はじまりの色、晒の白
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きっぱりとした晒の白や漆塗りの深い赤のように、日用の道具の中には、その素材、製法だからこそ表せる美しい色があります。
その色はどうやって生み出されるのか?なぜその色なのか?色から見えてくる物語を読み解きます。今回は、晒に見る「白」です。
はじまりの色、晒の白
白という色は日の光と密接に関わっています。
古代に存在した日本語の中で、色を指す言葉はもともとたったの4色だったそうです。それはアカ(明ける意)、クロ(暮れる意)、アヲ(生ふ、あふぐから転じて、うっすらと明るい、漠たる感じを示す)、そして明けた空が白んでいく、シロ。
新しい1日の始まりを司る「シロ」を人々が特別な色として捉えてきたことは、純白の花嫁衣裳や神話上の聖者や神様の衣などにも感じ取ることができます。
そんな白を人工的に作り出すのは至難の技。編み出されたのが「晒し」という技法です。
もともと「日に当てて干す」という意味を持つ晒は、転じて布を白くすること、そうして白くなった木綿や麻布そのものを指すようになりました。とは言え、日に当てるだけで布が白くなるわけではないようです。
江戸時代に記された百科事典『和漢三才図会』(1713年)は、晒布の産地として大和国奈良、出羽国最上、山城国木津、近江国高宮、能登国阿部屋と宇出津、伊賀国高岡と石動(いするぎ)、越前国府中、周防国、安芸、豊州を挙げています。
その製法は、織物を灰汁と石灰でたいて不純物を取り除き、石臼で搗いて柔らかくして‥‥と、大変手間のかかるもの。最後の仕上げの工程が土地によって異なり、天日干し、雪晒し、水晒しと大きく3種類に分かれます。
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