【家しごとのてならい】木の道具のお手入れ

毎日の家しごと。それなりに何とかできるようになり、だいたいは心得たつもりだけれど、意外と基本が疎かだったり、何となく自己流にしていたりするものってありませんか?

そのままで不都合はないものの、年齢を重ねてきたからこそ、改めて基本やコツを学んでみたい。頭の片隅にはうっすら、そんな思いがありました。

この連載では、大人になった今こそ気になる“家しごとのいろは”を、中川政七商店の編集スタッフがその道の職人さんたちに、習いに伺います。

とはいえ、難しいことはなかなか覚えられないし、続きません。肩ひじ張らず、構えずに、軽やかに暮らしを楽しむための、ちょっとした術を皆さんにお届けできたらと思います。

今回のテーマは「木の道具のお手入れ」。奈良県でひのき・杉を中心とした国産木材による木製品を製造する、ダイワ産業の専務取締役・中西さんを講師に迎え、編集チームの谷尻が習いました。


今回の講師:ダイワ産業 専務取締役 中西正智さん

1970年創業。奈良県高市郡高取町で、まな板や桶などを中心に国産材を使った木製品全般の製造販売を手がける。自社製品の製造だけでなく、様々な企業からのOEM生産の依頼やノベルティグッズの製造など、幅広い業種業界の製品に対応する木製品製造のプロフェッショナル。
https://daiwa70.com



木の道具の基本

温かみのある見た目や触れたときの質感が、他にはない魅力を持つ木製品。台所や食卓、その他、家のあらゆる場所に木の道具があるだけで、何となく心が落ち着くように思います。

五感に心地好いだけでなく、素材が持つ機能的な良さも確かにある一方で、取り扱いには一定の注意が必要。かくいう私自身、包丁傷が無数に入ったまな板をどうしていいかわからず未だそのまま使い続けていたり、お気に入りの巻きすにカビを生やしてしまったりと、“お手入れつまずき組”の一人でした。

でも、やっぱり木の道具は好きだし、うまく付き合っていきたい。そう思い、木製品一筋のダイワ産業さんを訪れました。雑貨から家具まで様々ある木製品ですが、今回は中でも台所や食卓で使う道具に的を絞り、お話を伺います。

取材の合間に、工場の見学もさせていただきました

木の道具の良い点と、注意点

まずは木の道具の基本から習います。

ご存知の通り、おひつや曲げわっぱなどにごはんを入れておくと、冷えてからももっちりとおいしく食べられますよね。この理由を中西さんに伺うと、「木材の持つ吸放湿の機能によるものです」と回答が。木は調湿性に優れており、炊き立てのご飯など、水分量が多い場合は水分を吸収し、乾燥してきたらまた放出する特性があるといいます。そのため、ちょうどよい水分量が保たれるのだそう。

また見た目の印象が温かいだけでなく、実際に触って温かいのも木の良いところ。これは断熱性能が高いことが理由です。

中西さん:

「木は熱を跳ね返す機能を持っていて、例えば手で木の道具を触って『温かいな』と感じるのは、もともとの手が温かいからなんです。手の熱が握った木から跳ね返り、温かさを感じるという仕組みです」

その他には、木材により木肌の表情や硬さ・やわらかさが異なるため、適材適所で使い分けられるのも素材としての魅力。ひと口に「木」といっても様々な樹種があり、それぞれに特徴が異なるため、いろいろな選択肢からベストを検討できる選びやすさもいいところです。

反対に、素材としての難しさは?と伺うと、「何といってもカビですね」と中西さん。確かに私も前述のとおり、不注意からお気に入りの道具にカビが生えてしまった苦い思い出があります‥‥。

中西さん:

「カビ対策については各メーカーさんそれぞれが工夫をされていると思います。例えばカビが生えないような塗装を施したり、しっかり乾かして収納することを徹底して推奨したりなどですね。お持ちの道具によって加工も異なるので、どうカビ対策をするかは新しく木の道具を迎えるうえで、まず押さえておきたい点です」

その他には「変形」も扱ううえでの注意点。木材は乾燥すると縮み、水を吸うと膨らむ特性を持つため、その時々で多少体積が変わります。さらに、乾燥させすぎると割れに繋がる場合も。極端に乾燥させるような環境では使わないなど、注意が必要です。

