【わたしの好きなもの】sazareの腕時計

シンプルな佇まいの裏に技あり

日本の実直で細やかなものづくりを「さざれ石」に見立てた時計ブランド「sazare」。

僕はいつもラバーやステンレスのベルトの腕時計と何本かを使い分けていて、久々の革ベルトでした。大きめのフェイスで存在感があるんですが、裏蓋まできれいに鏡面仕上げされていて、肌との摩擦がなく、つけているのを忘れるくらいの着用感がすごいなと。

女性スタッフに聞いても、sazareは今まで持っているものと比べると大きめサイズだけど、それがつけてみるとゴツゴツした重たい感じがなくて、使いやすいなという感想でした。

男女問わずシンプルに使える場面が多そうなデザイン。男性ならスーツはもちろん、お休みに半袖短パンでもつけられる。ビジネスでも普段使いでもこれがあると品よくまとめられるなと思います。

クセのないプレーンな感じなんですよね。それが、実はよく見るとフェイスの削り出しのガラスが表面張力のようにぷっくりしていたり、枠との境目がわからないくらいスッとつながっていたり、ディティールを眺め出すと楽しい(笑)。ブランド名も、普通はフェイスに入ってますがsazareは控えめに裏にしか入っていないんです。こういう細かなところの技や佇まいにグッとくる人も多いんじゃないかなと思います。シンプルだけど特別感がある。

さりげなく裏面にだけ刻まれるブランド名。着用感の良さと、使用による傷も経年変化として楽しめるようにと、裏面もピカピカに磨き上げられている

シリアルナンバーが入っているのも「世界に一本だけ」という感じでいいんです。誰でも合わせやすいので、ギフトにも良さそうです。ニュートラルなデザインなので、ご夫婦でお揃いとかも素敵だなと。長年使っても、飽きのこない一本だと思います。

<掲載商品>
sazare 01.01.00 ホワイト/ブラック SILVER MIRROR

担当編集者 吉岡

「収納しない掃除道具」のススメ。インテリアに馴染むアイテムで、家仕事を気軽に楽しく

出しっぱなしにしておくと、生活感が出てしまうフローリングワイパーなどの掃除道具。一方で普段よく使うものだから、取り出しやすいところに置いておきたい気持ちもあります。

さっと取り出せて、生活感が出ない。両方を叶えてくれるインテリアのような掃除道具があれば…。そんな想いから、リビングに出したままにしておける、佇まいのよい掃除道具をつくりました。

どれも、床や家具などに木を使うことが多い日本の家に合うよう、木や真鍮などの素材を使って、インテリアに馴染む工夫をこらしています。

仕舞い込まずにすぐ手に取れる場所に置いておけると、ちょっとした隙間時間にさっと掃除に取りかかれるという嬉しい効果も。

日々の家仕事をもっと気軽に楽しくする「収納しない掃除道具」を床掃除編、デスク周り編に分けてご紹介します。

[床掃除編]

吉野桧のフローリングワイパー

掃除機のような騒音もなく、気軽に掃除ができるフローリングワイパー。アルミやプラスチック、樹脂製が一般的ですが、こちらは持ち手やヘッド部分に、家具によく使われる桧を採用。ヘッドの接続部分にも真鍮を使い、インテリアになじむ佇まいです。

使われているのは奈良が誇る良質な吉野ヒノキ。素材を知りつくした吉野郡川上村の職人が手間ひまをかけてつくっています。

ヘッド部分は磁石でシートを固定するので、市販のシートはもちろん、厚みのあるクロスをセットしての拭き掃除も可能。部屋のちょっとしたスペースに立てかけても空間によく馴染み、使いたい時にさっと取り出せます。

「インテリアのような」カーペットクリーナー

日常的によく使い、すぐ手近なところに置いておきたい掃除道具の代表格、カーペットクリーナー。持ち手やケースがプラスチックのものが多く、置いておくとどうしても生活感が出てしまうのが悩みどころです。

「インテリアのような」カーペットクリーナーは、その名の通り、どんな空間にも自然と馴染む佇まいを大切にしました。収納ケースは木目の美しい楢材で仕立て、ハンドル部分はサビにくく昔から日用品や工芸品などの素材として用いられてきた真鍮製です。

