お祝い事に何度でも使える「ミニ鏡開きセット」を使ってみました
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お正月、親戚の集まり、結婚披露宴、子どもの七五三、お誕生日会にも使える「ミニ菰樽」
毎年祖父のお誕生日には家族で集まって、ささやかな食事会をしています。今年はどんなお祝いにしよう。あれこれ探していて、こんなものを見つけました。
その名も「ミニ鏡開きセット」。
日本酒の入った樽に、藁で編んだ菰 (こも:ムシロのこと) を巻きつけたものを菰樽 (こもだる) と呼ぶのだそう。
この菰樽を木槌 (きづち) で叩いて割り、みんなにお酒を振る舞ってお祝いするのが鏡開き。お正月や結婚式など新しい門出に、健康や幸福を祈ります。
神社に祀られているものや結婚披露宴で使われる菰樽は四斗樽 (72リットル) が一般的ですが、今回見つけたミニ鏡開きセットは720ミリリットルというコンパクトサイズ。テーブルに乗せて少人数で気軽に使えます。
これはお酒好きの祖父にぴったり!とさっそく取り寄せてみることに。
絵柄も色々で、オーソドックスなものからポップなデザインまで、10種類以上。今回は、七宝文様にあわじ結びの熨斗が描かれたおめでたいものを選んでみました。
岸本吉二商店が手がける、小さくても本物の菰樽
このミニ鏡開きセットを作っているのは、兵庫県尼崎市で100余年のあいだ菰樽を作り続ける老舗で、日本一の菰樽シェアを誇る岸本吉二商店。
ミニサイズだからと侮るなかれ。大きな四斗樽と同様の手法で、荷師と呼ばれる職人が一つひとつ仕上げているものでした。
なぜわざわざミニサイズを作ったのでしょう?社長の岸本敏裕さんに尋ねてみました。
「尼崎では、農家の冬場の仕事として菰縄づくりが地場産業として発展してきました。今でも全国の酒造会社の菰樽に使う菰縄のほとんどが尼崎で作られています。
しかし、菰樽の需要は減少傾向にあります。鏡開き文化が衰退しつつある現代に、新しい形で菰樽を残したいと作り出したのがこのミニ鏡開きセットです。
テーブルサイズにすることで、少人数でも気軽に様々なシーンで鏡開きを楽しんでいただけるのではと考えました。また、デザイナーさんとコラボレーションしたデザイナーズライン、名入れサービス、オリジナルデザインの受注など菰樽そのものが記念品として楽しんでいただけるようにしました」
まさに私のように少人数で何かのお祝いをしたいという用途にぴたりと当てはまりました。今や国内での需要だけでなく、海外からの問い合わせまで舞い込んでいるのだとか。
お正月などのお祝い事の席、親戚の集まりやホームパーティをはじめ、結婚披露宴で各テーブルに並べてキャンドルサービス代わりに、ジュースを入れて子どもの七五三やお誕生日会に、はたまたお菓子を詰めてお土産に‥‥と、用途の幅も広がっています。どの使い方も楽しそう。
掛け声は「よいしょ、よいしょ、よいしょ!」
さて準備が整ったところで、いよいよ祖父のお誕生日の当日を迎えました。
お店にお願いしておいて、食事が始まる前に鏡開きの時間を作ってもらいました。
「さぁ、みなさん一緒に掛け声をかけますよ!」
音頭を取って、いざ!
「よいしょ、よいしょ、よいしょ!」
パァーン!
「お誕生日おめでとう!」
パチパチパチと一同で拍手を送ります。
「見ることはあっても、鏡開きを自分でやるのは初めてだったよ。なかなか良い音がして、気持ちが良いものだねぇ」と祖父も嬉しそう。
普段も乾杯はするけれど、こうしてみんなで声を合わせておめでたい瞬間を迎えるというのは鏡開きならではのこと。はじめからあたたかく盛り上がり、和やかで楽しいお誕生日の食事会となりました。
秘密は上蓋のマグネット。何度も使える縁起物
実はこの菰樽、もうひとつ他のものと違うところがあります。それは、蓋の構造。
マグネットで3つのパーツを繋いで1枚の板となっている上蓋は、木槌で叩き割ったあともきれいに元に戻せます。お祝い事があるたびに何度でも使えるのです。
また、樽の内側はプラスチック製。こちらも簡単に取り外して洗えるので、衛生的に保管できて、繰り返し使う時にも安心です。
次は、お正月の集まりで使ってみようかな。これまでの人生で一度もやってみたことのなかった鏡開きが、気づけば身近なものになっていました。
<掲載商品>
ミニ鏡開きセット
<取材協力>
株式会社岸本吉二商店
兵庫県尼崎市塚口本町2-8-25
06-6421-4454
https://www.komodaru.co.jp/
文・写真:小俣荘子
*こちらは、2018年12月3日の記事を再編集して公開しました。