ゼリーや琥珀糖にも。「奈良の森のシロップ」使い方レシピ【奈良の草木研究】

工芸は風土と人が作るもの。中川政七商店では工芸を、そう定義しています。

風土とはつまり、産地の豊かな自然そのもの。例えば土や木、水、空気。工芸はその土地の風土を生かしてうまれてきました。

手仕事の技と豊かな資源を守ることが、工芸を未来に残し伝えることに繋がる。やわらかな質感や産地の景色を思わせる佇まい、心が旅するようなその土地ならではの色や香りが、100年先にもありますように。そんな願いを持って、私たちは日々、日本各地の作り手さんとものを作り、届けています。

このたび中川政七商店では新たなパートナーとして、全国の里山に眠る多様な可食植物を蒐集し、「食」を手がかりに日本の森や林業に新たな価値を創出する、日本草木研究所さんと商品作りをご一緒することになりました。

日本の森にまなざしを向ける日本草木研究所と、工芸にまなざしを向ける中川政七商店。日本草木研究所さんの取り組みは、工芸を未来へ繋ぐことでもあります。

両者が新商品の素材として注目したのは、中川政七商店創業の地である奈良の草木。この「奈良の草木研究」連載では、日本草木研究所さんと奈良の草木を探究し、商品開発を進める様子を、発売まで月に1回程度ご紹介してきました。

いよいよ最終回となる6回目の今回は、新商品「奈良の森のシロップ」の楽しみかたを紹介します。ミネラルウォーターや炭酸水で割って飲んでいただくほか、さまざまな使いかたができる今回のシロップ。中川政七商店おすすめのレシピで、ぜひ森の香りをご堪能ください。

日本草木研究所コラボ シロップ 奈良の森
日本草木研究所コラボ サイダー 奈良の森 200ml ※そのまま飲めるサイダーもございます

【基本の飲みかた】森のシロップのソーダ

シロップを炭酸水で割れば、夏にぴったりの爽やかなソーダドリンクに。草木がふわりと香り、大和橘のほんのりとした酸味と苦みで後味はさっぱりとお飲みいただけます。

材料(1杯分)

・奈良の森のシロップ‥適量
・炭酸水‥シロップの4倍の量

作りかた

1. グラスにシロップを注ぐ
2. 炭酸水を入れ、マドラーで混ぜて完成

森のシロップの番茶割り

番茶に少し加えると、レモンティーのような飲み口に。甘いおやつとの相性もバツグンです。

材料(1杯分)

・奈良の森のシロップ‥小さじ1~2
・番茶‥200ml

作りかた

1. 好みの濃さで番茶を作る
2. 湯飲みやマグカップに注ぎ、シロップをたらしてひとまぜしたら完成

森と柑橘の寒天ゼリー

奈良の森のシロップがあれば簡単にゼリーも完成。柑橘のほのかな酸味とやさしい甘みで、暑い夏のおやつにもおすすめです。粉寒天の量は、固さの好みに合わせて調整ください。

材料(2人分)

・奈良の森のシロップ‥75ml
・柑橘(お好みのもの)‥適量
・ミントの葉‥適宜
・粉寒天‥1~2g ※固めがお好きな場合は2g
・水‥160ml

作りかた

1. 鍋に水と粉寒天を入れ、沸騰したら弱火で1分ほどかき混ぜる
2. 火を止めてシロップを加える
3. 粗熱が取れたら型に注ぎ、冷蔵庫で1~2時間冷やし固める
4. 食べやすく切った柑橘と、好みでミントをのせたら完成

森のシロップのかき氷

少し贅沢にシロップを使った、お茶碗サイズのかき氷はいかがでしょうか。ひとさじ運べば口いっぱいに清涼感が広がります。

材料(1人分)

・奈良の森のシロップ‥適量
・氷‥適量

作りかた

1. かき氷機に氷をセットして、うつわに削り出す
2. シロップをかけて完成

森の琥珀糖

三時のおやつや、夜のお茶時間のお供としておすすめしたいのが琥珀糖。しっかりと乾燥させ、外はかりっと、中はぷるんと仕上げてお召し上がりください。

材料(縦21×横12×高さ2cmのバット1台分)

