【わたしの好きなもの】1日中すべすべ肌で過ごせる石鹸「THE NATURAL MOISTURE SOAP」

もう、とにかく乾燥肌です。お風呂上りには顔も体も保湿をたっぷり。
朝も洗顔をしてから保湿は忘れずに。それでも夕方には目の周りがかさかつく感じが…。

そんな万年乾燥に悩む私が最近、「いい!」と思える洗顔石鹼に出会えました。
世の中の新たな定番を生み出すブランド「THE」の新商品「NATURAL MOISTURE SOAP」です。

NATURAL MOISTURE SOAP 約140g

これで洗うと、しっとりすべすべ!

モイスチャーと名前に付くくらいだから、うるおう成分でも入っているのかな?と思い調べてみると、「肌へのやさしさ」と「保湿」にとてもこだわって作られている石鹸だということがわかりました。
詳しくはこちらの商品説明を読んでください!こだわりすぎてかなり長文なんです…(笑)

私自身、石鹸は長く使っているものがあり、急に変えるのも勇気がいるなぁ、、と思っていたところ、およそ10分の1の量のミニサイズがあるとのこと!お試しということでひとつ使ってみることにしました。

お試し用は、約14g。お値段も税込297円で、挑戦しやすい!と思いました

持って帰ったその夜、さっそく顔を洗ってみました。
洗顔ネットで泡立てると思った以上に泡立ちが良く、顔に乗せると細かい泡に包みこまれました。

※こちらのイメージは通常サイズを使用しています
きめ細やか。ネットを使うとしっかり弾力のある泡ができます

洗っているときは意外とさっぱりしていて、きゅっきゅとしっかり洗える感じがします。
水で流す際も泡切れがよく、パシャパシャする回数が減って楽だな〜と思いつつ、あれ?思ったよりさっぱり系?しっとりという話じゃなかった!?と少しだけ不安に。

ところが洗いあがりのお肌を触ると、ちゃんとしっとりしているのです。初めは気のせいかな?とも思っていましたが、数日使ってみるとやっぱり!と実感。
洗顔後いつも「一刻も早くスキンケア!保湿!!」と焦っていた気持ちが少し和らいでいることに気がつきました。

なんだ?この不思議な石鹸は?
と思いながらも使用感が癖になり、ミニサイズがなくなったので普通サイズを即購入。

保湿力以外にも個人的に好きなポイントを紹介させてください。

・香りがナチュラルで毎日使いやすい

6種のオーストラリア製天然精油をブレンドしたというこだわりっぷり。毎日肌にのせるものは、香りも大切にしたい。こちらの石鹸は強すぎないほんのり自然な香りで癒されます。

・全身に使える

季節や肌の状態によって全身洗い分けられるのも嬉しいところ。ずっと気になっている背中の乾燥にも良さそうなので、しばらく試してみようと思っています。

・洗いあがりが自然

つっぱったりキシキシしたり、肌に負担がかかる感じがなく、いつでも自然な状態の肌に洗いあがります。

・1日気持ちのいい肌で過ごせる

個人の感想ではありますが、朝の洗顔に使うと、1日の終わりまで肌がもちっとしながらも、さらさら?すべすべ?しているような感じがするんです。自分の肌ながら、思わず触りたくなるような気持ちよさです…!

もちろん保湿剤もしっかり使った上ではありますが、一番の悩みだった目周りの乾燥も気になりづらくなっているような…。

そんなこんなで私がすっかりこの石鹸にはまっていると、敏感肌で顔に触れるものにかなり気を遣っている家族も「この石鹸なんかいい…!」と毎日使うように。

そんな風にみんなで使えるのも嬉しいポイントです。なんと0歳の赤ちゃんから使えるそう。肌にやさしい成分と自然な洗いあがりのおかげで、年齢や肌質を選ばないのかなと思います。

ちなみに、乾燥肌ではない他のスタッフにも使ってみてもらったのですが、「しっかり汚れが落ちる感じがする!特に重すぎたりべたつく感じもない」と好評でした。

140gの通常サイズ。想像していたより大きかったです

石鹸ひとつ、と思うと少しお値段は張りますが、丁寧に使うと減りも遅くなり長持ちしているので、私の場合はコスト面もクリアです。(3人家族で毎日全身に使って2か月ほど持つそう)

不思議な使い心地を言葉にするのが難しいのですが、とにかく毎日心地よく使えるお気に入りの石鹸です。気になった方はぜひ一度ミニサイズからお試しください!

