【四季折々の麻】3月:細かな畝の凹凸感でさらりとした肌心地「綿麻の畝織」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

細かな畝の凹凸感でさらりとした肌心地「綿麻の畝織」

3月は「春分」。おだやかな陽が心地好く、草木の息吹を感じる時季となりました。景色も色づきはじめ、新たな出会いや暮らしに新鮮な気持ちになれる月でもありますね。そんな、新生活がはじまる春から着たい麻の服を今月は仕立てました。

生地に用いたのは、ラミーと綿を使った織物。綿のやわらかさのなかにラミーの爽やかさを織り込むことで、春から夏まで気持ちよく着られる生地感にしています。

ラインアップは「シャツブラウス」と「スカート」の2種類。はじめてお会いする人も増える月にも心強いよう、カジュアルすぎない印象のお洋服に仕上げました。

【3月】綿麻の畝織シリーズ

綿麻の畝織 シャツブラウス
綿麻の畝織 スカート

今月の麻生地

今回使用した麻はラミー。シャリ感がある麻で春夏にぴったりの素材ですが、ラミー100%にするとシャリ感が強く夏の印象が前に出るため、綿と合わせて今の時期にちょうどよく着られる生地感にしています。

綿の糸の間に一定の間隔で少し太めのラミーの糸を織り込み、細い畝を出したのもこだわった点。高密度に織っているためハリのある生地感ですが、細かな畝の凹凸感があることで、肌との間に空間ができてさらりと着られます。

織りを手掛けていただいたのは遠州の作り手さん。麻生地屋さんに見せていただいた、30年近く前に織られた生地見本がとても素敵で、再現したいと思い今回の生地に至りました。

お洗濯するにつれハリ感が程よくなじみ、ご自身だけの生地として育てていくのもお楽しみいただけます。

お手入れのポイント

ご自宅でお洗濯していただける商品ですが、素材の特性上はじめのお洗濯では多少縮むため、干す際はシワを伸ばし形を整えて干してください。

生地感を長く保つため、アイロンの際はあて布をご利用くださいね。

すっきり、きちんとした印象で着られる2アイテム

ご用意したのは「シャツブラウス」と「スカート」の2アイテム。生地にハリ感があるため、体の線をひろわずにすっきりと着ていただけます。

定番の「白」、キリリときられる「紺」と、今回は何といっても、この季節にぴったりな「灰桜」の3色をラインアップ。春気分をたっぷりと味わっていただければと思います。

「シャツブラウス」は比翼仕立てで、ボタンが見えないすっきりした形。織りのデティールがポイントの生地なので、生地感を見せられるようにボタンが見えないデザインにこだわりました。羽織って着ていただいた際も、見た目の要素が多くないためすっきりとした印象になります。

丈は短めで、後ろにかけて緩やかに長くなっているシルエット。パンツでもスカートでもバランスよく合わせていただけます。

身幅もゆったりしていてしっかりした生地感なので、まだ肌寒い時期には薄手のインナーを合わせ、前を開けて軽いジャケットのようにも着られます。

「スカート」はストレートの形で、後ろには深めにスリットを入れたデザインに。ハリのある生地感に合うよう、ギャザーたっぷりのスカートではなく、すっきりとした印象に仕上げました。ウエストはゴムで楽ちんにしつつ、もたつかず紐で調整もしていただける仕様にしています。

同シリーズのシャツと合わせてきれいめにも着ていただけますし、シンプルでコンパクトなTシャツとスニーカーを合わせ、カジュアルに着るのもおすすめです。ゆとりも程よくあるため、寒い時期はタイツやスパッツなどを合わせても着ぶくれしません。

なお白色には裏地が付いており、透け感を気にせず一枚で履いていただけます。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【旬のひと皿】ゆり根バターのあんかけ茶碗蒸し

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



過日の寒波で奈良にも雪がちらちらと舞い、風も冷たい日が数日続きました。ひんやりした空気のなか、毎日の日課にしていることがあります。それは、自宅近くに住みついた猫の寝床をあたためること。大きな鍋にお湯を沸かして、外猫ちゃんの寝床から湯たんぽを取り出し、お湯を入れ替えます。

この湯たんぽ、外に置いて丸一日経っているにもかかわらず、日によってはまだほんのり温かい日も。毛布には巻いていますが、湯たんぽの保温力に驚いています。

充電式のものも使ってみたのですが、軽くて手間はかからないものの翌日には完全に冷え切ってしまいました。そのうち突然充電できなくなったことから、以前から持っていた今の陶器の湯たんぽに切り替えて使っています。