市販のスペアテープも使えるサイズ。繰り返し使うほどに、真鍮はアンティークのような風合いを増します。置いてある時も取り出して使う時も、見た目に楽しい掃除道具です。

小掃除箒とはりみ

掃除機が入らない狭いスペース、細かい段差の掃除に便利な小ほうきとはりみ(ちりとり)のセットです。

ホウキグサを麻糸で束ねた小ほうきと和紙でできたはりみは、どちらも佇まいが美しいだけでなく、静電気がおきずに払ったホコリがまとわりつきにくく、効率よく掃除ができる優れもの。

ちょっとしたスペースに吊るしておけばホコリやゴミが気になった時にさっと掃除に取りかかれます。

[デスク周り編]

吉野桧のハンディモップ

家具の上やデスク周りのホコリ取りに活躍するハンディモップを、フローリングワイパーと同じく吉野桧と真鍮の組み合わせでつくりました。桧ならではの木目が美しく、壁にかければインテリアに馴染む佇まいです。

モップはホコリを吸着する極細繊維のマイクロファイバーで、洗って何度も繰り返し使えます。

熊野で作った掃除筆

さらに細かな隙間のお掃除に便利なのが、こちらの「熊野で作った掃除筆」。

凸凹が多く繊細な仏具のホコリを払うための筆に着想を得て誕生しました。手掛けたのは筆の生産で有名な広島県熊野町の筆メーカー。やわらかく繊細なヤギの毛を使い、小回りのきく形・サイズに仕上げました。

持ち手は天然木と真鍮、吊り下げ紐には革紐を採用。落ち着いたデザインで、パソコン周りや本棚の近くに吊るして置けばキーボードの隙間や棚の掃除にサッと使えます。

隙間の多いキーボードや液晶ディスプレイなどに軽く当てれば、毛先がすっと細かな隙間にまで入り、チリやほこりをやさしくかきだしてくれます。

佇まいも使い勝手もいい掃除道具で、毎日の家仕事をもっと心地好く。インテリアを選ぶように、お気に入りを揃えてみてはいかがでしょうか。

<関連特集>

文:尾島可奈子

<掲載商品>

吉野桧のフローリングワイパー
「インテリアのような」カーペットクリーナー
吉野桧のハンディモップ
熊野で作った掃除筆

【心地好い暮らし】第3話 しめ飾りをつくる

箱を空けた瞬間に稲わらの香りが辺り一面に広がる。中身が何かを知っていても、まだ商品として完成していない素材の束を手にすると大人の私もワクワクする。久しぶりに向き合った見知った顔も嬉しくて、つくろうつくろう!と前のめりに愉しい時間が始まった。

今日の先生である羽田さんと初めて仕事をしたのは10年前になる。転職したてで右も左も分からない生産管理担当(私)とインハウスデザイナーとしての出会いだった。すでにたくさんの商品を担当していた彼女は、毎回本当に楽しそうにプレゼンテーションをおこなうので、聞いている方も自然と笑顔になっていつの間にか彼女のファンになってしまう。当時からそんなデザイナーだった。
あれから10年、その間に彼女は結婚し、数年後に母となった。たくさんの役割が増えていった日々だったと思うが、ものづくりに対する熱量は少しも衰えず、愛嬌がある豊かな商品をたくさん生み出してくれている。

その中の一つに「季節のしつらい便」という商品がある。これはもう宣伝になってしまって恐縮なのだけれど、日本に伝わる年中行事を親子で手軽に楽しめるようにと、数年前から羽田さんが担当しているシリーズだ。今の時代を生きる一人のお母さんとして、自分の子供に伝えるならという視点で毎回試行錯誤してくれている。

年中行事というと、正直とても面倒な準備が必要だったり、正式に行うには手順が多すぎて流石に無理ですわ…というものもある。そこは否定できない。ゆえに世の中が便利になり暮らしのスピードが速くなる中で、そういった「面倒なもの」は、どんどん失われていっている。

