パンはくるくる回して焼くのがコツ!?プロに教わる焼き網の使い方

エリア
タグ
金網つじで焼くトースト

先日、「美味しいトーストが焼ける!」という焼き網に出会いました。

作っているのは、京都の「金網つじ」。手で編む京金網の美しさと、道具としての使いやすさが評価され、世界からも注目されている工房です。

金網つじの焼き網は、暮らしの道具に精通している方々の間で愛用されており、エッセイストの平松洋子さん著書「おいしい日常」の表紙にも登場しています。パン好きの間で人気が耐えない商品で、生産が追いつかないほどの売れ行きなのだそう。

金網つじが作る「手付きセラミック付き焼き網」。焼き網の下の白い板がセラミック。遠赤外線効果で食材が美味しく焼きあがるそう
金網つじが作る「手編み手付きセラミック付き焼き網」。網の下の白いセラミック板が発する遠赤外線の効果で、食材が美味しく焼きあがるそう
焼き網に付いている白い部分がセラミック
大きさは2種類。縦横22.5センチメートル四方の一般的なサイズ (左) と、トースト1枚がちょうど乗る縦横16センチメートル四方のもの (右) 。小ぶりなサイズは、コンパクトなキッチンでも使いやすい大きさです

※辻さんに教えていただいた、「トーストが美味しく焼ける網の秘密」はこちらをご覧ください。

お話を伺いにお店を訪れた際、トーストサイズの焼き網を買って帰ってきました。

おいしく焼けるだけでなく、コンロの脇に立てかけても邪魔にならないちょうど良いサイズ、お手入れの簡単さも魅力でした。使い始めて約1ヶ月、もうすっかり毎日使いの道具となっています。

今日は、金網つじ直伝の美味しいトーストの焼き方を紹介します!

パンを乗せる、その前に

焼き網をコンロに乗せたら、パンを乗せる前に火をつけて15~20秒ほど網を温めます。余熱しておくと一気に表面を焼けるので、パンを無用な乾燥から守れるのだそう。外はカリッと芳ばしく、中はしっとりふわふわに仕上げるには、この余熱が肝心です。

まずは網を火にかけて。中火で15秒ほどあたためます
まずは網を火にかけて。中火で15秒ほどあたためます
火であぶることで白いセラミックが黄色く変色することがありますが問題ありません
火であぶることで白いセラミックが黄色くなったり、板の表面が凸凹になることがありますが、自然な変化なのでそのままで問題ないとのこと

パンをくるくると回す

焼き網に手をかざして、熱さを感じたらちょうど良い頃合い。中火のまま、網の中央にパンを乗せます。

コンロの火は、位置によって多少の強弱差があるもの。全体にムラなく焼き色をつけるには、裏表を返すのに加え、90度ずつ回転させるのがおすすめの方法なのだそう。

パンを乗せたら10〜15秒ずついろんな方向にひっくり返して行く 上下左右
パンを乗せたら10〜15秒ごとに上下左右色々な方向に回転させていきます
網の下から覗いて胃見ると、少しずつきつね色に色づく様子が
網の下から覗いてみると、美味しそうなきつね色が見えました
くるくると返しているうちに良い焼き色がついてきました
パンの香りを楽しみながら、くるくると返しているうちに全体が良い焼き色に

2分でトーストが完成

慌ただしい朝の時間、調理はできるだけ短時間で完了したいものです。

どうぞ、ご心配なく。遠赤外線効果で一気に火が入るので、2分とかからずに焼きあがります。

1分と経たないうちに、表面がカリッと焼きあがりました。火を止めて熱々のトーストの上にバターを落としてみました
火を止めて熱々のトーストの上にバターを落としてみました。パンの熱でバターがとろり

後片付けも簡単

トーストを焼いただけの網はさっと水洗いで十分きれいになります。脂の乗った食材でベタつきが気になる時や焦げ付かせてしまった時は、スポンジか亀の子たわしを使いましょう。