木の種類による違い

木材は大きく分けると針葉樹と広葉樹の二つがあり、杉やひのきなどは軽くてやわらかい針葉樹、山桜やタモなどは硬くて重い広葉樹に属します。道具を作る際は基本的に、硬い必要があるものには硬い木材を採用するなど使い分けが行われており、例えばダイワ産業さんでは、まな板はひのきで作ることが多いよう。

中西さん:

「まな板は片手で持ち上げることもありますし、洗うときも軽い方が作業がしやすいですよね。あと、ひのきの一番のいい点は刃当たり。まな板が硬いと包丁の刃が傷みやすいのですが、やわらかいことで刃を受け止めやすく、包丁の刃が長持ちします。もちろんその分多少まな板に傷はつきやすいのですが、しっかり洗って乾かしていれば、その傷によって汚れや菌が増えるなんてこともありません。そういった理由からうちではひのきを使って作ることが多いですね」

向かって左2枚が広葉樹、右2枚が針葉樹。体積はほぼ一緒ですが、持つとはっきりと重さが異なりました

その他には桶も針葉樹で作られることの多い道具の一つで、この理由も軽いことが大きいそう。また針葉樹の方が加工後の変形が比較的少ないため、この点も考慮し採用しているといいます。

一方、広葉樹が使われる食卓道具の代表例としては、お椀やお皿など。木材がやわらかいと使っているうちに傷がつきやすいので、硬い素材を使うことが多いようです。さらには、硬い木材の方が加工がしやすく、きれいに仕上がることから使われるという理由もあるそう。

中西さん:

「僕たちは“荒れ”って呼ぶんですけど、やわらかい木材は加工すると木の表面の仕上がりがざらざらっと毛羽立ちやすいんです。反対に硬い木はつるりと仕上げやすいので、お椀などの食器には硬いものが使われることが多いです」

ちなみに「家具や家の床に使用する木材は、どう使い分けるのですか?」と伺うと、「決まりがあるわけではなく、風合いの好みで決めていただいて問題ありませんが、和の家には杉やひのきといった国産の針葉樹を、洋風の家には海外産の広葉樹が主に使われますね。そもそも一部を除いて多くの家具は外国から入ってきた文化なので、それに倣って家具屋さんも海外産の木材で作ることが多いんだと思います」とお答えがありました。

中西さん:

「国産と海外産で機能に差があるわけではないのですが、うちではほとんどの商品で国産材を使用しています。例えば一般的によく使用される海外産木材の一つであるウォールナットは、国産だとくるみの木。どちらが良い悪いという話ではなく、印象的に国産材を好まれる方が多いこともあり、国産を中心に提案させていただいてます。特にうちの主力であるまな板などのひのき製品には、紀伊山地のひのきにこだわって使うことが多いですね」

木の道具のお手入れ方法

基本を押さえたら、続いては長く付き合っていくためのお手入れ方法について伺います。まずはすべての道具に共通することを確認してから、塗装の違いによる扱い方の注意点を教えていただきました。

共通するお手入れ方法

洗う:

塗装・無塗装に関係なく、金属タワシなどの硬い素材で洗うのは避けましょう。木は表面が荒れるほど中に水が入りやすくなり、菌が繁殖する原因となります。

乾かす:

木の道具を乾かす際、食洗機にかけたり直射日光にあてたりすることは避けましょう。木が熱や乾燥によって変形したり、割れたりするおそれがあります。家のなかの乾燥している場所に置く程度であれば、問題ありません。洗った後は水分をしっかりと拭き取り、陰干ししていれば基本的に安心です。

また、同じ理由で電子レンジにかけることも避けましょう。

※食洗機や電子レンジについては、商品により対応可能なものもあります。詳しくはお持ちの道具の取扱説明書をご確認ください。

収納する:

高温になる場所を避け、直射日光のあたらない場所で保管しましょう。

<木の道具のお手入れ心得:全般>

・金属タワシなど、硬い素材では洗わない
・乾かす際は水分をしっかりと拭き取り、陰干しで
・収納は高温と直射日光を避ける

塗装・無塗装それぞれの、お手入れ方法の違い

塗装品

中川政七商店で販売する、無塗装・オイル塗装の木の道具例

塗装は主に、木材の表面に膜をはることで汚れを防いだり、木材の内部へ水分が浸入したりを防ぐといった、機能面を目的として施されます。最近はまな板や曲げわっぱのお弁当箱でも、カビが生えにくいよう塗装をされる品が多くなりました。

