料理家・minokamo長尾明子さんの“蓋をあける”食卓【おめかし重編】

いつもの料理も、うつわをひとつ変えるだけで心が躍る。

そんな、食卓に楽しみを添えるうつわの提案を目指して、この春、中川政七商店が新しくつくるのは「蓋もの」です。

昔ながらの和食器にはよく見られる蓋つきのうつわですが、自宅の食器棚に目をやれば蓋があるものはほとんどなし。そもそも、日々の暮らしで蓋ものに出会う機会も今は少ないように思います。

けれど、いざ手にしてみれば、蓋があることで楽しみも使い勝手も想像以上。蓋をあける瞬間が、日常の食事をごちそうにしてくれるのです。

今回お届けするのは「おめかし重」。

ぜひこの“蓋をあける”幸せを皆さまにも届けたいと、屋号・minokamoの名称で活動する料理家の長尾明子さんを訪ね、ひと足先に使っていただきました。長尾さんが合わせる料理とともに、初めての蓋ものにも心強い合わせ方のヒントも伺ってきたので、ぜひご参考ください。

長尾さんと蓋もののお付き合い

郷土料理や日常料理を背景として、にこやかな食卓を届ける長尾さん。決まったかたちに収まらない、ひと皿の姿や盛り付け方には長尾さんらしさが溢れます。

提案する料理は等身大の安心感がありながら、一つひとつが愛おしさの魔法にかかったよう。工芸ならではの“揺らぎ”に感じる、ぬくもりに似たものを覚えました。

そのセンスが光るのは調理だけではありません。うつわ選びにもおおらかさがあり、長尾家に並ぶうつわたちはどれをとっても個性豊かな顔つきをしています。

「うつわは縁のある作家さんのものを迎えることもありますし、旅先で購入することもあります。なかには友人や知人から譲り受けることもあるのですが、受け身で迎えたうつわにも新しい発見があって面白いですね。

今は東京と故郷の岐阜の二拠点生活をしていて、岐阜のほうには祖母が昔から使っていたうつわもたくさん揃えています」

そんな長尾さん、じつは蓋もの使いもお手のもの。ハレの日に限らず普段使いもすることで、“ケのなかのハレ”のような印象を食卓に演出されています。

「今回蓋もののお話を頂いて、自分が使っているうつわを改めて考えてみたんですよ。一番使うのはお重。あとは漆器や、陶磁器のお椀なども少しありますね。

例えば漆や陶のうつわは、冷ましたくないものを盛り付けるのに活躍します。この使い勝手のよさが蓋ものを選ぶときの一番の理由かな。汁ものに限らず、ごはんものでもよく出番がきてますね。

あとは、蓋を開けたときの高揚する気持ちをつくりたいもの。だからおもてなしの席ではちょっとした惣菜やお菓子もお重に入れたり、お楽しみの汁ものなんかも蓋の付いたお椀によそいます。

お重に関してはお客様を迎える際にも重宝してます。ちょっとバタバタしている場合も、あらかじめお重に詰めておけばさっと出せて便利ですよね。

開けた後の蓋はそのまま取り皿にも使えて、蓋だけでもそのあとの行き先がある。これも蓋ものの魅力だと思います」

普段より蓋ものに親しんでいる長尾さん。早速、今回のおめかし重も使っていただきましょう。

まずは定番の組み合わせ「稲荷ずし」

最初は「お重といえば」の組み合わせから。お重と聞くとややハードルが高く感じる方も多いかもしれませんが、お弁当箱のようなもの、と捉えればたちまちイメージもわいてきます。

「定番セットはやはりご提案できたらなと思って、稲荷ずしをメインに玉子焼きと青菜のおひたしを添えました。少し大きめのお弁当箱のような使い方にしています。

今日は出先に持ち運ぶイメージでぎゅっと詰めていますが、家で食べるなら余白をつけて盛り付けるのもおすすめです」

表面にウレタン塗装を施しているため、汚れが付きにくいのもポイント

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

華やかなサラダガーデンが食卓に「緑のサラダ」

続いてご提案してくださったのは、お重いっぱいにサラダを詰める新鮮な使い方。見慣れないお重の姿に心がくすぐられます。

「ちょっと意外な組み合わせもあると使い方のイメージが広がるかなと思い、お重いっぱいにサラダを詰めてみました。

円形のうつわに盛り付けることが多いサラダですが、今回は四角に詰めることで、すっきりときれいに見せています。卓上の畑のような、遊び心がある見せ方です」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