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THE NATURAL MOISTURE SOAP(約140g)
THE NATURAL MOISTURE SOAP ミニ(約14g)

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文:岩井

【わたしの好きなもの】お風呂掃除で「感動」しました!「The Bath Cleaner Think Nature」

お風呂掃除の洗剤って、「これだ!」というのになかなか出会ない。
汚れも落ちてはいるし、気にならない程度に綺麗になったらいいかなと、なんとなく見て見ぬふりなところもあったり。
実は、水あかや皮脂汚れ、石けん汚れと、お風呂にはいろんな難敵がいるのです。
これを全部倒してスッキリとはならず、なんとなくお風呂掃除しても報われない気持ち。
今回は、お客様のレビューで「お風呂掃除が楽しくなる」というのお声に後押しされて
「The Bath Cleaner Think Nature 」を使ってみました。

The Bath Cleaner Think Nature 400ml/詰替用

超強力な洗浄力って?

まず最初に思ったのは、そこまでの超強力な洗浄力って、掃除している間の刺激臭とかも強そう・・。
シュッと、一吹き・・・刺激臭というか、特に気になるような臭いがない。よくある柑橘系などの臭いもない。
成分特有の臭いがあるということでしたが、私には気にならないレベルでした。
そして、ちょっと手で触ってみると、弱アルカリ性なのでぬるぬるしました。
皮膚に対する刺激は少ないとあったのですが、ゴム手袋をメーカーもおすすめしてるので、素直に着用。

強力な洗浄力だけど環境にも配慮されていて、わずか28日間で生分解されるということで、汚れも落ちて環境にもやさしいって、「ほんとに?」と思ってしまうほど。
ということで、さっそく使ってみました!

「使ってみました」大公開!

まずは、水栓から。
綺麗になったと思っても、乾くと水あかが蘇ってくるので、乾く前に見ないふりをして掃除を終わらせていた第1位です。

掃除前

最初スプレーしてまんべんなくスポンジで広げて5分放置。水で流したら、掃除前よりは綺麗だけど、うっすら水あかが残りました。

左:スプレーしてまんべんなく広げた状態 / 右:5分後に水で流した状態
再度洗剤をスプレーして5分放置した後に、スポンジでこすった状態

再度スプレーして5分放置した後に、スポンジでクルクルと軽くこすってみました。
力を入れてゴシゴシこすってないのに、ピカピカに!
「えっ、これだけでいいの?!?!」と拍子抜けな感じになるくらい、簡単にピカピカ。
「うそっ、すごいんだけど、いやー、すごいなー・・・」気づけば大きな独り言を繰り返していました。

左:掃除前 / 右:下半分ほどに洗剤をつけて5分放置後流した状態

次に鏡です。
鏡は見て見ぬふりというより、あきらめていた状態です。
ウロコ汚れに洗剤をつけて5分放置後、スポンジでこすり洗いしました。ウロコ汚れの所はすぐに曇ってしまいましたが、洗剤をつけた所はツルンとしてなかなか曇らない状態に。
ただ乾くと、ウロコ汚れが完全に綺麗になったわけではなく、残っていました。

長い期間あきらめていた我が家だから、1度で落ちる!とまではいかなかったのかもしれません。
しかし今までに比べると断然綺麗になっているので、何度か繰り返し掃除していきます!

◆シャンプーなどを置く棚板
石けん汚れが取れにくくなっていましたが、スプレーして5分放置後、流しただけでピカピカになりました。

◆床
掃除しているのに、よく見ると黒ずんでいる床。スプレーして5分放置後、軽くクルクルとスポンジでこすったら汚れと共に白さも戻りました。

◆お風呂の椅子
スプレーして5分放置後、水で流しただけで、汚れと共に黄色味を帯びていた所も本来の白色が蘇りました。本当はこんなに白かったのかと、驚きです。

いろいろ見て見ぬふりをしていたお風呂掃除が劇的に綺麗になった体験をした私は、次の日会社で「ほんとに感動レベルに綺麗になるから使ってみて!!」と、いろんな人に言いまわり、この感動をさらに体験してほしいという思いがあふれて、この記事を書きました。

