専門店に聞く、水引の意味とマナー。「あわじ結び」のポイントとは

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あわじ結びの御祝儀袋

来月、幼馴染が結婚します。

家族のような親友のあらたな門出。準備に忙しくしながらも幸せそうな彼女を見ていると、こちらまで嬉しくって、私にとっても特別なお祝いごとです。

どんな風にお祝いしよう、何をプレゼントしようかと思いを巡らせて色々と調べていると、贈り物の包み方に目がとまりました。

贈り物に封をする「水引結び」。水引を結ぶこと、そのこと自体に「お祈り」の意味があるのだそうです。

「どうか末永く幸せに」そんな思いを込めて、自分で結べたら‥‥。この機会に挑戦してみよう!と、プロの元を訪ねました。

お祝いの思いを込めてキリっと結んでみたいですよね
お祝いの気持ちを込めてキリっと結んでみたい

初心者でも結べるポイントをプロに教わる

訪れたのは、金沢の加賀水引細工を生み出した老舗工房「津田水引折型」。同店は、大正時代から数々の結納品を包んできた、日本で唯一制作の全工程を行う専門店です。

日々たくさんの御祝品に水引をかける職人さんに、手順と初心者でもうまく結べるポイントを丁寧に教えていただきました。

加賀水引 津田水引折型
大正6年 (1917年) 創業の加賀水引 津田水引折型
睨み鯛
立体的な加賀水引細工の数々でも有名な津田水引折型。その見事な作品が認められ、皇室献上品ともなりました

水引の色と、結び方のマナー

贈り物のシーンは様々。正式な場では、用途によって用いられる色が決まっている場合があります。市販の水引を購入する際の参考にしてみてください。

紅白: 歳暮・中元・入学・お見舞い等、個人的な用途に用いる。

金銀: 婚礼・会社関連・受賞等、格式張る場合に用いる。

黒白: 通夜と葬儀のみに用いる。

黄白: その後の佛事に用いる。

銀銀: 双銀は水引の陰陽思想と無関係な新興宗教などに用いられる事がある。

(津田水引折型公式サイトhttp://mizuhiki.jp/syugibukuro/index.htmlより引用)

それでは、さっそく水引の結び方を。まず今日は、慶事にも神事・佛事にも使える「あわじ結び」を紹介します。

※カジュアルで可愛らしい「アレンジ結び」は次回ご紹介予定です。

水引結びの最高位「あわじ結び」

あわじ結び (あわび結び) は、最高位の水引結び。神事・佛事をはじめ、吉凶全ての基本結びとなっています。水引細工の多くはこの結びを応用しているそう。

水引結びの基本「あわじ結び」
水引結びの基本「あわじ結び」

複雑そうに見えますが、ポイントを押さえれば、結び方は思いの外シンプル。1分もかからず結ぶことができました。指の動きなどじっくり詳しく見せていただいてきましたので、手順とポイントを合わせてご覧ください!

包みを水引の中心に置き、左右を折り曲げる。しっかりと折る
まず、包みを水引の中心に置きます。水引の左右を折り曲げ、しっかりと折ります
親指と人差し指で水引をはさみ、優しくくなでるように2回ほどしごいてカーブさせます
親指と人差し指で水引をはさみ、優しくなでるように2回ほどしごいてカーブさせます
優しくくしごくだけで、こんな風になめらかにカーブします
優しくしごくだけで、こんな風になめらかなカーブが生まれます。強くしごくと歪んでしまう場合もあるので、「優しく」がポイントです
しごいたら、右側の水引をくるりと先端が手前に来るように輪を作ります
しごいたら、先端が手前に来るように右側の水引をくるりと曲げて輪を作ります
左側の水引を、輪のうしろへ添えます
左側の水引を、輪のうしろへ添えます
輪の交差部分と、後ろに添えた左側の水引を左手で持ちます
輪の交差部分と、後ろに添えた左側の水引を左手で持ちます
右手で、左から伸びた水引(銀色)を持ち、くるりと曲げます
右手で、左から伸びた水引(銀色)を持ち、くるりと曲げます
右の水引 (金) の下をくぐらせます(右手中指で押し上げる)
右の水引 (金) の下をくぐらせます(右手中指で押し上げる)
輪の中へ上から通します
輪の中へ上から通します
左側の水引(銀)の下をくぐらせます。※編むように、上下をくぐらせていく。
左側の水引 (銀) の下をくぐらせます。※上下交互に編むように
先端を左手で持ち替えて引きます
先端を左手に持ち替えて引きます
包みの上に落ち着かせると、すでにあわじ結びの形ができてきていますね
包みの上に落ち着かせると、すでにあわじ結びの形ができていますね

美しく仕上げるには、束を持って根元を引く

さて、ここからは結び目を締めて形を整えていきます。

※水引は1本ずつではなく、束をまとめて指で挟んで引くのがポイント
水引1本ずつではなく、束をまとめて指で挟んで引くのがポイントです
こうして少しずつ
一気に引かず、交差している場所を押さえながら少しずつ絞めていきます
左右のバランスを見ながら、押さえて引いて‥‥
左右のバランスを見ながら、押さえて引いて‥‥。
結び目の形が美しく整いました
結び目の形が美しく整いました

水引の長さを整える

仕上げに、左の指で水引の先端を平らに並べてハサミでカットします。

左の指で水引の先端を平らに並べてハサミでカットします。水引に対して直角に切るのがポイント。斜めに切ってしまうと、水引に巻かれている色糸が解けてしまうので注意しましょう
水引に対して直角に切るのがポイント。斜めに切ってしまうと、水引に巻かれている色糸が解けてしまうので注意しましょう
こうしてできあがりです
こうしてできあがりです。先端がピンとまっすぐ伸びていると美しい仕上がりになります

気持ちを記す、表書き

できあがったら、「御祝」「寿」などの表書きと自分の名前を書き入れて完成です。

あわじ結び
表書きは、上段に「御祝」「寿」などのメッセージ、下段に贈り主の名前を入れます
テスト
3行以上の言葉を入れるときは、中心の行を先に書いてから、最後に1行目を書き入れるとバランスよく書けるのだそう

ハードル高く感じていた水引結び。優しくしごくこと、丁寧に束を引いていくことを心がければ、初心者にも難しいものではありませんでした。これなら覚えられそうです。

まずは、幼馴染の結婚式で気持ちを込めて結んでみようと思います。ここぞという時に、贈る相手のことを思い浮かべながら結ぶ水引。みなさんも、ぜひ挑戦してみてください。

次回は、ちょっとした贈り物を包むにも最適な、少しカジュアルにアレンジされた水引結びをご紹介します。どうぞお楽しみに!

あわじ結びをアレンジしたカジュアルな水引
あわじ結びをアレンジしたカジュアルな水引結び

<取材協力>

津田水引折型

http://mizuhiki.jp/

石川県金沢市野町1-1-36

076-214-6363

文・写真:小俣荘子

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