移動の際に重く、たっぷりのお湯を入れ替える必要はありますが、やはり昔から使ってきたものは長く使えるし、そして優秀だなと改めて感心しています。猫達も安心してよく眠れているのか朝寝坊しています。少しでも暖かい場所で、穏やかな気持ちで元気に冬を越してほしいものです。

そんな寒い時季、今回のレシピは私のソウルフードのひとつである茶碗蒸しにしてみました。

父が島根で営んでいた店でよく茶碗蒸しを作っていたので、小さい頃から仕込みをしている姿を見てきました。父の茶碗蒸しは昔ながらの具がたくさん。鶏肉、銀杏、海老、三つ葉、椎茸、ゆり根‥‥。器をたくさん並べて、具をひとつづつ入れていく手伝いをしていたことを今も覚えています。

友人と遊んでいても1人で先に帰って手伝いをすることが優先だったので、当時はもっと遊びたい気持ちがあったのですが、今となっては一緒にいい時間を過ごせたなと思います。

今回のレシピには、尊敬しているそばがき屋さんに連れて行ってもらったお店で教えていただいた生産者さんのゆり根を使いました。

そのお店での時間は本当に素敵なもので、店主さんの優しさと、日常を、普段を大事にしようというお気持ちが溢れたお料理に感動しっぱなしでした。そのときおいしい!というだけではなく、今ふりかえっても穏やかな気持ちになれます。

そのゆり根を存分に楽しめるよう、別に火を入れてから餡と共にかけています。蒸し物は中の状態を想像しながらワクワクする気持ちと共に、蓋を開ける瞬間が楽しいですよね。

火加減によっては「す」が入ってしまうかもしれないけれど、それはそれで、お家で食べるものなので全部オッケーという気持ちで。餡を葛でとめて生姜を入れて、食べ終わってからも温かさが持続するようにしました。

外気温とは対照的に、手料理や、温かな時間の流れる時間は、今も想い浮かべるだけで豊かな気持ちに。もうすぐ猫の日。猫も人も温かく穏やかに過ごせる時間がふえますように。

<ゆり根バターのあんかけ茶碗蒸し>

材料(2人分)

・卵…1個
・ゆり根…適量
・出汁…180ml(卵の3倍量)
・塩…3つまみ
・醤油…小さじ1/3
・バター…10g

◆餡

・しいたけ…1~2個
・生姜…1かけ
・出汁…180ml
・めんつゆ(返し)…大さじ2/3
・くず粉(片栗粉でも可)…適量

作りかた

卵液を作る。卵をボウルに割り入れ、ときほぐしたら出汁と塩・醤油を入れる。卵を溶く際は、こしを切る程度で泡立てないよう注意。味付けの際は少しずつ調味料を入れ、味を見ながら調整する。あとで餡をかけるので薄味でよい。ザルで一度濾す。

ゆり根を一粒ずつ切り離し、きれいに掃除をする。黒い部分は包丁でとる。フライパンにバターを溶かし、ゆり根と塩(分量外)を入れて弱火で火を通す。オーブンがある場合は、オーブンで火を通すとよりふっくらと仕上がる(今回は160度で15分程度加熱)。

蒸し器に水をはり、火にかけて準備しておく。うつわに卵液を入れたら、アルミホイルで蓋をする。沸騰したら蒸し器に器を入れ、すが入らないように20分ほど蒸す(蒸し時間は様子を見ながら調整する)。

蒸している間にあんかけ用の餡を作る。椎茸は軸を取り、さいの目切りにする。生姜はすりおろす。

鍋に出汁を沸かし、椎茸とめんつゆを入れる。椎茸に火が通ったらくず粉を水で溶いたものを回し入れ、少し加熱する。生姜を入れて火を止める。

蒸し上がった茶碗蒸しに餡をかける。ゆり根をのせて完成!