このクリーナー、お風呂用として販売していますが、水あか、皮脂汚れ、石けん汚れに対応しているということは、洗面台やトイレ、キッチンにも効果を発揮するとあります。これ1本で今まで億劫だった場所がピカピカになるのも嬉しいですが、なにより掃除の時間を楽しみにしてくれてありがとう!という気持ちです。

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The Bath Cleaner Think Nature 400ml

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文:平井

【わたしの好きなもの】食事の時間を楽しむ「明山窯 古信楽プレート」

先日、27歳の誕生日を迎えました。

20代前半は仕事に没頭する日々でしたが、中川政七商店に転職してからは、少しずつ「自分の時間」を持てるようになりました。

まずは、日々の掃除や洗濯。自分なりの方法を見つけることで、生活が整ってきたように感じます。

ただ、まだ少し課題を感じているのが「食事」。仕事で忙しい日々のなか、ついつい簡単なお惣菜や冷凍食品に頼ることもあります。

でも、せっかくなら、もっと食事の時間も楽しみたい。そう思っていた時に出会ったのが、明山窯さんの古信楽プレートでした。


明山窯 古信楽プレート 緑釉 Mサイズ

つくり手は信楽で約400年続く窯元、明山窯さん。古くから伝わる信楽焼の技法を活かし、緋色やビードロ釉、焦げの風合いなど、自然が織りなす美しい景色を大切にしてつくられています。

この古信楽プレートは、古信楽の魅力を現代の食卓に届けるためにつくられたうつわだそうです。「白釉」「緑釉」の2色展開で、MとLの2つのサイズ、丸と四角の2種類の形があります。

私が特に惹かれたのは「緑釉」の色彩と質感、そして貫入と呼ばれる釉薬のひび模様です。自然と人の手がつくり出す模様は、一つとして同じものがなく、それぞれのうつわが持つ個性が際立っています。箱を開ける瞬間まで、どんな模様のうつわが届くか分からないワクワク感も魅力の一つです。

私が手に入れた器は、まるで小さな島々が浮かぶ海のようです。

普段、プラスチックの容器に入れたまま食卓に出していたお惣菜も、うつわに移し替えるだけで、食卓の雰囲気ががらりと変わります。
Mサイズのプレートは、一人分のお惣菜を盛り付けるのにちょうどよい大きさ。

また、おやつを盛り付けるのにもぴったりです。最近は、焼き芋をのせて楽しんでいます。
このうつわはお惣菜だけでなく、サラダやパスタ、デザートなど、様々な料理に使えると思います。長く愛用するためには、柔らかいスポンジで洗い、しっかりと乾燥させてから保管するのがおすすめです。

特別な材料や手の込んだ料理でなくても、うつわを変えるだけで、日々の食事がより豊かな時間になるはずです。

仕事で忙しい日々のなかでも、食事の時間を大切にしたい。そんな私の願いを叶えてくれたのが、この古信楽プレートでした。

ぜひ、このうつわで日々の食卓を彩ってみませんか。

<掲載商品>
【WEB限定】明山窯 古信楽プレート 角 M

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編集担当・松川

手仕事とデジタル技術、そして清らかな水から生まれた「手漉き和紙のミャクミャク」【大阪・関西万博 特別企画】

日本全国、そして世界各国から多くの人々が集う、2025年大阪・関西万博。

日本のものづくりの魅力を楽しく感じてもらいたいという思いを込めて、2025大阪・関西万博公式ライセンス商品として、工芸の技で豪華に表現したミャクミャクのオブジェ5種を制作しました。

今回はその中から、「手漉き和紙のミャクミャク」に焦点を当て、その魅力を支えるものづくりの現場をご紹介します。

和紙で作った、素朴な愛らしさをもつミャクミャク

文字を書き記すための道具として、障子や襖紙、提灯などに欠かせない資材として、時には祭礼の道具として。かつては暮らしのそこかしこで重宝されていた「和紙」。

時代が進む中で、いつしか見かける機会が少なくなってしまいましたが、和紙がもつ素朴な風合いや温かみといった魅力は、今だからこそ私たちの心に響くのではないかと思います。

そんな和紙の可能性を追及し、新たな魅力の発見に力を注ぐ愛媛県西予市の和紙工房「りくう」さんとともに、日本国際博覧会(通称:大阪・関西万博)の公式キャラクターであるミャクミャクを作りました。