・奈良の森のシロップ‥小さじ1
・上白糖‥200g
・粉末寒天‥4g
・水‥200ml

作りかた

1. 鍋に粉寒天、砂糖、水を入れて煮詰める
2. 1をバットに流し入れ、シロップを加える
3. ゴムベラで全体を混ぜ、粗熱がとれたら冷蔵庫で1時間固める
4. 包丁で食べやすい大きさに切り分ける
5. クッキングシートにのせ、風通しの良い場所で1週間ほど乾燥させる
6. 表面が固くなり、全体が白っぽくなれば完成


文:谷尻純子
写真:奥山晴日

自然の恵みで、頭皮をすこやかに導く。トータルビューティーカンパニー「uka」のヘアケア

「髪や地肌に優しく、環境にもできるだけ負担の少ないものを使いたい」。そんなご要望にお応えして、トータルビューティーカンパニー・ukaとのコラボレーションにより、中川政七商店の植物由来シリーズから、シャンプーとコンディショナーが登場しました。

ひと足早く使ってみると、清々しい木々の香りと大和橘による柑橘の香りが爽やかで、今の季節にぴったりの使用感です。ukaと言えば、頭皮をマッサージする「ケンザン」が有名で個人的にも愛用中ですが、シャンプーとコンディショナーは初挑戦。一体どんな特徴があるのでしょうか。髪や地肌に触れるものだから、ものづくりに向き合うスタンスについても知っておきたい。そこで、株式会社ウカの代表取締役CEOの渡邉弘幸さんと、ヘッドスパマネージャーの大友麻莉子さんにお話をお聞きしました。

トータルビューティーカンパニーとは?

株式会社ウカの代表取締役CEOの渡邉弘幸さん

「1946年の創業時は、理容でスタートしたんです。そこから30年ほど経って、現会長の渡邉季穂が、ネイルのサービスを始めたのをきっかけに、ヘッドスパ、エステ、アイラッシュとどんどんメニューが増えていきました。

同じ場所で同時にいろんなことができると時短になるので、お客さまは嬉しいじゃないですか。何よりコンディションはすべてが密接に関係しているものなので、頭皮、お顔、肩こりなど総合的に見て、必要な施術をご提案できます。

中でも、大友が常駐する東京ミッドタウン店にはカフェも併設されていて、施術を受けながらドリンクやお食事をお楽しみいただけます」(渡邉さん)

ukaのヘアケアのこだわり

そんなトータルで美にまつわるさまざまなご提案をされているukaですが、ヘアケアにはどのようなこだわりがあるのでしょうか。

「皮膚も髪も爪もぜんぶアミノ酸でできてるんですよ。髪の毛の構造は、真ん中に毛管というアミノ酸でできた芯があって、それをキューティクルで覆っています。爪と一緒で、生えてきた瞬間から死んでいるので、1回生えてきたものがよみがえることはないんです。

だから、いい髪の毛を作るためには、そのための環境づくりとして、頭皮をととのえることが大切になってきます。生えてきた髪の毛については、どれだけ維持するかがポイントです」(渡邉さん)

ヘッドスパスペシャリスト/毛髪診断士の大友麻莉子さん

「まず、頭皮をよい状態に導くには、常在菌を適度に保ちながら、悪い菌を撃退するような環境にととのえる必要があります。
ケミカルで洗浄成分が強いシャンプーを使うと、その場しのぎでかゆみは取れますが、同時に頭皮の常在菌もいなくなってしまうんですよね。常在菌がいなくなると、外的要因によってすぐに頭皮が弱ってしまいます。