うつわ紹介

重ねてしまえる常滑焼の湯呑セット
信楽焼の魚皿

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

【わたしの産地旅】越前鯖江エリアのものづくりを見に、オープンファクトリーイベント「RENEW」へ

中川政七商店の制度に2024年度より加わった「産地視察支援金制度」。こちらは日本各地の産地を深く知り、工芸の奥深さを体感できる機会の支援をすることが、ひいてはビジョンの「日本の工芸を元気にする!」につながると考え、はじまったものです。

日本のものづくりへの興味から、日頃からプライベートでも産地へ足を運ぶスタッフが多い当社。この制度を利用しながら産地を訪れたスタッフの声をお届けします。



「これぞ運命のタイミング!」

風情ある歴史と伝統が息づく福井県鯖江市。
この魅力満載の地に、中川政七商店ではたらく4名の仲間が一堂に会しました。

普段はそれぞれ異なる店舗で働いており、なかなか会う機会がなかった私たち。しかし今回は「産地視察支援金制度」を利用して、この素晴らしい産地をたっぷりと味わうために集まったのです。

今年の夏、「さんち修学旅行」という社内の取り組みで越前鯖江エリアを訪れました。

この取り組みは店舗で働くスタッフが、各地の産地を訪れて実際のものづくりを体感したり、作り手の方に直接お話しをうかがうことで、工芸と真剣に向き合うために設けられた機会です。

毎回複数の“修学旅行先”から各スタッフがコースを選び、その地のものづくりを体感するなか、越後鯖江エリアでは漆・和紙・刃物・眼鏡に関して日本トップクラスのものづくりの現場を見学させていただきました。

その際、漆の硬化に適した湿度と温度、和紙の紙漉きに必要な豊かな水など、この地域のものづくりが風土と一体になっていることに改めて魅力を感じました。

さらには手仕事の緻密さ、職人の方々の洗練された所作などにすっかり心を惹きつけられ、修学旅行が終わる前には、プライベートでもう一度ここを訪れたいと決めていたのです。

そして9月。「産地視察支援金制度」がはじまることが社内で通達されました。

中川政七商店で働く社員が自己研鑽のため、業務時間外に各地の産地を訪れる際の旅費交通費の一部を、会社に支援してもらえるという内容を読み、「なんという最高のタイミング!これはもう行くしかない!」と嬉しく思ったのを覚えています。

越前鯖江エリアにもう一度行きたかった理由がもう一つ。それは、毎年秋にこの地で開催される「RENEW」に行くことでした。

 RENEWとは「見て・知って・体験する」をコンセプトに、この地でものづくりをする作り手たちが工房を開くオープンファクトリーイベント。普段は入れない工房を見学したり、様々な技法を用いたワークショップに参加することで作り手と繋がることができます。

地元企業の方が中心になって有志とともに運営し、観光や地元の活性化を目指しているところも魅力。その雰囲気を、五感のすべてを使って体感したいと思っていました。

「自分が夏に経験した感動とこれからする新しい発見を、誰かと一緒に分かち合いたい」。

そんな想いがあり、もともと同じ奈良近鉄店で働き、店舗が離れた今でも近況報告をしあったり、一緒に食事に出かけたりしている3人に声をかけて今回の場となったのです。

いざ、福井へ。

1日目は永平寺に行きました。
「厳しい禅の修行道場」として知られる永平寺。福井県の人気観光スポットのうちの一つです。

780年前に修行の場としてこの地に開かれた永平寺。山門前に立ち、ひんやりとした空気を吸い込むと自然と背筋が伸びました。

早朝の清々しく凛とした雰囲気のなか、国の重要文化財の指定を受けた七堂伽藍を中心とした木造建築群を参拝していると、途中、敷地内のところどころで雲水と呼ばれる修行僧の方が掃除する姿を見かけました。

禅における掃除とは、自分の心を清め整える修行の一環とされているそう。

美しく磨き上げられた柱や床は雲水さんたちが自分と向き合った時間そのもので、私が清々しいと感じたのはその心の内に触れたからなんだと感じ、不思議と身も心も軽やかになったところで永平寺を後にしました。

夜ごはんをいただいたのは釜蔵さん。
北陸・福井の釜飯を専門としたお店で、福井県産のコシヒカリや地元市場から直接仕入れた新鮮な旬の食材が使われています。

私が注文したのは「へしこ釜飯セット」で、なかなかの迫力。釜飯の蓋をあけると発酵臭があり、へしこの存在をダイレクトに感じました。少しおこげも入った釜飯はとても美味しく、福井県は食も豊かだなぁと産地の食を楽しみながら味わいました。

食事中は、皆で一緒に働いていた時期を懐かしんだり、近況を報告しあったり。ゆっくり食事をとりながら、濃密な時間を過ごせました。

そして2日目。いよいよRENEW本番!