でも一方で、微かにでも受け継がれ、残っているものには何らかの意味があるのではないかなぁとも思ってしまう。実際、季節の節目に行われることが多い歳時記と呼ばれるものは、今よりももっと難しかったであろう子供の無事な成長を祈ったり、次に来る季節に備えて暮らしを整え、元気に乗り切るための知恵が詰まったものも多い。
古のご先祖さまが面倒なことを四季折々に設定したと考えるよりも、年中走り続けて息切れしてしまわないように、節目ふしめで無事を感謝し一呼吸置くための工夫だと考える方が自然だなと思う。

だから、羽田さんに「しめ飾りを、稲わらからつくる」という構想を聞いた時、一瞬躊躇はしたものの、いつもの楽しそうなプレゼンを聞くうちに、来年の正月は自分でつくったしめ縄飾りで迎えると決めた。年末年始こそ一呼吸にもってこいだ。

ということで冒頭のシーンとなる。つくった感想としては、お子さんも絶対に楽しんでいただけると思うが、大人がつくってもとても楽しい。少し難しい部分もあるが、どうやったら上手くできる?と考えることも面白い。それに二人でつくれば「そこ持っててね」と助け合えるので、あっという間に立派なしめかざりが形を成してきた。

中心に掲げる願いには、来年資格試験を控える家族の為に「合格」と書いてもらった。しめかざりの木札には「笑門」などが書かれることが多いけれど、本来注連縄飾りは各家庭で願いをこめてつくられていたもの。そう考えると木札にも、自分たちの家族、今の暮らしに合わせた願いごとを考えて書くというのもひとつの楽しみ方だと教えてもらって、なるほどと思った。羽田さんは縁起のよい人なのでとてもご利益がありそうだ。

今年ももう二ヵ月をきった。年末に向けどんどん慌ただしくなる日々の中でも、こうして少しづつ準備をしながら穏やかに新年を迎えることができるといいなと思う。来年は健やかなよい年になりますようにと願いながら。


<関連特集>


書き手 :千石あや
しめ飾りづくりの先生:羽田えりな


この連載は、暮らしの中のさまざまな家仕事に向き合いながら「心地好い暮らし」について考えていくエッセイです。
次回もお楽しみに。

【わたしの好きなもの】産地の鍋の素

小鍋にもちょこっと使いにも便利な「鍋だけじゃない産地の鍋の素!」

産地のごはんシリーズから登場した「産地の鍋の素」。
産地のお鍋から学んだ味だからですが、名前が変わってるな・・という印象でした。
我が家で作るお鍋は、昆布で出汁をとった水炊きか、寄せ鍋が王道なところ。変わり種でもキムチ鍋、豆乳鍋、トマト鍋。
そずり、山椒香る生姜味噌、飛鳥風、聞いただけではどんな味かわからないですよね。しかしそこがですね、産地シリーズの興味惹くところなんです!自分では作り出せない味わいにワクワクしませんか。

私は奈良出身なので、飛鳥鍋は食べることがあるのと牛乳大好きなので、ダントツ「牛乳で作る飛鳥風鍋の素」をおすすめしたい気持ちでいっぱいです。自分で作る豆乳鍋よりも、鶏ガラダシに白味噌が入ってる分美味しい!!コクと味わいがしっかりしてるといいますか、とりあえず美味しい!!豆乳鍋好きさんには、ぜひ食べていただきたいです!

「牛だしのそずり風鍋の素」は、3種類の中では定番のお鍋な感じがします。しかし寄せ鍋とも違うし、生姜が入ってるからさっぱり感があります。このお鍋でおすすめしたいのが、シメにお蕎麦です。もちろん雑炊にしてもうどんでも美味しいのですが、無性にお蕎麦を入れたくなるんですよね。ぜひいろいろ試してみてください。

「山椒香る生姜味噌鍋の素」は、最初の印象がスパイスカレー?と思ったくらい香りがスパイシー。それもそのはず山椒に八角、シナモン、陳皮、クローブ、とうがらしと、お鍋には珍しい調味料が入っているのです。そしてこの香りがたまらなく食欲をそそるんです。3種類の中で一番個性ある味わいですが、我が家の高校生の息子はこれが一番好きだそうです。味がしっかりしていて、シメにはご飯を入れてチーズに生卵と、がっつり食べています。