塗料には色の入ったものから、木材の色を活かして仕上げる透明の塗料までさまざまな種類があり、例えばクリア塗装の場合にはウレタンやラッカーなどが主に使用されます。

木の道具のメンテナンスには「布を使いオイルを塗る」といった方法もありますが、塗装された道具の場合は表面に膜をはっている状態のため、オイルでのお手入れは避けましょう。その上から何か手入れしようにも、塗装されているためお手入れの意味をなしません。つまり、塗装された道具は定期的なメンテナンスよりも、塗装がはがれないよう日々注意して扱うことのほうが、長持ちさせるうえでは大切となります。

塗装品を使用した際は、水拭きや、やわらかいスポンジでの水洗いで、塗膜がはがれないようお取り扱いください。

中西さん:

「食周りの道具などは塗装と聞くと安全性を気にされるお客様もいらっしゃるのですが、木工で使う塗料はとても安全性が高いものなので、心配いただく必要はありません。機能面でもカビや汚れを防げるなどお手入れしやすくなりますし、僕たちが道具を作る際は、積極的におすすめしています」

その他、塗装品へのアルコールスプレーの使用は基本的に厳禁。吹きかけると、多くのものは塗装がはがれてしまいます。なお、塗装された道具については基本的に修理は難しいものがほとんど。扱い方に注意し、長持ちさせるのが一番です。

中西さん:

「特にクリア塗装は、透明なので塗装がはがれたかどうかは見極められないんです。機能面が落ちてきて気づけるくらいですね。とはいえ、タワシやサンドペーパーでこするといったような、極端に強い力をかけなければ十分長く使っていただけます」

<木の道具のお手入れ心得:塗装品>

・洗う際はやわらかいスポンジで
・アルコールスプレーは使用しない
・再塗装などの修理は難しいため、長持ちさせることを主眼に置く

※塗装の種類によってはアルコールスプレーをかけても大丈夫なものもあります。

◆無塗装、オイル仕上げ品

機能面の利点から塗装仕上げの木の道具が増えている一方、おひつや寿司桶などはご飯の余分な水分を吸う必要があるため、今も無塗装で仕上げられることがほとんど。塗装をしていない分、カビや汚れがつかないよう取り扱いには注意が必要です。

中西さん:

「各商品の取扱説明書の注意点にもだいたいは書いてあると思いますが、無塗装品に関しては、洗ったあとは必ず水気を拭き取ってから保管してください。そうするだけで断然持ちがよくなります。乾拭きする際はふきんを使ってもいいし、キッチンペーパーでも大丈夫です」

またオイル仕上げの商品に関しては、油分によりツヤは増すものの、いわゆる塗装品と比べると撥水性能は高くなく、オイルがはげてしまいやすいそう。特に食卓道具に関しては水洗いがよく発生するため、洗った後はしっかりと水気をふき取ることや、その他定期的にオイルを塗り直すといったメンテナンスが必要です。

お手入れの際は180~240番くらいのサンドペーパーで木目に沿って表面をきれいに磨き、削りカスを取り除いてから、布などにオイルを含ませて道具全体を拭いて膜をはるようにします。

使用するオイルの種類は、食卓道具の場合は口に入れても大丈夫なもの(食用でも可)を使いましょう。なおオイルには不乾性(常温環境で固まらないもの。オリーブオイルやサラダ油など)と乾性(常温環境で固まるもの。エゴマ油やアマニ油など)があり、どちらもメンテナンスに使えます。ただし、不乾性の場合は厚く塗るとベタついてしまい、薄く塗ってもすぐに取れてしまうため、あまりおすすめではないようです。

反対に乾性油は常温環境で固まるため、撥水性も高まる他、しっかり塗りこめる利点もあって塗り直しの頻度も下がります。塗り直しのタイミングは、道具表面のツヤが失われてきたタイミングが一つの目安です。

中西さん:

「オイルメンテナンスの良さは、ツヤを取り戻せることと、撥水性を増すことの二つ。不乾性のオイルだと前者は問題なく対応できるのですが、固まらず水に流れやすいので、撥水性を期待したい場合はかなり高頻度での塗り直しが必要です。一方、乾性油は撥水効果も比較的長く持ちますし、常温環境で固まるためベタつきも少ないので、できればよく使い、洗うような食の道具は、乾性油を使ってのお手入れの方がおすすめです」