手漉き和紙のミャクミャク

和紙ならではの素朴な愛らしさをもつミャクミャク。その制作現場の様子をお届けします。

人の手とデジタル技術が作り出すフォルム

りくうでは、デジタルデータをもとに創造物を制作する「デジタルファブリケーション」の技術を取り入れ、立体物で和紙を表現することにも挑戦しています。今回のミャクミャクでは、ベースとなる形状を3Dプリンターで出力。そのベースに和紙を漉いていくという流れで制作が進められました。

出力されたベース。3Dプリンターの構造上、自立するためのサポート材という部分がついた状態で出力されるため、まずはそれを丁寧にカットしていく
素材の種類、色、メッシュの形状など、何十体もの試作を繰り返した

「3Dプリンターの出力データを作る際に、規則的なものであれば、条件を指定してコンピュータに自動で形状を組んでもらうことも可能です。

今回も、一度は規則的な三角形のメッシュ構造で作ろうとしましたが、その場合どうしても仕上がりがカクカクした印象になってしまって、ミャクミャクの丸い愛らしさを損ねてしまう。

そこで、すべての線を一本ずつ手動で引いて、細かい角度も調整して、丸みがきちんと表現できるデータを作成しました。

ベースの素材については、様々な色や材質を検討した結果、透明な樹脂を採用しています」

そう話すのは、主に3Dプリンティングを担当する寺田天志さん。

寺田天志さん
右側が、白い樹脂を用いて三角形の規則正しいメッシュで作成したもの。樹脂の色が目立ちすぎるほか、少しとげとげした印象がある

ミャクミャクのベースを一体出力するためにはおよそ8時間ほどかかり、日中にデータを調整し、夜のうちに出力しておくことで、翌朝に確認することが可能になります。

そこに和紙を漉いてみて、感触を確かめる。そこからまた細かい微調整をして、夜に出力し、翌朝確認をする。この繰り返しで少しずつ、ミャクミャクのベースとしての理想を追い求めていきました。

デジタル技術を活用するとはいえ、素材への理解、扱う道具への理解は必要不可欠で、これも間違いなく職人技であると感じます。

漉いて乾かして、また漉いて。前例にない和紙作り

そしてベースの設計が固まってはじめて、肝心の和紙の工程が本格的にスタート。

「メッシュ状のベースに和紙を漉くのはとても難しいんです。

片面ずつ、漉いては乾かしてを繰り返して、少しずつ厚みを出していきますが、その途中で反対側がぼろっと剥がれて落ちてしまうこともあります。

また、複雑な立体のため、和紙の繊維が溜まりやすい部分とそうでない部分があって、それらを均一な厚みに仕上げていくのに試行錯誤を繰り返しました」

りくうの和紙デザイナー 佐藤友佳理さんはそう振り返ります。

和紙デザイナー 佐藤友佳理さん
小さな容器の中に水を張り、原料の楮を溶かして攪拌させたところに、ミャクミャクのベースをいれて片面ずつ漉いていく。使用している水は、名水百選にも選ばれている地元の湧き水「観音水」
はじめに水にくぐらせた後は、本当に少しずつ丁寧に水をかけて進めていく

これまでも、常識にとらわれない和紙作品を多く手掛けてきた佐藤さんですが、今回のミャクミャクはことのほか難易度が高かったとのこと。

乾かすための専用の治具を手作りしたり、数滴の水を垂らして調整するためにスポイトなどを活用したり、前例にない道具や技法を駆使して仕上げていきました。

専用の治具で乾かしている様子。少しずつ漉いては乾かしてを一日に数回繰り返し、最終的に仕上がるまでに10日以上かかる
ピンセット等を用いて細かく調整して、厚みを均一に仕上げる
別パーツの目や口にもそれぞれ和紙が用いられている

ミャクミャクの神秘的な雰囲気を生み出した、国産楮の素朴な色味と風合い

「使った楮(こうぞ)もすごく良かったんです。地元の保存会が作っている国産の楮を試したところ、一気にクオリティを上げることができました」(寺田さん)

和紙の原料である楮は全国的に生産が激減しており、そのほとんどが海外産になっているという現状があります。

そんな中、今回は愛媛県鬼北町で泉貨紙(せんかし)と呼ばれる和紙の保存活動を行っている鬼北泉貨紙保存会の協力を得て、希少な国産楮を原料として使用することに。

「この地方で栽培された楮を、保存会の方が古式製法にのっとって無漂白で和紙の材料に仕上げてくれています。

和紙の材料として使えるようになるまでにとても手間暇がかかるのですが、素朴な色味と光沢、独特の質感が特徴で、今回のミャクミャクを表現するうえで、非常に大切な役割を担ってくれました」(佐藤さん)