越前鯖江エリアの半径10㎞圏内には、越前漆器・眼鏡・繊維・越前和紙・越前焼・越前打刃物・越前箪笥といった地場産業がギュッと詰まっています。その各エリアをバスやタクシーなどを使いながら巡っていきます。晴れた日などはレンタサイクルに乗り、紅葉しつつある山々を見ながら楽しむのもいいかもしれません。

工房見学や趣向を凝らしたワークショップを楽しみ、気分がホクホクになった後に隣接のショップを訪れると、そこで生まれたものたちに出会います。一つひとつゆっくり見ているともう、連れて帰らずにはいられません。

お腹が空いたら、地域に根ざした飲食店のフードトラックで福井のローカルフードを。

各企業の企画や工房見学が興味深く、1日では到底回り切ることができないため、1泊以上で訪れることをおすすめします。

工房見学は中川政七商店でも販売のある、漆琳堂での工房見学からスタート。

工房内は工程ごとに部屋が分かれており、それぞれ専用の道具や設備が揃っています。人毛でできていている(!)刷毛で、ろくろと呼ばれる回転什器に木地(漆を塗る前のお椀)を押し当て刷毛を持ち、一つひとつ塗り上げていきます。

以前にわたしも塗りの工程を体験させていただいたのですが、まず、ろくろに木地をまっすぐ押し当てることができません。職人の方たちの変わらない表情からは全く想像できない難しさでした。

出来上がった漆椀には刷毛目が残らず、本当に人が塗っているのかと思うほど美しい仕上がり。普段扱っている商品が生まれる瞬間に立ち会えることは、何度体験しても感動します。

漆椀の製造工程を勉強し頭がパンパンになった後は、色漆を使ったブローチとフレームをつくるワークショップに参加しました。

水に浮かべた色漆をブローチとフォトフレームに写し取っていくのですが、完成図を思い浮かべながら漆を水に浮かべるものの全く想像通りになりません。苦戦しながらも自分だけの作品が仕上がると、

最後は辻田漆店様の工房を見学させていただきました。こちらでは国内外から仕入れた加工前の生漆を精製し、塗料として使えるように加工されています。

店舗では商品のことについて質問を頂く場面も多く、商品自体のご説明はできるのですが、漆そのものについて聞かれると口篭ってしまう場面が少なからずありました。その澱みを解消するために、今回ぜひ訪れたいと思っていたのです。

漆と漆を擦り合わせて粒子を細かくし、不純物を取り除くことで漆はとても美しい色になります。同じ精製でも機械と手作業では不思議なことに手作業の方が明らかにツヤもあり、柔らかく塗りやすいそうです。

漆に関するすべての工程を見終わった時、毎日当たり前のように手にしていた商品は、こんなに多くの方が手をかけた末に届いているのか!とさらに感激したのでした。

RENEWを満喫した後はお土産を買いに。

福井の定番のお土産をスタッフ用にいくつか購入し、私は自分用に名刺入れを購入しました。一目惚れで購入した山次製紙所さんの名刺入れは、使い込んでも素敵な色になりそうです。

帰りの電車のなか、4人で今回の旅を振り返りました。

職人さんたちのものづくりの姿に感動したのはもちろんですが、いつも見ていた仲間たちの新しい一面が発見できる機会にもなり、それもまた新鮮な体験です。

店舗に戻ってから見てきたもの体験したものをスタッフさんたちに話すと、「来年は交代でRENEWに行きませんか?」と来年のシフトの構想まで練るほど盛り上がりました。

そして私がいない間もがんばってくれたお店のみんなに、越前和紙でラッピングしたお土産を渡し、今回の旅が終わりを迎えました。

自分が行きたい・知りたい産地に行く際に、会社が交通費の一部を援助してくれる「産地視察支援金」。

この制度はもともと、私たちのようにプライベートで産地を訪れるスタッフが多くいることから作られました。

各地の工芸品は、その土地特有の文化や風土によって独特な魅力を持ちます。その背景にあるストーリーを、私たち伝え手がどれだけ深く理解し、心から伝えられるか。

土地のものを食べ、その土地に泊まり、同じ空気を吸う。
産地に足を運び、その土地の人々の暮らしに触れ合う。

実際に産地を訪れることで、ものの解像度がぐっと高まり、より深く心に響く物語を届けることができるなと改めて感じました。

中川政七商店のビジョンである「日本の工芸を元気にする!」には、その達成のための明確な正解があるわけではありません。
しかし、それぞれが考え、工夫し、日々実直に行動に移していくことがその一つの道になります。

今回の旅では、多くの経験とお互いの意見や想いに触れることができ、そのヒントを持ち帰ることができました。

一緒に行ったのは出身地も年代も異なる4人ですが、「日本の工芸を元気にする!」という共通の志を持って今日も進んでいる。同じ志を持って働く仲間がいる心強さを感じた時、私はいつも中川政七商店に入社して良かったなと思うのです。