なお、無塗装品にもツヤを出すなどの目的でオイルを塗りこむことは可能ですが、その場合木材の持つ調湿機能は弱まるため、吸放湿が必要な道具では避けましょう。

<木の道具のお手入れ心得:無塗装、オイル仕上げ品>

・無塗装品はカビに注意。洗った後は必ず水分を拭き取り、陰干しでよく乾かす
・オイル仕上げの品は、表面にツヤがなくなってきたら乾性油を全体に塗り直す
・無塗装品をオイルコーティングすると、調湿機能が弱まるので注意
・オイルを塗る前にはサンドペーパーで木目に沿って表面をきれいに磨く

お手入れ実践:木べらのオイル塗りに挑戦

一通り習った後は、実践としてオイルでのメンテナンスに挑戦してみます。今回は中川政七商店で販売中の商品である「木べら」のメンテナンスを試みました。

用意するもの:

・布やキッチンペーパー(油分を吸い、塗れればOK)
・乾性油(今回は食用のエゴマ油を使用)
・サンドペーパー(180~240番程度の粗さのもの。今回は240番を使用)

◆お手入れするもの:

もともとは無塗装で仕上げられているこちらの木べら。そのまま使うと経年変化が楽しめるのですが、使っているうちに先端部分と柄の部分の色味が変わってきたので、試しにオイルメンテナンスをしてみました。

お手入れのステップ:

1. 道具の表面を木目に平行になるようにして、サンドペーパーでこする

中西さん:

「余計なものが表面についていると油を吸わないだけでなく、仕上がりのムラにも影響してしまうので、まずはサンドペーパーで表面を磨き、汚れを取ってください。木目に対して垂直にこすると道具が傷んでしまうので、磨く方向には注意してくださいね。結構ガシガシこすって大丈夫です」

2. 木の粉を拭き取る

中西さん:

「サンドペーパーで磨いた際に出た木の粉は、残っていると油を塗った際にムラの原因となります。乾拭きできれいに拭き取ってください」

3. 布に油を染み込ませ、道具の表面に油を塗っていく

4. 2日ほどおき、油が固まったら完成

中西さん:

「塗料が固まるまでは絶対に使わないようにしましょう。指で触って表面が乾いていても、完全に固まっていない場合もあるので、2日ほどはそのまま置いておきます。油ごとに乾くまでの時間に差はあるので、詳しくはインターネットや取扱説明書で確認してください」

特別編:まな板のお手入れ

最後に、ダイワ産業さんの主力製品であるまな板のお手入れについても特別に教えていただきました。

中西さん:

「インターネットなどで調べると、まな板に傷がいった場合のお手入れ方法としてサンドペーパーで磨いたり、かんなで削ったりするといった方法が掲載されているのですが、当社が中川政七商店さんと作っているような塗装されたまな板の場合は、表面を削ってしまうと塗装がはがれるため、そういったお手入れはNGです。塗装されているものについては木の食卓道具同様に、やわらかいスポンジなどで洗い、水気を拭き取ってからしっかり乾かして使ってください。包丁傷がついた場合も、しっかり洗っていれば菌はほとんど広がりません。

無塗装のまな板の場合は、かんなで表面を削ってお手入れする方法もありますが、なかなかハードルが高いと思います。またサンドペーパーでこするのは、表面が荒れて水を吸いやすくなってしまう可能性があるため、あまりおすすめしません。

他にも、薄いまな板を削るとさらに薄くなってしまい、切り心地が悪くなってしまうデメリットも。無塗装のまな板をお手入れするなら、専門の業者さんへ依頼してかんなで削ってもらうか、もしくは食卓道具同様にかんなやサンドペーパーをかけてからオイル仕上げをすれば、表面の荒れがおさまり水をはじきやすくなりますよ。

ただし、まな板はちゃんと扱えば何年も長持ちするので、傷が入っても気にせず使うのが一番だと思います」

お手入れや扱いに難しいイメージがあり、迎えたものの恐るおそる使っていた木の道具。今回教えていただいたのはいずれも簡単に対応できるものばかりで、木の道具を使うことに少し勇気が持てました。経年変化していくのも、木ならではの良さ。自分なりに育てながら、大事な道具として長く使っていけたらと思います。中西さん、ありがとうございました。


<関連商品>
中川政七商店ではダイワ産業さんと、以下の商品を作っています。

食洗機で洗えるひのきのまな板 小・大

文:谷尻純子
写真:奥山晴日

【わたしの好きなもの】キッチンでも食卓でも大活躍中「波佐見焼の保存の器」

数ある台所道具の中で、「なくては困る」と感じているもののひとつが「波佐見焼の保存の器」です。
はじめは「あったら便利かな」と軽い気持ちで買ってみたのですが、今では毎日手放せないほどお気に入りになりました。

