花ふきん愛用スタッフが考えた、春を告げる「花ふきん 糊こぼし」
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中川政七商店のロングセラー商品である花ふきんに、ちょっと変わった名前の新柄が登場しました。その名も「花ふきん 糊こぼし」。
年末年始や引越しシーズンなどに、ご挨拶の品として贈られることの多い花ふきんに、春限定のデザインとして採用されました。
誕生のきっかけは今年、全店舗スタッフを対象に企画された新春向け商品のアイデアコンテスト。みごと最優秀賞に輝いたのが、中川政七商店 タカシマヤ ゲートタワーモール店スタッフ、樋口さんが考案した「花ふきん 糊こぼし」でした。
糊こぼしとは?なぜ新春限定の柄なのか?生みの親である樋口さんにその魅力と誕生秘話をたずねました。
毎日2・3枚を使い分ける花ふきんヘビーユーザーです
「入社して4年目になりますが、勤める以前からずっと花ふきんを愛用しています。
丈夫で大判、すぐ乾くので、食器拭き以外にもお弁当を包んだり何かと重宝していましたが、子どもが生まれてからは保育園用に毎日2、3枚を持たせて、夜は沐浴に使ったりと、さらに用途が広がりました。何枚あっても困らないので、友人の出産祝いにもセットで贈ったりしています」
暮らしの中で、とても身近な存在だった花ふきん。新春向け花ふきんのデザイン公募があった時は、自分が欲しいと思うものを作ろう、とすぐに案を考え始めたそうです。
奈良に春の訪れを告げる「糊こぼし」
樋口さんが「新春」と聞いてすぐに思い浮かんだのが「糊こぼし」でした。濃い紅色に白く模様が入った椿で、糊をこぼしたように見えることからこの名前がついたそう。
実は、中川政七商店の創業の地である奈良では、春の訪れを告げる花として知られています。
東大寺の新春の行事として有名な「お水取り」(修二会)では、練行衆のお坊さん達がこの糊こぼしの造花を作って二月堂の十一面観音さまに捧げます。
「その季節になると奈良の和菓子屋さんでは、糊こぼしをかたどった和菓子が時期限定で販売されます。私は数年前に奈良を訪れた際、偶然この糊こぼしの和菓子に出会って、何てきれいなんだろうと心に残っていました」
春のご挨拶にぴったりな紅白の椿
「花ふきんは吸水や速乾性といった機能だけでなく、『花』と名前がつくように、その色合いも使うときの楽しみです。お店では、夏場にスカーフや汗取りとして首に巻いていると教えてくれたお客さまもいらっしゃいました」
「鮮やかな紅白の椿なら、見た目にも楽しく、台所にちょっと掛けてあっても、お弁当包みや家の収納、バッグの目隠しなどにしても、きっと華やか。何より、新しい年の春のご挨拶にぴったりです。糊こぼしで作ってみよう、とアイデアがまとまりました」
デザインは、中川政七商店の「ご飯粒のつきにくいお弁当箱」を包んだ姿を想像しながら、お昼時、包みを広げたときにひとつの絵として楽しめるように考えたそうです。
「ただ椿の花を散りばめるのではなく、椿の木々を空から見下ろしているような構図になっています。余白をたっぷり取った柄は今までの花ふきんになく、落ち着いた中に華のあるデザインになりました」
試行錯誤の末にたどり着いた、1枚1枚変わるデザイン
長年花ふきんの捺染を手掛ける松尾捺染株式会社さんにとっても、こうした余白のあるデザインは初めてのこと。
当初は「花柄が集まった大きなひとつの円がふきんの中心に来る」というデザイン案でしたが、プリント位置に個体差が出るため、別の道を探ることに。
「もともとのデザインの雰囲気を、どうやったら再現できるだろう?」
樋口さん、商品課のふきん担当、メーカーさんと共に調整を重ねながら、たどり着いたのが「大判な花ふきんだからこそ可能な大柄のデザイン」でした。
プリント位置に個体差が出て柄位置がランダムになる、という点を生かして、花の円がいくつも集まる華やかなデザインに。
ものによって柄の出方が変わることで、1枚1枚に個性が生まれました。
「お店で好きな柄を吟味したり、育児や家事の合間に、今日はどのふきんを使おうかと選ぶ時間は、暮らしの中のちょっとした楽しい時間だと思います。新しい年の家仕事や、大切な人との新春のご挨拶の時間に、この糊こぼしふきんが彩を添えられたら、とても嬉しいです」
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