次はどの産地に足を運ぼうか、今から楽しみでなりません。

文:中川政七商店 奈良近鉄店 福島良子

スタイリストが教える、オケージョンシーンの装い【卒入学式の服装マナー】

家族の入学式・卒業式や、友人の結婚式。式典・行事などのいわゆる“オケージョン”シーンでは、大切な人のいつもと違う凛々しい表情や、ピンと伸びた背筋に、こちらまできゅっと身が引き締まります。

そんな、普段の自分とは気持ちも装いも異なる、オケージョンの場。自分らしさは忘れたくないけれど、そこに合った服装も意識したいと、何をどう着るかお悩みの方も多いことでしょう。

特別な日こそ我慢せず、けれどその場にはふさわしく、お気に入りの一着を自分らしく着たい。その助けになればと、中川政七商店でいつもお世話になっているスタイリストさんに、最近の傾向も踏まえながら着こなしのマナーについて伺ってみました。

この記事ではオケージョンのなかでも特に、卒入学式に焦点を当てた装いのヒントをご紹介します。

形・丈

卒入学式は正式な式典の場にあたるため、服装は準礼服、つまりジャケットをはおるスタイルが基本。とはいえ、一枚でサマになるブラウスやワンピースの場合は、ジャケットなしで着用する方も多くなっています。

また2月~4月は寒さもまだあり気温の不安定な時期のため、ジャケットとワンピースのセットといったアンサンブルやツーピースを購入し、寒い場ではジャケットをはおり、春の陽気のもとではワンピースだけで着用する手も。

パンツスタイルの場合も同じく、寒い時期はブラウスの上にジャケットをはおり、暖かくなればブラウス一枚でパンツに合わせるスタイルがおすすめです。

「ジャケットが苦手な方なら、式典中だけジャケットをはおり、外での歓談中はブラウスやワンピース一枚で着用するなどでもいいと思います。あとは学校の雰囲気によってもジャケット着用がマストか、あまりこだわらなくて良いかも違うので、そこはTPOの大前提として確認しておけるといいですね。とはいえジャケットは一枚あると何かと安心なので、迷われたら迎えることをおすすめします」

なおジャケットの衿の形に規定はありませんが、重苦しさのないノーカラーのジャケットを着用する方が最近は増えています。カーディガンやストールはカジュアルな印象を与えるため、避けましょう。

スカートを着用する場合は、膝が隠れるミモレ丈を選ぶのが主流。露出の多い短め丈はもちろん、足首が隠れるほどのロング丈も重い雰囲気になるため、卒入学式では控えたほうが良いでしょう。

色・柄

入学式は春らしいパステルカラーが、卒業式は黒や紺・グレーなど、シックな印象で抑えた色目を着用するのが主流。どちらにも対応できる一着を持っておきたい場合は、紺を選ぶと使い回しがききやすいのでおすすめです。

「とはいえ、黒などダークな色目のものを入園・入学式に着用できないわけではありません。コサージュやバッグなどで明るい色や華やかさを取り入れれば、問題なく着ていただけます」

なお生地の柄についてもご注意を。ツイードやレース、スパンコール装飾などの、素材自体に表情がある生地は問題ありませんが、ボーダーや花柄、アニマル柄などの、いわゆるプリント柄は着ないほうが式典の場の装いにふさわしいとされています。

素材

素材に厳密なルールはありませんが、冬はウール、春はシルクなど、季節にあったものを取り入れると場の雰囲気によく合います。とはいえ、主に2月~3月に行われる卒園・卒業式と、4月に行われる入園・入学式では気温も少し異なります。同じものをどちらの場でも着たい場合は、もちろん季節問わず着用しやすい素材のもので問題ありません。

注意したいのは上品さと華やかさ。過度に光沢感のある素材や、カジュアルな印象を与える化繊素材などは控えたほうが良いでしょう。

また、式典の場で着用を迷うのが革素材。殺生を想起させるとして結婚式の場では控えたほうが良いといわれますが、卒入学式の場ではパンプスやバッグなどで、革製品の小物を使う方も多くなりました。

「男性の方がレザーシューズを履かれるのもあり、そのあたりのルールは少し曖昧になってきてますね。もともとおめでたい場では革製品を避ける決まりはあったものの、最近は一般的にもグレーなムードだと思います」

