【わたしの好きなもの】THE Sweat Zip up Hoodie

何十年後も飽きないへたらない、着心地抜群のスウェット


夏以外はずっと活躍してくれるジップアップパーカー。

会社の帰りに寒いと感じた先週から、クローゼットから出してきた。冬はコートの下にも着るし、家でもついつい羽織ったままで過ごすし、春先もやっぱり肌寒いと手放せない。

毎回着るたびに、やわらかさと「ふかふかっ」とした肉厚な生地に包まれる心地よさに感動。

昔ながらの吊り編み機でゆっくり編まれたスウェットは、しっかりとしているのに、ゴワゴワせず、やわらかくてくったりとしている。

最初から何年も付き合ってきたような風合い。







特に着心地の良さを実感できるのが、腕を上げ下げした時。

スウェットって、ちょっと窮屈だなと思うことがあるのですが、この生地は違います。

背中部分が引っ張られる感じがなく、ストレスなく動かすことができます。







このスウェットは、生地を織るための糸を作る段階から、素材を無理に引っ張らずに自然な状態を保つように作っているそうで、パイルが蜜でしっかりしてるのに、やわらかな状態で肉厚という、ふかふかな着心地が味わえる。

これは、フードやポケット部分でも感じることで、ぺたんとならず立体的でふっくらしています。









ジッパーがフード部分まで少しかかっているデザインもお気に入り。

全部閉めると、ちょっと立ち上がった感じになり首元を包み込んでくれます。







あと、注目してほしいのが、生地ではないのですが、ジッパーの形。

ジッパーって、差し込むときにちょっとした気合がいるといいますか、、、「ぐっ」と押し込む感じですよね。

しかし、このジッパーは差し込む方が、スッと入るような形になっているので、引っかかりゼロでスルスルと閉じたり開けたり。

なんて細部まで気を使っているつくりなんだと、気づいた時は小さく感動して思わず奥さんに報告しましたね。







しょっちゅう着るので、もちろん何回も洗濯されますが、へたるどころかどんどん着心地よくなっていきます。

ちなみに、最初の洗濯の時は、遊び毛が落ちるので1枚だけで洗うのがおすすめです。



十年単位でお世話になると確信しておりますので、どうぞよろしく。





着用:Lサイズ 身長:約175cm


<掲載商品>
THE Sweat Zip up Hoodie

編集担当 森田

【わたしの好きなもの】 着けるタートルネック洗えるウール

厚着しない私の防寒術


秋冬の防寒に欠かせないマフラーやストール。

外出するときは自然と身につけることが多いですが、お家ではどうでしょう?


寒いからといって室内でもマフラーを巻いている人は少ないと思います。

でも防寒しないと首元がスッと寒い。 タートルネックの服を重ねるとちょっと暑い。

そんなときにちょうどいいのが「着けるタートルネック」です。



まるでインナーにタートルネックニットを重ねているような見た目。 でも実際に布が重なってる部分は首元だけなので、防寒しながらすっきりとした着こなしになります。







通常のネックウォーマーよりも広い範囲を覆い、首元だけでなく、冷えやすい背中や肩まで温められます。こうやってうつむいたときにも、服と肌の隙間を埋めるように体に沿うので、冷気が入ってくるのを防いでくれます。






お出かけのときに「便利だな」と思ったのは、スタンドカラーのアウターを着ても首元がかさばらないこと。秋冬のアウターは首元の風除けに衿元が立っているデザインが多いですが、その上からさらにマフラーを巻くとごわついて、肩が凝ってしまうことがあります。そうならずに、すっきりとアウターを着られるのでうれしいです。







