中川政七商店のもうひとつの顔。「工芸メーカーの再生支援」をする理由

中川政七商店には、いくつかの「顔」があります。

一番の柱は、工芸をベースにした生活雑貨メーカーとしての顔。もうひとつ、最近知っていただく機会が増えたのが、「工芸の再生支援をしている会社」の顔です。

「いちメーカーが、なぜ他メーカーの再生支援を?」

その理由は、日本の工芸メーカーをとりまく、決して明るくない状況にあります。今回は中川政七商店の「もうひとつの顔」、再生支援のお話です。

「もう、会社を畳みます。」きっかけはそんな挨拶でした

「もう会社を畳みます」

そんな廃業の挨拶が、年に何件もあったと13代中川政七は振り返ります。工芸は分業制。例えば焼きものをつくるのにも、粘土屋、絵の具屋、型屋、生地屋、窯元…などさまざまな人々の手で支えられています。全国800のつくり手とともに商品開発をする中川政七商店にとって、彼らの廃業は死活問題です。

「このままでは、うちのものづくりもできなくなる」

そんな危機感から2009年、工芸の再生支援をはじめました。

中川政七商店もかつて経営危機に直面し、ブランディングによって再生した経験があります。そのノウハウを生かせば、同じような会社を救えるかもしれない。日本の工芸をこれ以上衰退させたくない。そうした想いが使命感となって、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、工芸の再生支援プロジェクトが動き出しました。

旗印は、「日本の工芸を元気にする!」

この時、再生支援に一番に手をあげたのが、後にオリジナルブランド「HASAMI」が大ヒットする、長崎県波佐見町の焼きものメーカー、マルヒロでした。

長崎県波佐見町は、長く有田の下請け産地としてものづくりをしてきた町です。しかし生産地表記の厳密化の波を受けて「波佐見焼」と名乗りはじめると、売り上げが激減。マルヒロも、借金が売上の1.5倍という倒産寸前の状況でした。

再生支援に取り組む期間は約2年。その間に何度も現地に足を運び、決算書の見方から商品設計、年間の製造計画まで自社のノウハウを共有し、一緒にブランドづくりと商品開発を行っていきます。最後には中川政七商店が主催する合同展示会「大日本市」への出展など、流通もサポートします。

2009年、マルヒロとの様子

マルヒロのケースでも、商品開発だけでなく、売上データの管理から梱包の仕方、展示会での商品説明のコツまで、ひとつひとつどうあるべきか、に向き合っていきました。

産地をけん引する一番星に

こうして2010年、マルヒロからオリジナルブランド「HASAMI」がデビュー。ブランド名は「波佐見」という産地を背負う覚悟と、焼きものに釉薬(ゆうやく)をかけるための道具「釉薬バサミ」を掛け合わせたネーミングです。

メインアイテムであるマグカップは、その無骨で愛らしい見た目と、スタッキングできる機能性が受け、大手セレクトショップでの取り扱いや、雑誌への掲載と、一躍「HASAMI」の名が全国に知られるようになっていきます。その後もカルチャー色の強い陶磁器ブランドとして成長し、今では全国の小売店約700店で取り扱われるという、全国の窯元が憧れる存在に。

マルヒロのファクトリーショップ

この「HASAMI」のヒットを契機に、マルヒロは経営を少しずつ立て直し、 2015年にはファクトリーショップをリニューアル。2016年には周辺4町を巻き込んだイベント「ぐるぐる肥前」を成功させるなど、近年の波佐見焼大躍進の立役者となりました。波佐見の町にも、カフェや雑貨店が増え、泊まりがけで訪れる旅行者も多く見られるようになるなど、嬉しい変化が生まれています。

大切なノウハウを他社に共有する理由

時おり、「なぜ、自分たちの大切なノウハウを他メーカーに共有するのか?」と聞かれますが、この取り組みを通して日本各地の工芸がより輝けば、使い手にとっても、魅力的な暮らしの道具が増えることになります。工芸の使い手が増えれば、つくり手も潤います。そうして全国のつくり手が元気になれば、私たちも、ものづくりを続けていくことができるのです。

