【旬のひと皿】ロールキャベツ

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



届いたばかりの段ボールを開けると、手書きのお便りと共にじゃがいもやにんじん、カリフローレや紅芯大根といったお野菜に加え、きれいなキャベツが入っていました。農家さんから送っていただく、採れたてのお野菜便です。

冬の時期のお野菜は寒さを味方にして、甘みが増すのがひとつの魅力。旬ならではの味を想い、台所へきてくれたこのキャベツをどうしようかとホクホクしながら悩んだ末、まずはシンプルに蒸し焼きにしてみました。

材料は少しのオイルと先ほどのキャベツ、一緒に入れてくださったじゃがいも、そしてクミン。とても甘くはっとするおいしさで、ひとつのお皿としてまとまりつつも、それぞれの食材が際立ちます。気がつくと黙々と食べていました。

今回のテーマはキャベツにしよう!と決め、コトコト湯気の上がる風景が浮かんだのでレシピはロールキャベツに決定。旬を堪能できるよう、できるだけシンプルな材料と工程にしました。

道具に用いたのは土鍋です。ある程度深い鍋なら別の素材のものでも作れますが、ここはぜひ、冬の甘さを存分に引き出す土鍋で作っていただければなと思います。

私が使ったのは、大きなリムに一目惚れして購入した中川政七商店さんの平土鍋。購入時には構想から数年間、思考錯誤しながら時間をかけて開発されたお話しもお聞きしました。そんなエピソードも思い浮かべながらの料理は、またひとつ味の深みが増すような気持ちになります。

レシピの試作をしていた寒波の日、ドアの外に小学生くらいの女の子が立っていました。あれ?と思い外へ出てみると、赤ちゃんの頃から知っている顔。開口一番「受かったよー!!」と、中学受験の結果の報告に来てくれたのです。

ハイタッチをして嬉しい喜びをお裾分けしてもらった後、そうだそうだちょっと待ってねと、店内に生けていた満開のサクラを渡すと喜んでくれました。寒い寒いと毎日のように言っていますが、気づけばもう春の足音が聞こえていますね。

農家さんから届いた手書きのお便りには、「甘い野菜の次は、菜の花などの苦味がやってきます。待ち遠しいですね!」と締めくくられていました。

もうすぐ来る春を楽しみにしながら、まずはいま、一瞬しか味わえない冬の味を堪能したいと思います。お兄ちゃんと通う中学校での話も、また聞かせてもらえたら嬉しいなぁ。

<ロールキャベツ>

材料(2~3人分)

・豚ひき肉…300g
・キャベツの葉…大6枚(小なら12枚)
・冷凍きのこ(今回はしめじとしいたけ)…ひとつかみ 
・玉ねぎ…1/2個
・レモン…適量
・塩麹…小さじ3(小さじ1と小さじ2に分けて使用)
・塩…3g
・水…500ml

きのこは食べやすい大きさに切り、冷凍しておいたものを使用しました。冷凍することで、スープの味わいが深くなります。

また、鍋は土鍋を使用。どんな鍋でも作れますが、保温力のある土鍋はじんわり火が入るので、ふっくらと仕上がります。

作りかた

ボウルにひき肉と塩麹(小さじ1)、塩を入れて軽く混ぜたら、おおまかに6等分しておく。

鍋に湯を沸かして塩(分量外)を入れ、キャベツを茹でる。芯の内側がすんなり曲がれば茹で上がりのサイン。水にとり、ザルにあげる。

キャベツの芯を削いで千切りにする。玉ねぎも同じく千切りにする。

キャベツをまな板に広げ、肉だねを中央において包みあげる。葉が小さい場合は二枚を左右に広げ、真ん中を重ねて一枚として使用する。下→左右の順に肉だねの方向に折りたたんだら、上に向かってぎゅっと巻いていく。

鍋を火にかけて、玉ねぎとキャベツの芯、きのこを入れて塩(分量外)をし、蒸し焼きにする。

しんなりしてきたらロールキャベツを並べて水を入れ、コンロの火をつける。沸騰したら火を弱め、塩麹(小さじ2)を入れる。

灰汁がある場合は取り除き、蓋をして20分ほど火にかける。煮込む工程ではオーブンを使用しても。

最後にスープの味を確認し、薄く感じるようなら塩や醤油を入れて調整する。うつわに盛り、レモンの皮を削って完成。

うつわ紹介

【WEB限定】明山窯 secca scoop_M BLACK

二重軍手の鍋つかみ 紺
信楽焼の平土鍋 中 飴


写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

【四季折々の麻】2月:長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2025年2月3日公開の記事を再編集して掲載しました。