晩酌を凛と飾る「バケット、チーズ、ハム、オリーブ」

お酒の時間に、少しずつ色々なおつまみをいただきたいとき、お重を使ってみるのはいかがでしょうか。凛とした佇まいが上質な時間を飾ってくれます。

「ひとりで、もしくは友人と、ゆっくりお酒をいただくときにもお重は活躍します。冷蔵庫にあるちょっとしたアテを余白を持たせて盛り付けるだけで、特別な時間が演出できるんです。

蓋をしたまま食卓に出して開ける時間を楽しんだ後は、蓋を取り皿に。今回はワインを添えるイメージでご提案してみました」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

行楽気分を彩る「おにぎり、から揚げ」

おめかし重は一段仕様の他、二段仕様もご用意しています。複数人と食卓を囲む際や、近場にお出かけする際などは、ぜひ二段重で。普段着の料理もお重に詰めれば、“おめかし”の装いです。

「お花見や遠足のような行楽イベントはもちろんですが、自宅で友人とお酒を飲むときにもこんな風にちょっとずつつまめるメニューがお重に入っていれば嬉しいかなって。

おにぎりをたくさん作って詰めておけば、それぞれが好きな量を食べられるし、話し込んでいるときに『おかわりください』って話をさえぎってしまう心配もありません(笑)。

あとは蓋つきなので、帰宅時間がバラバラな家族用に詰めて置いておくのにもいいですね。蓋があるだけで残りものっぽく見えないし、美しいかたちのまま保てます」

<使用した商品>
おめかし重 二段 柿渋染

甘い時間のおめかし「お菓子重」

最後に、二段使いのご提案をもうひとつ。こちらでは箱内のスペースを贅沢に使い、お菓子を並べてくださいました。

「じつはこのお菓子たち、中にはスーパーで売っていたものもあるんです。気軽に買えるお菓子もお重に盛り付けたとたんに特別感が出ますよね。

友人や家族とのお茶の時間にこのお菓子重を出して銘々につまみつつ、少し余ってしまったらそのまま蓋をして置いておけます。そんな気軽さがお重のいいところだなと思うんです」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染
おめかし重 二段 柿渋染 

開発ほやほやのおめかし重を使ってくださった長尾さん。試してみて、いかがでしたか?

「お重って『ピクニックに活躍する』とも言うけれど、実際にはピクニックに行くことはあまりないですよね(笑)。なので、いかに日常で使うかが大事だと思うんです。

今回の料理はもちろん普通のお皿に盛り付けてもいいんだけれど、やっぱり蓋があることでちょっとしたものでも上質に見せてくれるというか、華やかさが出ますよね。

詰め方のコツとしてお伝えしたいのは、まずは『ひとマスに一種類』からはじめること。色々詰めなきゃと思うとハードルが高いのですが、まずはおにぎりだけ、から揚げだけでも大丈夫。それが二段、三段と重なるときっといい風景になると思います。慣れてきたら葉野菜などで仕切って、二種類に増やしていってみてください。

あとはぎゅっと詰めてもいいのですが、少し慣れてきたらぜひ余白使いを愉しんでもらえたら。うつわのなかに抜け感が出て、より特別なひと皿に見せてくれます。

その点、このお重はちょうどよい大きさとかたちで、余白を活かしても盛り付けやすいサイズ感ですね」

四角いかたちと蓋が日常にハレ感を醸してくれる、お重という選択。「難しそう」とどことなく避けていましたが、長尾さんに倣えばその不安も払拭できそうです。

蓋を開ける1秒が、おいしいスイッチ。蓋つきならではの食卓の魅力を、ぜひ存分に味わってみてください。

プロフィール:

minokamo・長尾明子(ながお・あきこ)

料理家、写真家。
岐阜県美濃加茂市出身。東京の自宅兼アトリエと、祖母が暮らした岐阜の古民家の2拠点で活動中。岐阜新聞での連載のほか、近著に『みそ味じゃないみそレシピ』(池田書店)『つつむ料理~焼売/餃子/肉まん/おやき』『粉100水50でつくる すいとん』(技術評論社)などがある。
https://www.instagram.com/minokamo