展示会「大日本市」の様子。つくり手がバイヤーに直接商品の魅力をプレゼンする

現在、工芸の再生支援は新潟三条の包丁、兵庫県豊岡のかばん、大阪和泉のカーペットなど、50を数えるまでになりました。「大日本市」ではデビューを果たしたブランドのつくり手が集い、生き生きとバイヤーさんに自分たちのものづくりの魅力を語っています。

中川政七商店の店頭やオンラインショップにも、こうして生まれた全国のアイテムが自社アイテムと共に並び、日本の工芸の魅力を発信しています。

全国には300の工芸産地があると言われます。その全ての火を絶やさず、生き生きと輝く未来を目指して、私たちは歩みを止めず、「日本の工芸を元気にする!」取り組みを続けていきます。

【季節のしつらい便】部屋を飾る感覚で由来も学べる七夕飾り

我が家では、子どもと手拭いや手づくりの飾りで部屋を飾り付け、季節を楽しんでいます。
最近では、梅雨入りにあわせかたつむりをつくって飾ったばかりでしたが、4歳の娘の心は早くも次へ。
「次は何つくる?夏は何つくったらいいかな?」「その前に七夕あるよ」という会話から、七夕についてたずねると、「折り紙で飾りをつくって笹につけること」。
どうして飾るかとの問いには「お部屋をかわいくするため!」(笑)。

それも大切な理由だけど、せっかく楽しみにしている行事、由来や飾りの意味を知ることができれば、もっと楽しめて思い出になるのでは、と思いました。そこで、以前から気になっていた「季節のしつらい便 七夕」を体験してみることに!

「季節のしつらい便 七夕」は、手拭いでできた笹の絵柄のタペストリーと、切り紙飾り用の和紙、でんぐりシート、短冊、こよりがセットになっていて、笹飾りのタペストリーをつくることができます。
また、今回体験したいと思ったきっかけである七夕にまつわるあれこれを解説したしおり付き。

娘に見せると、「わぁー、七夕!作りたい!」と一目見て目を輝かせます。

つくる前に、しおりを一緒に読むことに。
織姫と彦星が離れ離れにされたというエピソードには「えー、そんなんかわいそう」との感想が。年に一回、七夕の日だけは会えることを聞いてほっとした様子で「きれいに飾って見せてあげよう!」とやる気もアップ。お願いごとをする日、と理解したところで制作スタートです。

まず、和紙の切り紙飾り。飾りに込める願いを説明しながら何をつくるか相談します。折り紙とは違う和紙の感触を楽しみながら折り、私が下絵を描いて、はさみでカットに挑戦。曲線は難しかったですが、直線はチョキンと一回切りできました。折りたたんだ和紙を丁寧に広げては、あらわれる形に「かわいい!」を連発。

次はでんぐり飾りです。こちらはテープで貼って広げるだけ。でんぐりシートを広げる時に、指に力が入って形が潰れそうになりながらも、何とか形になりました。

そして、短冊にお願い事を書きます。たくさんある中から、最近はまっていて頑張っていることの上達を願うことに。「じがじょうずになりますように」「なわとびがじょうずになりますように」。下書きを確認しながら真剣に書きました。

飾りと短冊にこよりを通すと、いよいよ飾り付けへ。

「思いが結ばれるように、お願いが叶いますように、ってこよりを結ぶんだよ」とひとつずつ込めた願いを確認しながら結びます。

ホームページを見てつくった七夕人形も一緒につけて完成です。娘は飾りにタッチしてみたり、うっとり眺めたり、達成感でいっぱいの様子。「短冊書くの頑張ったね」「お母さんも切るの頑張ったね」と称え合いました。