次に、生えてきた髪の毛は、紫外線やドライヤーなどいろんな原因によって、時間が経つにつれキューティクルが開いてしまうんですね。そうなると、毛管の中にあるアミノ酸がどんどん放出して、細毛、切れ毛、枝毛などの原因になります。
その対策としてよくあるのは、トリートメントで艶を出す方法ですが、それは一時的な対処法でしかありません。本来は、天然由来の成分でアミノ酸を戻して毛管を太くすることで、髪の毛を修復していくことが必要です。一時的な対処をするのではなく、頭皮から根本的にケアしていくことが必要なんです」(大友さん)

ukaのシャンプーの特徴

写真:奥山晴日

「だから、ukaのシャンプーは土台となる頭皮をととのえることを目指して作られています。
洗浄成分が強いシャンプーは、食器を洗うような強さで作られているものも多いんです。そういうもので頭皮を洗うと、保湿に必要な油分も落としてしまいます。そうすると頭皮がカサカサになって、土壌が枯れ果てたような状態に。乾燥することによって毛穴も広がってしまい、髪の毛がぺたっと寝てしまったり、毛穴のカタチがゆがんで、うねうねした髪の毛が生えてきたりします。

また、必要以上に油分を落としてしまうと、地肌はその分を補おうとして油分を過剰に分泌するので、シャンプー後しばらくしてからべたついたり、匂いが気になってしまいます。そうなると、お客様自身はべたついていると感じるから、もっと洗浄力の強いシャンプーを使わないといけないと思って、悪循環に陥ってしまうことも多いんです。

肌や髪の主成分と同じアミノ酸でできた洗浄力が優しいシャンプーで、不要な分だけ汚れを落として、保湿に使う油分や保護膜は壊さないように洗っていくことが大切です。

ukaでは、その哲学にもとづいてシャンプーを開発しています」(大友さん)

洗浄力が優しいシャンプーは使うコツがある

「ただ、洗浄力が優しいシャンプーでざざっと適当に洗ってしまうと、汚れが溜まっていくので、ぬるま湯で1分程度予洗いをしてから洗うことが大切です。

必要なステップを踏んだうえで使用すれば、成分が優しいものでもきちんと泡立ちます。余分なシリコンや付着物が落ちるまで時間はかかるけれど、数回使っていただければ、ノンシリコンのアミノ酸系のシャンプーでもしっかり泡立ちます。
1回使って泡立ちが悪いと思って止めてしまうとよい髪の毛が育っていかないので、最初は手間に感じてもぜひ続けてみてください」(大友さん)

植物由来のシャンプーとコンディショナー

では、今回一緒に作ったシャンプーとトリートメントについては、どのような特徴があるのでしょうか。

「今回は、自然の恵みから採取した5つのキー成分として、髪が生える土壌となる頭皮を健やかにするクロモジ、ツヤやコシ、まとまりを与えるフノリ、うるおいやしなやかさを生み出すツバキ、保湿しながらダメージを受けにくい髪へと導くコメ発酵液、ボリュームやハリ、コシなどに働きかけるヘナを配合しています。ヴィーガン処方の20種類のアミノ酸が、毛髪ダメージを補修してくれます」(渡邉さん)

写真:奥山晴日

「さらに、大和橘が入っているので、ビタミンCが豊富。柑橘系の成分なので、匂い予防にもつながります。日焼けした時にビタミンCのパックをしたりするじゃないですか。ビタミンCが豊富ということは、発売する夏の季節にはとくにいい作用になると思います。

大和橘の蒸留水が20%、クロモジが10%程度と、水分の30%を抗菌力の高い成分が占めているのも特徴です。天然由来で抗菌力が高く、常在菌を殺さずに悪い菌だけを取り除いてくれるので、安心してお使いいただけます。

トップノートは植物の青々しい香り、そこに大和橘のビターな柑橘の香りがあわさって、香りも夏にぴったりの爽やかさだと思います」(大友さん)

写真:枠谷結也

<掲載商品>
植物由来のシャンプー
植物由来のコンディショナー

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文:上田恵理子
インタビュー写真:田ノ岡宏明

【くらしの景色をつくる布】#4シカとクマ・鹿熊茉夕さん

皆さんは暮らしを飾るインテリアを、どんなふうに選んでいますか?