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料理家・minokamo長尾明子さんの“蓋をあける”食卓【玉手どんぶり編】

文:谷尻純子
写真:濱津和貴

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いつもの料理も、うつわをひとつ変えるだけで心が躍る。

そんな、食卓に楽しみを添えるうつわの提案を目指して、この春、中川政七商店が新しくつくるのは「蓋もの」です。

昔ながらの和食器にはよく見られる蓋ものですが、自宅の食器棚に目をやれば蓋がついているものはほとんどなし。そもそも、日々の暮らしで蓋付きのうつわに出会う機会も今は少ないように思います。

けれど、いざ手にしてみれば、蓋があることで楽しみも使い勝手も想像以上。蓋をあける瞬間が、日常の食事をごちそうにしてくれるのです。

今回お届けするのは「玉手どんぶり」。

ぜひこの“蓋をあける”幸せを皆さまにも届けたいと、屋号・minokamoの名称で活動する料理家の長尾明子さんを訪ね、ひと足先に使っていただきました。長尾さんが合わせる料理とともに、初めての蓋ものにも心強い合わせ方のヒントも伺ってきたので、ぜひご参考ください。

料理家・長尾明子さんの普段の食卓

東京と岐阜の二つの拠点に暮らし、日常料理や郷土料理の提案を通じてやわらかな時間を届ける長尾さん。気取らず、遊び心にあふれる食卓は、毎日の暮らしの温度をそっと上げてくれます。

「故郷の岐阜から上京したとき、自分が家族と食べていた料理がまわりにないことに気づいて。祖母の家でみんなと食べていたあの料理や、それを囲む時間が、すごくよかったなって改めて思ったんですよね。

それで、その時間を皆さんにもおすそ分けしたいと思い活動をはじめて、今があります」

「料理をご提案するときに大切にしているのは、日常の料理も特別な一食も、いかに身近にある食材で作るか。郷土料理もその地で採れるものを中心に使いますし、採れない時期には困らないように、保存食をつくる文化があります。

特別な食材ももちろんいいんだけれど、『日常で手が届く食材がごちそうになったら、幸せじゃない?』って思うんですよね。

そういう目線でご提案しているから、自然と、旬のものとか手に入りやすいものを中心にしたメニューになるのかなと思います。

あとは見せ方も大事にしていますね。うつわをひとつ変えるだけで、日常食からハレの日の一品のような印象になる。そういうこともお伝えできたら嬉しいなって」

何気ないひと皿も愛らしく感じる長尾さんの料理。早速、今回の新作うつわも使っていただきました。

湯気に心を奪われる「親子丼」

はじめに提案してくださったのは「親子丼」。卵と鶏肉のシンプルな具材の組み合わせは、うつわ次第でカジュアルにも上品にも印象を変えてくれます。

もちろん蓋のないどんぶりに盛り付けてもよいのですが、立ち上る湯気や香りを味わう喜びは蓋があるとひとしお。蓋がラップ代わりになるので、時間をおいて食べる食事にも活躍してくれます。

「まずは超定番のメニューをと思い、冷めづらいという蓋もののよさを活かせる親子丼を合わせてみました。

熱々を盛り付ければ蓋をあけたときの湯気を楽しめますし、電子レンジでも使えるので、食べるタイミングが異なる家族用に盛り付けて置いておくのにもいいですね。

蓋は取り皿としても使えますし、今回は小皿に見立ててお漬物をのせました」

<使用した商品>
玉手どんぶり 呉須鹿

和食器×洋風メニューも相性バツグン「ハンバーグ丼」

続いては様子を変えて、洋風メニューを盛り付けていただきました。玉手どんぶりを開発する際にこだわった点のひとつ、和食器ながらシャープでどこかモダンな印象も受ける、切立形(きったてがた)に近い形状を存分に活かしていただいた組み合わせです。

「ひとつ前に親子丼を合わせたので、次は少し変化球をと思い洋風メニューを合わせました。

ハンバーグってカフェなどでワンプレートになっているメニューはよく見ますが、どんぶりに合わせることは意外とないですよね。でもこのうつわなら縦のシルエットがすっきりしていて和っぽすぎない印象なので、和のメニューに限らず使えるなと思って。思った通り、相性がよくかわいい顔つきになりました。