「保存の器」と名のついたこちらは、余ったおかずなどを入れて冷蔵庫で保存ができ、直接電子レンジにかけられ、そのまま器として使うこともできる、という優れもの。

大きい順に「中鉢」「小鉢」「ちょこ鉢」の3つのサイズがあり、主菜やつくり置きには「中鉢」、副菜や1人分の料理には「小鉢」、少し余ってしまったおかずや漬物は「ちょこ鉢」、という風に使い分けることができます。

温めるときも簡単で、蓋をずらしてレンジにかけるだけ。毎回ラップを使わなくていいのも嬉しいポイントです。

そしてそのまま食卓に並べるだけなので、別の器に移し替える手間も洗い物も減って、食事の準備が楽になりました。

シンプルな形と上品な色は、器としても素敵な佇まい。さらに、蓋は小皿としても使えるというおまけつき。
自社製品ながら、「よく考えられているなぁ」と使うたびに感心してしまいます。

わが家では、おかずの保存以外にも様々に活躍中。こんな使い方もできる!という発見がいくつかあったので、紹介させてください。

スープのつくり置きに

1人分の汁物には「小鉢」がちょうど良いサイズ。具材だくさんのスープやたっぷり飲みたい場合はワンサイズ大きい「中鉢」がおすすめです

寒いこの時期に特におすすめなのが、スープやお味噌汁の保存に使うことです。
以前はお鍋で作ったらそのまま冷蔵庫に入れていたのですが、食べるときに火にかけて温めてお玉でよそって、食べきったら鍋を洗って‥‥と、忙しい朝にはてんやわんやになることも。

粗熱が取れたら「保存の器」に1杯分ずつ分けて冷蔵庫に入れておくと、食べたいときにレンジで温めるだけで済み、洗い物もこの器とスプーンやお箸だけ。さらに食べる直前まで蓋をしておけるので、冬でも冷めにくいんです!
朝のバタバタの中でも、温かい汁物でひと息つく時間を取れることが多くなりました。

取っ手のついたお鍋と違って冷蔵庫の中でコンパクトに収まるところにも助けられています。

※液体を入れてレンジで温める場合は吹きこぼれにご注意ください。満杯より少なめに入れることをおすすめします。

半端な食材・ドレッシングやソースの保存にも

調理中に少し余ってしまった薬味や、翌朝使うために細かく切った野菜など、半端な食材が出たときは一番小さい「ちょこ鉢」に入れておくと便利です。
使いきれなくて保存に困ることの多いツナ缶やトマト缶も、こちらの器に移し替えると、臭いが漏れにくく、使った後もさっと洗えます。

※完全密封ではないので早めに使い切るようにしています。

ツナ缶 (70g) 1/2~1缶には「ちょこ鉢」、トマト缶(400g) 1/2缶には「小鉢」がぴったりです

蓋をして重ねて置けるので作業台の上でも場所を取らず、さらにそのまま小さなボウルとして調理にも使えるので重宝しています。

また、手づくりのドレッシングやソースをストックしておくのにもおすすめ。
そのまま食卓に出せて、残りはまた保存しておけます。

わが家ではパスタ用のミートソースやトマトソースを多めに作り、翌日以降の朝食としてトーストやバゲットに塗ってチーズを乗せて食べるのが定番です。

お弁当づくりの強い味方

あまり料理が得意ではない私の、お弁当づくりを助けてくれるのも「保存の器」です。
毎朝一から調理するのは大変なので、前日に作ったおかずと組み合わせて、何とかお弁当を完成させています。
多めに作った分を保存の器に入れておくと、あとは翌朝の作業の合間にお弁当箱に詰めていくだけ。
こうすることで毎日の調理は1〜2品くらいで済んでいます。

わが家のお弁当セット。家事問屋の「スリムバット」は、「保存の器 小鉢」を2つ並べるのにぴったりです。※2段重ねて運ぶ場合は器が滑らないようお気をつけください

冷蔵庫の中でトレーにまとめておいて、すぐにキッチンに運べるようにしています。
前日の夜ごはんの残りをお弁当に使うことも多いのですが、一緒に重ねておけば迷わず取り出すことができます。