左から「牛乳で作る飛鳥風鍋の素」、「牛だしのそずり風鍋の素」、「山椒香る生姜味噌鍋の素」

お鍋のいいところは、だいたいの野菜、お肉、魚介類を受け入れてくれるところ!
我が家の冷蔵庫の余りものも、鍋の素の種類を変えるだけで「今日もお鍋?」と子供に言われることもありません(笑)

この鍋の素の便利なポイントは、キャップが付いたスパウトパウチというところ。1回きりではなく、キャップを締めて冷蔵庫に入れておけば、ちょこちょこっとずつ調味料のように使えるのがとっても便利なんです!
例えば、お鍋をするときも最初は控えめに入れておいて味見しながら足していけるし、出汁が少なくなってきて追い足しする際も、お湯に必要分だけ溶かしたものを足せば水っぽくならない。
さらに我が家の受験生男子の塾帰りのご飯や夜食に一人分の小鍋をさっと作れるし、調味料のように別のアレンジも簡単にできるんです。

子供イチオシ「山椒香る生姜味噌鍋の素」で、いきなりシメご飯は、夜食にがっつり食べたい時にオーダーが入ります(笑)

ちょっとずつ使えるから、冷蔵庫の余りもの鍋にするときも、私はあっさりお魚鍋、子供はしっかりスープ鍋と、お互い好きなものを入れて作ることもできます。

「牛だしのそずり風鍋の素」であっさりタラと根菜鍋
食べざかりの子供は「山椒香る生姜味噌鍋の素」でポトフ風具だくさんスパイススープ鍋

私のイチオシ「牛乳で作る飛鳥風鍋の素」を使えば、クリーム系の一品も簡単です。こういう簡単調味料のいいところは、それだけで美味しい味に出来上がるところ。牛乳にプラスするだけでクリームパスタもムニエルのソースにも!!塩コショウもいらないですよ!
ただ、味変に子供が「国産素材のかける薬味みそ」をかけるのは、私もオススメしたいところです。なんにでも合うのですが、クリーム系との相性は抜群です。

寒くなってきた時の、我が家の朝食はスープが多くなるのですが、ここでも鍋の素はすごく使いやすい。
お湯をわかして、味見しながら鍋の素を入れるだけで、スープベースが出来上がり。あとは適当に野菜やソーセージなどを入れるだけ。お腹の足しになる「トック」(韓国のお餅のようなもの)を足したら、朝食のできあがりです。小さなお鍋ひとつで出来るので、簡単ですよ。

「牛乳で作る飛鳥風鍋の素」を牛乳を使わずお湯に溶かして、つみれ、きのこ類、ニラ、トックを入れたスープ

鍋だけじゃなくて、ちょこちょこっと使える鍋の素は、私の毎日のご飯のお助けアイテムとして大活躍です。

「牛だしのそずり風鍋の素」をめんつゆ代わりに使って休日のお昼のおうどんに

まだまだこれからが冬本番、だんだん外に出たくなくなってきても美味しいお鍋に料理にと、楽しみながら冬を越そうと思います。

<掲載商品>
産地の鍋の素3種はこちら
小鍋にもなる伊賀焼のスープボウルはこちら
小鉢から麺類までサイズが豊富な食洗機で洗える器はこちら

担当編集者 平井

11月8・9日、いいパックの日。紙の可能性を探求した「紙器具」

こんにちは。ライターの小俣荘子です。

日本では1年365日、毎日がいろいろな記念日として制定されています。国民の祝日や伝統的な年中行事、はたまた、お誕生日や結婚記念日などのパーソナルな記念日まで。数多あるなかで、ここでは「もの」につながる記念日を紹介しています。

さて、きょうは何の日?