ひとまず完成しましたが、まだ飾りを増やしたい娘。余っていた和紙でつくり足し、折り紙で輪飾りも作ってテープでつけました。「まだつけれるんちゃう?」と、更につくり足す気満々の娘。七夕当日までにどんどん賑やかになりそうで楽しみです。

その後、2歳の妹にタペストリーを見せながら「これはね、お願い事をしてるんだよ」と語っている姿を発見。娘なりに理解してくれたんだと嬉しくなりました。子どもにとって、自分で調べて学び、形にすることはかけがえのない経験だと実感。素敵な体験をくれた「季節のしつらい便」に感謝しつつ、これからも、季節ごとの行事や風習について、子どもと一緒に楽しく学びたいなと思いました。

【わたしの好きなもの】抗菌キッチンスポンジ

菌の心配無用!スーパーキッチンスポンジ

キッチンスポンジを選ぶポイントって人それぞれあると思うんです。
泡だちの良さ、やわらかさ、価格、素材、サイズ感・・・なんとなくお店においてるものを買うという場合も。
私は、スポンジ素材で弾力がほどよくあって、泡立ちが良いものをと思いながら使っています。
しかし、それも1ヶ月ほど経つと、弾力がなくなってきて、くたくたになって、硬い面がモケモケになってきて、スポンジの間の洗いカスが取れなくなってきたりして・・・残念な気持ちになったら交換する。これをずっと繰り返してきました。
毎日の食事の後片付け、カレーのお鍋も洗うし、焦げ付いたフライパンに、子供のお弁当にと、キッチンスポンジはとってもハードワークに耐えている!と思うと、くたくたになったキッチンスポンジを見て、こういう宿命なんだと思いながら、交換の時期を迎えるのです。

そこで出会った「抗菌キッチンスポンジ」。
正直、私はその名前に惹かれたわけではなかったのです。なぜなら、抗菌の前にキッチンスポンジに求める優先順位が
1.握りやすさ(弾力性)
2.耐久性(少しでもクタクタにならない方が最後まで泡立ちもよいので)
3.できればモケモケしないと嬉しい(硬い面がだんだんとモケモケしてめくれてきてしまうので)
4.もちろん梅雨の時期などは、特に菌も気になるし、臭いも気になる
ということで、名前の「抗菌」順位は低めでした。
それでも、企画担当者が「すごいんですよ!このスポンジ!!」と言うので、すごさを実感したくて、使い始めました。

結論「すごいですよ!!このスポンジ!スーパーキッチンスポンジですよ!」

1ヶ月ほどで交換される運命と思っていた私の考えを覆してくれました!
この写真の右側のもの、2ヶ月半たっています。私の優先順位を見事クリアして、まだまだ使える状態です。

左が未使用 / 右が2ヶ月半使用

1.握りやすさ(弾力性)
厚みもほとんど変わらず、握っている形に少し変形したかなという状態。
2.耐久性
まったく、クタクタ感がないです。泡立ちも健在です。
3.できればモケモケしないと嬉しい
一番驚いたのが、硬い面がまったくモケモケしてこないんです。だんだんめくれてくることもありません。

何気なく使い始めたので、再度企画担当者に「なぜこんなにすごいの?」とプチインタビューしてみました。

・一番気になっていたモケモケしてこないのはなぜ?
一般的にスポンジの硬い面には、不織布を使用しているそうなのですが、このスポンジには同素材のウレタンをぎゅっと圧縮して硬くしたものを使用しているそうです。不織布には
不織布の汚れを絡め取る良さがあるそうですが、本体と素材が異なるため使い続けると縮む速度が異なり、結果めくれるようになるということでした。
同素材で作ったことで、本体が縮んできても、同じように縮むのでめくれにくいということなんです。
少し難しい話でしたが、とにかく新品と並べても遜色ないこの状態には驚きでした。