ハンカチよりも小さいサイズなので、ポケットやいつものかばんに入れておいて、使いたいときにさっと取り出して使える手軽さもうれしいポイント。

私は家にいるときにこちらを使うことが多いですが、家事をするとき、ゴミ捨てに行くとき、寒いベランダで物干しをするときなど欠かさず身につけています。

ウール100%ですが、お家でお手入れができるので、毎日気兼ねなく使えます。 家でも外でも大活躍の「着けるタートルネック」は、おすすめしたい私の防寒術です。



編集担当 今井

海外のつくり手も元気にする。台湾発「KŌGA – 許家陶器品」デビューの道のり

2021年9月、中川政七商店の工芸再生支援を経て新たなブランドが日本でデビューします。

名前は許家陶器品(KOGA tableware)。

つくり手は、台湾で100年近く続く陶磁器メーカーです。

今回は、「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げる中川政七商店が、初めて海外のつくり手を元気にするために取り組んだ、台湾の工芸再生支援のお話です。

工芸の衰退は、世界共通の問題


きっかけは3年前に届いた、1通のメールからでした。

「この国の工芸の復興を目指したい。力を貸してもらえませんか?」

送り主は企業支援などを行っている台湾デザイン研究院(TDRI)。ちょうど中川政七商店の社内では、社長が十三代 中川政七から十四代 千石あやに交代したばかりの頃です。

「社長交代の節目に、改めて私たちが海外でできることがあるのか、あるとしたらどんなかたちなのか。まさに可能性を検討しようとしていたタイミングでした」

2019年、プロジェクト始動時の記者会見で話す十四代の様子

そう振り返る十四代が当時、社内で話し合っていたのは4つのことです。

  • 工芸が失われつつあるのは日本に限らず、世界共通。そこに対して私たちが何かできることは無いか?
  • 日本の工芸の衰退は、戦後先進国から持ち込まれた大量生産大量消費のものづくりの影響も大きい。自分たちが海外で取り組みをする時、そうなってはいけない。
  • 日本の工芸の輸出ではなく、その土地らしさを活かしたものづくりのノウハウを伝えることなら、私たちが取り組む意味があるのでは。
  • 中川政七商店が扱うのは暮らしの道具。生活様式が似ている国なら、これまで積み上げてきたブランディングの手法が生きるかもしれない。

これまで中川政七商店では、自社の経営再建やブランディングの経験を活かし、全国60社のつくり手の工芸再生支援を行ってきました。「ものを売るという視点ではなくブランドをつくる」。このノウハウなら、海外のものづくり復興にも役立つかもしれない。そう海外との関わりを検討する中で飛び込んできた、台湾からの工芸再生支援依頼でした。

「国を超えて協業してほしいと言われるのはありがたいことだと感じましたし、直感的にお受けすべきだと思いました。ただ十三代会長からは当初『先に国内でやるべきことがあるのでは』と問われ、ずいぶん悩みました」

そんな時に「絶対にやるべき」と声をかけたのが、後に台湾工芸再生支援でタッグを組むことになる、method代表の山田遊さん。バイイングからショップや地域イベントの監修まで幅広く手掛け、中川政七商店のよきアドバイザーでもあります。

「白か黒かでなく、やり方を考えればいい。必要なら手伝うよ」

その言葉に力を得て、また会長からも最後には「やるからには絶対に結果を残さないといけないよ」と背中を押され、十四代と社内で結成された工芸再生支援チームは台湾へ向かいました。

初めての海外工芸再生支援先は、陶磁器メーカーのご夫婦

佳鼎の四代目、許世鋼氏

TDRIからのオファーは、日本のケースと同じく地域の中小規模の企業への経営コンサルティングとブランディング指導。手をあげた数十社から支援先に決定したのが、鶯歌(イングー)という土地の陶磁器メーカー「佳鼎(ジャーディン)」です。

実際に現地での工芸再生支援を担当した島田智子は、最初の印象をこう話します。

「鶯歌は台湾陶磁器の代表的な産地で、日本で言えば有田のような、観光もさかんな土地です。佳鼎はそこで100年近く続く歴史あるつくり手ですが、最終候補数社の視察に伺った時、お店の前では観光客向けに、仕入れた日本の焼き物の企画展が行われていました。

自社ですでにたくさんの商品も出されていましたが、売り上げの主力となるブランドが無い。ちょうど、私たちが最初に工芸再生支援を行った波佐見焼メーカー「マルヒロ」の初期の頃のように、ブランドの整理がされていない状態でした。