11月8・9日、「いいパックの日」です

11月8日と9日で「11・8・9 (いいパック) 」と読む、語呂合わせ。簡易包装を勧める日として、通商産業省 (現在の経済産業省) が1991年に制定しました。エコへの意識が高まるなか、現在では、シンプルな包装やエコバックの活用といった考えも浸透してきていますね。

これからの「紙」の可能性を考える

一方、デパートで販売されているお菓子や化粧品、大手テーマパークのお土産品の箱など、商品に付加価値や物語を与える役割を担うパッケージも存在します。

さらには、単に「包む」という役割を超えて、ファンデーションのコンパクトとしてそのまま使える紙箱を開発するなど、包材の次の一手を打ち出す会社もあります。

そのひとつが、TAISEI株式会社。精緻な設計と技術による、機能性とデザイン性を追求した美しいパッケージ作りで高く評価され、紙の印刷・加工の世界で確固たる地位を築いています。

製本の技術を活用して作られた化粧品の携帯ケースとして使える紙箱
製本の技術を活用して作られた化粧品の携帯ケースとして使える紙箱

今日は、パッケージ作りの第一線を走るTAISEI株式会社が新たにチャレンジした、時代と向き合って生まれた新ブランド「大成紙器製作所」が生み出した「もの」について紹介します。

「紙器具」を提案するブランド

TAISEI株式会社の1919年創業時の名前である「大成紙器製作所」を掲げたブランドは、紙から生まれる文化を耕し、作り手と使い手を繋げることを目指しています。

彼らがつくる「紙器具」とは、紙を私たちの暮らしに寄り添う道具と考え、その価値を再発見して「伝える・収める・設える」を理念において、つくられた新しい日用品のこと。

紙を筒状に成形する紙管 (しかん) の技術と手仕事を取り入れた小物入れ「TUBE STAND」。ペンを立てたり、机の上の小物をまとめやすいサイズで、2種類を組み合わせて使用することもできます。特許を持つ紙管の技術で型くずれしにくい、しっかりとした作り
紙を筒状に成形する紙管 (しかん) の技術と手仕事を取り入れた小物入れ「TUBE STAND」。特許を持つ紙管の技術で型くずれしにくい、しっかりとした作り
スリットのある引き出し型書類ケース「PULL SHELF」。前面のスリットは書類を入れる窓でもあり、引き出す取手にも。スタッキングした際にも引き出しやすい形
スリットのある引き出し型書類ケース「PULL SHELF」。前面のスリットは書類を入れる窓でもあり、引き出す取手にも。スタッキングした際にも引き出しやすい形
紙ひもの取手がついた書類ボックス「PULL BOX」。手元に引っ張りやすく、箱自体は縦・横のどちらで使っても裏が見えず美しい
紙ひもの取手がついた書類ボックス「PULL BOX」。手元に引っ張りやすく、箱自体は縦・横のどちらで使っても裏が見えず美しい

「『なぜ紙箱屋が一般向けのブランドを立ち上げたの?』とそこら中で聞かれました。
昔ながらの職人気質というか、保守的なところもある業界なので、紙箱を作るならそれに専念して追求するべきという考えの会社さんも多く、かなり特殊に映ったところもあるのでしょうね」

そう話すのは、紙器具の生みの親である、TAISEI社長の細水雄一郎 (ほそみず・ゆういちろう) さんです。

「私たちが大切にしている先代の言葉に“somethig different”というものがあります。

他とは違うこと、新しいことをやってみよう!という考えです。紙の価値を高めていこう、品質の高いものを広めていこう、というチャレンジ精神を持って取り組んでいます」

その言葉の裏には、TAISEIにとっての挑戦だけではない、わたしたち使い手と、業界全体にまたがる「考えのズレ」を埋めていこうという想いもありました。そのきっかけは、細水さんの子ども時代にまでさかのぼります。

妹の罪悪感と、エコ素材としての紙

TAISEI社長の細水雄一郎さん
TAISEI社長の細水雄一郎さん

「今では笑い話なのですが‥‥私の妹は幼い頃、わが家が悪いことをしていると悩んでいたそうなんです。環境問題が大きく取り上げられる時代に紙箱を作る家業に罪悪感があった、と。

でも実は、紙って非常にリサイクル率の高い素材なんです。紙製品全体の6〜7割がリサイクルされています。箱の内側に使われている厚紙などは、ほぼリサイクル紙。

省資源で軽くて、捨てやすい。そして何度も循環させられます。そのため、樹脂や缶などの素材から紙のパッケージに切り替える商品も増えています。何かを包む必要があるとき、紙は環境にとっても良い選択肢なのです。

