【くらしの景色をつくる布】#1 中川政七商店・吉岡
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皆さんは暮らしを飾るインテリアを、どんなふうに選んでいますか?
いわゆる賃貸のマンションに住んでいると、間取りや壁紙などの躯体はそんなに代わり映えがしません。かく言う我が家も賃貸マンション住まいです。
暮らしを飾る物を上手に取り入れることで、もっと自分らしい心地好い空間をつくっていきたい。個人的にもそう思っていた折に発売したのが、インテリアコレクション「くらしの工藝布」。使い手次第でさまざまな取り入れ方が膨らむ表情豊かな布たちは、暮らしを飾るのにぴったりのアイテムです。
実際に、家に取り入れたらどんな景色が生まれるんだろう?そんな興味が沸いて、心地好い暮らしを実践する皆さんに、取り入れてみてもらいました。
初回は、中川政七商店・吉岡のご自宅。取り入れたのは、こちらのラインナップです。
・二重織刺し子の長座布団
・二重裂織の飾り布
・捨耳のタペストリー
・二重裂織の簾
・裂織の布籠
・二重裂織の敷布
中川政七商店の新規事業や店舗開発の傍ら、その土地土地のものづくりを訪ね歩き、バイヤーの役割も担う吉岡。
パートナーと二人で暮らすマンションには、古今東西のさまざまなオブジェや暮らしの道具など、個性豊かなもの達がずらりと並びます。
「くらしの工藝布」は、そんな吉岡家の暮らしをどのように飾るのでしょうか。
もてあましがちな和室にシーンを作る。「二重織刺し子の長座布団」
まず最初に、これはぜひ使ってみたいと選ばれたのが、「二重織刺し子の長座布団」。和室に置いて使ってみたそうです。
「和室は普段もてあましがちなので、ゆっくりお茶を愉しむ空間として設えるなど、目に入ると使いたくなるシーンをあえて作っておくようにしています。ちょうど少し改まってお茶が飲めるように設えていた場所に、二重織刺し子の長座布団を敷いてみると、色も表情もしっくりと馴染みました。」
「うちでは日常的にお茶を飲みますが、友人やお客さんが来た時などは、ここでお茶を淹れながら四方山話に花を咲かせることも多いです。布団の上に座っているようで気持ちいいから、長話をしてても疲れずに過ごせそうですね。2~3人並んで座れるのも有難いです」
「個人的に一番ハマったのが、三分の一を二重に折り曲げた座椅子のような使い方でした。座っていると、ふかふかした布団に包まれているような安心感があります。生地は厚手で丈夫ですし、腰が沈むこともないので、楽な姿勢で、ずっと座っていられますね。座椅子とソファのいいところを足して割ったような印象でした。長座布団があると、和室にいる時間が増えそうです」
敷いても掛けても愉しめる。「二重裂織の飾り布」
次は、長座布団と一緒に茶席に設えていた「二重裂織の飾り布」について聞いてみました。
「気楽に茶席の雰囲気を楽しみたい時にはもってこいの敷布だと思います。薄手ですがしっかりと柿渋染された生地は丈夫ですし、多少こぼしてもまあいいかって余計な気遣いなしに使えます。
そうやって実用的な用途として使えるのはもちろん、飾って楽しめるのも魅力ですよね」
「敷布として使わない時には、壁に飾りたくなりますね。柿渋の濃淡から生みだされた有機的な表情が、空間にあたたかい空気感を与えてくれるなと思います。
長座布団もそうですが、寄りで見ると一つとして同じものがない個性や味わい深さを持ちつつ、引きで見るとどんな住空間にも馴染みやすい。繊細さと包容力のある布ですよね。」
床の間のはずしに、「捨耳のタペストリー」
触りたくなるような表情豊かな「捨耳のタペストリー」は、床の間に。もともと和すぎる床の間になるのを避けて、グラフィカルな版画とシェーカーボックスを飾っていたそうです。
「捨耳のタペストリーは、布なのに、お軸の絵のような奥行きと存在感があります。いわずもがな、よいですよね。