今回は洋風メニューですけど、例えばフォーとかルーローハンのようなエスニック料理を合わせてもよく映えると思います」

<使用した商品>
玉手どんぶり 麻の葉

気軽な料理にこそ合わせたい「ハーフラーメン」

深さのある玉手どんぶりは、汁ものにも使いたい頼もしさ。時間がない日のインスタント麺や冷凍うどんも、うつわで装えばきちんと感のある景色がうまれます。

「コンパクトなサイズ感ながら深さがしっかりあるので、具材のボリュームを控えれば一人前のラーメンもしっかり入ります。

今回は麺を半分ずつ分けて、具材をたっぷり盛り付けるハーフラーメンにも使えそうと、3つ目のメニューに決めました。気軽な一品ですが、蓋があればごちそう感が出てわくわくしますよね。

ひとりで食べるのもいいし、誰かと一緒の食卓で蓋を一斉にあけて、ワッと盛り上がれるのも蓋があるうつわならではのいいところです」

<使用した商品>
玉手どんぶり 銹布目(さびぬのめ)

開発ほやほやの玉手どんぶりを使ってくださった長尾さん。試してみて、いかがでしたか?

「蓋があることで冷めないし、おもてなし感が出るのが魅力的ですね。ほどよくカジュアルな絵柄は、ケもハレもいろんなシーンで活躍しそうです。何より思ったのは、空想が広がるうつわだなって。

今回は蓋ものが初めての方も挑戦しやすいようにシンプルな使い方をしましたが、例えばどんぶりを数個並べていろんな料理を盛りつけて、それぞれが好きな料理をちょっとずつ取って食べる“丼パーティー”のような使い方も楽しそう。

ハンバーグ丼の時にお話ししたみたいにカラフルなエスニック料理ともよく合うと思いますし、『こんなふうに使うのもいいかも』って、どんどんアイデアがわいてきます(笑)。

蓋ものだからってかしこまらないで、よいところは活かしつつ、自由に使っていただくといいんじゃないかな」

玉手箱のように、パカーン!と開ける時間が幸せを届けてくれる玉手どんぶり。少しハードルが高く感じる蓋ものも、構えず普段の料理を盛り付けるだけで意外に合うものです。

蓋を開ける1秒が、おいしいスイッチ。蓋つきならではの食卓の魅力を、ぜひ存分に味わってみてください。

プロフィール:

minokamo・長尾明子(ながお・あきこ)

料理家、写真家。
岐阜県美濃加茂市出身。東京の自宅兼アトリエと、祖母が暮らした岐阜の古民家の2拠点で活動中。岐阜新聞での連載のほか、近著に『みそ味じゃないみそレシピ』(池田書店)『つつむ料理~焼売/餃子/肉まん/おやき』『粉100水50でつくる すいとん』(技術評論社)などがある。
https://www.instagram.com/minokamo

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文:谷尻純子
写真:濱津和貴

【旬のひと皿】ロールキャベツ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



届いたばかりの段ボールを開けると、手書きのお便りと共にじゃがいもやにんじん、カリフローレや紅芯大根といったお野菜に加え、きれいなキャベツが入っていました。農家さんから送っていただく、採れたてのお野菜便です。

冬の時期のお野菜は寒さを味方にして、甘みが増すのがひとつの魅力。旬ならではの味を想い、台所へきてくれたこのキャベツをどうしようかとホクホクしながら悩んだ末、まずはシンプルに蒸し焼きにしてみました。

材料は少しのオイルと先ほどのキャベツ、一緒に入れてくださったじゃがいも、そしてクミン。とても甘くはっとするおいしさで、ひとつのお皿としてまとまりつつも、それぞれの食材が際立ちます。気がつくと黙々と食べていました。

今回のテーマはキャベツにしよう!と決め、コトコト湯気の上がる風景が浮かんだのでレシピはロールキャベツに決定。旬を堪能できるよう、できるだけシンプルな材料と工程にしました。