「太陽の光にあてるとすごく神秘的な雰囲気が出ていて、気に入っています」と佐藤さん
少し生成りがかった、和紙ならではの素朴な色味が不思議な魅力を発している

「データ作成には非常に労力がかかりましたが、和紙の風合いと色味、それと透明な樹脂のメッシュが合わさって、キャラクターの愛らしさが表現できたのかなと思います」(寺田さん)

「もともとミャクミャクのことが好きで、その魅力を和紙によってもっと引き出したいと思っていました。

国産楮や3Dプリンターの力も借りて、水から生まれたミャクミャクの清らかさ、精霊のようなイメージをうまくまとめられたのかなと感じています。

手漉き和紙にも欠かせない水は、地上で蒸発して空にのぼって、また雨として降り注いで循環し、脈々と受け継がれてきたものです。清らかな水も、私たちが取り組んでいる和紙作りの技術も、同じように循環して受け継いでいかなければならない。ミャクミャクの制作を通じて、改めてそんな風に感じました」(佐藤さん)

最新のデジタル技術と、丁寧な手仕事に清らかな水、そして希少な原料が組み合わさって、まさに水の妖精のような佇まいのミャクミャクが誕生しました。皆さんにもぜひご覧いただき、その不思議な魅力を直接感じていただければと思います。

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文:白石雄太
写真:阿部高之

2025大阪・関西万博公式ライセンス商品
©Expo 2025

きらり、ざらり、艶めく。漆の四技が集結した「漆のミャクミャク」【大阪・関西万博 特別企画】

日本全国、そして世界各国から多くの人々が集う、2025年大阪・関西万博。
日本のものづくりの魅力を楽しく感じてもらいたいという思いを込めて、2025大阪・関西万博公式ライセンス商品として、工芸の技で豪華に表現したミャクミャクのオブジェ5種を制作しました。
今回はその中から、「漆のミャクミャク」に焦点を当て、その魅力を支えるものづくりの現場をご紹介します。

漆の加飾技法をふんだんに。1体の中に異なる質感をもつ「漆のミャクミャク」

漆と聞けば、思い浮かべるのは「漆椀」でしょうか。
マットなものからつやっとしたものまで、質感の幅はあるものの、大きく表情が変化する印象はもっていない、という方も多いかもしれません。

でも今回の「漆のミャクミャク」は、ざらっとしていたり、きらきら光っていたり、パーツごとに異なる質感が見受けられます。
じつは、多彩な表現がある漆の加飾技法。今回の「漆のミャクミャク」は、そんな漆の加飾技法をふんだんに使って生まれました。一体どのように命が吹き込まれたのか、福井県鯖江市にある「漆琳堂」さんの工房を訪ねました。

1793年創業、漆塗師屋「漆琳堂」の8代目当主・内田徹さん

卵殻貼り、螺鈿、変わり塗り、真塗り。表情が異なる4つの見どころ

今回は、卵殻貼り、螺鈿、変わり塗り、真塗りの4つの技法を用いて作りました。多数の試作を経て、パーツごとに最適な加飾技法を採用しています。

まずは「目」にご注目ください。
青目部分は「螺鈿」、白目部分は「卵殻貼り」の技法を用いています。
そうすることで、きらきらと輝きを放つ螺鈿の表情と、ざらっとした卵殻の表情の違いが生まれました。青目部分がきらりと輝きを放つことで、命を宿したかのような生き生きとした雰囲気を感じさせます。

そして、胴体も青い部分と赤い部分でそれぞれ技法が異なります。
青い胴体は、乾漆粉を蒔く「変わり塗り」の技法を使うことによって、あざやかなミャクミャクの青色を再現し、さらに金の粉を蒔くことで華やかさを加えました。赤い細胞部分は「真塗り」技法で、漆らしくつややかな目を惹く質感に仕上げています。

こうして、ミャクミャクらしさを再現するのに最適な素材や技法を用いて、漆芸ならではのミャクミャクを作り上げていきました。

息を凝らして敷き詰める、「螺鈿」と「卵殻貼り」

ここからは、実際にどんな風に作っているのか工程を追っていきます。
まずは青目の表情を作る、「螺鈿」から。

螺鈿の素材となる貝殻を貼っている最中なのですが、貝の殻片が細かすぎて目を凝らさないと見えません。

じつは貝の殻片が細かくなったのにも理由があります。ミャクミャクの目は平らではなくアールを描いているので、細かく砕かないと形状に添わずうまく貼れないのだそうです。
今回は細かく砕いて貼っているため、1体6つの目を貼るのに1日半もの時間を要すると言います。

