【旬のひと皿】根菜と鶏つくねの生姜のスープ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



ひんやり冷えた空気のなか、台所に立つ湯気にホッとする季節になりましたね。12月に入り、2023年ももうすぐ終わり。「早かったね〜」とお客さんとお話ししながら、今年も無事に過ごせてきたことをありがたく思います。

一年頑張ってきた身体に「おつかれさま」の気持ちを込めて、今回は根菜から出る、やさしく奥深い味を楽しめる、鍋のようなスープを作ります。

野菜に火を入れるときは焦らずじっくりと、蓋をしながら蒸らすように。甘さを引き出してから出汁を入れて、出汁に野菜の旨味を重ねていきます。

お出汁は今回、お店で使っている数種類の節を入れた、通常より濃いめのものを使用しましたが、ご家庭では普段お使いの出汁でどうぞ。出汁の味は使う材料や好みの濃さなどによってそれぞれ違うので、ご家庭ごとの味ができあがると思いますが、出汁と野菜の旨み、それにつくねから出る鶏出汁の三重奏が、皆さまの身体の芯や心まで届くといいなと思っています。

師走は様々なイベントも多い時期ですが、どうかお身体にはお気をつけて。無事に年越しをするまでは気を抜けません‥‥。蕎麦屋だけに!(笑)

今年も良い締めくくりができますように、来年も皆さまにとって良い年になりますようにと、奈良から願っています。

少し早いご挨拶になりますが、旬のひと皿、2024年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

<冬野菜と鶏つくねのスープ>

材料(2人分)

・大根…1/4本
・にんじん…1/2本
・ごぼう…1/2本
・青ねぎ…2〜3本
・生姜…1かけ
・出汁…3~5カップ 
・塩…小さじ1弱〜お好みで調整

◆鶏つくね
・鶏ミンチ肉…150g
・白ねぎ…1/4本
・生姜…5g
・卵…1/2個
・塩…1.5g(お肉に対して1%)
・片栗粉…小さじ1強

つくねの材料は2人分の分量で書いていますが、卵 1/2個と中途半端なので、すべて倍量で作り、余った分は次の日のおかずやお弁当にしても。

また出汁の量は、スープとして食べたい場合は3~4カップ程度を目安に。まずはスープとして食べ、その後にご飯を入れ雑炊まで楽しみたい場合は4~5カップ程度とするのがおすすめです。適宜味見をしながら塩味を調えてください。

作り方

まずは材料の下準備。

ごぼうは皮をそぎ、食べやすい大きさで千切りにする。ボウルに入れた水に10分ほど浸し、アクを抜く。大根と人参は皮を剥き、同じく食べやすい大きさに千切りする。青ねぎも食べやすい長さになるよう、ざっくりと斜めに切る。

次に鶏つくねを作る。

白ねぎをみじん切りにし、生姜は皮をむいてすりおろす。ボウルに鶏ミンチ肉を入れて少し練り、粘り気が出たら白ねぎと生姜、溶いた卵、塩、片栗粉を加えてさらに混ぜる。

別の鍋にたっぷりの水を入れてコンロで熱し、沸騰したらつくねをスプーンですくい、湯に落としてサッと湯がく。表面が白っぽくなったら湯からあげておく。

続いてスープを作る。

鍋を熱し、サラダ油(分量外)少々を入れる。ごぼうの水分をしっかり切って鍋にこんもりと入れ、塩少々(分量外)を入れたら蓋をして、弱火でじっくりと汗をかかせるように火を入れる。時々かき混ぜながら炒め蒸しする。

すべての材料をスープで煮込む。

ごぼうを1本食べてみて、アク臭くなく美味しい!と感じたら、鍋ににんじんを加えて全体を混ぜ、塩(分量外)をする。蓋をしてじっと待ち、人参がしんなりしてきたら大根も入れて同様に。野菜をサウナに入れている気分で。ここでちゃんと野菜の甘味を引き出せると、スープの味もグッとよくなる。すべての野菜に軽く火が入ったら、出汁と塩を加えて煮る。

先ほどのつくねをスープのなかに落とし、じんわりと火を入れる。つくねはしっとり、スープには鶏の出汁を染み渡らせるような気持ちで。つくねに火が通ったら、最後にねぎと生姜を入れて完成。

アレンジ編:<シンプル雑炊>

余ったスープは冷蔵庫に入れて取って置き、翌朝にごはん適量と溶いた卵を入れて軽く火を通し、雑炊に。シンプルですが、冬野菜の旨みがじんわりと感じられるご馳走が完成します。
(食べる前に、翌朝用にスープだけ取り分けておくと衛生的です)

うつわ紹介

・基本のひと皿:食洗機で洗える漆のスープボウル 大 白

・調理に使った土鍋:伊賀焼の土鍋 小 飴

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和末生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。

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