旧工場を観光地化。二階は歴史資料館のようになっている

それでも二階にあがると窯元の歴史資料館のようになっていて、語れる魅力が眠っていそうでした。日本で学んで現地で素材を集めて再現したという独自の釉薬も美しかった。整理すれば、台湾を代表するようなうつわのブランドが生まれるかもしれない、と感じました。

窯元独自の釉薬で開発した丹青碗。祖業である瓦工場から、日用食器へと転換するきっかけとなった商品

何より、佳鼎の経営を担う許さんご夫婦がとても勉強熱心で、これにかけるという強い意気込みを感じたんです」

こうして支援先が決定。経営面を中川政七商店のチームが、プロダクトの開発を山田遊さん率いるmethodのチームが引き受けることに。いよいよ台湾での工芸再生支援が本格化していきました。

似ているものづくり事情、異なる食卓事情

現地でのMTG風景(2019年)。窯元の歴史を掘り下げながら、ブランドを組み立てていった

「実際に始まってみると、日本も台湾も、国に関係なく『工芸あるある』、つまり中小規模のつくり手が抱える課題は同じでした。帳簿に材料費が載っていたりいなかったりと利益計算が曖昧だったり、複数ある自社ブランドの住み分けができていなかったり。

解決すべき課題が日本のつくり手と共通だったので、経営のフェーズは日本と同じプロセスをそのまま生かして進めることができました」

一方で明らかになったのが、台湾と日本の食卓文化の違いです。

実は台湾は屋台などの外食文化が根強く、日本のように毎食自炊する人は少数派です。そのため自宅に揃えている食器の数も少なく、キッチンが無いマンションも珍しくないそう。

「それでも、少ないながらも自炊する人たちはどううつわを選んでいるのか。TDRIのスタッフさんを通じて、台湾で自炊する人の食器棚を撮ってきてもらったりしながら、台湾の食卓事情をリサーチしました」

実際に撮影してきていただいた写真の一部

一方で許さんご夫妻には、4代続く窯元の歴史を調べてもらい、メーカーとしてのらしさを掘り下げていきました。こうして、山田遊さん率いるmethodの伴走のもと生まれたのが、台湾発の陶磁器ブランド「KŌGA – 許家陶器品」(翻訳すると「許さんの家のテーブルウェア」)。そのデビューを飾ったのが、根強い外食文化を逆手にとった「台湾の食卓で使えるきほんの一式」です。

「台湾の食卓で使えるきほんの一式」

50近いご家庭のキッチンの風景から、「台湾の人が初めて自分のためにうつわを揃えるなら、この一式を」という提案が導き出されました。

例えば、おかずを盛り付けるうつわの深さは4cm以上。お粥や煮物など汁物の多い台湾の食文化に対応します。

出来立ての熱々をいただく食事も多いため、持ちやすいように底部分には高台を設けました。

そして、どのうつわも台湾では一家に一台あるという保温・炊飯道具「万能電気釜」に必ず入るサイズに。

うつわの色は、窯の炎の色や、代々生み出されてきた佳鼎独自の釉薬の色、鶯歌の風景をイメージした色など、許さんの窯元らしさの出る4色に。

組み合わせれば、食卓がカラフルに彩られます。

海外の工芸再生支援を通じて見えたもの

ブランドのデビューはまず昨年の12月に台湾で記者発表され、年明けの2021年1月に台湾国内で販売のためのクラウドファンディングを実施。目標の10倍を超える額を達成することができました。

「もちろん日本のこれまでの事例と同じで、ブランドをつくって終わりではありません。あとはどうやって人の手に届けていくか。ここからがスタートです。

それでも、クラウドファンディングは台湾の人たちにどう受け止められるかのひとつの試金石でした。やはり食器に興味がないのではないかと、はじめは心配でしたが、早々に目標額を達成して手応えを感じました。