いわゆる賃貸のマンションに住んでいると、間取りや壁紙などの躯体はそんなに代わり映えがしません。かく言う我が家も賃貸マンション住まいです。
暮らしを飾る物を上手に取り入れることで、もっと自分らしい心地好い空間をつくっていきたい。個人的にもそう思っていた折に発売したのが、インテリアコレクション「くらしの工藝布」。使い手次第でさまざまな取り入れ方が膨らむ表情豊かな布たちは、暮らしを飾るのにぴったりのアイテムです。
この人ならどんな風に取り入れるんだろう?と気になった方にお声がけして、実際に使ってみていただきました。

シカとクマ・鹿熊茉夕さん

今回訪ねたのは、InstagramやYouTubeなどでご自身の暮らしを発信されている、「シカとクマ」の鹿熊茉夕さんのご自宅です。

IT系のUIデザイナーとしてお仕事される傍ら発信している、自宅での暮らしの様子が注目を集め、現在15万人ほどのフォロワーがいらっしゃいます。
中古住宅を古民家風のご自宅へとDIYでリノベーションしていく様子には、家づくりのヒントがたくさん散りばめられており、私も発信を楽しみにしている一人です。

「シカとクマ」の屋号は、名字の「鹿熊」からとっているそうで、ご自宅にも、鹿と熊のオブジェがそこかしこに飾られていました。

祖父母から引き継いだ、中古住宅をセルフリノベーション

中古住宅をDIYでセルフリノベーションしたというものの、一体どれくらい手を加えているのか、まずは鹿熊さんの家づくりからお話を聞いていきました。

「夫の祖父母の家を引き継いでいるのですが、もともとはよくある一般的な雰囲気の住宅でした。
ここに引っ越してくる前は、都内の賃貸マンションに住んでいたのですが、もう少し広い部屋でのんびり過ごしたいなという思いがあって。そんなタイミングで、祖父母の家を売りに出すという話があったので、見に来たのがきっかけです。全体的にあんまり好みの雰囲気ではなかったんですけど、和室と味のある古い箪笥があって。この箪笥に似合う空間を作っていこうと決めました」

鹿熊さんが受け継いだ箪笥

「古民家巡りが昔から好きだったんですよね。それで、和室のよさを生かしながら、自分好みの空間に近づけるべく少しずつ変化させてきました。すべての部屋をDIYによって手を加えています。
和の雰囲気に合うように、色合いはかなり重要視していて、茶色と白と黒で統一しています。素材も大切で、経年変化が愉しめる味わい深いものを揃えるようにしています。

一つひとつ自分の手で選び作りながら変えていく中で、どんどんこの家に対する愛着が沸いてきました。もともとは受け継いだものですが、今では自分の家という気持ちを持っています」

「発信を始めたのは、この家に引っ越してきてしばらく経ってから、どうせならこの暮らしを記録として残していきたいなと思って、趣味のつもりで始めました。いつの間にか見てくださる方が増えて、自分のモチベーションもあがって、日々の暮らしを愉しみながら、投稿させていただいています」

そんな古民家の佇まいをもつ鹿熊さんのご自宅で、「くらしの工藝布」を取り入れていただきました。取り入れていただいたのは、こちらのラインナップです。

二重織刺し子の掛敷布 M
手刺しのタペストリー散し S
二重織刺し子の長座布団
二重裂織の飾り布 S

部屋の雰囲気を気軽に変えられる「二重織刺し子の掛敷布」

二重織刺し子の掛敷布M 墨/薄茶

「布ものって面積が大きいから、物によっては主張が強すぎちゃうこともあるじゃないですか。そういうの結構気になるタイプなんですけど、これはすっと部屋になじんでくれて。主役かのように主張はしてこないけど、個性は出せる。そのバランスがいいなと思いました。今回使った『くらしの工藝布』すべてに言えることだと思います」