また、貝殻は自然物なので、1枚の貝の中には赤っぽい色味を帯びている部分も。ミャクミャクは青い目なので、細かく砕いた貝殻片の中から、青っぽく光る部分だけを選んで貼っていると言います。
細かく砕いた後に見分けるので、集中力と神経を使う作業です。

白目の部分に使っている「卵殻貼り」は、字の通り卵の殻を貼ることで白を表現する技法。
漆では純白を再現することができないため、生まれた技法です。

こちらは、うずらの卵を使うため、卵殻自体にもアールがついています。螺鈿同様、欠片が浮かないように貼るためには、細かく砕いて貼る必要があります。

貼った後は、上から漆を2回ほど塗り重ねて定着させ、螺鈿や卵殻が見えるまで研ぎ出して完成です。
細かい欠片を貼るのがなにより大変そうに見えますが、じつは、研ぎ出しの方が精神力と時間を要すると言います。

本体は「鍋島焼のミャクミャク」同様、磁器製。作業中手をはなす時は、割れてしまわないよう紙箱にいれて倒れないように工夫

ミャクミャクのあざやかな青を再現する「変わり塗り」

ミャクミャクの胴体の青は、塗りではなく乾漆粉を蒔く「変わり塗り」の技法で表現しました。
青い漆もあるため、真塗りでも表現できるそうですが、乾漆粉を使ったのには理由があります。

「いくつかサンプルを作っていく中で、色漆の青を使った真塗りだと、ミャクミャクの発色を表現するには少し違う印象になってしまいました。
他にも刷毛目やシボ漆など、いろんな技法を試行錯誤していく中で、ミャクミャクを表現するのには、乾漆粉を蒔いて仕上げる今の形にたどり着いたんです。
最終的には乾漆粉の上から金粉を蒔いているのですが、見る角度でキラキラ輝くのが水のように感じて、ミャクミャクにぴったりだなと思っています」

漆を塗って…

そこに青い乾漆粉を蒔いていきます。

顔の中身が青くなっているのが分かるでしょうか。
この後さらに青漆を塗りこみ、研いで、金粉を蒔いて完成します。
目の工程でも話した通り、研ぎ出しは塗り以上に神経を使う工程。とくにミャクミャクは、形が複雑なので、「全体的に研ぎの工程には精神力を要した」と言います。

越前漆器の真髄「真塗り」で表現する、ミャクミャクの細胞

最後に、ミャクミャクの赤い細胞部分。こちらは漆といえばの真塗り技法が用いられています。
越前漆器はもともと真塗りが得意な産地ですが、それでもミャクミャクの複雑な形状を塗るのは苦労したそうです。

写真:漆琳堂提供

「漆は硬化するまで液体なので、ジーっと作業していると垂れるんです。
だから、素早く塗りあげ、作業中に反転させたり上下を回転させることを意識して塗っていきました。

それに、塗膜を平滑にするためには一定のほどよい厚さで塗ることが必要です。
漆が溜まる部分がないように、漆を削ぐようにして塗っているので、刷毛の通し方も難しかったですね。他の部分に漆が付いたら拭き取れないので、そういう点でも気を張りました。
素早く塗るのですが、それでも1体にノンストップでまるまる4時間かかっています」

一般的なお椀を塗るのは2~3分とのことなので、その作業時間の違いに難しさが伝わってきます。

塗り終えて漆室に入れられ、乾燥している様子(写真:漆琳堂提供)

贅を尽くして表現した「漆のミャクミャク」

こうして、漆芸のさまざまな技法によって命が吹き込まれた、「漆のミャクミャク」がこちら。

パーツごとに多彩な表情があり、ゆっくり眺めていたくなります。

本来漆は分業制のものづくり。こうした多彩な表情の「漆のミャクミャク」が作れたのも、技術力があってこそ。

もっとこうしたいという希望に対してさまざまな表現方法を提案していただき、多彩な表情をもつ「漆のミャクミャク」が完成しました。

「最初聞いた時は、正直完成形がイメージしきれていなくて、色々サンプルを出していく中で話しながら最終形までこぎつけました。
これまでにも、自転車に漆を塗ったり、建材の可能性を模索したり、いろんな取り組みをする中で培ってきた多様な技法が役に立ったかなと思っています。