中川政七商店「鹿革のがま口ハンドバッグ

アクセサリー

式典の場でよく身に付けられてきたのは、華やかな雰囲気を出してくれるパールのアクセサリー。一連のものが主ではありますが、ロングで二連のものなども最近はよく着用されています。シルバーやゴールドのアクセサリーをつけてもマナー違反ではありませんが、ハレの場であることを意識し、品よく華やかなものを選びましょう。

また大ぶりのものや揺れるものは、主役のお子さんよりも目立ってしまうことや上品さに欠ける観点から、避けたほうが良いとされます。

その他、コサージュは祝福を表すアイテムとされるため、華やかさとお祝いの気持ちを表現できておすすめです。色目は洋服と同じく卒園・卒業式には色目を控えたものを、入園・入学式にはパステルカラーのものを選ぶと、季節感が合って良いといわれます。

なかでも白やアイボリーは、どちらの場にも使えて便利。特に絹が入った素材のものは上質な印象を与え、式典の場で活躍します。

なお、サイズは5cmから12cmくらいが良いとされています。

「サイズが大きすぎると派手な印象に、また小さすぎると地味ない印象につながりますが、身長や体格によっても印象が変わるので、付けた時のバランスをチェックしてくださいね」

中川政七商店「しけ絹のコサージュ 梅」、utilite「パールネックレス」「パールフープイヤリング

バッグ

サイズは小ぶりなもので、素材はシルクやレースなど上品さのある佇まいのものを選びます。ナイロンのような、カジュアルな印象の素材は避けましょう。綿や麻の素材は単体だとカジュアルな印象となりますが、シルクやウール混のものや、上に装飾のあしらいがあるものなど、華やかさのある素材やデザインであれば問題ありません。

服装がシックな場合は差し色として、例えば春にはライトイエローやパステルピンクを選ぶなど、季節を意識した色を取り入れてみるのもおすすめです。

「基本的にオケージョン服では全身の色のトーンを揃える傾向にあるのですが、最近のトレンドとしては、服装や靴など全体的にはダークにしながら、バッグだけ色を入れるというのもあります。学校側の雰囲気に合うようであれば、バッグだけビビッドカラーやシルバーを取り入れるなど、遊び心を出すのも一つですね」

また荷物が入りきらないことを想定し、サブバッグも持参すると安心。サブバッグの場合も、カジュアルすぎるものよりも無地やレースなど落ち着いたものがおすすめです。

靴・足元

スニーカーやブーツ、サンダルは、カジュアルな印象となるため避け、基本的には3cm以上のヒールの高さがあるパンプスを着用します。ただし、最近ではフラットシューズを着用する方も多くなりました。オープントゥやバックストラップの靴は避けましょう。

「私自身ヒールが苦手なこともあり、子どもの式典ではフラットシューズを着用しました。周りのお母さんを見ていても、最近はヒールの低い靴を履いている方も多いですね。当日動き回ったり、体調が良くない場合もあると思いますので、無理をせず履けるものを選んでくださいね」

また足元は、素足厳禁。ナチュラルなストッキングを履くのが基本です。ただ最近はナチュラルストッキングに抵抗があったり、季節的に寒かったりなどの理由から黒いタイツを履く方も多いよう。

「実は、これが難しくて私も悩むところです。黒は喪を意識するのでハレの日にはよろしくないといわれていますが、トレンドとしては履いている人が増えていて。

黒を控えるべき基本のマナーは理解しつつ、ご自身らしいスタイルの取り入れとして着用のご判断をされるのもいいのかなと、個人的には思います。

あとは靴下を履く方も最近は多いですね。百貨店のフォーマル服売り場ではまだなかなか見かけませんが、お洋服屋さんの提案するコーディネートではデザイン性のある靴下を合わせている場合などもあります。カジュアルな印象になりすぎず、品よく華やかなコーディネートであれば、厳密に考えすぎない傾向になっているように思います」

「いろいろお伝えしましたが、卒入学式のスタイリングで大切なのは、季節感と華やかさ、上品さの3つです。反対に避けたほうが良いのは、カジュアルな装いや露出が多いなど華美過ぎる装い。最近ではマナーの境界線も曖昧になってきているので、マナーは大切にしつつも、ポイントを意識しつつご自身らしい装いを楽しんでくださいね」


教えてくれた方:

スタイリスト 田中ちか
1976年大阪生まれ。アパレル販売スタッフを経て、1997年よりスタイリストアシスタント事務所に所属。2003年にスタイリストとして独立し、2005年~2006年の渡英を経て2006年から関西を中心に活動中。中川政七商店のスタイリングも多く手掛ける。