私たちがこれまで大事にしてきた、土地の風土や技術を生かしたものづくりのあり方が、台湾の人たちにも届いたのだなと」

また、今回のプロジェクトを後押しし、プロダクトの開発支援を担当したmethodの山田遊さんはプロジェクトの道のりと意義をこう振り返ります。

「このプロジェクトが始まる際、台湾でも若い世代を中心に、日々の食事と、その際に用いる器や道具も大事に選びたい、という気運が少しずつ盛り上がりつつあるように感じていました。

ちょうどプロジェクトの道半ばで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、全てオンラインで進めざるを得ませんでしたが、台湾の食生活を考慮しながら、台湾で作られた新しい食器で、日常の食卓を彩り、食事を楽しむ、という意義は、より強くなったように思います。」

「KŌGA – 許家陶器品」は2021年9月22日に日本でもブランドデビューを迎えます。日本の使い手にとっては、また新たなうつわとの出会いです。

国に関係なく、土地の風土や技術が生きた工芸はきっと面白い。台湾、日本、どちらの使い手にとっても、「KŌGA – 許家陶器品」が暮らしと工芸を楽しむきっかけとなりますように。

<掲載商品>
「KŌGA – 許家陶器品」

文:尾島可奈子

スープ作家・有賀薫さんに聞いた、「長いおつき合いになりそうな予感がするキッチンツールたち」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。
私たちが扱う暮らしの道具を実際に使っていただいて、ものの良さだけでなく至らなさも含めて感想を教えてもらいました。

本日紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
さまざまなキッチンツールを使ってみての感想を記事にまとめていただきました。


スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作り始めたスープが2020年2月時点で約2900日以上になる。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。


では早速、有賀さんによる「長いおつき合いになりそうな予感がするキッチンツールたち」を見ていきましょう。

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サイズと自分の手の関係って大事だなと気づかせてくれた、DYKのペティナイフ

多くの道具は、手で触れ、手で扱うものです。だから、使う自分自身の手の大きさや形にその道具がフィットするかどうかはわりと大事にしています。でも、一度使い慣れてしまうと多少不便なものでも案外気にならなくなってしまうんですよね。
そのことに気づかされたのは、DYKのペティナイフを握ったときでした。

DYK 包丁 ペティナイフ

包丁やナイフはやっぱり道具の中でも最も握っている時間が長いものなので、持った感覚、切った感覚がしっくりくるものを選ぶようにしています。

写真を見ておわかりになるでしょうか。この包丁、普通のペティナイフと違って、刃渡りはとても短いのですが、柄は普通の包丁に近いぐらいしっかり太くて長さもあります。軽いけれどちゃんと握れる。それまで使っていたペティナイフの柄は細くて力が入りにくかったのに、使い慣れていたので不満に思うことを忘れていたんです。でもDYKのナイフを握った瞬間、これこれ!と、一気に喜びがあふれました。


刃が短いので、フルーツを切ったり、ハムやチーズをちょこっと切ったり。お蕎麦の薬味のネギやスープのトッピングのパセリが少しだけ刻みたい、そんなシーンは日々の料理の中に頻繁に出てきます。その都度、気持ちよく手にフィットする道具があるとないとでは、一日のトータルの幸福量が違ってきます。

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サイズといえば、実は同じDYKのおたまも使ってみたのですが、こちらは我が家の日常使いには少し大きすぎました(笑)

DYK ステンレス お玉

肉じゃがをよそおうとしまして、

小さめのお椀や小鉢だと、はみだしてしまいます。実はおたまって、通常のサイズでもかなり大きいんですね。なので私はかなり小さなサイズのものを使っています。写真で比べるとわかっていただけると思います。

おたまだけでなくキッチン道具は、手の大きい人か小さい人か、力のあるなし、なんだったらキッチンの大きさにもよるので、決してこの製品が悪いってことじゃないんです。でも、使うのは誰でもなく自分なので、誰がおすすめしたではなく、自分の手の感覚を信じることが大事だなとあらためて思いました。

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ささいなことも我慢しちゃいけないんだと思えた、THEの醤油差し

長年、ストレスに思っていた道具がありました。醤油差しです。よさそうなものを買って使っても、いつも失望させられます。醤油がたれたり、口のところに醤油がガビガビ固まったり。しまおうとして、テーブルの上に醤油の輪ができていたりすると、ブルーな気持ちに。

それまで使っていたのは機能は良くてもデザインがちょっと古くさかっとり、スタイリッシュだけど頻繁に詰まったり。満点というものがなかったんです。

今回、思わぬご縁で理想の醤油差しと出会えました。それがTHE 醤油差し!