未使用の状態
2ヶ月半使用した硬い面

この硬い面ですが、私のお気に入りは弁当箱の油汚れを洗うのに丁度いいんです。
柔らかな面よりも、しっかりと取り去ってくれる感じで、すっきり洗えます。

・クタクタになりにくいのはなぜ?
へたりにくいのは、弾力のある高級ウレタンを使っているから。そして、企画担当者がこだわったスポンジの細かさ。スポンジの目が大きいと柔らかく泡立ちやすいけど、へたりやすかったり、細かすぎると弾力がありすぎて使いづらい。また、洗いカスがスポンジの中に入り込むと、そこから雑菌が増えるし、汚れてくるので、なるべく中に入り込まない細かさを考えつつ弾力のバランスを調整しています。

・「抗菌」と商品名に付いてるのだから、抗菌がすごいんですか?
私の中では優先順位が低めでしたが、本当は、企画担当者がすごい!と言いたかった一番のポイント「抗菌」。
高温多湿の環境は、菌やカビが繁殖しやすく、キッチンスポンジはまさに菌にとって好条件な住み家です。この時期、日本の台所はまさにそうですね。。。
そんな日本の夏の台所で、スポンジに最先端技術を使った「抗菌キッチンスポンジ」をぜひ使っていただきたい!というのが担当者の願いです。

抗菌のしくみとしては、
「スポンジに無光触媒効果のあるリン酸チタンを加工することで、光が無くとも抗菌作用が発揮します」。
と、ちょっと聞き慣れない用語が飛び交いますが、ざっくり言うと
「置いておくだけでスポンジに着いたウイルスや菌が減少。しかもそれが半永久的に続く!」。ということです。
使うたびに抗菌作用が落ちる従来の抗菌スポンジと比べて、長く清潔に使うことができます。
(※抗菌加工は、スポンジに付着したゴミや汚れのウイルス・菌を抑制するものではありません。スポンジにゴミが溜まらないようにきれいに掃除をしながらお使いください。)

こちらも少し難しい話でしたが、私の優先順位が低くて申し訳なかったと反省してしまうほど、すごい抗菌だったんです。抗菌というのは、目に見えないので実感しにくいのですが、納得の安心感でした。
湿気やすくて、スポンジの臭いも気になる場所として洗面台周りにもいいのではと、この抗菌機能を活かして、掃除用に追加するのもいいなと思っています。 

やわらかなスポンジ側 左が未使用 / 右が2ヶ月半使用

とにかく、くたくたになりにくいし、モケモケしないし、抗菌が続くし、洗いカスで汚れにくいし、結果残念な気持ちになる回数が少なくなったのは、毎日の家事でとても嬉しいこと。
生成りと黒の2色もキッチン雑貨と馴染みが良く、地味な色味もちょうどいい。

ということで私の中では「スーパーキッチンスポンジ」と命名されたのです!

<掲載商品>
抗菌キッチンスポンジ

担当編集者 平井

【デザイナーが話したくなる】耐熱硝子の多用急須

佇まいが美しい硝子の急須。
中のお茶の色が楽しめたり、茶葉の開く様子を見ながらゆっくりと過ごす時間だったり、硝子だからこその楽しめる良さがありますよね。

しかし、硝子だからこそ扱いが難しくないかな、洗いにくいかなと思うこともあるのではと、デザイナーの岩井さんの気付きからこの急須ができました。
目指したのは、日本茶も紅茶も、熱いものも冷たいものも、多用に使えて扱いやすい硝子の急須です。

岩井さんが考えた最初のポイントは、茶葉も取り出しやすく手が入ってしっかり洗える「扱いやすい」形。

口径が広いため、すっぽりと手が入ります

硝子って繊細そうに思えてしまうので、洗うときに持ちにくかったり、洗剤で滑ってしまわないかなど、ちょっとした緊張感がありませんか。そういう気持ちを払拭してくれる、本体のストレートなデザインは引っ掛かりがなくておおらかな佇まいです。