枠に巻き込んだ網の仕上げも滑らか。指で触れても滑らかで引っかかりがなく、怪我をしにくい上にスポンジなども引っかからないので洗いやすい
網の先は枠にしっかりと巻き込まれ溶接されています。枠を指で撫でてもなめらか。スポンジも引っかからないので洗いやすく、怪我をしにくい設計です
網を洗うときはスポンジで
網を洗うときはスポンジで
焦げ付きをとるのに少し強めにこすりたいときは亀の子たわしがおすすめ。金属製のたわしはセラミックを痛めてしまうので避けましょう
焦げ付きを取るのに少し強めにこすりたい時は、亀の子たわしがおすすめ。金属製のたわしはセラミックを傷めてしまうので避けましょう

使い込むほどに美味しく焼ける

金属は熱で変化するもの。数回使っているうちに、その状態が安定するのだそう。

「毎日ほんの数分トーストを焼くだけなら、2週間経った頃からが本領発揮。金属の状態が安定した後は、より美味しいトーストが焼けるようになります」と辻さん。

セラミックの遠赤外線効果は長く使っていると弱まってくるもの。毎日使っている場合は、2年ほどで交換するのがおすすめとのことでした。

セラミックは火にかけると黄色くなったり黒っぽくなったりしますが、問題ありません
少しずつ、色が変化して馴染んでくるのが誇らしい今日この頃。金網つじでは、交換用のセラミック板のみの販売も行なっています。下の部分だけ交換して、馴染んだ道具を長く使えるのも嬉しい

いろんな食材を焼いて美味しく

「朝食は、ごはん派!」という人には、こんな使い方も。ご飯をおにぎりにして醤油をひと撫で。焼き網でさっと炙れば、香ばしい焼きおにぎりの完成です。

前日の夕食に作った炊き込みご飯を焼きおにぎりにしてみました
前日の夕食で余った炊き込みご飯を焼きおにぎりにしてみました

少し余裕のある朝は、トーストの付け合わせやお弁当のおかずを網で焼いてみたり、椎茸をあぶって晩酌のお供にしたり。買い物に出かけると、食材を眺めながら「これは網で焼いてみたらどうかな?」なんて想像を膨らませるようになりました。

トーストのおともに、ウインナーとトマトを炙って
ウインナーとトマトを炙って朝食に
炙った椎茸は、表面が香ばしくて、中はジューシー。美味でした!
炙った椎茸は、表面が香ばしくて中はジューシー。美味でした!

子供の頃から毎日焼き網を使ってきた辻さんに、おすすめ食材を伺ってみました。

「季節の野菜をはじめ、練り物、エビなどの魚介類、そしてもちろんお餅も。お正月にはぜひこの焼き網でお餅を焼いて欲しいですね」

金網つじのインスタグラムでは、金網の使い方やオススメの食材の紹介もされています。どれも美味しそうです!

「鮭などの脂が乗った魚やお肉は、どうしても脂が下に垂れてしまいます。掃除に手間をかけたくない場合は、牛タンや干物など焼いても脂が落ちにくいものをおすすめします。とはいえ美味しいので、脂の乗ったものを掃除覚悟で焼いてみるのもアリですよ!」

秋口は、脂が乗って美味しい魚が出回る時期。すっかり焼き網の虜となった私は、きっと掃除覚悟でトライすることでしょう。

焼き網がある暮らし、満喫しています。

< 関連記事 >

辻さんの金網づくりには図面があります。美しい京金網をうみだしています

金網つじさんに製造のことをきいてきました。
「トーストが美味しく焼けるという不思議な金網の秘密」

<取材協力>

高台寺 一念坂 金網つじ

京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町362

075-551-5500

http://www.kanaamitsuji.com/

instagram @kanaamitsuji

文:小俣荘子

写真:山下桂子・小俣荘子

関連の特集

あなたにおすすめの商品

あなたにおすすめの読みもの