THE 醤油差し

まず、構造です。注ぎ口がどこにもありません。構造的にはふたに切れ込みが入っていて、そこから醤油が出てくるしくみ。醤油を入れて醤油をたらしてみると、素晴らしくキレがよく、思わず何度か無駄に醤油を出してしまいました。

注いで残った醤油が、微妙な角度がついた切れ込みに戻っていくため、まったく垂れない。もちろん切れ込みは醤油が行ったり来たりするので汚れますが、醤油がまだ残っていてもふたをとってふただけ洗う、みたいなこともできるのです。醤油が固まって注ぎ口に詰まるという、あのストレスから解放されます。

サイズもちょうどいい。醤油差しに入れた醤油はどうしても劣化が早く、どろっとなってしまいがち。でもこのサイズなら少量入れてさまになります。

そして、なんといっても美しさ。醤油差しは卓上で使うものなので、デザインが気になります。この醤油差しはぽってりとあたたかみを持ちながらも洗練されたイメージです。
似ていると思いませんか?そう、あの赤いふたのついた有名メーカーの醤油差しに。真似ではなく、絶対リスペクトしているよね!と、なんだか嬉しくなりました。

それまで私は、醤油差しという商品に対してそんなにパーフェクトを求めちゃいけないのかなと、なんとなくあきらめていました。でも、使ったあとでネットの紹介ページをよく読んだら、私が感じたことがそこに全て書いてあったんです。
考えている作り手はちゃんと考えてくれている。だから使う側の私たちも我慢したり妥協するのではなく、こうなっているほうがいいよね、という「使い手の気持ち」をもっと伝えなくちゃいけないんだなと思いました。

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さて、我慢と言えば、スープ作家としてなんとなく不満だったのが、だしを漉すあみ。通常のザルはどうしてもかつおぶしの細かいくずがあみの目を通ってしまいます。撮影などではさらし布を使って漉していましたが、それも面倒です。

家事問屋のだしとりあみは網の部分がすごく細かいメッシュ状になっているので、袋の最後に残った粉状のかつおぶしを全部入れても写真の通り、クリアなだしがとれます。

家事問屋 だしとりあみ

こういう小さなストレスが解消されるのって本当に快感です。だしとりあみは使わない人も多いと思いますが、よくだしを取る人にはおすすめ。

使っているうちに、その良さがじわじわきた漆器

第一印象はいまいちだったんだけど、付き合ってみるとその人柄に引き込まれる人っていますよね。この器は私にとって、そういう人のようでした。RIN&COの越前硬漆シリーズです。

RIN&CO. 越前硬漆

スープを盛り付ける色つきの器で、いいものがないかなと思って探していました。漆器なのに洋食器に寄せた形がいいかな、と気軽に選んだものの、届いてみると、思った以上にカラフル。うちにある器と馴染むかとひいてしまいましたが、こわごわ使い始めてみると、あれ?とても使いやすい。

漆器といってもカジュアルです。とくに、上の写真で使っている、口の広い形の平椀は盛り付けやすく使い勝手が幅広い。スープはもちろん、ちょっとした常備菜を盛り付けるにも大活躍だし、ふだんのご飯茶わんをこういう塗りものに変えるの、ありかもと思いました。刷毛目がついていて傷もつきにくく、気楽に使えます。

しかもこれ、なんと食洗機対応なんです。漆器としては本当に画期的ですよね。「硬漆」は新しく開発された技術で傷つきにくい強い漆なんだそうです。(じつは途中までそのことを知らずに手洗いしていました…)