卵が半分浸かる程度のたれを入れておいて、途中で卵を回転させると均等に味が染み込みます。

特に重宝しているのが、味付け卵の漬け置きです。
めんつゆに漬けるだけでも作れる味付け卵は、お弁当の見栄えと隙間埋めに欠かせません。
卵の個体差によって若干異なりますが、「小鉢」にMサイズのゆで卵3つがぴったり入るくらいのサイズ感です。
チャック付きの保存袋よりも出し入れが楽で、また器の丸い形が卵にフィットして漬けだれが少量で済むのでおすすめです。

調味料入れにも使っています

食材やおかずの保存とは異なりますが、わが家では「ちょこ鉢」を粗塩入れとしても使っています。
口が広がった形は指が入れやすく、片手で持ちやすいので調理中もさっと使えます。そのまま卓上に出せるのも便利なんです。

※吸水性のない器なので、中で塩が固まる場合があります。わが家では粗い塩は固まらず使えていますが、塩の種類や環境にも左右されるので少量で試してからお使いください。

「ちょこ鉢」はバターや手作りのジャムの保存にも便利で、いつもなにかしらに使っています。




使わない日がないほど活躍中の「保存の器」。

好きなところを挙げると、軽くて取り回しがしやすい、使わないときは重ねて収納できて数が増えても困らない、口が広くて洗いやすい、お手入れが楽で丈夫な素材、臭いやシミがつきにくい‥‥などなど、きりがありません。

レンジ対応の保存容器は他にもありますが、私はやっぱりこれが使いやすいなぁと感じています。
使ったらすぐに洗ってまた使って、を繰り返していて数が足りなくなることも多いので、あとふたつくらい買い足そうかな、と目論んでいます。


<掲載商品>
波佐見焼の保存の器 ちょこ鉢
波佐見焼の保存の器 小鉢
波佐見焼の保存の器 中鉢
家事問屋 スリムバット

編集担当
宮浦

【あの人の贈りかた】おうち時間に安らぎと楽しみを(スタッフ森岡)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は労務担当の森岡がお届けします。



やわらかい香りで、おうちで安らぐ時間を。「牛乳瓶に入った消臭芳香剤」

入社してすぐの店舗研修中に、お店で商品を見た時からそのフォルムに一目惚れしました。柔らかい色、日本らしい香り。「中川政七商店らしい商品だなぁ」と感じたことをよく覚えています。

芳香剤として使い終わった後、花瓶として使えるところも気に入っている点。

贈りものとして直接手渡す際に「少し重みがある」というデメリットはありますが(笑)、渡した際のリアクションも良く「牛乳瓶懐かしい〜」と想い出話に花が咲きます。

贈り物をする際「ものだけではなく、温かな気持ちもいっしょに贈れたら」と、いつも考えています。「牛乳瓶に入った消臭芳香剤」を贈りたいのは、私の「優しく柔らかい香りに包まれてほしいな、おうちで安らいでほしいな」という、相手へのささやかな想いからです。

余談ではありますが、プレゼントした友人が、自宅の机の上にこの商品を開けずに置いておいたところ、遊びに来たお母さまに「この牛乳飲んでいい~?」と聞かれたとのこと。

そういうほんわかエピソードも生んでくれる贈り物です。

<贈りもの>
・中川政七商店「牛乳瓶に入った消臭芳香剤」

どんな人の食器棚にも馴染む。「THE GLASS TALL 350ml」

友人の結婚祝いは欲しいものを本人に直接聞き、プレゼントすることが多いのですが、予算にまだ余裕がある場合はこのグラスをペアで送ったりします。

実はあのコーヒーチェーンのカップと同じ形状、容量なだけあって、飲みやすい!持ちやすい!そして洗いやすい!私も自宅で愛用しています。

食器やコップのテイストの好みは人それぞれあるかと思いますが、どんな人の食器棚にも馴染むという点も贈り物に最適です。

普段も特別な日もたくさん使ってほしいなと思い、「シンプルだからこそ、美しい」が体現されているこのグラスを贈っています。

<贈りもの>
・THE「THE GLASS TALL 350ml」

日本らしい繊細さと美しさを感じるお菓子。アトリエうかい「フールセック・丸缶」

「長蛇の列ができ、午前中には売り切れる幻のクッキー」として長く知ってはいましたが、行列に並ぶ勇気がなく、密かに「いつか食べてみたい」と想いを募らせていたアトリエうかいさんのクッキー缶。

