お正月に「おっ」と一目置かれる、実用的で縁起のいい工芸品

いよいよ2018年も、残すところあと2日。お正月を迎える準備は整いましたか?

今日は、家族や友人など集まる機会が多くなるお正月に用意しておくと、「おっ」と一目置かれるような工芸品をご紹介します。一生モノとしても間違いないものたちです。

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子どもが一生、食べることに困らないように。ずっと使える、越前漆器のうつわ

赤ちゃんがはじめて使う器は、やっぱり良いものにふれさせてあげたい。でも「お食い初め」だけに使うにはもったいない。軽くて割れにくい、一生モノの器をご紹介します。

産地:鯖江

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栃木県鹿沼市の伝統工芸品・鹿沼箒、かぬまぼうき

一生もののお掃除道具、鹿沼箒

いま改めて注目されている“ほうき”。年間25本ほどしか生産できない貴重な「鹿沼ほうき」は、最高にめでたい嫁入り道具とされて重宝されています。

産地:益子

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朽ちない・錆びない。繁栄を願う「錫」の贈り物

数多ある金属のなかで、錆びない・朽ちない性質を持つことから縁起が良いとされ、繁栄を願う贈り物としても親しまれているものが、「錫(すず)」です。錫は不純物を吸収し、水を浄化する性質があるとされ、錫の器はお酒の味わいを柔らかくまろやかにするともいわれています。

産地:京都

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伝統的な縁起ものを現代風にアレンジ。様々な使い道がある新しい升

見た目もとにかく可愛い!シンプルな木枡もいいけれど、鮮やかでデザイン性の高い木枡は日常的に様々な使い方ができそうです。

産地:岐阜

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有田焼ヤマト陶磁器 水引 一珍 タンブラー 結婚祝い

毎日使いたくなる、水引の有田焼タンブラー

華美な美術品といったイメージも強い有田焼を、現代のライフスタイルに合ったシンプルなデザインで使いやすく。立体的な水引のモチーフが浮かび上がる絵付けが贈りものにもぴったりです。

産地:肥前

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気になった記事はありましたか?読み返してみると、また新しい発見があるかもしれません。

それでは、次回もお楽しみに。

有田焼の染付豆皿(梶謙製磁社)

特集「産地のうつわはじめ」

中川政七商店の全国各地の豆皿
11窯元の豆皿をご紹介していきます

はじまりは、調味料用の「手塩皿」

今回ご紹介するのは、有田焼の「染付」シリーズです。小ぶりな佇まいと、中央に描かれたワンポイントの絵付けがなんとも愛らしい豆皿。

中川政七商店の有田焼の豆皿

そのはじまりは、有田で生産されていた調味料用の「手塩皿」だといわれています。

古くは食膳の不浄を払うため、また好みで少量の塩や薬味を盛って食膳に添えるため、数多くつくられました。

中川政七商店の有田焼の豆皿

こうしたゆかりのある地で、創業から250年以上焼き物を続けている老舗窯元「梶謙製磁社」とともに、素地に藍色のみで絵付けをした染付の豆皿をつくりました。

鹿・鶴・松・竹・梅と縁起のよいモチーフを、一つひとつ、女性の絵付け師さんが手描きで表現しています。さりげない濃淡や細やかな線が、職人の手仕事ならではの味わいです。

中川政七商店の有田焼の豆皿

料理を引き立てる美しい白磁に素朴な絵柄を合わせたお皿は、おもてなしはもちろん、普段の食卓にも使いやすいのが魅力です。

中川政七商店の有田焼の豆皿

国内で最初につくられた磁器「有田焼」 

華やかな絵付けの伝統的な有田焼。有田観光協会提供。
伝統的な有田焼

「有田焼」のはじまり

江戸時代の初め、朝鮮人陶工・李参平らによって有田町の泉山で磁器の原料となる陶石を発見し、日本で初めて白磁のうつわを焼いたことから「有田焼」が始まったと伝えられています。透き通るような素地の白さと、繊細で華やかな絵付けが特徴です。