長い季節で着られる肉厚の生地「厚手麻」

2月は「如月」。和風月名であるこの言葉は、寒さに備えて重ね着をする意を込めた「衣更着(きさらぎ)」が由来のひとつとされています。まだ寒さが残る季節、麻の衣を更に重ね、芽吹きの時期に備える服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。

麻生地は夏のイメージが強い素材ですが、今回ご用意した「厚手麻」は肉厚の生地にすることで、夏以外の季節でも着られるようにしたもの。中川政七商店で毎年人気のシリーズに、今年は新色として春を想わせる黄色が登場します。

ラインアップは「ボタンワンピース」と「羽織コート」、「ワイドパンツ」の3種類。重ね着することで長い季節でお楽しみいただけるようにと、ゆったりめのシルエットにしています。

【2月】厚手麻シリーズ:

厚手麻のボタンワンピース
厚手麻の羽織コート
厚手麻のワイドパンツ

今月の「麻」生地

まだ寒さが残る季節に着たい、肉厚の生地である「厚手麻」。防寒と春気分の両方をかなえられるよう、重ね着することで冬から春まで活躍する素材感に仕上げました。一年を通して心地よく着られるため、シリーズが登場してから数年が経った今でもたくさんのご愛用の声を頂いています。

使用しているのは太番手のリネン糸。こちらを贅沢に使って織った厚手の生地に、テンションをできるだけ加えないよう、ゆっくりとやさしくもみ込むような乾燥を施します。さらには染め加工のすべての工程においてできるだけ高熱を加えず加工し、麻素材独特のシボ感のある自然な風合いを生み出しました。

生地にストレスをかけず、時間をかけてゆっくり加工することで、生地がリラックスしてやさしい表情と風合いに。無理をさせずに、自然の姿、魅力を引き出した生地をぜひお楽しみください。

なお、織り・染めの加工はともに遠州・浜松でお願いしました。大きな川があり水が豊富なこの地域は、織物加工が得意な産地。太番手ならではのしっかりしたハリ感・コシがありつつも、肌あたりはとてもやさしいので着心地がよく、頼れる生地感に仕上げていただきました。

お手入れのポイント

ご自宅でお洗濯可能ですが、洗う際は手洗いか、裏返して洗濯ネットに入れたうえで洗濯機をご利用ください。

シボ感が特徴的な生地なので、ピシッとアイロンで伸ばすというよりは、自然なシワ感を楽しんでもらえたら嬉しく思います。

たたみシワなどが気になる際は、生地を湿らせた状態であて布を使用し、アイロンがけしてください。麻は乾燥した状態で高温を加えると傷んでしまうので、アイロンを使用する際は必ず湿らせた状態にするようご注意くださいね。

重ね着しやすい3アイテム

麻は、寒い日は暖かく着られて蒸れにくく、暖かい日はさらりと心地よく着られる素材。
寒さをしのぐため重ね着をする「衣更着」に由来を持つ時期に、ぴったりのアイテムを揃えました。

重ね着したり一枚で着たりと着回しのきく3つのアイテムは、いずれもリラックスウェアにならないよう細かなサイズ感にはこだわりつつも、ゆったりと着られて重ね着しやすいシルエットに。

色は昨年から人気の墨と紅梅に加え、蝋梅やミモザ、菜花のような「黄」も新しくご用意しました。やわらかで明るい色が、まだ寒く彩度の低い空の下でも春の訪れを感じさせてくれます。

また、あえて真っ白にさらした生地ではなく、麻本来の生成色の生地から染め上げることで、天然の麻の色あいを活かしました。のっぺりとせず、麻の繊維の色合いがうっすら感じられるような奥行きのある表情に仕上げています。

ワンピースはほどよく詰まったVネックとずらりと並んだ前ボタンで、きちんと感のある印象に。寒い時期にはタートルネックを重ねたり、暖かくなればもちろん一枚で着たりと様々な印象でご着用いただけます。

万能な羽織コートは襟が少し立つのがポイント。カーディガンのように気軽に羽織れます。ワンピースの上に重ねたり、タートルネックやブラウスに重ねたりと、あらゆるシーンで着まわしていただける一着です。

