3歳になった息子がかわいい。
子どもの成長は本当に早いと実感する今日この頃。最近では随分と自己主張が激しくなってきた。
なにかを表現したい気持ちの強さと、まだまだ乏しい語彙力とのアンバランスさにもがいているようで、とにかく体全体でアピールをする。
思い通りにならないことがあると膝から崩れ落ち、うつむきながら「残念になっちゃった」というのがお決まり。ちゃっかりクッションのあるところに移動してから崩れ落ちるのが愛らしい。
子どもの好き嫌いにどう対応するか
そんな息子だが、自己主張とともに段々と食べ物の好き嫌いも増えてきた。
好きなものばかり食べていては栄養も偏ってしまうし、せっかく作ったものを食べてくれないと、親としてもストレスが溜まる。
さて、どうしたものか。
よくよく観察していると、ある日は喜んで食べていたものでも、別の日にはまったく食べない、ということがある。気分の問題かと思ったが、どうやら食べ物の組み合わせによって変わっているよう。
これは、好き嫌いというより、“好き”の中にかなり濃淡があるんだと気づく。
好きなものが2つ並んだ時に、より好きな方でお腹を満たしたいので、そちらばかり食べてしまう。好きか嫌いかの2択でしか表現できないから、こっちは(相対的に)嫌い、ということを言っている。
つまり、単体で考えたとき、純粋に嫌いなものはそんなに多くないのではないか。
なるほど。それなら、うまくすれば色々と食べてくれそうな気がする。
豆皿に小分け作戦で、バランスよく食べさせる
ということで、我が家で実践しているのが、豆皿に小分け作戦。
文字通り、家にある豆皿を使って色々な食べ物を小分けにして出す。品数も増えるし、見た目にも華やかになって息子もなにやら嬉しそう。
とは言ってもそれだけで問題は解決せず、当然、一番好きなものを真っ先に食べて「おかわり」を要求してくる。
まずは粘り強く、「他のものも食べてからね」と言って促してあげるのがポイントだ。
「やだ、おかわり」
「他も食べてから」
「えー、おかわり」
「大丈夫。食べられるよ」
何度か押し問答をしていると、次第に「これくらいならいけるかも?」といった感じで残りの品にも手をつけ始める。
一品食べるたびにお皿が綺麗になっていくので達成感があるのだろうか、少し誇らしげな表情になることも。
調子が出てきたところで「お皿を持って食べてみたら?」と言ってみると、親の見よう見まねでしっかり手に持って食べてくれた。
陶磁器の豆皿は、子どもの手におさまるサイズで適度に重さもあって持ちやすい。はじめてうつわを持って食べる練習にも最適だと思う。
それにしても、本人は事もなげにやっているが、こちらはその成長の早さに驚かされていちいち感動してしまう。大きくなったもんだ‥‥。
豆皿を使うその他のメリット
小分けにするメリットは他にもある。
料理同士が混ざらないので、「このお皿はサラダ」「こっちはトマト」という風にそれぞれの料理をはっきり認識して食べるようになった。おかげで、何が好きで嫌いなのか、こちらも判断しやすくなった。
大人と同じ焼き物のうつわを使っていることも、本人にとっては嬉しいことなのかもしれない。
苦手なほうれん草にも果敢に挑戦する息子を見た妻いわく「自分のうつわだと認識して責任感のようなものが芽生えているのかも」とのこと。
実際にどう感じているかは本人にしか分からないが、いつもより頑張って色々と食べてくれることは確か。
それでも、どうしても食べられないものは出てくる。そんな時は無理をせず、また次回、色々な組み合わせを試しながら、ちょっとずつ苦手意識を減らしていければよいかなと夫婦で話している。
幼児食以外に、我が家では離乳食を入れるうつわとしても豆皿を重宝していた。縁起のよい柄のものが多いので、たとえば自宅でのお食い初めに使っても雰囲気が出ると思う。
陶磁器は傷や汚れがつきにくいので、丁寧に使えば子どもが生まれた時から何年も活躍してくれる。もちろん、プラスチックなどと比較して、落とした時に割れやすいリスクはあるけれど、そこも踏まえて、ものを丁寧に扱うことを教えてあげるよい機会になるはず。
うつわの形やデザインが好奇心を刺激する
「なんで形が違うの?」「これはなんの絵?」
今回、形・絵柄が異なる5つの豆皿を使ってみたところ、食べ終わってからも色々と気になる様子だった。
もう少し大きくなれば、素材や産地、作っている人たちのことにまで興味をもってくれるかもしれない。
その先に、窯元や産地の個性、職人の手仕事など語ってあげられる“背景”があることで、学びにもつながるし、大人も楽しめる。
様々な形や色、デザインがあり、気軽に購入できる豆皿は、子どものうつわ始めとしてもうってつけ。
日常で使う道具をきっかけに、様々なことに自然と興味を持ってくれれば嬉しい。かわいい息子と豆皿の組み合わせを眺めながら、そんなことを考えている。
<掲載商品>
・有田焼 染付の豆皿
文・写真:白石雄太