道具に用いたのは土鍋です。ある程度深い鍋なら別の素材のものでも作れますが、ここはぜひ、冬の甘さを存分に引き出す土鍋で作っていただければなと思います。

私が使ったのは、大きなリムに一目惚れして購入した中川政七商店さんの平土鍋。購入時には構想から数年間、思考錯誤しながら時間をかけて開発されたお話しもお聞きしました。そんなエピソードも思い浮かべながらの料理は、またひとつ味の深みが増すような気持ちになります。

レシピの試作をしていた寒波の日、ドアの外に小学生くらいの女の子が立っていました。あれ?と思い外へ出てみると、赤ちゃんの頃から知っている顔。開口一番「受かったよー!!」と、中学受験の結果の報告に来てくれたのです。

ハイタッチをして嬉しい喜びをお裾分けしてもらった後、そうだそうだちょっと待ってねと、店内に生けていた満開のサクラを渡すと喜んでくれました。寒い寒いと毎日のように言っていますが、気づけばもう春の足音が聞こえていますね。

農家さんから届いた手書きのお便りには、「甘い野菜の次は、菜の花などの苦味がやってきます。待ち遠しいですね!」と締めくくられていました。

もうすぐ来る春を楽しみにしながら、まずはいま、一瞬しか味わえない冬の味を堪能したいと思います。お兄ちゃんと通う中学校での話も、また聞かせてもらえたら嬉しいなぁ。

<ロールキャベツ>

材料(2~3人分)

・豚ひき肉…300g
・キャベツの葉…大6枚(小なら12枚)
・冷凍きのこ(今回はしめじとしいたけ)…ひとつかみ 
・玉ねぎ…1/2個
・レモン…適量
・塩麹…小さじ3(小さじ1と小さじ2に分けて使用)
・塩…3g
・水…500ml

きのこは食べやすい大きさに切り、冷凍しておいたものを使用しました。冷凍することで、スープの味わいが深くなります。

また、鍋は土鍋を使用。どんな鍋でも作れますが、保温力のある土鍋はじんわり火が入るので、ふっくらと仕上がります。

作りかた

ボウルにひき肉と塩麹(小さじ1)、塩を入れて軽く混ぜたら、おおまかに6等分しておく。

鍋に湯を沸かして塩(分量外)を入れ、キャベツを茹でる。芯の内側がすんなり曲がれば茹で上がりのサイン。水にとり、ザルにあげる。

キャベツの芯を削いで千切りにする。玉ねぎも同じく千切りにする。

キャベツをまな板に広げ、肉だねを中央において包みあげる。葉が小さい場合は二枚を左右に広げ、真ん中を重ねて一枚として使用する。下→左右の順に肉だねの方向に折りたたんだら、上に向かってぎゅっと巻いていく。

鍋を火にかけて、玉ねぎとキャベツの芯、きのこを入れて塩(分量外)をし、蒸し焼きにする。

しんなりしてきたらロールキャベツを並べて水を入れ、コンロの火をつける。沸騰したら火を弱め、塩麹(小さじ2)を入れる。

灰汁がある場合は取り除き、蓋をして20分ほど火にかける。煮込む工程ではオーブンを使用しても。

最後にスープの味を確認し、薄く感じるようなら塩や醤油を入れて調整する。うつわに盛り、レモンの皮を削って完成。

うつわ紹介

【WEB限定】明山窯 secca scoop_M BLACK

二重軍手の鍋つかみ 紺
信楽焼の平土鍋 中 飴


写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

【四季折々の麻】2月:長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2025年2月3日公開の記事を再編集して掲載しました。

長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

2月は「如月」。和風月名であるこの言葉は、寒さに備えて重ね着をする意を込めた「衣更着(きさらぎ)」が由来のひとつとされています。まだ寒さが残る季節、麻の衣を更に重ね、芽吹きの時期に備える服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。

麻生地は夏のイメージが強い素材ですが、今回ご用意した「厚手麻」は肉厚の生地にすることで、夏以外の季節でも着られるようにしたもの。中川政七商店で毎年人気のシリーズに、今年は新色として春を想わせる黄色が登場します。

ラインアップは「ボタンワンピース」と「羽織コート」、「ワイドパンツ」の3種類。重ね着することで長い季節でお楽しみいただけるようにと、ゆったりめのシルエットにしています。

【2月】厚手麻シリーズ:

