修繕しながら長く使う#2「服の染め直し」
修繕現場を取材しながら、末永く付き合うお手入れのコツを教えてもらう短期連載。前回は、「漆椀」の修繕現場を取材しました。
今回は、「染めの服」の染め直しについて、お届けします。
#2 服の染め直し
今回訪ねたのは、宝島染工の大籠千春さん。
宝島染工は、天然染料のみを使用し手染めで染める、福岡県を拠点とする工場。1点ずつ染める手染めでありながら、製造工程を整え中量生産に重きを置き、作品ではなく商品としてのものづくりに特化しています。
「染め直しは自社で染めた商品のみ対応していますが、最近では月に10件ほど依頼いただくようになりました。個人の方だと、2~3年ほど着てから染め直しに出していただく方が多いです。
こちらは、中川政七商店で昨年販売していた『ムラ染めのワンピース』。日焼けしてしまったので、せっかくなら全体を染め重ねしてみたいという依頼でした。どのように染め直したいかは人それぞれなので、全体に色を染め重ねるのか、柄を足すように染めるのか、お客さまと相談しながら決めています。もともと商品を作る時も1着ずつ染めていくスタイル。染め直しの際も、ヒアリングしながら個別に対応していきます」
「経年変化によっていい味に育っているものもあるので、状態によっては『このまま着ていただいた方がいいんじゃないですか』と聞いてみることもあります」
BEFORE
AFTER
「染め直し」で対応できること
染め直しは基本的に、宝島染工のオリジナル商品にのみ対応されており、色や方法は個別に相談に乗ってもらえます。
基本は無地で全体を染め直す事が多いそうですが、一部だけシミができたり、漂白してしまった場合などもあるため、一つひとつの服に応じて、適した方法での染め直しに対応されているそうです。
お問い合わせは宝島染工の問い合わせ窓口で受けられています。
※本商品は中川政七商店と一緒に作った商品ですが、特別に染め直し対応いただきました
日々のお手入れのコツ
「天然染料で染めた服は、構ってあげるというか、定期的に着て洗うことが大事です。特に藍染の場合、どんな保存状態でも経年変化はしますが、定期的に洗ってあげることで、すっきりした鮮やかさがよみがえってくれます。水に通すことでアクが抜けるようなイメージです。例えば半袖の商品で冬場には着ない場合も、2~3か月に1回は洗っていただけると、コンディションよく保てます。」
<取材協力>
宝島染工
文:上田恵理子
写真:藤本幸一郎