二重織刺し子の掛敷布 M 薄茶/朱

「それに、床に敷くものって重厚感あるものが多いので、敷いたら永遠に敷きっぱなしになってしまう印象があるんですよね。
でも私は基本的に在宅で仕事していて自宅にいることが多いので、気分転換にインテリアの雰囲気を変えるのが好きなんです。頻繁に配置を変えるので、軽くて動かしやすいのが魅力的だと思いました。
物自体もリバーシブルで使えるので、その点でも雰囲気を変えやすいですよね」

どんな部屋にもなじむ「手刺しのタペストリー」

「『手刺しのタペストリー』も、主張し過ぎずに個性を出せるのがいいなと思いました。刺繍で模様が描かれているけど、どこに置いてもなじみがいいというか。どんな部屋でも合いそうだなと思いました」

話しながら、「こっちにもよさそうですね」と、別の部屋に飾る鹿熊さん

「色合いもすごくいいですよね。
うちは壁も自分で漆喰を塗っているので、白なんですけど少し凹凸があって、影ができて真っ白っていう雰囲気ではないんですよね。壁だけじゃなくて家に取り入れる素材は天然素材のものが多いので、全体的にゆらぎがある。そういう壁や空間のムラ感との相性がすごくいいなと思いました。天然素材との相性がいいですね」

「刺し子の技法で手仕事で作られているのも素敵ですよね。
私も自分で手作りすることが好きなので、手で一つひとつ作る手間や時間、作ることで生まれる物へのこだわりも分かるので、手跡が見えることでより愛着が沸くというか。改めて、手仕事のものを大切に使いたいなという気持ちにさせてくれました」

複数の使い方ができる「二重織刺し子の長座布団」

二重織刺し子の長座布団 / 墨

「『二重織刺し子の長座布団』は、ふかふかしていて、サイズ感もちょうどよくて、本当に気持ちいいですよね。

それに、複数の使い方ができるのもいいなと思いました。座布団として敷くのはもちろん、折って壁に沿わせて座椅子のように使うこともできます。どの商品もそうなんですけど、やっぱり柔軟性の高さは魅力です。

インテリアの雰囲気を変えたり、物をさまざなま使い方で愉しみたい気持ちがあるので、複数の使い道を考えられるのはすごくいいなと思いました」

「色も、少しムラっぽいゆらぎのある風合いになっていてよかったです。
この部屋は、壁をあえてムラっぽく塗っているんですけど、壁との相性もばっちりでした」

古家具のサイズにフィットする「二重裂織の飾り布 」

二重裂織の飾り布 / 柿渋染 焦茶 S

「古家具が好きなのですが、結構サイズがユニークで、幅が狭い物や小さい物があるんですよね。『二重裂織の飾り布』は細長いので、奥行きが狭いテーブルにぴったり合うサイズ感がまず嬉しくて。絶対ここに使いたい!と思って選びました」

「今日は茶香炉を使いましたが、お茶を淹れる時にもさりげなく道具とマッチしてくれてよかったです。
木の天板に直接温かいものを置くと跡がついてしまうので、お茶を飲む時はとくに敷布がほしくて。サイズが合う好みの布に出会えて嬉しかったです」

自然のものを身の回りに置いて、癒される空間づくりを

「今回取り入れてみて、『くらしの工藝布』は天然素材との相性がいいなと思いました。色合いも素材感も、主張し過ぎずナチュラルに馴染んでくれたので、すごくよかったです。

私は仕事でデジタルな物事に向き合うことが多いので、そこから離れてアナログなもの、自然のものに触れる時間に癒されるというか、惹かれている節があると思います」

「自分の好みを再確認して、無理がない程度に集めていって、ちょっとずつ自分の好きなものを増やしながら、好きな空間を作っていくことで、心地好さが増していくんじゃないかなと思います。

道具はよく使うからこそ、長く使えるものを選んで、暮らしを豊かにできたらいいなと思っています。

使いやすさももちろん大事だけれど、優しさ、味わい深さ、経年変化など、見た目だけではない物の佇まいをすごく重視しているように思います。癒されたいんです(笑)」

祖父母から受け継いだ中古物件を古民家風にセルフリノベーションして暮らす、鹿熊茉夕さんによるSNSアカウントは下記よりご覧ください。
「シカとクマ」Instagram
「シカとクマ」YouTube