※この記事は2024年1月17日の記事を再編集して掲載しました


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【四季折々の麻】2月:長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

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麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

2月は「如月」。和風月名であるこの言葉は、寒さに備えて重ね着をする意を込めた「衣更着(きさらぎ)」が由来のひとつとされています。まだ寒さが残る季節、麻の衣を更に重ね、芽吹きの時期に備える服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。

麻生地は夏のイメージが強い素材ですが、今回ご用意した「厚手麻」は肉厚の生地にすることで、夏以外の季節でも着られるようにしたもの。中川政七商店で毎年人気のシリーズに、今年は新色として春らしい赤を思わせる「紅梅」が登場します。

ラインアップは「ボタンワンピース」と「羽織コート」、「ワイドパンツ」の3種類。重ね着することで長い季節でお楽しみいただけるようにと、ゆったりめのシルエットにしています。

【2月】厚手麻シリーズ:

厚手麻のボタンワンピース
厚手麻の羽織コート
厚手麻のワイドパンツ

今月の「麻」生地

まだ寒さが残る季節に着たい、肉厚の生地である「厚手麻」。防寒と春気分の両方をかなえられるよう、重ね着することで冬から春まで活躍する素材感に仕上げました。一年を通して心地よく着られるため、シリーズが登場してから数年が経った今でもたくさんのご愛用の声を頂いています。

使用しているのは太番手のリネン糸。こちらを贅沢に使って織った厚手の生地に、テンションをできるだけ加えないよう、ゆっくりとやさしくもみ込むような乾燥を施します。さらには染め加工のすべての工程においてできるだけ高熱を加えず加工し、麻素材独特のシボ感のある自然な風合いを生み出しました。

生地にストレスをかけず、時間をかけてゆっくり加工することで、生地がリラックスしてやさしい表情と風合いに。無理をさせず、自然の姿、魅力を引き出した生地をぜひお楽しみください。

なお、織り・染めの加工はともに遠州・浜松でお願いしました。大きな川があり水が豊富なこの地域は、織物加工が得意な産地。太番手ならではのしっかりしたハリ感・コシがありつつも、肌あたりはとてもやさしいので着心地がよく、頼れる生地感に仕上げていただきました。

お手入れのポイント

ご自宅でお洗濯可能ですが、洗う際は手洗いか、裏返して洗濯ネットに入れたうえで洗濯機をご利用ください。

シボ感が特徴的な生地なので、ピシッとアイロンで伸ばすというよりは、自然なシワ感を楽しんでもらえたら嬉しく思います。

たたみシワなどが気になる際は、生地を湿らせた状態であて布を使用し、アイロンがけしてください。麻は乾燥した状態で高温を加えると傷んでしまうので、アイロンを使用する際は必ず湿らせた状態にするようご注意くださいね。

重ね着しやすい3アイテム

麻は、寒い日は暖かく着られて蒸れにくく、暖かい日はさらりと心地よく着られる素材。
寒さをしのぐため重ね着をする「衣更着」に由来を持つ時期に、ぴったりのアイテムを揃えました。

重ね着したり一枚で着たりと着回しのきく3つのアイテムは、いずれもリラックスウェアにならないよう細かなサイズ感にはこだわりつつも、ゆったりと着られて重ね着しやすいシルエットに。

色は昨年から人気の墨と青緑に加え、梅の季節をイメージして「紅梅」も新しくご用意しました。鮮やかながらもこっくりとした赤が、まだ寒く彩度の低い空の下でも春の訪れを感じさせてくれます。

また、あえて真っ白にさらした生地ではなく、麻本来の生成色の生地から染め上げることで、天然の麻の色あいを活かしました。のっぺりとせず、麻の繊維の色合いがうっすら感じられるような奥行きのある表情に仕上げています。

ワンピースはほどよく詰まったVネックとずらりと並んだ前ボタンで、きちんと感のある印象に。寒い時期にはタートルネックを重ねたり、暖かくなればもちろん一枚で着たりと様々な印象でご着用いただけます。

万能な羽織コートは襟が少し立つのがポイント。カーディガンのように気軽に羽織れます。ワンピースの上に重ねたり、タートルネックやブラウスに重ねたりと、あらゆるシーンで着まわしていただける一着です。

ワイドパンツはゆったりと履けながらも、麻のハリ感による立体的なシルエットで、お出かけ着感もきちんとあるデザインに。寒い時期は下に一枚着こんでいただいても、違和感なく履いていただけます。年間を通して履ける息の長いアイテムです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【旬のひと皿】みかんと蕪のしゃぶしゃぶサラダ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で創作料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