産地のうつわはじめ

益子焼
九谷焼

子どもが「豆皿」で好き嫌いを克服した話

3歳になった息子がかわいい。

子どもの成長は本当に早いと実感する今日この頃。最近では随分と自己主張が激しくなってきた。

なにかを表現したい気持ちの強さと、まだまだ乏しい語彙力とのアンバランスさにもがいているようで、とにかく体全体でアピールをする。

思い通りにならないことがあると膝から崩れ落ち、うつむきながら「残念になっちゃった」というのがお決まり。ちゃっかりクッションのあるところに移動してから崩れ落ちるのが愛らしい。

子どもの好き嫌いにどう対応するか

そんな息子だが、自己主張とともに段々と食べ物の好き嫌いも増えてきた。

好きなものばかり食べていては栄養も偏ってしまうし、せっかく作ったものを食べてくれないと、親としてもストレスが溜まる。

さて、どうしたものか。

バナナジュースが大好物な息子
バナナジュースが大好物

よくよく観察していると、ある日は喜んで食べていたものでも、別の日にはまったく食べない、ということがある。気分の問題かと思ったが、どうやら食べ物の組み合わせによって変わっているよう。

これは、好き嫌いというより、“好き”の中にかなり濃淡があるんだと気づく。

好きなものが2つ並んだ時に、より好きな方でお腹を満たしたいので、そちらばかり食べてしまう。好きか嫌いかの2択でしか表現できないから、こっちは(相対的に)嫌い、ということを言っている。

つまり、単体で考えたとき、純粋に嫌いなものはそんなに多くないのではないか。

なるほど。それなら、うまくすれば色々と食べてくれそうな気がする。

豆皿に小分け作戦で、バランスよく食べさせる

ということで、我が家で実践しているのが、豆皿に小分け作戦。

おかずを小分けにして豆皿に盛り付ける
おかずを小分けにして豆皿に盛り付ける

文字通り、家にある豆皿を使って色々な食べ物を小分けにして出す。品数も増えるし、見た目にも華やかになって息子もなにやら嬉しそう。

なにやら豪華な雰囲気に
なにやら豪華な雰囲気に

とは言ってもそれだけで問題は解決せず、当然、一番好きなものを真っ先に食べて「おかわり」を要求してくる。

奥に好きなもの、手前にやや苦手なものを配置
奥に好きなもの、手前にやや苦手なものを配置
迷わず大好物のトマトから!
迷わず大好物のトマトから!

まずは粘り強く、「他のものも食べてからね」と言って促してあげるのがポイントだ。

「やだ、おかわり」
「他も食べてから」
「えー、おかわり」
「大丈夫。食べられるよ」

何度か押し問答をしていると、次第に「これくらいならいけるかも?」といった感じで残りの品にも手をつけ始める。

一品食べるたびにお皿が綺麗になっていくので達成感があるのだろうか、少し誇らしげな表情になることも。

しばし、ナポリタンに集中
主食のナポリタンもしっかり食べる

調子が出てきたところで「お皿を持って食べてみたら?」と言ってみると、親の見よう見まねでしっかり手に持って食べてくれた。

子どもの手にぴったりで持ちやすいらしい
子どもの手にぴったりで持ちやすいらしい
豆皿を手に持って食べる

陶磁器の豆皿は、子どもの手におさまるサイズで適度に重さもあって持ちやすい。はじめてうつわを持って食べる練習にも最適だと思う。

それにしても、本人は事もなげにやっているが、こちらはその成長の早さに驚かされていちいち感動してしまう。大きくなったもんだ‥‥。

豆皿を使うその他のメリット

小分けにするメリットは他にもある。

料理同士が混ざらないので、「このお皿はサラダ」「こっちはトマト」という風にそれぞれの料理をはっきり認識して食べるようになった。おかげで、何が好きで嫌いなのか、こちらも判断しやすくなった。