<掲載商品>
二重織刺し子の掛敷布 M
手刺しのタペストリー散し S
二重織刺し子の長座布団
二重裂織の飾り布 S

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くらしの景色をつくる布

文:上田恵理子
写真:田ノ岡宏明

【イベントレポート】「職人さんを囲むトーク&交流会」〜三河のガーゼケット「BLANKED」の中瀬元さん&太田圭佑さん〜

全国各地に綿々と息づく、日本のものづくり。普段、何気なく使っている日用雑貨にも、長い歴史の中で培われ、蓄積されてきた、その産地ならではの知恵や工夫が活きています。

「さんち商店街」で紹介するブランドを訪れて話を聞くと、一つの商品が出来上がるまでの背景やストーリーにワクワクすると同時に、その果てしない道のりに驚かされることもしばしば。これほど多くの職人さんの多様な技を要し、さまざまな工程を経てはじめて、私たちの手元に届くということに感動を覚えます。

知っているようで意外と知らない、そんなものづくりの奥深さや細やかさ、そして面白さをより多くの方に、もっと身近に感じていただけたら。そんな思いを込めて「職人さんを囲むトーク&交流会」を開催しました。

「BLANKED」を手がける太田圭佑さん(左)と中瀬元さん。

※イベントの概要はこちら:https://www.nakagawa-masashichi.jp/staffblog/blog/b1162/

知るほどに面白い、ものづくりの裏側

今回お招きしたのは、さんち商店街で高い人気を誇る三河のガーゼケット「BLANKED」を手がけるブランドマネージャーの太田圭佑さんと、三河木綿の産地で織りと縫製を行う機屋、ナカモリの社長・中瀬元さんです。

「ガーゼケットとは、簡単にいえばタオルケットの生地がガーゼになったもの。軽くてふんわりとした手ざわりが特長で、それに加え、BLANKEDは高い吸水性を持ち合わせています。」と話す太田さん。

「まずは一見にしかず」と、商品になる前のガーゼ生地と、BLANKEDにそれぞれスポイトで水をたらり。前者は表面に水の玉ができるのに対し、後者はあっと言う間に生地に染み込みました。参加者からは「おー!」「すごい」「こんなに違うのね」との声が挙がります。

トークセッションでは、そんなガーゼケットが生まれるまでの背景をスライドとともに解説。そもそも三河木綿が生まれたのは江戸時代であること。三河にはかつて1400軒もの織物工場があったのに今では20軒しかないこと。綿花のほとんどは輸入品であり、栽培地によって色や性質がそれぞれ違うこと。

糸の原料である綿花。産地ごとに個性もさまざま。

そして繊維産業は分業制が基本であり、ガーゼケットも紡績、染色、織り、縫製、洗いなど、各分野の職人さんに支えられているということ。工程の一つ一つを、順を追って分かりやすく説明をしてくれたお二人の話を聞くにつれ、ものづくりの面白さを実感するとともに、生み出すことの難しさを改めて知ることになりました。

やみつきになる肌触りの秘密

織りを担当する中瀬さんは会場に太さの異なる数種類の糸を用意。なかでも一番細い糸は、少し力を入れて引っ張るとすぐにプツンと切れてしまうほど繊細なものでした。

糸の太さによって、生地の質感は大きく変わる。

「織物をより柔らかな質感に仕立てるには経糸(たていと)が決め手で、細い糸を使えば使うほどふんわりと柔らかな仕上がりになるんです」と中瀬さん。

「でも、それが難しいんですよね……」と太田さんは言います。

「そうなんです。細い糸は繊細で切れやすい。ガーゼケットの場合、160㎝幅に8000本の細い経糸が通っていて、そのすべての張り具合を均一にしなければならない。テンションをかけすぎれば切れるし、緩すぎればたるんで引っかかったりすることになるんです」

職人さんが経糸1本1本の張り具合を手作業で調節する。

そんな中瀬さんの話に「8000本の糸を同時に操作?」「どうやって同じテンションをかけているんですか?」と参加者も興味津々の様子で聞き入っていました。

BLANKEDは4層構造。イベントではその断面を見せてくれた。

さらに「BLANKEDは4層構造でできていて、中層部分にはあえて太い糸を使用しています」と太田さん。それはどうして? 

