コンパクトな五月人形で、気軽に楽しむ端午の節句飾り

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五月人形、と聞くと勇壮でいかめしくて、というイメージでしょうか。

せっかくの端午の節句、お祝いしたい気持ちはあっても、家に飾るには場所も取るし、部屋の雰囲気と合わせるのが難しそうだし、そもそもどうやって選んだらいいか…

そんな初節句のお悩みに、自身も一児の母であるデザイナーが向き合い生まれた五月人形があります。

今の暮らしの中で飾りやすいコンパクトな五月人形を。手織り麻の木目込み武者飾り

手織り麻の木目込み武者飾り

国指定の伝統的工芸品である「江戸木目込人形」の職人さんが手掛け、着物部分には中川政七商店ゆかりの麻織物を採用。両手に乗るほどのコンパクトな大きさです。

組み立ての様子。紐飾りなどの細かいパーツも、職人さんが全て手で結んでいきます

 *木目込み人形とは?はこちら

華美になりすぎず落ち着いた雰囲気、かつコンパクトなサイズで、洋間のちょっとしたスペースや玄関先でも、空間に馴染んで飾りやすい五月人形を目指しました。

顔立ちはあどけなさの残る子ども顔。ですが口元はきりりと結んで、武者らしい凛々しさも漂います。

企画したデザイナーはこう振り返ります。

「子どもの初節句を迎えて、五月人形を選ぼうとあちこち回ってみましたが、『これ』と思えるものになかなか出会えませんでした。多くは、飾りがメタリックで重厚感のあるもの。お顔は写実的で、勇ましい表情。

でも、床の間など和のしつらえができる住まいが少なくなっている今、洋の空間でも飾りやすいような、よりかわいらしい飾りがあってもいいんじゃないかなと考えました」

子どもの成長を祝うせっかくの初節句。自身だけでなく、周りの子育て世代からも聞こえる悩みの声を生かし、もっと気軽にお祝いを楽しめるように、と他にも節句シリーズが続々登場しています。

どれも小さなスペースでも飾れて、場の和洋を問わず、なおかつ全国の工芸を生かしたものづくりを目指しました。

焼きものならではの質感も楽しめる、有田焼の武者飾り

有田焼ならではの透き通るような白磁に、頬っぺのピンク色の染め付けがなんとも愛らしい武者飾りです。和洋どちらの空間にも飾りやすく、節句のお祝いだけでなく、季節の飾りとしても楽しめます。

小さい中に「らしさ」が詰まった、こけし武者箱飾り

折り紙の兜を被った、子どもらしいこけしの武者飾り。小さい中にも後ろに鯉のぼり、脇に菖蒲の花など、端午の節句らしさが詰まっています。お祝いを楽しんだ後は、台座にしている箱の中にすっぽりと納まり、収納にも困りません。季節の飾りとして玄関先やリビングに飾っておきたくなるかわいらしさです。

力強い成長を大胆な「一刀」に込めた、奈良一刀彫の兜飾り

まるで一刀で彫り上げたような、素朴で力強い造形からその名のついた奈良一刀彫の兜飾り。

木の塊からノミで彫りだされた凛々しい兜は、手のひらサイズながら、飾れば空間が一気に節句のお祝いの雰囲気に。シンプルな中に力強さと華やかさのある兜飾りです。

甲冑師が生み出す勇壮な武者の世界。江戸甲冑の兜飾り

東京都の伝統工芸品である江戸甲冑の職人さんとつくった兜飾りです。今も受け継がれる甲冑づくりの技術と、実際の甲冑に用いられる素材を生かし、武者の勇壮さを小さな飾りの中に表しました。金属ならではの質感と力強い原色の色彩で、重厚感がありながら空間がパッと華やぎます。吹き返し部分と敷布には神聖で魔除けの力を持つとされる麻を用い、「お子様のお守りとなってくれますように」という願いを込めました。

飾りたいから飾る、五月人形に

これらの五月人形を企画したデザイナーは、初節句を迎えて、こうした節句飾りを家で飾ることの大切さに気付いたと言います。

「節句の人形は、お守りのような存在。年に一度飾ると、一緒に子どもの成長を見守ってくれているような、安心した気持ちになります」

どれだけ暮らしが変わっても、子どもの健やかな成長を願う親心はいつの時代も変わりません。暮らしが変われば、その暮らしにあったやり方で、季節のお祝いを楽しめるのがいちばんです。

伝統行事だから、誰かに贈られたから「仕方なく飾る」のではなく、「飾りたいから飾る」節句人形との出会いが少しでも増えて、こうした季節の行事が、楽しく次の世代へ受け継がれていきますように。

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文:尾島可奈子

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