ワイドパンツはゆったりと履けながらも、麻のハリ感による立体的なシルエットで、お出かけ着感もきちんとあるデザインに。寒い時期は下に一枚着こんでいただいても、違和感なく履いていただけます。年間を通して履ける息の長いアイテムです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

<関連する特集>

【四季折々の麻】1月:軽やかであたたかく、マットな質感「ヘンプ麻と綿」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2025年1月6日公開の記事を再編集して掲載しました。

軽やかであたたかく、マットな質感「ヘンプ麻と綿」

1月は「初春」。心新たに年を迎える月に清々しく着たい麻の服を、昨年に引き続き今年もご用意しました。

気持ちとしては春を迎えたい時期ですが、朝晩は空気がくっきりと冷え、まだまだ冬のさなか。生地感は春を意識しながらも、冬の寒さからあたたかく守り、次の季節まで着られる衣服をご提案できたらと思い仕立てたシリーズです。

麻生地といえば艶のあるシャリ感のあるものを想像される方が多いと思うのですが、今回はヘンプと綿を組み合わせることでマット感のある生地に。ひんやりせず、冬らしい質感が特徴です。

ラインアップは「中綿ベスト」と「ギャザースカート」の2種類。特にベストは、コートの下にインナーダウンのようにしても着られる、気温の変化に対応しやすいアイテムです。厚手で重い衣服の多くなるこの時期、着心地も見た目も軽やかなアイテムを楽しんでいただけたらと思います。

【1月】ヘンプ麻と綿シリーズ:

ヘンプ麻と綿 中綿ベスト
ヘンプ麻と綿 ギャザースカート

今月の「麻」生地

今回用いたのは、麻の一つであるヘンプと、綿を紡績した糸を経緯(たてよこ)に使い、密度を詰めて織り上げたヘンプコットン生地。

ヘンプの繊維はリネンなどに比べより多孔構造のため、繊維に空気の層ができることで冬にあたたかく着られます。また保温性だけでなく調湿性や調温性もあり、生地が呼吸をしながら快適さを保っているような素材です。

マットな質感と上品なネップ感(※麻繊維の太さのゆらぎによる、ぽこぽことした生地感)のある、ヘンプならではの表情を持つ生地に仕上がりました。

しめ縄にも使われる硬い繊維で、もともとはがっしりとした生地が作られることが多かったヘンプですが、最近では紡績技術の進歩でより細く糸を紡げるようになってきました。

ただ、ヘンプは繊維が短いため、織り上げるなかで切れやすいという難しさがあり、特にやわらかな服地を織るのはかなりの工夫や技術が必要。今回の生地も丁寧にゆっくりと織り上げられた貴重な織物です。

ご協力をいただいたのは兵庫県の播州織の産元さん。「難易度の高い織物にチャレンジしてやろう!」という、気概のある作り手さんたちに携わっていただきました。

少し細かいお話になるのですが、例えば経(たて)糸を織る際に、糸をピンと張れるよう糸に糊をつける「糊付け」の工程も、こだわったひとつです。

通常の織物では糸巻きに糸を巻いたままの状態で糊にドボンとつけるのですが、より丁寧にむらなく均等に糊付けをするため、一本ずつ糊のなかをくぐらせていく「一本糊」という糊付けをされています。

さらには糸が切れないよう、織りの際は糸に含ませる油分を微妙に調整し、機械といえど目を離さずにゆっくりとしたスピードで織り上げてくださいました。

糸づくりから糊付け、織りまで、それぞれの職人さんが工夫を凝らして協力しあい、作られた生地です。

お手入れのポイント

ご家庭でお洗濯が可能ですが、ベストは手洗いで優しく押し洗いしていただければと思います。スカートはネットに入れて、洗濯機でお洗濯していただけます。

形を整えて干す際は、ベストはやさしくシワを伸ばして。スカートはシワを伸ばして干すか、お好みで少し縦に絞り、引っ張ってシワをつけることで、麻ならではのシワ感を楽しんでいただくのもおすすめです。

長く着られる2アイテム

今年も、昨年と同じく春先まで活躍するベストと、オールシーズンの着用が可能なスカートの2アイテムをご用意しました。色展開は中綿ベストが「グレー」と「チャコール」の2色。スカートは「オフ白」「グレー」「チャコール」の3色展開で、いずれも長く着られる定番色とマットな質感がポイントです。