「表面に細い糸を使うと肌触りがなめらかになります。でも、それだけだとガーゼとしては頼りない。中層に太い糸を通すことでもちっとした頼りがいのある感触が生まれるんです。このバランスこそが、やみつきになる肌触りの秘密です」

シンプルゆえの、無限の可能性

イベントの後半、「開発において面白かったことは?」という質問に対して、

「織物の組み合わせって無限大なんですよね。どんな糸を使い、どう染め、どう織るのか。その一つひとつを選択することは難しくもありながら、とても面白かったです」と話す太田さん。中瀬さんも、「織物は、経糸と緯糸(よこいと)の組み合わせでできていて、実はとてもシンプルなんです。だからこそ太田さんの言うように無限の可能性があるんですが、それだけにやりすぎちゃうこともあって……(笑)」と応えます。

「確かに。最初は4層構造ではなく、6層や8層にしようとしていましたよね。でもそれだと分厚くてボリュームが出すぎてしまって……」(太田さん)

「オーバースペックになりすぎた。そこをうまく太田さんが調整してくれて〝ちょうどいいものづくり〟ができたと思います。とはいえ、まだまだ最終形ではありません。だって綿織物に限界はありませんから」。そう力強く語る中瀬さんが印象的でした。

さて、トークの後は交流セッションに。参加者は、太田さんと中瀬さんにさまざまな疑問・質問を投げかけていました。

「ガーゼケットを家で洗う時のおすすめの方法はありますか?」

「敷きパッドダブルサイズは作らないんですか」

「ガーゼケットやガーゼハンカチの次は、何を作る予定?」

最後の質問に対して、参加者からは「肌触りがいいのでパジャマが欲しい」、「夏に使えるストールも!」といった声が挙がるなど、和気あいあいの雰囲気のなか話に花が咲いていました。

職人さんの声を生で聞くことができる今回のイベントは、ものづくりへの理解度を深め、ガーゼケットそのものに対する親近感や愛着をより深めてくれたような気がします。

さんち商店街では、職人さんから直接ものづくりのお話を伺うこのような機会を、これからも様々な形で企画したいと考えています。

第1回のイベントレポートはこちら:https://story.nakagawa-masashichi.jp/264735
BLANKEDブランドページはこちら:https://www.nakagawa-masashichi.jp/shop/r/rbrand04/

【あの人が買ったメイドインニッポン】#45 日本草木研究所の古谷知華さんが“自分で作るもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、日本草木研究所の古谷知華さん。今回は「自分で作るおすすめメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

ラヂオは6つのプラットフォームで配信しています。
お好きなプラットフォームからお楽しみください。

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YouTube

[古谷知華さんの愛着トーク]
・食への興味が昔から強く、山に入るように
・自分で作るおすすめは、「日本草木研究所・にっぽん生胡椒」
・日本にも実は胡椒が生えていた!
・沖縄以南で生える「ピィパーズ」は、生では市場に出回らない
・生胡椒は日本草木研究所でしか買えない…!
・ロングペッパーと呼ばれ、3~5cmほどの長さがある
・ふつうの胡椒よりも辛みも癖も強く、複雑な味をしている
・豚バラを巻いて焼くとビールのあてに最高

古谷知華さんが自分で作るおすすめメイドインニッポン

古谷知華さんが“自分で作るおすすめ”メイドインニッポンは、「日本草木研究所・にっぽん生胡椒」でした。


ゲストプロフィール

古谷知華

調香師、プロデューサー
1992年生。2015年東京大学工学部建築学科卒業。調香やハーブ・スパイスに関する知識を活かし、クラフトコーラ「ともコーラ」やノンアル専門ブランド「のん」等の飲食ブランドを設立する。日本各地の山に入り食材獲得するのが趣味で、日本草木研究所を立ち上げる。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、日本草木研究所の古谷知華さんにお話を聞いていきます。8/2(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【わたしの好きなもの】今日暑いな。これ着よう!「極薄綿のプルオーバー」