厚手麻のボタンワンピース
厚手麻の羽織コート
厚手麻のワイドパンツ

今月の「麻」生地

まだ寒さが残る季節に着たい、肉厚の生地である「厚手麻」。防寒と春気分の両方をかなえられるよう、重ね着することで冬から春まで活躍する素材感に仕上げました。一年を通して心地よく着られるため、シリーズが登場してから数年が経った今でもたくさんのご愛用の声を頂いています。

使用しているのは太番手のリネン糸。こちらを贅沢に使って織った厚手の生地に、テンションをできるだけ加えないよう、ゆっくりとやさしくもみ込むような乾燥を施します。さらには染め加工のすべての工程においてできるだけ高熱を加えず加工し、麻素材独特のシボ感のある自然な風合いを生み出しました。

生地にストレスをかけず、時間をかけてゆっくり加工することで、生地がリラックスしてやさしい表情と風合いに。無理をさせずに、自然の姿、魅力を引き出した生地をぜひお楽しみください。

なお、織り・染めの加工はともに遠州・浜松でお願いしました。大きな川があり水が豊富なこの地域は、織物加工が得意な産地。太番手ならではのしっかりしたハリ感・コシがありつつも、肌あたりはとてもやさしいので着心地がよく、頼れる生地感に仕上げていただきました。

お手入れのポイント

ご自宅でお洗濯可能ですが、洗う際は手洗いか、裏返して洗濯ネットに入れたうえで洗濯機をご利用ください。

シボ感が特徴的な生地なので、ピシッとアイロンで伸ばすというよりは、自然なシワ感を楽しんでもらえたら嬉しく思います。

たたみシワなどが気になる際は、生地を湿らせた状態であて布を使用し、アイロンがけしてください。麻は乾燥した状態で高温を加えると傷んでしまうので、アイロンを使用する際は必ず湿らせた状態にするようご注意くださいね。

重ね着しやすい3アイテム

麻は、寒い日は暖かく着られて蒸れにくく、暖かい日はさらりと心地よく着られる素材。
寒さをしのぐため重ね着をする「衣更着」に由来を持つ時期に、ぴったりのアイテムを揃えました。

重ね着したり一枚で着たりと着回しのきく3つのアイテムは、いずれもリラックスウェアにならないよう細かなサイズ感にはこだわりつつも、ゆったりと着られて重ね着しやすいシルエットに。

色は昨年から人気の墨と紅梅に加え、蝋梅やミモザ、菜花のような「黄」も新しくご用意しました。やわらかで明るい色が、まだ寒く彩度の低い空の下でも春の訪れを感じさせてくれます。

また、あえて真っ白にさらした生地ではなく、麻本来の生成色の生地から染め上げることで、天然の麻の色あいを活かしました。のっぺりとせず、麻の繊維の色合いがうっすら感じられるような奥行きのある表情に仕上げています。

ワンピースはほどよく詰まったVネックとずらりと並んだ前ボタンで、きちんと感のある印象に。寒い時期にはタートルネックを重ねたり、暖かくなればもちろん一枚で着たりと様々な印象でご着用いただけます。

万能な羽織コートは襟が少し立つのがポイント。カーディガンのように気軽に羽織れます。ワンピースの上に重ねたり、タートルネックやブラウスに重ねたりと、あらゆるシーンで着まわしていただける一着です。

ワイドパンツはゆったりと履けながらも、麻のハリ感による立体的なシルエットで、お出かけ着感もきちんとあるデザインに。寒い時期は下に一枚着こんでいただいても、違和感なく履いていただけます。年間を通して履ける息の長いアイテムです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【四季折々の麻】1月:軽やかであたたかく、マットな質感「ヘンプ麻と綿」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2025年1月6日公開の記事を再編集して掲載しました。

軽やかであたたかく、マットな質感「ヘンプ麻と綿」

1月は「初春」。心新たに年を迎える月に清々しく着たい麻の服を、昨年に引き続き今年もご用意しました。

気持ちとしては春を迎えたい時期ですが、朝晩は空気がくっきりと冷え、まだまだ冬のさなか。生地感は春を意識しながらも、冬の寒さからあたたかく守り、次の季節まで着られる衣服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。

麻生地といえば艶のあるシャリ感のあるものを想像される方が多いと思うのですが、今回はヘンプと綿を組み合わせることでマット感のある生地に。ひんやりせず、冬らしい質感が特徴です。

