ハンカチはなぜ四角い?小さな布に込められたデザインの秘密
![motta](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/main_IMG_8479.jpg)
いま、ハンカチはお持ちですか?カバンやポッケの中に。
あったらちょっと出してみてください。今朝選んだのは、どんなハンカチでしょうか。
![色とりどりのハンカチ](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/re_1016-0123-200-00_1.jpg)
無地ですか?それとも柄がある?
ふわふわしたパイル地のタオルハンカチ?それともお弁当を広げられる大きめのものでしょうか。
![ハンカチにお弁当を広げている様子](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/re_011.jpg)
選んだ理由は、服や気分、それとも今日のラッキーカラーかもしれませんね。
ひとくちにハンカチと言っても、今日を共にしているその姿はきっと人それぞれ。
こんなに身近なのになぜ四角い形をしているのか、その理由も知りません。
ハンカチがどのようにデザインされ生まれてくるのか、ハンカチブランドのデザイナーさんに教えてもらいました。
開いたときの物語を描く
お話を伺ったのはハンカチブランドmotta (モッタ) のデザインを手がける、山口葉子さん。
![山口葉子さん](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8505.jpeg)
2013年にブランドデビューしたmottaは、アイロンいらずで使える使い勝手の良さと、豊富な色柄のバリエーションで人気です。
![motta](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/re_1016-0069-1.jpg)
普段はハンカチに限らず、さまざまな生活雑貨をデザインしている山口さんですが、ハンカチを手がける場合、どんなことに気をつけているのでしょうか。
「やっぱりハンカチを折りたたんだときに一番上にくる部分が、素敵に見えるデザインがいいなぁと思っています」
![折りたたまれたポケットサイズのハンカチ](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8483.jpeg)
「例えば、同じ四角でもスカーフは広げて使うので、折った時にどう見えるかはデザイン上あまり気にならないんですね。
でもハンカチは折って開くという動作がちょっと独特かなと思うので、そんなハンカチらしさを生かしたデザインができたら楽しいかなって。
開いたときの物語をどうしようかって考えられるのが面白いところかな」
この折りたたんだ状態を意識したデザイン、実ははるか数百年前に火付け役となっていた人物がいました。
「マリー・アントワネットのハンカチなんて、縁取りがヒラヒラするようすごくキレイなカットが入っていたりするんですよ」
ハンカチを四角くしたのはマリー・アントワネット?
実はハンカチを正方形に定めたのは、ルイ16世王妃のマリー・アントワネットだと言われています。
当時いろいろな形をしたハンカチがあった中で、マリー・アントワネットが正方形のハンカチを手にして、世に広めたのだそう。
彼女の誕生日である11/3は、ハンカチーフの日とされています。
16世紀からすでに人々を虜にしていた、小さな四角い美の宇宙。デザインする時の難しさってあるのでしょうか。
ハンカチのデザインは四角で考える。
「例えばワンピースに使うテキスタイルを考えるときは、生地を使う面積が広いので、柄も余白も大きく作ったりします。
けれどハンカチはこの四角の中で柄が成立していないといけません」
![ハンカチを手に持っているところ](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8482.jpeg)
「例えば大きな生地をハンカチサイズにカットしたときに、表面がほぼ余白だけになってしまってはダメですからね。
ちょうど、絵を描くのと似ているかも。四角の中でどう表現するかで考えるんです」
“表現”は、何も平面上の柄づくりだけに止まりません。考えたデザインを、どんな色、素材、生地の織り方で見せるか。
ちょうど山口さんが最近手がけたのが、「復刻版」のハンカチでした。
1925年のパリ万博に出品された麻のハンカチーフ。手織りしたきめ細かな麻生地に、美しい花鳥風月を刺繍した大変ぜいたくな作品です。
![実物は桐箱入りで大切に保管されています](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/re2_IMG_8540.jpg)
すでにプリント柄での復刻版は作っており、今回は続編として、「織り」でこの美しさを表現できないか挑戦することに。
その指示図がこちらです。
![指示書](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8510.jpeg)
そして完成した商品がこちら。
![白、ピンク、紺の3色の復刻版が生まれました](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/37813e355b8dbf1048bad4169b981d7c.jpg)
![原寸大の紙見本と並べてみると、生地になった時の方が柔らかな印象です](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8528.jpeg)
「万博に出品した時の模様は全て手で刺繍されているんですよ。数多く作る復刻版では同じように手刺繍するのは難しいですが、この風合いをなにか他の方法で表現できないかなと思って」
![美しい手刺繍の模様](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8543.jpeg)
「そこで、生地の表面にわずかに凹凸が生まれるジャカード織りなら、手刺繍の立体感が再現できるんじゃないかと思ったんです」
ジャカード織り。普段はあまり耳にしない響きです。
「なかなか作れるメーカーさんに出会えなかったんですが、ようやく作っていただけるところが見つかって。やった、これでできる!って」
そう、ハンカチ作りはデザインして終わりではありません。
設計図に描いた姿が、どのような道のりを経て立体の製品になったのか。この復刻版のハンカチに合うと山口さんが確信した「ジャカード織り」とは?
次回、このハンカチが生まれる現場に立ち会います。
![織られている様子](https://story.nakagawa-masashichi.jp/wp-content/uploads/2018/03/IMG_8433.jpeg)
<掲載商品>
中川政七商店
motta037
motta006
文・写真:尾島可奈子
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