みなさま今年も夏本番、猛暑がやってきましたね。

暑さに対応するために、毎日着るものも悩ましいところ。
そんな折、「暑かったら絶対これを着たらいいですよ!!」とすごい熱意で「極薄綿のプルオーバー」を推しているスタッフを発見しました。

麻布Tシャツや麻のブラウスなど、夏はやっぱり麻などの涼しい素材を着ることが多い私。
極薄綿にも興味が沸き、スタッフの村垣さんをつかまえて、おすすめポイントを聞き出しました。

推しポイント1 すごい乾くのが早くて夏の不快感がない

「汗でべたっとまとわりつかないのが、すごくいいんです!!
ずっとサラサラで、汗をかいたそばから乾いていくのがすごいんです」

村垣さんの勢いはとどまることなく説明がはじまりました。

「まるで着ていないかのような軽さで、綿100%だけど麻のようなシャリ感があります。着た時にさらっとしながら、ひんやりする感じもあって、とても気持ちいいんです!
すぐに乾いていくから、汗だくになってもべったりしなくてサラサラが続くし、汗じみにもならないんですよね。とにかくすぐに乾くんです!」

汗をかいたそばから乾くって、ほんとに?と、まだ信じられない私は、サンプルを吹きで濡らして乾く時間を計ってみました!

洗濯の脱水状態よりも濡れた状態にしてから、乾かしてみました。
・外で揺らしながら乾かすと約2分
・部屋の中でサーキュレーターをあてて乾かすと約5分

「めっちゃ早い!!」
綿100%のものが、こんなにすぐに乾くものと思っていなかったので、今まで知らなかったのが惜しまれるような気持ちになりました。
(そのあと、社内で「極薄綿すごいんですよ」と、会う人全員にアピールしました。)

推しポイント2 風が通って涼しく感じる

村垣さんお気に入りの極薄綿のプルオーバーの黄色

「なんなら着てるほうが心地好いんですよね。
家でもあえてタンクトップの上に着ているくらいです。
外でも風が吹くと、服と体の間に風の通り道ができて風を感じるので、着ているほうが涼しい気がします。七分袖が日差しをやわらげてくれるし、冷房の冷気よけにもなって、袖があるのも気に入ってます。」


これも、風が通る感覚が不思議で、さっそくサンプルを着用して過ごしてみました。
たしかに、ゆったりとした袖口から風が入ってきて、生地が軽いので風の通りを邪魔しない。服の内側がそよそよしてる感じです。

▲ボトムスも軽くて涼しい麻のサマーパンツと合わせてみました。

村垣さんは、休日も極薄綿のトップスを愛用していて、家の中でも暑くないし、宅配便も受け取れるし、そのまま出かけられるので一日中着ているとのこと。
洗ってもすぐ乾くから、家しごとで汗をかいたら、洗って干している間にちょっと休憩していれば、またすぐ着れるという優れもの。

家でも会社でもずっと着ていたい

会社の日も休日も着るために色違い形違いを何枚か持っているそうです。
透け感が大人っぽくてインナーとの合わせ方でいろいろ楽しめて、夏の間できるかぎりこれで過ごしたいと、着こなしポイントもしっかりおすすめされました。

キャミワンピに合わせるのもおすすめされました。


「できることなら社内のスタッフ全員に配りたいくらいの気持ちです!」
「暑いなと思ったら、これ着てくださいね。」
インタビューが終わるまで、ずっとおすすめしてくる熱意がすごかったです。
もちろん早速その日の内に私も購入しました!


<掲載商品>
極薄綿のプルオーバー
極薄綿のチュニック
麻のサマーパンツ

編集担当
岩井