この本体のデザインを譲れないポイントとしてスタートしたことで、出来上がるまでに難しい問題に何度もチャレンジすることになったそうです。

「こだわりの口径広い問題」

扱いやすさと、多用な茶葉に調和する幅の広いおおらかなサイズをめざして、ストレートなデザインの本体と決めたけれど、このデザインを作るには、型吹きではなく、バーナーワークを得意とする職人さんにお願いしなければならない。
そこで新潟県の硝子工房クラフト・ユーの徳間さんにお願いしたのですが、岩井さんも初めての挑戦の部分もあり、やりたいことと出来ないことの理解が難しかったそうです。

遠く離れていても、何度も丁寧にFAXで説明してくださった徳間さん

新潟の工房を訪れると、バーナーワークのこと、耐熱硝子を扱うこと、「これは出来ないのか、これならどうですか」という無理な質問にも目の前で硝子を扱いながら丁寧に教えてくれた徳間さんには「本当にありがたいしかない」と何度も岩井さんの口からこぼれていました。

炎の大きさ、温度、職人の感覚でバーナーを扱います
口の取り付け位置、角度、長さ、注ぎやすさのバランスなど、微調整を繰り返しました

出来ること出来ないことを学びデザインを試行錯誤して、譲れないポイント「口径の広い急須」の本体が作れることになりました。

取材させていただく機会があり、目の前で硝子の筒が急須になっていく工程を拝見しました。
カットする、曲げる、全ての工程にバーナーが使われます。火の太さ、温度を調整していくのは職人ならではの感覚で合わせていきます。太い本体をバーナーで溶かす際の暑さと時間との戦い、手作業で作られる注ぎ口の繊細な形も感覚だけで同じサイズに出来上がります。どこの部分も全てに簡単な所などありません。もちろん職人さんは、当然のように仕上げていかれますが、ずっと見ていたくなる美しい手仕事でした。

「蓋は別問題」

本体のデザインが「よし、これでいける!」となったのですが、今度は蓋がバーナーワークでは作れない問題が出てきました。
もちろんバーナーワークで作れる蓋はあるのですが、こだわった「口径の広い」に合わせると蓋を作ることができないということだったのです。

そこで次は蓋を作ってもらえる所を探すことに。そもそも蓋だけ作ってくださいというお願いを引き受けてくれるだろうか。そんな思いも持ちながら、型吹きを得意とする小泉硝子製作所にお願いしたところ「やってみましょう」という嬉しいお返事をいただけたのです。

型に合わせて吹き込んで作る「型吹き」。ここでも出来ること出来ないことを学びながらデザインを試行錯誤していかなければなりませんでした。

型吹きは、吹く息づかいや温度、時間に左右されるため小さく繊細な形を出すのは至難の業です

デザインの要になる蓋の持ち手部分。本体とバランスを合わせたデザイン、型吹きで作れる形、これらを何回も職人さんと調整しながら作り上げていきました。

たくさんの試作から調整しながら出来上がりました

「茶漉し別注問題」

試行錯誤して本体と蓋が出来たら一安心。というわけではありません。
この硝子の美しさをなるべく邪魔しない佇まいで、かつ茶漉しの役目は十分にというものを作らなければなりません。そこでコイル状に渦巻になった茶漉しにたどり着いたのですが、太さや巻きの大きさなど、茶葉は通りにくいか、急須へセットしやすいか、いろんな条件に合うように試作を繰り返しました。

出来上がった茶漉しですが、絶妙な丁度いい力加減でセットできるので、ぜひ少し気にして実感していただきたいです!