中綿ベストは、キルティングのようにステッチを表に出さず、中に板状の綿を入れたもの。スポーティな印象ではなく、ふんわりナチュラルに着られる綿入りのベストになっています。

前にはクルミスナップが一つ付いており、軽く羽織る感じで着られます。タートルネックニットの上や、シャツブラウスに重ね着してお楽しみください。もこもことした生地感ではないため、例えばお花見の時期ような、春先の肌寒い日も着ていただけたらと思い仕立てました。

ギャザースカートはたっぷり生地を使ったロング丈。冬の重めのニットやコートと合わせても、春の到来を感じられるような軽さに仕上げています。

裏地が付いているので透けの心配もなく、ふんわりとしたシルエットのため、寒い日は下にタイツやスパッツを着こむこともできます。年中着ていただける、着回しの定番となるアイテムです。

なお、今回のシリーズではスカートのみ「オフ白」を展開。生地を白色にするための晒す工程ではあえて白度を控えめにし、ややクリームがかった色にしています。あたたかみのある白は冬の麻衣服にぴったりで、晒しきっていないためよく見ると麻の繊維感があるのもお楽しみいただきたい点のひとつです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【旬のひと皿】焼きりんご

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



幼馴染にパティシエールになった友人(まーちゃん)がいます。

小学生の頃からの友人で、学校は別々でしたが、同じスポーツクラブで一緒にバドミントンを頑張っていました。

中学生になると同じ学校になり、部活も一緒でした。ある冬の日、他の部員たちとプレハブの寒い部室にいるとまーちゃんが大きな白い箱を取り出して「お誕生日おめでとう!」と言うのです。その日は部活仲間のお誕生日で、なんとまーちゃんが自宅でケーキを作ってきてくれました。

まーちゃんの優しさと、ケーキを作れるなんてすごい!!!と感動したことが、とても記憶に残っています。

その後、彼女は食物科のある高校に進み、卒業後はフランス菓子のお菓子屋さんで働いたり、製菓学校の先生として働いたり。今は独立し、福井県でお菓子を作っています。

昨年、夢中でお菓子の世界を生きてきた彼女のタルトタタンをいただく機会に恵まれました。

きれいなデコレーションケーキも華やかで素敵ですが、シンプルにりんごの持ち味を引き出し、計算して作りこまれる美しいタルトタタンに感動。これまでの彼女の努力が重なって生まれたお菓子に、中学校での時間など幾重にも思いが重なり、ひと口で衝撃を受けたのです。

気づけばもうクリスマスシーズン。きっととても忙しいんだろうなと体調を心配しつつ、誰かの笑顔のために頑張ってお仕事をされるお菓子界の皆さまには、本当にリスペクトの思いです。

今回は、あの感動は再現できないのですが、華やかな行事ごとにも楽しんでいただけるりんごのひと皿に挑戦しました。

ひと口にりんごと言っても種類はさまざま。加熱に向くもの、生で食べておいしいものといろいろありますが、撮影ではグラニースミスという青いりんごを中心に使ってみました。

10月頃から出始める紅玉で作る焼きりんごも酸味があり、りんごが溶けにくくおいしくて好きです。

私の場合は普段からきび砂糖を使っているため、今回も同じお砂糖でキャラメリゼをしましたが、白いお砂糖でももちろん大丈夫。色の変化もわかり、作りやすいかもしれません。

ちなみにキャラメルソース作りでお砂糖に熱を入れるときは「混ぜない、触らない」のが基本ですが、今回は全体を均一にするため、あえてゴムベラで混ぜながら作りました。なお、りんごを入れる際や裏返す際は、やけどに十分お気をつけくださいね。

ご提案したレシピでは、できたての焼きりんごにおいしいバニラアイスを添えていますが、余裕があれば少しアレンジした作り方もおすすめ。

りんごを切る際に取り除いた種と皮を小鍋に入れ、ひたひたの水と一緒に水分が少なくなるまで煮詰めたら、茶こしなどで濾しておきます。焼きりんごの仕上げに先ほどの“りんご水”を加え、強火にして水分をぎゅっと飛ばしたら、流し缶などの型に詰めて冷やしてください。

こうすると型にはめた際に形がキープしやすくなり、翌日冷えたものをカットして泡立てた生クリームを添えれば幸せなりんごのお菓子の完成です。

今年もあと少し。

どうぞみなさま、たのしい時間をお過ごしください。

<焼きりんご>

材料(作りやすい量)