今もまだ製作途中なので、正直少し不安もあるんですが。笑
でも、新しいものづくりに取り組む時は、見る人を『驚かせたい』という気持ちが常にあります。できあがった『漆のミャクミャク』を見て、漆の面白さや可能性に改めて気づいていただけたら嬉しいです」

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文:上田恵理子
写真:阿部高之

2025大阪・関西万博公式ライセンス商品
©Expo 2025

超絶技巧で描かれる360度つながる文様「鍋島焼のミャクミャク」【大阪・関西万博 特別企画】

日本全国、そして世界各国から多くの人々が集う、2025年大阪・関西万博。
日本のものづくりの魅力を楽しく感じてもらいたいという思いを込めて、2025大阪・関西万博公式ライセンス商品として、工芸の技で豪華に表現したミャクミャクのオブジェ5種を制作しました。
今回はその中から、「鍋島焼のミャクミャク」に焦点を当て、その魅力を支えるものづくりの現場をご紹介します。

超絶技巧を脈々と受け継ぐ「鍋島焼」とは

鍋島焼の超絶技巧を感じる、手描きで絵付けが施された大皿

皆さん、「鍋島焼(なべしまやき)」って聞いたことありますか?
中川政七商店ではおなじみでもありますが、案外聞いたことがないという方も多いかもしれません。

それもそのはず。鍋島焼は、もともと藩の御用窯として江戸時代に始まった焼き物産地。お殿様への献上品という性質から、技術もうつわも流通が厳しく取り締まられ、庶民には決して手に入らない幻の焼き物とも言われていました。
いわば当時の技術の粋を集めた産地。その技術が300年にわたり、脈々と受け継がれて今につながっています。

鍋島焼の文化をつなぐ、「虎仙窯」の志

今回「鍋島焼のミャクミャク」を作ったのは、そんな鍋島焼の文化をつなぐことを志にものづくりを行う、虎仙窯。

代々受け継がれてきた技術や貴重な天然資源。それらが織りなす鍋島焼の文化を未来に継承していくために、窯を越えて、産地の発展のための活動に取り組まれています。

左が虎仙窯の川副隆彦さん。右が成型を担当した大五郎窯の福岡光正さん

実際今回のミャクミャクは、虎仙窯だけでなく、産地の職人さんとタッグを組んでのものづくりだったと言います。

「鍋島焼のミャクミャク」の見どころ

ものづくりの工程を見る前に、「鍋島焼のミャクミャク」のポイントをご紹介しましょう。
大きく2つの見どころがあります。

まずは、一筆一筆、職人の手によって丁寧に描き出された絵付け。水をモチーフに生まれたミャクミャクを表現するために、さまざまな水にまつわる文様を総柄で描きました。

そして、もう一つが、形。
ミャクミャクの形、よく考えると、めちゃくちゃ複雑ですよね。実はこれ、1つの型では作れず、9つもの型に分けて作っているんです。
まずは絵付けに注目してしまいますが、じつはミャクミャクの形を再現することに、とても苦労したと言います。

それでは実際、どんな風に作っていったのか見ていきましょう。

9分割のパーツで完全再現!「成形」の工程

工房に着いてすぐ目に入った、ふかふかのマットレスに寝かされたミャクミャク。しっぽや腕のしずくが折れないように、うつぶせで厳重に寝かされていました。

形を作るのは、鍋島焼の産地で50年以上、人形や置き物など細かな造形のものづくりを行ってきた大五郎窯の福岡光正さん。工房のそこかしこに積まれた型の数々に、福岡さんが積み上げてきたものづくりの歴史を感じます。

今回こんなに細やかな成型ができるのも、50年以上の経験によるものです。過去に作った中で最多の型を使ったのは狛犬。なんと100型以上にも及んだと言います。

目やしずくなど、6つのパーツ

100ができるなら9つは簡単なのでは…と感じてしまうかもしれませんが、虎仙窯の川副さんいわく、
「2~3のパーツをつける急須やマグカップですら、接着した部分から割れちゃうことが結構あるんです」とのこと。
100は異次元ですが、9つのパーツに分けたものを接着して形を作るのも、想像以上に難しいことなのだそうです。