そんなアトリエうかいさんが、身近な大阪高島屋にできたと聞いた時は小躍りしました(笑)。

昨年の夏、韓国人の友人に会いに韓国へ行く際、お土産は何にしようか迷っていました。
友人は日本生活が長く、かつグルメ。そして日本を離れて二年ほど経つので、日本らしさも感じてもらいたい‥‥。

そんな時「そうだ!アトリエうかいのクッキー缶!」と思いつき、買いに走りました。もちろんお土産用と自分用に二つ。

案の定とても喜んでくれて、「さすが日本の有名店のお菓子だね。見た目もさることながら繊細な味がする」と、写真付きで感想を送ってくれました。アトリエうかいさんのクッキーから日本人の手仕事の繊細さや美しさを感じ、それを他国の人は「日本らしさ」として受け取ってくれているのだと、何だか私まで嬉しくなりました。

<贈りもの>
・アトリエうかい「フールセック・丸缶」

※中川政七商店での販売はありません

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 労務担当 森岡咲菜

【あの人が買ったメイドインニッポン】#23 文筆家・ツレヅレハナコさんが“最近買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、文筆家のツレヅレハナコさん。初回は「最近買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[ツレヅレハナコさんの愛着トーク]

・最近買ったのは、すすむ屋茶店の急須「warenai」
・この急須を買ってから、頻繁に日本茶を飲むように
・容量が大きいのに軽く、おいしく淹れられて、素敵なデザイン
・コロナ前は、月の半分は旅先に出かける生活
・食べることが目的で旅をして、これまでに30か国以上!
・美味しいお店を探すコツは、現地の人に聞いちゃうこと
・旅先でも大小関わらず物を買って、なにより鍋を買いがち
・鍋愛が高じて、自宅に鍋を飾るためだけの棚を作った?!
・自分が使うところを想像できるものを買うので、手放さない

ラヂオは7つのプラットフォームで配信しています。
お好きなプラットフォームからお楽しみください。

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ツレヅレハナコさんが“最近買った”メイドインニッポン

ツレヅレハナコさんが“最近買った”メイドインニッポンは、「すすむ屋茶店の急須“warenai”」でした。


ゲストプロフィール

ツレヅレハナコ

食と酒と旅を愛する文筆家。著書に『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP)、『女ひとり、家を建てる』(河出書房)『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』(世界文化社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました』など。食や日常を綴るSNSも人気。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、ツレヅレハナコさんに出演いただきます。3/1(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【わたしの好きなもの】はっぴコート

最近多くなってきた「ちょっと貸して」

春めいてきて、服装が軽くなってくると同時に、朝晩はまだ冷える季節の変わり目。
ダウンコートはもう脱ぎたいしと、春用のコートに衣替えしていくなかで、最近お気に入りの新作の「はっぴコート」は、登場回数が多めで着倒しています。
会社の通勤にはもちろん、休日のお出かけから、ちょっとコンビニまでと、ついつい手にとってしまうのです。
私は窮屈な感じが好きではないので、服装もゆるりと着たいタイプで、はっぴコートの軽さと生地の柔らかさはとても着心地がよくてお気に入り。
脱いだときもかさ張らなくて軽いので、手に持っていても平気だし、トートバッグくらいならすっぽり入ります。

パンツでもスカートでも合わせやすい丈感。

ポケットは手がすっぽり入る大きさで、財布と携帯電話、畳んだエコバッグを入れて、手ぶらで散歩に出かけます。
身長が163cmあるので、Lサイズを選んでゆるりと着たり、袖を折って春らしくちょっと手首を出したりして楽しんでいます。

そして最近多くなってきたのが、息子の「ちょっと貸して」。
私が着ているのを見て「それいいなー・・」と言ってるなと思っていたら、「ちょっと着ていくから」と気づいたらもう羽織っている。。
私の!と思いながら、しょうがない貸すだけだぞと出かける姿を見ていると、身長172cmの大学生の息子が着ても、いい意味で「普通に着ている!」と気づいたのです。
会社で男性社員が着ているのは見かけるのですが、18歳の学生も着こなしているのがなんだか新鮮で、あらためて誰でも似合うデザインの幅の広さに感心してしまいました。

勝手にいろんな服装に合わせては出かけていきます・・

しかし、多いのです「ちょっと貸して」が・・・
このままでは私がいつか「ちょっと貸して」と立場が逆転しそうなので、早々に迷っていた墨を買い足そうかと考えております。

