“土鍋炊き派”がたどり着いた、大谷製陶所のライスクッカーの美味しさ

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こんにちは。細萱久美です。

最近の自分の衣食住を考えると、重きを置いている順は住>食>衣となり、20代の頃と逆転しています。

現在の住まいは賃貸なので、こだわれる範囲で家具やインテリアに好きなモノを集めては見せる収納に励んでいます。できたら一番こだわりたい台所は、一人で動くのに程々なサイズ。

一般的に台所の中でスペースを取るのは家電でしょうか。冷蔵庫やガス台は必須として、それ以外の家電は、自分のニーズや生活スタイルに合わせて厳選しました。

生活様式・好みに合わせた道具えらび

私は朝食がパン食なので、まずトースターは必要ですが省スペースの縦型をチョイス。電子レンジは無くてもなんとかなりそうでしたが、オーブン料理に憧れてオーブン機能に優れたレンジを選びました。

家電は以上が全てで、例えば電気ケトルや炊飯器はありません。お湯は鉄瓶、ご飯は土鍋で炊いています。

「大谷製陶所」大谷哲也さん作のライスクッカー

置き場所の問題もありますが、一番の理由は単純に美味しいから。鉄瓶で沸かしたお湯はまろやかで白湯も美味しく、土鍋で炊いたご飯は香り、甘み、弾力が格別です。

毎朝お弁当作りに忙しいご家庭などは、タイマーもある炊飯器の方が便利かもしれませんが、毎日も炊かない今の自分には土鍋がベストな道具だと感じています。

「大谷製陶所」大谷哲也さん作のライスクッカー
「大谷製陶所」大谷哲也さん作のライスクッカー

ちなみにご飯の美味しさは、アミラーゼという酵素がお米のデンプンを分解して、甘みや旨みの成分を作りだすことで生まれるそうです。

アミラーゼを働かせるコツは、ゆっくり時間を掛けて加熱し、沸騰後はその状態をキープ。炊き上がった後もじわじわと熱が入ると余分な水分が飛んで、粒のたった美味しいご飯となる原理です。

なんとなく耳にしたことのある「はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いてもふた取るな」とは、かまど炊きご飯の火加減のコツとして継がれてきた説ですが、その意味するところは、

「はじめチョロチョロ」
最初は弱火でチョロチョロと鍋全体を温めることで、ムラなくお米に水分を吸収させる。

「中パッパ」
一気に強火にし沸騰させる。(火を弱め沸騰を維持したまま炊き上げる。)

「赤子泣いてもふた取るな」
すぐふたを取らずに高温でしっかりと蒸らして炊き上がり。

この火加減を薪で調整していたと思うと凄いですね。

そしてアミラーゼ云々のうんちくは知らずとも、自然と身に付いた美味しいご飯の炊き方が口承されてきた日本の食文化は改めて素敵だなと思います。

土鍋は熱しづらくその分保温性は高い性質があり、いきなり強火で炊き始めても「はじめチョロチョロ」状態になり、沸騰して「中パッパ」にしたら火を弱めて水気がなくなるまで炊きます。

火を止めたら「ふた取るな」でしっかり蒸らしてでき上がり。やってみるとさほど難しい火加減もなく、美味しいご飯を炊く理想的な状態を簡単に作ることができる道具です。

“ご飯を炊く土鍋”の選び方

様々な土鍋が売られているので選ぶポイントを挙げると、まず「炊飯用土鍋」から選ぶのが間違いないと思います。

炊飯用は、ご飯を美味しく炊けるように厚みや深さ、蓋の作りが考えられているものが多いです。特に「吹きこぼれしにくい」と謳っていたり、その評価のある土鍋を選ぶと、ストレスなく使い続けられると思います。

あとは、何合炊くことが多いのかでサイズを決めますが、炊飯用土鍋は一般的な土鍋に比べて厚みがあり重い傾向があるので、特に初めての場合は使うのが億劫にならないように必要最小限のサイズを選ぶ方が良いかもしれません。

「大谷製陶所」大谷哲也さん作のライスクッカー

私が長年愛用している土鍋は、「大谷製陶所」の大谷哲也さん作。その名もライスクッカーというご飯を炊くための土鍋です。

10年使っているので多少味が出てきましたが、落として割らない限り一生使えそうな頼もしさ。

大谷さんはライスクッカーをはじめ、作り続けている定番商品が多く、知る人が見たら大谷さんの作品と分かります。

ライスクッカーは、磁器土に白釉を施した滑らかな手触りと、全体的に丸みのある曲線が特徴的。この素材・厚み・形のバランスが、お米を美味しいご飯に変化させるように思います。

二重蓋の土鍋もありますが、ライスクッカーの蓋は一つ。重たい蓋が熱をぎゅっと閉じ込めて、吹きこぼれもありません。

土鍋は全般的に炊飯器よりも早く炊き上がるようで、このライスクッカーも炊き始めから蒸らし終わりまで約30分。

ちょっと長めに炊き過ぎても、香ばしいおこげはむしろ美味しく、あえておこげを作ったりできるのも土鍋ならでは。

蒸らし上がって蓋を開ける時、ご飯の甘くほんのり香ばしい香りに毎回喜びを感じます。

土鍋は食卓にそのまま置いても様になり、保温性も高いので、食事中は十分温かいご飯が楽しめます。

唯一気を付けたいのは、美味しくて食べ過ぎることですが、もうすぐ新米のシーズンなのでますます出番も増えそうです。

「大谷製陶所」大谷哲也さん作のライスクッカーで炊いたご飯

<紹介した工房>
大谷製陶所
滋賀県甲賀市信楽町田代79−15
https://www.ootanis.com/

細萱久美 ほそがやくみ

元中川政七商店バイヤー
2018年独立

東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、
美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

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文・写真:細萱久美

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