大人と同じ焼き物のうつわを使っていることも、本人にとっては嬉しいことなのかもしれない。

苦手なほうれん草にも果敢に挑戦する息子を見た妻いわく「自分のうつわだと認識して責任感のようなものが芽生えているのかも」とのこと。

ほうれん草は本当に苦手
ほうれん草は本当に苦手

実際にどう感じているかは本人にしか分からないが、いつもより頑張って色々と食べてくれることは確か。

それでも、どうしても食べられないものは出てくる。そんな時は無理をせず、また次回、色々な組み合わせを試しながら、ちょっとずつ苦手意識を減らしていければよいかなと夫婦で話している。

幼児食以外に、我が家では離乳食を入れるうつわとしても豆皿を重宝していた。縁起のよい柄のものが多いので、たとえば自宅でのお食い初めに使っても雰囲気が出ると思う。

陶磁器は傷や汚れがつきにくいので、丁寧に使えば子どもが生まれた時から何年も活躍してくれる。もちろん、プラスチックなどと比較して、落とした時に割れやすいリスクはあるけれど、そこも踏まえて、ものを丁寧に扱うことを教えてあげるよい機会になるはず。

有田焼の老舗窯元と中川政七商店が作った染付の豆皿
今回使用した、有田焼 染付の豆皿(鶴/鹿/松/梅/竹)。各1,300円(税抜)。購入はこちら

うつわの形やデザインが好奇心を刺激する

「なんで形が違うの?」「これはなんの絵?」

今回、形・絵柄が異なる5つの豆皿を使ってみたところ、食べ終わってからも色々と気になる様子だった。

なにか描いてあるね
なにか描いてあるね
食べたら絵柄が見えました

もう少し大きくなれば、素材や産地、作っている人たちのことにまで興味をもってくれるかもしれない。

その先に、窯元や産地の個性、職人の手仕事など語ってあげられる“背景”があることで、学びにもつながるし、大人も楽しめる。

様々な形や色、デザインがあり、気軽に購入できる豆皿は、子どものうつわ始めとしてもうってつけ。

日常で使う道具をきっかけに、様々なことに自然と興味を持ってくれれば嬉しい。かわいい息子と豆皿の組み合わせを眺めながら、そんなことを考えている。

どうしても食べられなかったきゅうり。次は頑張ろう
どうしても食べられなかったきゅうり。次は頑張ろう

<掲載商品>
有田焼 染付の豆皿

文・写真:白石雄太

祝いの席に似合う。しゃんとしたお正月料理の道具たち

年賀状にお飾りにお年玉‥‥なにかと準備が必要なお正月。なかでもお節をはじめとした料理は準備をしっかりして、見た目にもこだわりたいですよね。

今回は、そんな時に活躍する道具たちをご紹介。お正月料理のヒントにしてみてください。

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有田焼ヤマト陶磁器 水引 一珍 タンブラー 結婚祝い

結婚のお祝いに、実用的で縁起もいい、水引タンブラーはいかが?

 

有田焼 ヤマト陶磁器の “結び” フリーカップ

華美な美術品といったイメージも強い有田焼を、よりカジュアルに取り入れられるのがこちら。一つひとつ職人の手によって描かれた水引がお祝いの席にぴったりです。

産地:肥前

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東道盆

琉球王朝の最高傑作を、現代のマンション住まいに。21世紀に蘇った幻の「東道盆」プロジェクト

 

琉球王朝時代、中国の大使をもてなすために使われていた蓋つきの器「東道盆」。それを単なる復刻ではなく、現代の暮らしで使える形で蘇らせた人がいます。

産地:沖縄

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室町時代から愛でられてきた小さな器、おてしょ皿

 

“おてしょ”とは直径11センチ以内の小皿のこと。室町時代に貴族の器として使われたことが始まりだそうで、その頃からすでに蒐集家がいたとか‥‥!思わず集めたくなるおてしょ皿たちをご紹介します。

産地:肥前

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中川政七商店の箸

いただきますの道具 政七「箸」考

 