(※こちらの記事は2022年に掲載したものを再編集して掲載しています。掲載の色は現在販売しておりません。)

<掲載商品>
はっぴコート

担当編集者 平井

【暮らすように、本を読む】#08「柳宗民の雑草ノオト」

自分を前に進めたいとき。ちょっと一息つきたいとき。冒険の世界へ出たいとき。新しいアイデアを閃きたいとき。暮らしのなかで出会うさまざまな気持ちを助ける存在として、本があります。

ふと手にした本が、自分の大きなきっかけになることもあれば、毎日のお守りになることもある。

長野県上田市に拠点を置き、オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する、「VALUE BOOKS(バリューブックス)」の北村有沙さんに、心地好い暮らしのお供になるような、本との出会いをお届けしてもらいます。

<お知らせ: 「本だった栞」をプレゼント>

先着50冊限定!ご紹介した書籍をVALUE BOOKSさんでご購入いただくと、同社がつくる「本だった栞」が同封されます。買い取れず、古紙になるはずだった本を再生してつくられた栞を、本と一緒にお楽しみください。詳細は、VALUE BOOKSさんのサイトをご覧ください。



足元に咲く、春を見つけに。『柳宗民の雑草ノオト』

春は散歩が楽しい。都会も田舎も関係なく、足元の草花が一斉に芽吹き、つやつやと健康そうな葉を付ける。

民芸運動の創始者・柳宗悦の息子である園芸研究家・柳宗民による、足元の草花にスポットをあてた本書は、60種の植物の鮮やかなスケッチと共に、奥ゆかしい解説が掲載されています。自宅の庭、あるいは散歩に訪れた野辺や山道で出会う雑草。それらを専門的な知識だけでなく、自らの体験と共に語られる、図鑑としても、エッセイとしても楽しめる一冊です。

例えば、「ツクシ」の本名は「スギナ」であって、「ツクシ」はその胞子茎のことであること。藤紫色の花を持つ「ムラサキハナナ」はホウレンソウに似た味がすること。「オオイヌノフグリ」や「ヘビイチゴ」など、植物名の頭に付いた動物の名前は、「贋(にせもの)」という意味で使われるものが多いということ。「どんな草でも、どこかに美しさがあり、役立つ面がある」と語る通り、身近で出会う雑草の名前やそのルーツ、性質を知ると、慣れ親しんだ景色が新鮮なものに感じられます。

「空色のカーペットを敷き詰めたように咲くオオイヌノフグリの姿は、春の訪れを告げる早春の風物詩だ」「厄介な雑草の一つだが、いざ抜きとろうとすると、その花の可憐さに、しばし躊躇してしまうのが、このカラスノエンドウだ」と、美しい表現と共に景色を切り取り、嫌な顔を向けられがちな雑草すら、我が子のように可愛がる著者。彼の語り口がどこか可笑しく、「次はどんな雑草がくるのだろう」と、飽きずにページをめくってしまいます。

そんな雑草たちは時々、「グルメ」の一面をみせます。寒天に実を閉じ込め、冷やして食べる「シロバナノヘビイチゴ」。佃煮にして炊きたてのご飯の上に載せて食べる「ツクシ」。食糧難の時代にひたし物として食卓を支えた「ナズナ」。「栽培物の葉菜にはない、自然の恵みの味わいがする」と、ご馳走としての雑草の魅力を語ります。

2月。肌寒さを残しながら、ふいに注ぐ陽気に春の気配を感じる頃。本書を片手に草花と友人になった気分で、足元に咲く、ちいさな自然を訪ねてみませんか。

ご紹介した本

『柳宗民の雑草ノオト』 文:柳宗民、画:三品隆司

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VALUE BOOKSサイト『柳宗民の雑草ノオト』

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VALUE BOOKS
長野県上田市に拠点を構え、本の買取・販売を手がける書店。古紙になるはずだった本を活かした「本だったノート」の制作や、本の買取を通じて寄付を行える「チャリボン」など、本屋を軸としながらさまざまな活動を行っている。
https://www.valuebooks.jp/

文:北村有沙
1992年、石川県生まれ。
ライフスタイル誌『nice things.』の編集者を経て、長野県上田市の本屋バリューブックスで働きながらライターとしても活動する。
暮らしや食、本に関する記事を執筆。趣味はお酒とラジオ。保護猫2匹と暮らしている。