ラインアップは「中綿ベスト」と「ギャザースカート」の2種類。特にベストは、コートの下にインナーダウンのようにしても着られる、気温の変化に対応しやすいアイテムです。厚手で重い衣服の多くなるこの時期、着心地も見た目も軽やかなアイテムを楽しんでいただけたらと思います。

【1月】ヘンプ麻と綿シリーズ:

ヘンプ麻と綿 中綿ベスト
ヘンプ麻と綿 ギャザースカート

今月の「麻」生地

今回用いたのは、麻の一つであるヘンプと、綿を紡績した糸を経緯(たてよこ)に使い、密度を詰めて織り上げたヘンプコットン生地。

ヘンプの繊維はリネンなどに比べより多孔構造のため、繊維に空気の層ができることで冬にあたたかく着られます。また保温性だけでなく調湿性や調温性もあり、生地が呼吸をしながら快適さを保っているような素材です。

マットな質感と上品なネップ感(※麻繊維の太さのゆらぎによる、ぽこぽことした生地感)のある、ヘンプならではの表情を持つ生地に仕上がりました。

しめ縄にも使われる硬い繊維で、もともとはがっしりとした生地が作られることが多かったヘンプですが、最近では紡績技術の進歩でより細く糸を紡げるようになってきました。

ただ、ヘンプは繊維が短いため、織り上げるなかで切れやすいという難しさがあり、特にやわらかな服地を織るのはかなりの工夫や技術が必要。今回の生地も丁寧にゆっくりと織り上げられた貴重な織物です。

ご協力をいただいたのは兵庫県の播州織の産元さん。「難易度の高い織物にチャレンジしてやろう!」という、気概のある作り手さんたちに携わっていただきました。

少し細かいお話になるのですが、例えば経(たて)糸を織る際に、糸をピンと張れるよう糸に糊をつける「糊付け」の工程も、こだわったひとつです。

通常の織物では糸巻きに糸を巻いたままの状態で糊にドボンとつけるのですが、より丁寧にむらなく均等に糊付けをするため、一本ずつ糊のなかをくぐらせていく「一本糊」という糊付けをされています。

さらには糸が切れないよう、織りの際は糸に含ませる油分を微妙に調整し、機械といえど目を離さずにゆっくりとしたスピードで織り上げてくださいました。

糸づくりから糊付け、織りまで、それぞれの職人さんが工夫を凝らして協力しあい、作られた生地です。

お手入れのポイント

ご家庭でお洗濯が可能ですが、ベストは手洗いで優しく押し洗いしていただければと思います。スカートはネットに入れて、洗濯機でお洗濯していただけます。

形を整えて干す際は、ベストはやさしくシワを伸ばして。スカートはシワを伸ばして干すか、お好みで少し縦に絞り、引っ張ってシワをつけることで、麻ならではのシワ感を楽しんでいただくのもおすすめです。

長く着られる2アイテム

今年も、昨年と同じく春先まで活躍するベストと、オールシーズンの着用が可能なスカートの2アイテムをご用意しました。色展開は中綿ベストが「グレー」と「チャコール」の2色。スカートは「オフ白」「グレー」「チャコール」の3色展開で、いずれも長く着られる定番色とマットな質感がポイントです。

中綿ベストは、キルティングのようにステッチを表に出さず、中に板状の綿を入れたもの。スポーティな印象ではなく、ふんわりナチュラルに着られる綿入りのベストになっています。

前にはクルミスナップが一つ付いており、軽く羽織る感じで着られます。タートルネックニットの上や、シャツブラウスに重ね着してお楽しみください。もこもことした生地感ではないため、例えばお花見の時期ような、春先の肌寒い日も着ていただけたらと思い仕立てました。

ギャザースカートはたっぷり生地を使ったロング丈。冬の重めのニットやコートと合わせても、春の到来を感じられるような軽さに仕上げています。

裏地が付いているので透けの心配もなく、ふんわりとしたシルエットのため、寒い日は下にタイツやスパッツを着こむこともできます。年中着ていただける、着回しの定番となるアイテムです。

