引き出物の選び方とは。知っておきたい本来の意味とマナー
引き出物で気をつけるマナーとは?
結婚式の引き出物とは?
結婚披露宴で受け取る引き出物。
タオルなどの日用品やカタログギフト、地域色あふれるしきたり品や引き菓子など、その中身は様々です。
時代とともに定番の品も変化があるよう。本来の意味や、知っておきたいマナーをまとめました。
引き出物の起源とは
もともと結婚式に限らず、宴席に招いたお客に対して主催者が贈り物を用意する習慣は古くからあったようです。
引き出物の語源は平安時代までさかのぼり、貴族たちの宴席で、帰るお客に主人が馬を「引き出して」贈ったことから、と言われています。
贈る品物は他にも犬や鷹、衣服など。さらに時代がすすみ、武士が主役の鎌倉時代に入ると、刀剣などの武具や、砂金や鯉、昆布など幅広い品物が引き出物に加わりました。
江戸時代に入ると、宴席の膳に添えたものを、お土産として持ち帰るのが主流に。
日持ちがよく古くから珍重されてきた鰹節や縁起の良い鯛が好まれ、引き出物の定番となりました。鯛をかたどった落雁なども用いられたようです。
現代における引き出物のマナー
・選ぶもの:引き菓子やしきたり品を組み合わせた奇数で。事前に親に相談を
引き出物は箱入りの「引き菓子」と、鰹節や赤飯などの「しきたり品」と組み合わせて3品もしくは5品の奇数にするのが吉とされています。
奇数を好むのは、偶数が「割れる」数だから。他にも縁が「切れる」、「去る」を連想させるものはタブーとされてきました(刃物や猿をかたどったものなど)。
近年あまり気にしないという人も増えていますが、招くゲストに合わせて配慮が必要です。
・しきたり品とは?
しきたり品は地域によっても寝具や縁起物をかたどったかまぼこなど、定番品が異なります。地域の慣習や家ごとのしきたりがあるので、親に相談しておくと間違いないよう。重たいほどおめでたい、とする地域もあるそうです。
まとまった数を頼む必要もあるので、注文した時に在庫がない!ということのないように前もってリサーチを。
・引き出物を用意しなくてもいい場合も
引き出物は基本的に、結婚披露宴に来てくれた人へのお礼の品。
挙式のみで披露宴を行わない (ご祝儀を辞退する) 場合は、引き出物を準備しなくても良いとされています。親族だけの食事会のような形式や会費制の式の場合は、引き出物の代わりにプチギフトを用意するケースも。
・包みのマナー
表書きは「寿」として、両家の名前もしくは新郎新婦の名前を載せた熨斗紙をかけて贈るのが一般的。
引き出物は一世帯に一つずつでOKですが、例えばご夫婦で別々にご祝儀をいただいた場合には、予備のご祝儀を渡したり、ない場合は後日お礼の品を贈ると良いようです。
・金額のマナー
引き出物の相場は披露宴の飲食代の1/3程度とされています。
引き出物の選び方
予算などが決まったら、いよいよ品物選びです。さんちで紹介したアイテムも添えてご紹介していきます。
根強い人気なのは式の当日もかさばらず、ゲストが好きなものを選べるカタログギフト。
重たいものや趣味嗜好が合わないものは好まれない傾向にあります。品物としてはタオルやちょっとした雑貨類など、普段使いに便利な日用品が人気です。
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食器など日常使いするものは、すでに持っていそうなものとかぶらないよう注意が必要。オリジナルデザインのお皿をオーダーメードするケースを、以前さんちでご紹介しました。
関連記事はこちら:「引き出物を『オーダーメイドの笠間焼』で作ってみました」
普段自分では買わないような高級品や、特別感のあるものが喜ばれるようです。
引き菓子の選び方
引き菓子はゲストが帰宅後に家族と一緒に食べる、お祝いのおすそ分け。日持ちのするものや小分けにして食べやすいものが喜ばれます。
定番はおかきなどの和菓子やバウムクーヘン、金平糖やマシュマロなどのボンボン菓子。名入れのしやすいカステラも人気のようです。
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ゲストの好みに応じて「贈り分け」も
年代や関係性によっても喜ばれるものが異なるので、最近ではゲストによって引き出物を分ける「贈り分け」も増えているそう。
贈り分けをする場合は、中身が違うことがわかりやすい見た目は避け、同じ大きさの紙袋に入れるなどの配慮を。
こうしてまとめてみると、引き出物には選ぶ中身から贈り方、大きさまで、新郎新婦の「来てくれてありがとう」の気持ちと気遣いが随所に込められているのがわかります。
基本のマナーや意味を知っておくと、次に招かれた時も、自身が贈る側になる時も、心持ちが違いそうですね。
<参考資料>
『これで安心!結婚準備&マナー』ナツメ社 監修・遠藤佳奈子 (2016)
『すぐに役立つ <略式>冠婚葬祭ブック』三省堂 編著・三省堂編修所 (2010)
『どこまでOK?がすぐわかる!冠婚葬祭の新マナー大全』成美堂出版 監修・笹西真理 (2019)
『日本人のしきたり』青春出版社 編著・飯倉晴武(2003)
文:尾島可奈子