うちの床の間は昔ながらの和の雰囲気なのですが、それらしい和の室礼には正直あんまり馴染めなくて。とはいえ賃貸では内装を触れないので、クラシックな和の床には、お軸の代わりにモダンなアートを添えてあげるのが、個人的には好みです」
空間の間仕切りに。「二重裂織の簾(すだれ)」
「この簾は、組み合わせる枚数が自在なので、部屋の間仕切りのような機能をもたせるのが面白そうだなと感じました。扉のように完全に部屋を仕切るのではなくて、ゆるやかな境界として簾を掛けて。
一枚ずつ布を変えられるので、今回みたいに色替えして組み合わせると、季節や気分にあわせて模様替えもできるし、枚数によって仕切りの度合いも調整できますよね。日本人らしい曖昧な境界の作り方だなと思います」
プランターカバーとして暮らしを飾る「裂織の布籠」
「裂織の布籠は、プランターカバーとして使ってみました。
裂織の布自体にゆらぎや個性があるじゃないですか。布の個性と植物の個性がぶつかり合うのが面白そうだなと思って。サボテンもドラセナも、布籠と植物のコントラストが効いているんじゃないでしょうか」
表情のある床が生まれる、「二重裂織の敷布」
「二重裂織の敷布は、見た目にすごく工芸感のあるファブリックですよね。賃貸住宅は床が味気ないので、こういう布を敷くと一気に雰囲気が変わって絵になる風景ができることがあります。
二重裂織の敷布は、表情豊かですが、クセのある模様が入っているわけでもないので、シンプルな家にもいい意味でアクセントになるんじゃないでしょうか。うちみたいにあちこち雑多にものが置いてある家でも、他の物に負けてないですよね」
取り入れて感じる、「くらしの工藝布」の魅力
敷いたり掛けたりしながら、さまざまなアイテムで飾ってもらった吉岡家。最後に、取り入れてみての感想を聞いてみました。
「今回実際に家に取り入れる過程で、古くからある技がもつ、現代に生きる価値を再発見しました。
裂織が盛んだった頃は、今よりもはるかに物資が貴重な時代じゃないですか。そういう時代背景で育まれた日本人のつつましい美意識やもったいない精神が根底にある昔の裂織は、偶然の美や時間の経過がもたらす物としての魅力があると思っています。
それに対して、工藝布は、裂き糸と現代の織り技術、それらの組み合わせなどを掘り下げて、どうすれば暮らしの中で魅力ある布になるかをとても考え抜いてつくられているなと思います。こういったつくり方は、物が豊かになった今じゃないとできないですよね。今回使ってみて、実際の暮らしへの取り入れやすさを肌で感じることができました」
「世間では、うちと同じように賃貸のマンション暮らしの人が大半じゃないですか。
インテリアを愉しもうとすると、標準的な間取りやマテリアルの中で、躯体に頼らない部屋作りをせざるを得ないですよね。そんな時、個性的な道具やオブジェも雰囲気を作る一つの要素やアクセントとして重宝しますが、面積の広いファブリックは、それだけで部屋の印象をガラッと変える力があるなと、今回改めて思いました。
そして、用途をもって使うこともできるし、暮らしを飾ることもできる。それが“くらしの工藝布”の魅力ですよね。どう取り入れるかが、こちらに委ねられているというのが、面白いと思います」
暮らしを飾り、家の景色をつくってくれる「くらしの工藝布」。使い方が定まっていないからこそ、さまざまなおうちでの取り入れ方に、より一層興味が沸いてきました。
あの人はどんな風に暮らしを飾るんだろう?そう気になる方々のご自宅におじゃまして、これからも「くらしの工藝布」の愉しみ方とともに、皆さんの暮らしの景色をお届けしていきたいと思います。
次回は、兵庫・丹波篠山の里山でお店を営む、archipelagoの小菅庸喜さんのご自宅にお伺いします。お楽しみに。
<掲載商品>
・二重織刺し子の長座布団
・二重裂織の飾り布
・捨耳のタペストリー
・二重裂織の簾
・裂織の布籠
・二重裂織の敷布
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