「最後までこだわります問題」

急須のつるは、規格品の寸法で合わせることが多いのですが、この急須の持ち手のサイズは8.5寸。
この寸法は別注で作ってもらったものです。急須の仕上がりに合わせて、どうしても0.5寸の差をこだわったそうですが、「あまり変わらないようにも思いますが」と聞いたら、
「これだけ試行錯誤してここまで仕上がった急須なのだから、最後の最後までよりよく調整したいんです。」と、たくさんの問題にぶつかってきた岩井さんから出てきた言葉には、感謝の思いがいっぱい詰まっていました。

実際、付け比べると9寸のものを付けてみたら、なんだか頭でっかちな雰囲気に。8.5寸のものがぴったりデザインと合うんです。

全てのパーツが違う場所で作られているのに、一つになったときに美しい佇まいを作り出す姿は、職人さんたちの思いも一つになったように思えて嬉しくなりました。

せっかくの扱いやすい硝子の急須なので、ぜひ毎日のお茶の時間をお楽しみくださいね。

企画担当:岩井

<掲載商品>
耐熱硝子の多用急須

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【わたしの好きなもの】梅雨時の体調を整える道具

気持ちの良い五月晴れの日もあれば、雨が降ったりやんだりの日もあって、この時期から梅雨に向けて、気圧の変化で体調が優れない日があります。湿気で体が重く感じたり、頭痛に気持ちが浮かない日もちらほら。
しかし、毎年やってくる体調不良に負けるわけにはいかない!と、自分なりに気持ちを切り替える生活を心がけるようにしています。

めまいや頭痛がでそうな雰囲気を察知したら、耳のまわりの血行をよくすると良いと聞いたので、ゆっくり耳を上下や横に引っ張ったり回したり。
温めるのも気持ちがよいので、小豆のネックピローも活躍します。首元から耳の下あたりまであたるようにすると、じんわり気持ちがいいのです。

もう一つ気に入っている温めグッズが「お顔の蒸しタオル」です。
すっぽり顔を覆うサイズ感で、耳付近まで覆ってくれるので「ほわぁー」っと声が漏れる気持ちよさです。

パイル地とガーゼの両面どちらでを顔に当ててもよいのですが、私は断然ガーゼ派です!ふかふかしていて、やわらかく包まれている感じがリラックスさせてくれるんです。
もちろん、マスク生活でなんだかガサガサしているお肌の調子は整うし、夏のお風呂上がりは冷蔵庫で冷やしておいて、冷感マスクを楽しんでいます。

体全体も重く感じる日は、首、肩から、ふくらはぎなどマッサージしてあげたり、ストレッチしたり。

毎日バタバタと忙しくできるのも、元気だからこそ!と思って、こういう季節は、いつもより少しだけ自分へ時間をかけるようにしています。

編集担当者
今井

【職人さんに聞きました】3児の父が手がけた、親子のための器

家で過ごす時間が増えた2020年。

中川政七商店から、親子の「食べる時間」をいつもよりちょっと深くする食器がデビューしました。

その名も「親子のための器」シリーズ。

お子さん向けの食器というと、落としても安心な木製やプラスチックのものも多いですが、
このシリーズはちょっと違います。

「落としたら割れてしまうという経験も込みで、ものに触れる時間を楽しんでもらいたい」

自身も4歳の子を持つデザイナーがそんな思いから企画したのが、つるつる、ざらざら、「触感」を楽しめるやきものの食器です。

平皿、飯碗、汁椀、マグカップの4アイテムを展開。汁碗以外は全てやきものです

たとえばマグカップは、底の部分に器をコーティングする釉薬をかけていません。

持った時に手の中でつるつる、ざらざらと違った手触りが感じられるようになっています。

一方で、子どもが持った時の安全性や、使いやすさも妥協はしたくない。

重すぎず、軽すぎず、丈夫で、やきものの風合いが楽しめる素材‥‥

検討に検討を重ねてたどり着いたのが、陶器と磁器のあいだの性質を持つ、「せっ器(半磁器)」でした。

やきものの中でも作るメーカーの少ないせっ器を手掛け、親心の詰まった商品のアイデアをかなえたのが、山功高木製陶です。

デザイナーの親心をかなえた、せっ器(半磁器)とは?