作ったサンプルは200本以上。大量のお箸と向き合いながら、お箸について考え抜いたデザイナーが、お箸の選び方について教えてくれました。

産地:福井

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包丁の研ぎ方ワークショップ

職人に教わる包丁の手入れ。トマトで見分ける「研ぎ頃」

 

覚えておきたい包丁の基本知識と砥石の使い方

庖丁工房タダフサ代表の曽根さんによる包丁砥ぎのワークショップにお邪魔して、包丁の手入れについて教わりました。

産地:燕三条

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板前さん御用達、ツボエの「銅製おろし金」

 

大根おろしに代表される「おろす」という調理法が日本料理独特のもの、ということを皆さんはご存知でしょうか?私はこの記事を読むまでは知りませんでした‥‥!(お土産企画は終了しています)

産地:燕三条

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気になった記事はありましたか?読み返してみると、また新しい発見があるかもしれません。

それでは、次回もお楽しみに。

世界の倉敷ガラス。その始まりはクリスマスツリーのオーナメントだった

明日はクリスマスイブですね、街はイルミネーションやクリスマスツリーで華やいでいます。

今年はいくつクリスマスツリーを見かけましたか?この後もきっと街で見かけると思いますが、その時はぜひ、ツリーのオーナメントに注目してみてください。赤や青など色鮮やかに装飾された「ガラス玉」を見つけることができるはず。

今日はその「ガラス玉」と、そこにまつわる「倉敷ガラス」のお話をお届けします。

世界に誇るの倉敷ガラス。始まりの小さな工房を訪ねる

倉敷駅から車で揺られることおよそ15分、粒江 (つぶえ) という地域の小高い山の上に、その小さな工房は佇んでいます。

ここは、小谷真三さんと長男の栄次さんによる口吹きガラスの工房。日々の暮らしに馴染む程よい厚みと重さ、飾り気のない気取らぬデザイン、そして独特の色合い。

ここでつくられるガラスは「倉敷ガラス」と呼ばれ、日本や世界で高い評価を得てきました。

工房に迎え入れてくれたのは、この道30年のガラス職人・小谷栄次さん。その傍らでは、小さな工房に似合う小さな溶解炉が、ゴウゴウと火を燃やしています。

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「これは『だるま』って呼んでて。ガラスを熔かすための高温炉、ゆっくり冷やすための徐冷炉が1つになってるんだよ」と、吹き竿の準備をしながら教えてくれます。必要な炉が1つにまとめられた「だるま」は、全てを1人で作業する倉敷ガラスにちょうど良い小ぶりなつくりです。

「まずはそこで見ていて」ということで、早速ガラスを吹いていただきました。その仕事ぶりは息をのむ美しさです。

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「まぁこんな感じで」と、汗を拭く英次さん。流れるようなその仕事は真面目な人柄が表れるように、丁寧で正確で誠実。この倉敷ガラスの技術は、英次さんのお父様である真三さんが独学で磨き上げてきたものです。

「もう60年も前になるかな。元々父はグラスではなくて、クリスマスツリーのガラス玉をつくってて。10年以上、1日2,000個もガラス玉を吹いていたみたい」

今でこそプラスチック等の素材でつくられるようになりましたが、昔はその多くがガラスでつくられていました。真三さんにより息を吹き込まれたガラス玉は、海を渡り欧米のクリスマスツリーに飾られ、たくさんの家族のクリスマスを彩ってきました。

しかし、それだけ多くの数のガラス玉を吹かざるを得なかった背景には、他の素材の台頭や機械化によりガラス玉自体の単価が年々安くなっていたということがあります。将来ガラス職人として何をつくっていくべきかを考えながらも、生活を守るためにガラス玉を吹き続ける日々が続いたそうです。

ものの5分で、当時のままのガラス玉を吹いてくださいました。
ものの5分で、当時のままのガラス玉を吹いてくださいました。

倉敷ガラスを代表する「小谷ブルー」の誕生秘話

そんな時間を過ごしていた真三さんに50年ほど前、このガラス玉が大きな転機をもたらします。当時の倉敷の民藝館館長だった外村吉之介さんが、真三さんのガラス玉を見てある日、工房を訪ねてきました。