ただ、デジタル化の波もあり、印刷物が全体的に減ってきているために、質の良い古紙が集まりにくいというのが最近の課題です。そうなると、循環が滞ってしまいますから、古紙でまかなえていたシーンであっても、新品の紙をつくるときの原料であるバージンパルプを使わなければならない状況すら生まれてしまう。

今の状況を見ていて、自分たちの会社のことだけでなく、業界全体を考えて元気にしなければならない。そして健全な循環をさせていきたい。そう考えるようになりました」

「自分たちが好調な時にこそ、業界全体を考えた次の一手に出たい」と細水さんはいいます。そうして考え抜いた末にたどり着いたのが、「紙の道具」だったのだそう。

生活で使われる道具から、紙の良さを伝えていきたい

大成紙器製作所

「化粧品のケースとして使える紙箱の開発などを通して、紙の利点や機能について改めて考えるようになりました。これを違う形でも活かせないか?と。

コストの低さ、素材の軽さ、気軽に扱えること、エコな点など紙の強みは色々とあります。紙の可能性はまだまだ広げられるはずです。

紙の価値をもっと高めて広げていけないかと考えた時に、パッケージのような間接的な商品だけではなく、一般のお客様にとっての直接的な商品そのものを作って魅力を伝えていくことを思い立ちました。もっと生活の中で役立ててもらえる商品が作れるのではないかと。

紙以外の素材で作られることが一般的な生活道具、たとえば収納アイテムなどを紙で作ってみてはどうかと開発が進んでいきました」

紙で作られた道具は、軽くて扱いやすく、素材ならではの風合いが空間に柔らかい印象を与えてくれるものでした。

紙の特性を生かした道具づくり。これから生まれる「紙器具」も楽しみです。

<取材協力>

TAISEI株式会社

<掲載商品>

PULL BOX (大成紙器製作所)

PULL SHELF (大成紙器製作所)

TUBE STAND (大成紙器製作所)

文・写真:小俣荘子

 

こちらの記事は2017年11月の記事を再編集して掲載いたしました

 

【わたしの好きなもの】萬古焼の耐熱土瓶


こぽこぽと沸く音が、くつろぎ時間のはじまり

冬本番を迎えて、温かいお茶が欠かせない日々をおくっています。
今までは電気ケトルでお湯を沸かしていましたが、この土瓶が来てからは、断然土瓶派に!
もちろん、買うまで迷いました。。電気ケトルは便利です。湧いたら勝手に電源が切れるし、料理の時は絶対使うからいらないなんてことはない。
それに、常に出しておく道具をもう一つ買って邪魔にならないか‥‥。

結論、買いました。
なくてもいいかもしれないけれど、あると幸せな気持ちになる。
飲む分量しか入れないのと、土瓶の保温性のおかげで意外と早くお湯が沸くので、カップやおやつを用意していると、こぽこぽとお湯の沸く音が。

夜の少し暗いキッチンで、ガスの火とこの音の雰囲気が、「さて、ゆっくりしますか」という気持ちにさせてくれます。このひとときがたまりません。




やかんほど大きくないので、キッチンを圧迫することなく、ちょこんとそこにいる感じです。
私はたっぷり飲むのでマグカップ派です。さらに2杯は欲しいので、多めに沸かします。
マグカップでたっぷり、2杯は飲みたいので、少し多めに沸かしていますが、保温性が高いおかげで2杯目も温かさが残っています。仮に冷めてしまっても、そのままコンロで温め直しができるので、とても気軽です。




夜は、ほうじ茶や番茶をよく飲んでいて、どちらも土瓶にバサッと入れてちょっと待ったら出来上がりという感じで、気軽に淹れています。
目盛りが付いているおかげで、お湯の量に関しては今までよりもちゃんと淹れることができているはず‥‥。




帰宅後の時間は1分でももったいないと、毎日がバタバタです。でも、便利な家電の中にこういうちょっと手がかかるけど、それ以上にほっとさせてくれる道具があってもいいなと、毎晩こぽこぽお湯が沸く様子を眺めています。


編集担当 今井

<掲載商品>
萬古焼の耐熱土瓶 飴
小鹿田焼のマグカップ
番茶 大袋 深く濃い 天日干し番茶 ティーバッグ15包入