「ざらざらとした土の触感を味わうなら陶器ですが、陶器は薄く作ると欠けたり、割れたりしやすいんです。かといって厚くすると重みが出る。

薄く作っても丈夫なのは磁器ですが、今度は土っぽさがなくなります。

せっ器はある程度薄く作っても丈夫で、土っぽい手触りも味わえる。ちょうど陶器と磁器の中間のようなやきものなんですよ」

そう教えてくれたのは代表の髙木崇さん。デザイナーと一緒に試行錯誤しながらシリーズを作り上げました。

工房のある岐阜県土岐市は、古くから美濃焼を作ってきた町。陶器も磁器も手掛ける一大産地です。

近くの橋も、やきもので装飾されていました

「産地は分業制が進んでいて、たとえば駄知という町はどんぶりの産地として有名です。同じ市の中でも地域ごとに作るものが分かれているんですね。
うちの工房がある泉町は、『玉煎茶 (たませんちゃ) 』ってわかります?昔、公民館に行くと必ず見かけたような、青地に白い水玉模様の入った湯呑みをずっと作ってきた町でした」

あ、見たことある!という柄。こちらはお茶碗タイプ

しかし、こうした湯呑みを使ってお茶を飲むニーズが年々少なくなり、山功さんは作れるものを増やそうと、せっ器を手掛けるように。

陶器と磁器のいいとこ取りのような性質を持つせっ器ですが、あまり知られていないのは、作られるようになったのが比較的新しい時代だからだそう。

今回のシリーズがずらりと並びます

日本有数のやきもの産地であるこの一帯でも、手掛けるメーカーは限られるそうです。

「時代の変化に対応していきつつ、いろいろやっていくうちに扱う素材が増えて、アイテムもマグやプレートのような洋食器が増えて。気付いたら何でもできるようになってしまったっていう感じですね」

実は今回の器シリーズ、シンプルなつくりのようで、親子で使うシーンを想定したさまざまな設計の工夫がこらされています。

たとえば飯碗は、子どもの手で持った時に全体は「つるつる」、高台付近だけ「ざらざら」の触感を楽しめるように大きさ、厚み、重さを調整。

欠けやすい縁の部分は、厚めの「玉縁仕上げ」で丈夫になるようひと工夫。

平皿は、中の料理がすくいやすく、汁気のあるものも入れやすいように縁を立たせてあります。

デザイナーのイメージ、設計図と、前工程を担う生地屋さんや型屋さんの意見、高木さんの経験を掛け合わせながら、何度も試作をしてたどりついたかたちです。

「それと」

と髙木さんがおもむろに平皿の裏を見せてくれました。

「平皿だけは裏面にも釉薬をかけて、つるつるにした方がいいですよと提案させてもらいました」

重心が低く、置いて食べることが多い平皿は底部分を手で持つことが少ないので、釉薬が全体にかかっています。

その分サッと洗いやすく、親にも優しい設計です。

実は高木さん自身も、3人のお子さんを持つパパ。

作り手として、親として、どちらの経験ともが「親子のための器」のディティールに活きています。

工房には小さな自転車や似顔絵のイラスト、手作りの愛らしい器まで、お子さんの存在を感じるものがそこかしこにありました
娘さん作のお皿

「上の子は、学校から帰ってくると家に帰らずに真っすぐ工房に寄るんですよ。

後を継ぐのかわかりませんが、もし将来やりたいといった時に、ものづくりが変わらずできる環境は残してあげたいですね」

親子のための器シリーズは、大きくなっても使えるシンプルなデザイン。

いつかデザイナーや高木さんのお子さんが大きくなった時に、食卓を囲みながら「この器はね‥‥」と語る日がくるかもしれません。

企画から製造の現場まで、親心がたっぷり詰まった「親子のための器」シリーズでした。

<取材協力>
株式会社 山功髙木製陶

<掲載商品>
親子のための器

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