実際、はじめの頃は失敗が続いたそう。上半身が重いため、焼いたら前に傾いてしまったり。しずく部分が割れてしまったことも。型に泥がうまく流れ込まず、一部がへこんでしまったり…語り出せばきりがありません。
成功に至るまでに、成型方法はもちろん焼き方も含めて、調整が続いたと話します。

素焼きが終わり、焼き上がりに問題がないか確認しているところ

形がうまく作れても、焼きあがるまで成功しているかが分からないミャクミャクづくり。窯の蓋を開けて見るまで不安が大きく、うまく焼きあがった後は、安堵の表情を浮かべていました。

これぞ鍋島焼の真髄!精緻な「絵付け」の工程

ここからは、素焼きの後に行う絵付けの工程をご紹介します。
百聞は一見に如かず。まずはこちらの動画をご覧ください。

虎仙窯で絵付けを専門にしている職人さんが、すべて手描きで文様を施しています。
手描きと聞いてはいたものの、実際にその様子を目の当たりにすると、1体作るのにかかる時間を想像し、圧倒されてしまいました。

どんなところが難しかったのか聞いてみると、
「平面であれば全く問題ないのですが、複雑な形状の立体なので、文様を繋げるのに苦労しました。細かい総柄を360度途切れさせずに、ぐるっと繋がるように計算して描いています」
とのこと。

実際にしずくや脇の下を見て、驚嘆。本当にすべて繋がっているんです。間近で見る機会がある方は、ぜひ、脇の下にご注目ください。

胴体の絵付けが完成した状態。
この状態で一度焼いて、この後、赤絵と金の絵付けを施し、再度焼成します。
まだまだ途中の段階ですが、この状態でも十分に、人の手で描かれたことによる凄みが伝わってくるようです。

焼き物ならではの「絵付け」表現。各文様の意味とは

他のミャクミャクと最も違うのが、全面に水にまつわる文様が描かれていること。これぞ焼き物ならではの表現とも言えると思います。

今回採用した3つの文様について、それぞれの意味をご紹介します。

胴体をぐるりと取り巻くのは、「青海波(せいがいは)」。
穏やかな波がどこまでも続いている様子を文様にした「青海波」は、未来永劫にという意味が込められた吉祥柄です。
平穏な暮らしが続いていくように、という願いが込められています。

焼き物だけでなく着物などにも使われる、昔から日本で愛されてきた文様です。

実際、鍋島焼の産地を歩いていると、焼き物で作られた橋の欄干にも、青海波が。古くから日本で愛されてきた文様だったことが分かります。

三角形を連続させていく、鱗文様

顔にあしらわれた鱗(うろこ)も、魚や龍の鱗を模した伝統的な文様です。
鱗で身を守り、邪気を祓う厄除けの柄として、「再生」「厄除け」の意味が込められています。

渦状に巻く蔓を表現した、蛸唐草

最後に蛸唐草(たこからくさ)。大阪・関西万博に合わせて、大阪名物「たこ焼き」から着想を得て選んだ文様でもあります。カジュアルな雰囲気がある唐草文様ですが、とても縁起のいい文様です。
植物のつるが四方に長く途切れず伸びる様子から、唐草には「長寿・繁栄」の意味があります。さらに8本の足をもつ蛸は末広がりとも結びつきます。

鍋島焼で作る、工芸のミャクミャク

そうして、お殿様が愛した焼き物産地の技術の粋を集めて完成した、鍋島焼のミャクミャクがこちら。

日本人が自然に対して抱く、神々しさすら感じるような佇まいに仕上がりました。

虎仙窯の川副さん

ミャクミャクのものづくりを振り返って、虎仙窯の川副さんは、こう話します。

「今回のミャクミャクって、一朝一夕で作れるものではなくて、職人のこれまで数十年の時間もそうだし、産地で脈々とつないできた歴史があってできたものでもあると思います。

最新の技術ももちろんすごいけど、人の手で技術を積み重ねてきたからこそできるものもあるわけで 。今回のミャクミャクを通じて、そういったものの美しさを見てもらって、手仕事の文化だったり魅力を多く方が感じる機会になってくれれば嬉しいです」

産地の歴史と、職人の数十年の時間が作り上げた、圧倒的な存在感の「鍋島焼のミャクミャク」。ぜひご堪能ください。

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文:上田恵理子
写真:阿部高之

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