・りんご…3個
・砂糖(今回はきび砂糖を使用)…100g
・クッキー(あれば)…適宜
・ナッツ…適量
・アイスクリーム(バニラ味)…適量

作りかた

りんごの皮をむき、4分の1にカットしたら包丁で芯をとり、さらに縦半分に切る。

鍋(焦がしてもよいもの)を熱し、砂糖を入れる。色が変わってきたら弱火に。

砂糖が濃いキャラメル色になったら一度火を止め、りんごを入れる。りんごにソースを絡め、全体がソースをまとったら再度弱火にかけて、時折ソースをかけながらじっくり火を入れていく。

りんごがしんなりしたら火を止め、うつわに盛る。お好みのクッキーやナッツ、アイスクリームを添えて完成!

うつわ紹介

【WEB限定】明山窯 HIJICA サラダプレート19cm

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

【四季折々の麻】12月:あたたかいのに軽く、やわらかな生地感「麻とウールツイード」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2025年11月1日公開の記事を再編集して掲載しました。

あたたかいのに軽く、やわらかな生地感「麻とウールツイード」

12月の麻は、11月から継続の「麻とウールツイード」シリーズをお届けします。

寒さが深まり、いよいよ本格的に冬を感じる12月。ふんわりとした風合いの服が恋しい時季に着ていただける服を、麻とウールの糸を合わせて織り上げたツイード生地で仕立てました。両者ともに天然素材で相性も良く、ウールの保温性に麻の吸湿発散性が加わることで、あたたかなのに蒸れにくく、心地好く着られます。重い衣類が多い時期に、ふんわりと軽やかな着心地もおすすめしたいポイントです。

ラインアップは4種類。気温の差が激しい時期に心強い「かぶりベスト」や、ラクに履けつつ形のきれいな「テーパードパンツ」と「ワイドパンツ」、また冬の着こなしで活躍する「ワンピース」を揃えました。

【12月】麻とウールツイードシリーズ:

麻とウールツイード かぶりベスト
麻とウールツイード ワンピース
麻とウールツイード テーパードパンツ
麻とウールツイード ワイドパンツ

今月の「麻」生地

素材に使った麻は、衣類によく採用されるリネン。やわらかな風合いのシェットランドウールとリネンを合わせた混紡糸を用いて、密度を詰めすぎないよう、甘くやわらかに織り上げました。シワにもなりにくく、寒い冬も気持ちよく着られる生地となっています。

シェットランドウールはスコットランドの北にある、寒さや湿度が厳しいシェットランド諸島に生息する羊の毛を用いた糸。海草などを食べて育つため、やわらかい毛質が特徴です。

嵩の高いシェットランドウールから作られるふんわりした糸は、生地を織り上げる際に空気を含み、軽くあたたかな素材感に仕上がります。そこにリネンを混ぜることで、ウールだけで織り上げるよりも耐久性を増して、生地にしなやかさを加えました。

またウールの保温性にリネンの吸湿発散性が加わることで、あたたかなのに蒸れにくい生地となるのも特徴の一つ。屋外ではあたたかく身体を包み、暖房で汗をかいても湿気を逃がしてくれる、この時期に心強い組み合わせの素材です。

素材製造や生地加工は、一つひとつの工程を日本各地の得意な作り手に依頼しました。糸づくりは広島、糸の糊付けは和歌山、織りは岐阜、加工は愛知と、プロの集大成のような生地です。

お手入れのポイント

ウールを多く含むのでドライクリーニングがおすすめ。シワはつきにくいものの、たたみジワなどが気になりアイロンをかける際は、必ずあて布をしてください。

また毎日着たくなる軽やかさではありますが、長く着ていただくために毎日連続しての着用はお避けください。

ざっくりと織られたツイードは糸と糸の隙間にホコリが入り込みやすいため、着用した日は軽くブラッシングをしておき、シーズン終わりにはドライクリーニングに出して保管すると、長くきれいに着ていただけます。

気負わず上品に着られる4アイテム

カジュアルにもきれいにも着られる、冬のお出かけに使いやすい4つのアイテムを揃えました。色展開は生成、グレー、チャコールのナチュラルな3色。ウールの素材感を活かした、自然で上質な印象の色合いに仕上げています。

「かぶりベスト」はその名のとおり、かぶって着られるベスト。後ろの襟元にボタンを一つつけてかぶりやすいよう調整し、パンツにもスカートにも合わせやすい絶妙な丈感に仕上げました。