「突然メキシコのグラスを持ってきて、『こんなのつくって』って頼んできたようで」

当時の倉敷では暮らしの道具に「用の美」を見出す民藝(みんげい)運動の盛り上がりを背景に、民藝で街を盛り上げようという機運がありました。

その流れで、メキシコグラスの美しさに目をつけた外村さんが、これを倉敷でつくることができる職人はいないかと、白羽の矢を立てたのが真三さんだったのです。

歪みがなく均一な大きさでガラス玉を生み出す、腕の良いガラス職人として大役を託されます。

そんな突然の依頼を受け、グラスをつくるための試行錯誤の日々がはじまりました。今のようにネットも本もなかったので、全て自分で考えてつくらなければいけません。

渡されたたった1つのメキシコグラスからつくりかたを想像して、手探りで実験を繰り返します。低温でも吹くことができるガラスを使ったガラス玉と違い、メキシコグラスは高温で成形する必要があるため、炉から新しくつくったそうです。

コップ底の吹き竿との丸い接合部の跡も、最初はこれってなんだろうねと考えるところからのスタート。
コップ底の吹き竿との丸い接合部の跡も、最初はこれってなんだろうねと考えるところからのスタート。

特に苦労したのが、今でこそ「小谷ブルー」と呼ばれ、倉敷ガラスの象徴となった色の出し方でした。

「最初につくったブルーは青が鮮やかすぎて、外村さんにプラスチックの色だなんて言われてしまって。そんなこと言われても、こっちはもう業者に『安くする』って言われたから青色のガラスをいっぱい買っているし。余らせたらどうしようかと焦ったみたい」と、笑う英次さん。

このままでは赤字になってしまうという不安な気持ちを、決して得意では無いお酒に慰めてもらう日々。そんな時に真三さんの目に留まったのが当時の高級ウィスキー、サントリーの瓶でした。

その少しくすんだモスグリーンの瓶を、青色のガラスに砕いて混ぜてつくってみたそうです。

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「そしたら、『これこれ!この色が良い!』って外村さんが凄い喜んでくれたみたいで。それで、そっからはこの色ばかりつくるようになったんだよ」

このブルーが、ブランドカラー「小谷ブルー」として定着していくことに。

こうして、小谷親子にしか出すことができないとまで言われる、倉敷ガラスならではの特別な色を持つグラスが完成しました。

今では「あさぎ」という名前のブルーにグリーンを掛け合わせ、小谷ブルーはつくられます。
今では「あさぎ」という名前のブルーにグリーンを掛け合わせ、小谷ブルーはつくられます。

倉敷ガラスは世界の舞台へ。しごくあたりまえ、だからいい

小谷さんのつくるガラスは、倉敷を代表する民藝として「倉敷ガラス」と呼ばれるようになりました。

この倉敷ガラスを広めようと、民藝運動で勢いのあったガラス関係者が一丸となって後押ししてくれたそうです。

「当時は民藝がまだまだ元気で、みんなが国内外問わずどこに行く時にも倉敷ガラスを持って行って紹介してくれてさ。それで小谷の名前は知らなくても、倉敷で1人でグラスをつくってる面白いやつがいるって有名だったみたいで」

そんなガラス関係者からの地道なサポートにより国内に広がっていった倉敷ガラスは、ついには世界からも注目を集めるようになります。

「30数年前に京都でWCC(世界工芸会議)が開催されて、それが世界のガラス関係者の集まりで。日本のガラス協会の会長が父をそこに引っ張っていって、『この男は小さい窯で1人でガラスづくりをしてるんだ』と世界中のガラス関係者に紹介したそう」