なお、今回のシリーズではスカートのみ「オフ白」を展開。生地を白色にするための晒す工程ではあえて白度を控えめにし、ややクリームがかった色にしています。あたたかみのある白は冬の麻衣服にぴったりで、晒しきっていないためよく見ると麻の繊維感があるのもお楽しみいただきたい点のひとつです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【旬のひと皿】焼きりんご

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



幼馴染にパティシエールになった友人(まーちゃん)がいます。

小学生の頃からの友人で、学校は別々でしたが、同じスポーツクラブで一緒にバドミントンを頑張っていました。

中学生になると同じ学校になり、部活も一緒でした。ある冬の日、他の部員たちとプレハブの寒い部室にいるとまーちゃんが大きな白い箱を取り出して「お誕生日おめでとう!」と言うのです。その日は部活仲間のお誕生日で、なんとまーちゃんが自宅でケーキを作ってきてくれました。

まーちゃんの優しさと、ケーキを作れるなんてすごい!!!と感動したことが、とても記憶に残っています。

その後、彼女は食物科のある高校に進み、卒業後はフランス菓子のお菓子屋さんで働いたり、製菓学校の先生として働いたり。今は独立し、福井県でお菓子を作っています。

昨年、夢中でお菓子の世界を生きてきた彼女のタルトタタンをいただく機会に恵まれました。

きれいなデコレーションケーキも華やかで素敵ですが、シンプルにりんごの持ち味を引き出し、計算して作りこまれる美しいタルトタタンに感動。これまでの彼女の努力が重なって生まれたお菓子に、中学校での時間など幾重にも思いが重なり、ひと口で衝撃を受けたのです。

気づけばもうクリスマスシーズン。きっととても忙しいんだろうなと体調を心配しつつ、誰かの笑顔のために頑張ってお仕事をされるお菓子界の皆さまには、本当にリスペクトの思いです。

今回は、あの感動は再現できないのですが、華やかな行事ごとにも楽しんでいただけるりんごのひと皿に挑戦しました。

ひと口にりんごと言っても種類はさまざま。加熱に向くもの、生で食べておいしいものといろいろありますが、撮影ではグラニースミスという青いりんごを中心に使ってみました。

10月頃から出始める紅玉で作る焼きりんごも酸味があり、りんごが溶けにくくおいしくて好きです。

私の場合は普段からきび砂糖を使っているため、今回も同じお砂糖でキャラメリゼをしましたが、白いお砂糖でももちろん大丈夫。色の変化もわかり、作りやすいかもしれません。

ちなみにキャラメルソース作りでお砂糖に熱を入れるときは「混ぜない、触らない」のが基本ですが、今回は全体を均一にするため、あえてゴムベラで混ぜながら作りました。なお、りんごを入れる際や裏返す際は、やけどに十分お気をつけくださいね。

ご提案したレシピでは、できたての焼きりんごにおいしいバニラアイスを添えていますが、余裕があれば少しアレンジした作り方もおすすめ。

りんごを切る際に取り除いた種と皮を小鍋に入れ、ひたひたの水と一緒に水分が少なくなるまで煮詰めたら、茶こしなどで濾しておきます。焼きりんごの仕上げに先ほどの“りんご水”を加え、強火にして水分をぎゅっと飛ばしたら、流し缶などの型に詰めて冷やしてください。

こうすると型にはめた際に形がキープしやすくなり、翌日冷えたものをカットして泡立てた生クリームを添えれば幸せなりんごのお菓子の完成です。

今年もあと少し。

どうぞみなさま、たのしい時間をお過ごしください。

<焼きりんご>

材料(作りやすい量)

・りんご…3個
・砂糖(今回はきび砂糖を使用)…100g
・クッキー(あれば)…適宜
・ナッツ…適量
・アイスクリーム(バニラ味)…適量

作りかた

りんごの皮をむき、4分の1にカットしたら包丁で芯をとり、さらに縦半分に切る。

鍋(焦がしてもよいもの)を熱し、砂糖を入れる。色が変わってきたら弱火に。

砂糖が濃いキャラメル色になったら一度火を止め、りんごを入れる。りんごにソースを絡め、全体がソースをまとったら再度弱火にかけて、時折ソースをかけながらじっくり火を入れていく。

りんごがしんなりしたら火を止め、うつわに盛る。お好みのクッキーやナッツ、アイスクリームを添えて完成!

うつわ紹介

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写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/