半世紀も愛されている、まるでペリカンのような形の急須でお茶時間が豊かに。「ペリカン急須」

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日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

梶川 今日子

語り手:梶川 今日子

中川政七商店の企画展の運営と大日本市でバイイングをしています。以前は自分でお店を運営していたこともあり、素敵なものを見たり探したり発見することに「ときめき」ます。陶器の産地「岐阜県土岐市」生まれ。これまで住んだ場所は沖縄・長野(松本)・東京・埼玉・そして奈良と引越しの多い人生です。

ブランド:晋六窯
推しの逸品:ペリカン急須

創業者から受け継ぐ、使い手にとって使いやすい器をコンセプトに一つひとつ丁寧に制作しています。「民芸」の大らかさと素朴さがあり、釉薬やデザインは初代より引き継がれた独自のものです。晋六窯で制作している陶器の中でも、オリジナルであるペリカン急須Rは、60年以上ご愛顧頂くオリジナルの急須です。
ころんとかわいい形状、思わず手で包み込みたくなるような丸み。そして気になるネーミング。

ペリカンの様な特徴的な口の形状がこの名の由来らしい。私の中で急須の口は、細長くスッと付けられたものやちょこんと小さく三角についているものというイメージがありました。
その概念を超えた急須の形状にどんなワケがあるのか?少しわくわくしながら、早速使い始めてみました。


ペリカン急須
「小」サイズのペリカン急須。「中」サイズもあります。

このペリカン急須は京都の晋六窯で50年前に考案された急須。考案者である現窯元のおじいさんが、茶葉が注ぎ口にたまってもスムーズにお茶が出てくるようにと穴を沢山あけてこの形にたどり着いたそうです。
なるほど、口から見える無数の細やかな穴。美しく丁寧な手仕事を感じます。

本体のころんと丸い形状にも理由がありました。お湯を注いだ時に茶葉がよく回転し、よく開くように底を丸くしているそう。お米で言えば釜の中で踊る、対流のような感じでしょうか。

早速、ほうじ茶が好きなわたしはいつものほうじ茶をいれてみることに。


ペリカン急須

焼き締めの急須を先に温め、茶葉を適量いれてお湯を注ぎます。お湯を注ぐとペリカンの口の部分にもお湯がみえます。もう既にいつもと違うおもしろさ。しばらく置いてから湯のみに注ぎます。

びっくりするくらい濃く、しっかり出ています。もしかして濃すぎる?と思いつつ飲んでみてびっくり!
一口目の印象はなんとも「まろやか」でした。

しっかり茶葉の味を感じられるのにまろやかな味。通常時間を置くと渋みを感じるけれど、あまり感じない。急須でこんなに違うものかと素直に驚きました。


ペリカン急須

二煎目は急須の蓋を取らず口から注ぎます。スムーズにお湯が入り、茶葉が穴に詰まらずストレスを感じません。そして注ぐ時も片手で蓋を楽におさえながら注げる設計も魅力でした。


ペリカン急須

一煎目をいれるときに蓋を置く場所に困ることもあるのですが、この急須は、蓋をペリカンの口に置いておける仕様になっています。通常露が落ちるのを気にしながらテーブルに置いたり、お盆に置いたりしますがそんなことを気にせず、急須の上で完結できる優れもの。

使い手のことを考えて、一つ一つの動作性まで細やかに考え抜かれた急須だと実感。道具ってこういうところがまた使いたくなる要素だと思ったりします。


ペリカン急須

急須には磁器製やガラス製、鉄瓶と色々あるけれど、茶葉の味を楽しむのにぴったりな土物の急須。冷めにくく、まろやかで美味しいお茶を入れられる毎日の道具。ペリカンの口をしたコロンとかわいいペリカン急須。私のお茶時間の大切なお供に追加することにします。

今度はフレーバーティを入れてみようかな?紅茶はどうなんだろう、と日本茶だけでなく、他もいろいろと試してみたくなりました。

今日は何のお茶にする?
とペリカンの口をした急須が私に話しかけてくれそうです。


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