軽やかな着心地ではありますが、布帛(ふはく:織物のこと)のためニットベストよりもきちんと感を出せるのも嬉しい点。カットソーやタートルネックのセーターなどと合わせて、秋から冬まで長く着ていただけると嬉しいです。

パンツは、足さばきのよい「テーパードパンツ」と、ロングスカートのようにも見える「ワイドパンツ」の2種類。

どちらもウエストはゆったり履けるゴム仕様ですが、麻とウールの上質さがあるため、上品に着られると思います。先にご説明したベストとセットアップで着こなしていただくのもおすすめです。

「ワンピース」は袖なしのゆるやかなAライン。身幅をゆったりととっていますが、広がり過ぎず、かわいらしさはやや抑えた形に仕上げています。こちらもカットソーやタートルネックに合わせて、冬の装いを楽しんでいただければと思います。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

<関連する特集>

天理 倉の耕流祭 企画「中川政七商店 倉庫博覧会」開催【イベントレポート】

澄んだ空のもと心地よい秋風が吹く11月。奈良県天理市で初となるオープンドア・イベント「天理 倉の耕流祭」が3日間にわたり開催されました。

工場やものづくりの現場だけでなく、あらゆる場・物・知をひらくことで地域に光を差す試みとなる本イベント。

中川政七商店も、工芸の物流拠点として天理市に設ける自社倉庫「NKG倉庫」をひらき、この機会ならではの企画をご用意して参加しました。その名も「倉庫博覧会」。

倉庫をひらいたイベントは当社としても初のこころみ。来年以降にご参加を検討いただく皆さまに届けばと、この場をお借りして当日の内容をご紹介します。

当日はスタッフたちみんなで倉庫限定Tシャツを着用!

倉庫らしさをダイナミックに表現!トラック演出と、倉庫資材を使った空間づくり

企画の舞台となったのは、2024年6月に稼働をスタートしたNKG(えぬけーじー)倉庫。一風変わった名前は、社名(NAKAGAWA)および、当社のビジョン「(N)日本の(K)工芸を(G)元気にする!」より名付けました。

ここは、中川政七商店のオリジナル商品の物流機能を担うだけでなく、全国各地の作り手の物流まで請け負うハイブリット倉庫。敷地3400坪・延べ床2700坪の3階建てという大規模な空間で、日本の工芸を支えています。

そんな倉庫や物流の妙を体験いただけたらと取り入れたのが「倉庫に関係するものだけを使った空間づくり」です。

例えば入口サインとして飾った巨大のれんは、佐川急便さんに協力いただき、10tトラックに掲示。受付と出口の階段横にはそれぞれ、佐川急便さん、ヤマト運輸さんのトラックを配置し、日々倉庫に行きかうトラックを間近で見ていただける機会を設けました。

会場では空間を3つのゾーンにゆるやかに区切り、展示・ワークショップ・物販のコーナーを展開。それぞれで使用する什器はすべて倉庫にある資材でつくりあげています。

倉庫資材のひとつ、梱包用バンドに天板を重ねた什器
受付やレジ台には段ボールを採用

さらに各コーナーは余り布を用いたのれんで装飾。「ワークショップは紺色ののれんの下で開催します」など、目印の役割もかねてお客さまにご案内していました。

中川政七商店のビジョンや取り組みに出会う「展示スペース」

パレットでつくった階段を上がり、受付で天理 倉の耕流祭のパンフレットを受けとると、まずお客さまをお迎えするのは展示コーナー。

ここでは「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに、工芸をベースにした暮らしの道具を企画し届けている私たちの取り組みと、そこから生まれた数々の品をご挨拶に代えてご紹介しました。

全国約800の作り手とつくる工芸の道具たちのほか、当社のコンサルティング支援を通じて誕生したブランドも。

写真を撮ったりじっくり読み込んだり、思い思いの時間をお過ごしいただいている様子が伺えました。

この後ご紹介する倉庫ツアーも、展示コーナーから出発

応募殺到!即満席となった「倉庫ツアー」

今回、私たちの予想以上に反響をいただいたのが「倉庫ツアー」。イベント発表後は20名×9回の枠が早々に満席となりました。

ツアーでは中川政七商店のビジョンや取り組みについて簡単にご紹介した後、倉庫内でビジョンがどのように意識・体現されているのかをご紹介。1階から3階まで倉庫を巡りながら、各工程の意味や各所での中川政七商店らしい仕掛けをご説明しました。

フォークリフトを使った実演も!