こうして人と人との繋がりが大きな輪になり、極東の国の小さな工房で生み出された倉敷ガラスは、ヨーロッパを中心に名前が知られるようになります。

倉敷ガラスの飾り気の無い色や形は、世界共通の魅力。
倉敷ガラスの飾り気の無い色や形は、世界共通の魅力。

吹きガラスはそもそも複数人でしかつくれないものだったので、1人でつくるスタイルは当時から世界でかなり珍しがられたそうです。

今でこそ「スタジオガラス」というスタイルで呼ばれるようになりましたが、クリスマスのガラス玉の頃から変わらない、1人で最初から最後まで作るという職人の姿勢は、世界のガラス関係者に驚きを持って迎えられました。

「外国の人がうちに泊まりに来たり工房を見に来たりして、『One man Glass Boy!』とか呼ばれてたんだよ」と、教えてくれる英次さん。真三さんの技術や人柄が、国境を越えて愛されていた様子が伝わってきます。

その後、倉敷ガラスは世界的陶芸家・バーナードリーチ氏から評価を得たり、WCCウィーン大会に参加したり、その名を世界へと広めていきます。

バーナードリーチ氏による「いやしくなく、気品があって、しごくあたりまえにできていて、たいへんよろしい」という批評には、倉敷ガラスの魅力が凝縮されているよう。その後もWCC設立の世界的ガラス美術館への出品を要望されるなど、海外との交流を続けていきます。

今や岡山県を最も代表すると言っても過言ではない工芸品「倉敷ガラス」は、そうして世界的な評価を確立していったのです。

若き職人に託す。倉敷ガラスの昔と今、そして未来

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これが、クリスマスツリーのガラス玉が、世界の倉敷ガラスになるまでのお話です。

小さな工房で真三さん1人しかいなかった倉敷の吹きガラス職人は、今や7,80人にまで増えました。世界にも名が知られた倉敷ガラスをつくりたい、という若い職人が増え、大学でガラスづくりを教える機会も多いとのことです。

小さなガラス玉からはじまった倉敷ガラス。その物語は、若い職人に受け継がれ、これからもまた新しく大きな物語を紡いでいきます。

文・写真:庄司賢吾
※こちらは、2016年12月24日の記事を再編集して公開しました

炊き上がりがまるで違う。旨味を引き出す土鍋の秘密

今年は暖冬、と聞いたような気がするのですが、やはり冬は寒いですね。週の半分は鍋料理にしてしまう我が家では、言わずもがな土鍋が大活躍です。

今日はそんな土鍋のお話を集めました。これから購入されるときや、買い替えのご参考にもぜひどうぞ。

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わたしの一皿 土鍋のある景色

 

伊賀の土鍋でつくる炊き込みご飯

“この土鍋ご飯の炊き上がりの湯気の感じなんてのは、末代まで伝えたい日本の家族の風景だと思っている”。土鍋、ふだん使っていますか?

産地:伊賀

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神無月の豆知識

 

今の時期に大活躍する「土鍋」。金属性の鍋とは一味違う、優れた機能とは?

産地:京都

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かつては琵琶湖の底だった、伊賀の土でつくった土鍋

 

丸く小さなこの器は、耐熱・保温性の優れた土でつくられた伊賀焼の「あたため鍋」。直火も電子レンジもOK!おかゆを炊いたりチャイをつくったり。赤ちゃんのミルクをあたためるのにも最適なので贈りものにもおすすめです!

産地:伊賀

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土と暮らす、土鍋の飴色

 

つやつやとした土鍋の美しい色。黒でも茶でもない、飴色(あめいろ)と言います。今日は立春、冬の名残を惜しみつつ、土から生まれた暮らしの道具にまつわる色のお話をご紹介します。

産地:伊賀

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使ってみました。飛騨が生んだ調理道具、有道杓子 (奥井木工舎)

 

最後は番外編。取材先で一目惚れして買い求めた「有道杓子」のご紹介です。
いつもは金属製の「おたま」で作る料理に使ってみたら、持ち心地、具のキャッチ具合、鍋をかき混ぜる音までまったく違う!
土鍋のお供にいかがでしょうか。

産地:飛騨高山

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気になった記事はありましたか?読み返してみると、また新しい発見があるかもしれません。

それでは、次回もお楽しみに。