少し遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。お正月の奈良はずっとよいお天気で、全国的にもお出かけしやすい年末年始だったのではないでしょうか。

年末年始は、毎年多くのお客様がお店へ来てくださる時期。昨年に引き続き93歳のお誕生日にお越しくださったご家族様もいらっしゃり、なんとも言えない心温かな時間を共有させていただけました。

たまたま一緒の時間にいらっしゃっていたお客様も一緒に拍手をしてくださり、大切な時間にわざわざお越しいただいたことに胸も心も全ての臓器がいっぱいになりました。

ご家族やご友人との貴重な時間を過ごす場所に選んでいただけることがありがたくて、「お正月のお写真撮らせてください!」とお声がけして、集合写真も撮らせていただきました。(心の中では“お正月を写そう!”の気分)

カメラ越しに楽しそうに笑っておられるお顔を拝見し、一緒に参加させていただいた気分で嬉しい年の瀬と今年のはじまりを感じることができました。

お正月休みが過ぎると、しばらくお休みで会わなかった運送会社の方や、食材を届けてくださる方とも再会。わいわいお話しながら、今年一年もまた楽しんでいただけるよう自分の気持ちをキリッと引き締めています。

今年は箱のみかんと目があって、すでに何度か購入してシロップにし、みかん寒天を作ったりシャーベットにしたり、サラダに入れたりと楽しんでいます。

裏作の時期だったようで例年より多くは出回っていないように感じますが、手で簡単に剥けるみかんは、お風呂あがりや、喉が渇いた時の水分補給がわりにも嬉しい。雨がかからないように注意しつつ、室外に置いておくと寒さで果肉がひんやり冷たくなり、冷蔵庫いらず。冬のアイスクリームもいいけれど、みかんもやはり、冬には必要な存在だと思うのです。

そうそう、知らなかったみかんの話を先日お客様から伺いました。

給食に出てきた冷凍みかん。食べる頃には半解凍くらいになっていて、とびきり美味しかった記憶が残っているのですが、なんと新幹線でも冷凍みかんが売られていたそうで、びっくり!もちろんすぐには食べられないので、買われた方々は溶けるまでしばらく待っていたのでしょうか。

旅のお供に冷凍みかん。自前で作り、どこかに出かけてみたいなと思いました。今回はそんな、みかんを使ったレシピです。

<みかんと蕪のしゃぶしゃぶサラダ>

材料(2人分)

・豚ロース肉(しゃぶしゃぶ用)…6~8枚
・ほうれん草…1束
・かぶ…1個
・大根…5cm程度
・みかん…3個
・ポン酢…大さじ2
・オリーブオイル…小さじ2

◆トッピング

・ピーナッツ…10粒
・白炒りごま…小さじ1
・クミン(あれば)…ひとつまみ
・おかき(醤油味)…適量
・粗塩…適量

作りかた

トッピングから作る。ピーナッツを粗めにきざみ、ボウルにごまとクミンと一緒に入れる。おかきを手で割り入れ、粗塩も入れて混ぜ合わせる。

ほうれん草は軸に十字の切り込みを入れ、砂をきれいに洗い流す。かぶ、大根も洗う。

鍋に湯を沸かし、塩ひとつまみ(分量外)を入れたら、ほうれん草を軸からサッとゆでる。冷水にとって水気を絞り、3cm程度にカットする。

みかんの皮をむき、横側から3枚になるようスライスする。お皿に円になるよう並べる。皮についた果肉は大きめのボウルに絞っておく。

かぶの皮をむき横半分に切る。上部分を横側から5枚に切ったら、重ねて縦半分に切り、先ほど並べたみかんの間にそれぞれ並べていく。1枚余るのはつまみ食い用に(笑)。

残ったかぶと、皮をむいた大根をすりおろしてドレッシングを作る。かぶは鬼おろしで、大根はおろし金ですると食感が変わって楽しい。軽く水気を絞ったら、みかんの果汁を入れたボウルにほうれん草、ポン酢、オリーブオイルと一緒に入れる。

鍋に湯を沸かし、沸騰したら塩少々(分量外)を入れて豚肉をゆでる。ざるにあげたら先ほどのボウルに入れて、全体をざっくりと合わせる。

みかんとかぶを並べたお皿の中央にこんもりと盛り付けて、仕上げにトッピングをふりかければ完成。

うつわ紹介

美濃焼の平皿

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/