約45分のツアーの最後は、当社のオンラインショップを支える撮影スタジオにも入場いただき、EC課スタッフたちによる撮影を体験。よりよく商品を紹介するための撮影のコツなどをご案内し、参加者の皆さまにお楽しみいただきました。

お子さんも大はしゃぎ。大人も子どもも楽しめる「ワークショップ」

続いてはワークショップへ。今回は中川政七商店によるワークショップを2種類、外部の企業さまによるワークショップを2種類の、計4種類をご用意しました。

中川政七商店のワークショップは日頃の倉庫業務について楽しんでいただきつつご紹介したいと、代表商品である「ふきん」を用いたものに。ふきんを包みあげる工程を習い、タイムアタックで競い合うものや、倉庫オリジナルスタンプを使いながら自分だけのふきんを仕上げるもの。

どちらも毎回満席となり、大盛り上がりでした!

また当社の段ボールをお作りいただいている高木包装さんによるワークショップは、段ボールを作る工場や、奈良県内のものづくり工場から出る端材を使って、子どもたちが自由に工作。

さらに奈良県内でアートスクールを営むアトリエe.f.t.さんにご用意いただいたのは、工芸を運ぶときに使う箱や紙などの端材を用いたワークショップです。子どもたちが一面にひかれた町フィールドに立体作品を作り、世界でひとつの“ぼくらの天理おもろシティ”を築きあげるワークショップを実施くださいました。

その他にもお子さんが遊べるキッズエリアが登場。奈良県の作り手・A4さんが手がける木製ブロック「tumi-isi(ツミイシ)」を、大きく・やわらかくした「BIG tumi-isi」で遊べるコーナーが誕生しました。

お子さんの弾んだ声がたくさん聞こえてきて、倉庫全体も和やかな空気に

普段は出会えない商品もお目見えの「お買い物コーナー」

中川政七商店といえば、工芸をベースにした生活道具の販売。ということで、今回は“NKG倉庫店”が特別に開店!通常の店舗で扱っている定番品はもちろん、この機会ならではの商品も登場しました。

発売前から期待の声を多数頂いた中川政七商店オリジナルデザインの倉庫アイテムは、当社の倉庫スタッフが普段より使用するもの。いつものお店では出会えない、まさに倉庫イベントを体現する商品です。

また倉庫に眠っていた道具や服を、お得な価格でご提供するアウトレットコーナーも展開。今はもう出会えない、懐かしいアイテムに目を細めるお客さまもいらっしゃいました。

さらには倉庫ではたらく鹿の刺繍を本企画限定でご用意。当社オリジナルのハンカチや靴下に刺繍した品は、ご用意したそばから次々に手にとっていただく人気アイテムの一つとなりました。

加えて、同じく特別企画として開催した「NKGマルシェ」は、奈良県内の作り手と一挙に出会える機会に。作り手さんからお話をじっくりと聞いた皆さまが、真剣なまなざしでものを選び、嬉しそうに迎えている様子が印象的でした。

会場全体での3000円以上のお買い上げにて1回チャレンジできる「政七福引」も開催

ランチやお茶の時間に。奈良県内の飲食店による充実した「フードエリア」

こんな風に、盛りだくさんのコンテンツでお届けしていた倉庫博覧会。少し疲れた際にはゆっくり休憩いただけたらと、奈良の飲食店さんのご協力のもと、トラックバースにはさまざまな種類のフードが楽しめるコーナーも登場しました。

お昼ごはんになる食事系から、

ホッと一息のおやつまで。

軒下に用意した巨大テーブルでは、ご友人やご家族でワイワイと、またお一人でのんびりと。それぞれの時間を過ごされている方が多数いらっしゃいました。

3日間にわたる開催で、のべ2500人以上のお客さまにご来場いただいた本企画。

初めての開催で至らない点も多数あったかと思いますが、ご参加いただいた皆さまからあたたかいお言葉を頂き、晴れやかな閉幕となりました。

天理市をはじめ、天理市内の事業者の協力のもとひらかれる「天理 倉の耕流祭」は、来年も実施予定とのこと。中川政七商店の企画もさらにお楽しみいただけるよう磨きをかけて、実施できればと思います。

各事業者の「倉」がさまざまにひらかれるこの機会。ぜひ来年のお越しも、心よりお待ちしております。

文:谷尻純子