熟練の織り子さんで10日かかる手績み手織り麻は、西洋で主流のやわらかいリネンに対して、硬くて張りがあり、独特の光沢感が特徴です。

中川政七商店は江戸中期の1716年、幕府御用達にもなった上質な手績み手織り麻「奈良晒」の商いで創業します。

僧侶の法衣や武士の裃、茶事の茶巾としても愛用されていた織物は、時代が変わり武士という最大の需要を失うと衰退の危機に。しかし中川政七商店では、新商品開発や工場新設などで難局を乗り切り、その技術を絶やさず守り続けてきました。

300年守ってきたものづくりを生かし、「中川政七商店の麻」を象徴するアイテムとして誕生したのが、「手織り麻を使ったフリルシャツ」です。

「これまではのれんなど和のものに用いられることの多かった手績み手織り麻ですが、服として生かす時に、今の暮らしの中にどう馴染んで存在させるかを考えました。

一番の魅力は、人の手で織られていればこその温かみや存在感です。

これをシンプルなシャツにあしらえば、きっと『あれ、この生地なんだろう』という引っ掛かりが生まれるはず。

単に生地として使うのではなく象徴的な使い方をしたいと思い、フリルやタックとして服に生かしてみました」

もともと硬い生地を洋服用に柔らかく加工するなど、技術的にも新しいチャレンジをしたフリルシャツ。

今の暮らしの中に手績み手織り麻を生かす、新たな一歩となりました。

「麻には麻の良さ」を暮らしの中へ

4つの切り口を生かしながら、中川政七商店の麻シリーズは毎月アイテムを増やし続けています。

「普段着だけでなく、セミフォーマルに使える洋服もつくっています。オンにもオフにも、日々の様々なシーンで他の素材とはまた違う、麻ならではの良さを楽しんでもらえたら嬉しいです」

300年の歴史の上に立ちながら今の技術を生かし、麻を、明日着ていきたくなる服に仕立てる。

麻とともに歩んできた私たちの使命として、これからも進化する麻の魅力を発信します。

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