漆器は軽く、手ざわりや口当たりがよく、熱いものを入れても持ちやすくて、かつ保温性もある。せとものと違って割れにくいから子どもが使っても安心です。それは私たちも普段の生活で実感しているはず。
こんなに高性能なのに、なぜみんなが漆器をお椀以外に使わないかといったら、お手入れが大変そうということと、なんとなくイメージとして感じる格式の高さ、現代の食卓に合わないデザインかなと思います。

昔の物事から新しい知恵を開かせる「温故知新」という言葉がありますが、いまどき、それをやっていると昔の良いものはどんどんなくなってしまう。今必要なのは、目の前のみんなの暮らしをよーく見て、そこに古い知恵をどう使うか考えていく「温新知故」なんじゃないか。この器を使いつつそんなことを考えました。

多くの人が求めているのは、特別な日に使う特別な器ではなく、日常に気兼ねなく使えるシンプルで飽きのこない器です。その点、この漆器は、お手入れの点は完全にクリアしていますし、カジュアルな雰囲気もあります。
ブルーなどはおいしそうに見せるのが若干難しい色なので、もう少しおだやかな色のものも選べると、色物をアクセントに使って今っぽい食卓につながるかもしれないと感じました。

売る人が「気軽ですよ、今の暮らしに合いますよ」というのではなく、商品そのものが暮らしを語りかけてきたら最高です。

++
同じくじわじわと良さを感じたもうひとつの商品が、この越前木工の丸いトレー。お盆って、これまでほとんど使いませんでした。もちろんいくつか使ってみたのですが、どうもしっくりこない。うちは少人数家庭なのでお盆なしでも困りません。

RIN&CO. 越前木工 丸トレー

このトレーは気がつくとつい使っているのです。さりげないというか、お茶にもコーヒーカップにも汁物碗にも合う感じ。
なにより、手に持ったときの縁のカーブがなんとも気持ちいいんです。急に立ち上がっているわけでもないし、かといって浅すぎない。指をかけるとほっと落ち着くこの感じ。

なにがいいのか、理由はよくわからないです。なんだか自分に合ったんですね。道具にはそういうところがあると思います。

撮影にもよく使わせてもらっています。

このお盆の上の、THE SOUP SPOONも、自然に手に取ってしまう道具でした。柄が丸くて適度な重みがあって、持って落ち着くカトラリーです。

++++

さて、ご紹介した道具たち、いかがでしたでしょうか。今回は私が選ばせてもらっていくつか使った商品の中から、特に良いと思ったもの、紹介したいと思ったものを書いてみました。ひとめぼれのもの、使った瞬間すぐわかるもの、じわじわ良さがわかるもの。道具は人にも似ています。

自分のこれ!という道具と出会うことはそう簡単なことでもないと思っています。でも、考えてみてください。この先の人生から食べるということがなくなるとしたら、それは死ぬとき。だからキッチン道具選びには長い時間をかけてもいいのです。出会ったり別れたりを繰り返しながら、これ!という一生ものの道具と出会えたら、暮らしは少しずつ豊かになっていくはずです。

みなさんも、自分にぴったりの道具を探し当てられますように。

文:有賀薫
note

<掲載商品>
DYK ペティナイフ
DYK ステンレス お玉
THE 醤油差し
THE SOUP SPOON
家事問屋 だしとりあみ
RIN&CO.

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*この記事は、中川政七商店が運営する合同展示会「大日本市」の「カタリベ」企画で書かれた記事を再編集して掲載しました。

敬老の日に贈る。メガネの聖地で作られた美しい携帯ルーペ

こんにちは。ライターの小俣荘子です。

たとえば1月の成人の日、5月の母の日、9月の敬老の日‥‥日本には誰かが主役になれるお祝いの日が毎月のようにあります。せっかくのお祝いに手渡すなら、きちんと気持ちの伝わるものを贈りたい。この連載では毎月ひとつの贈りものを選んで、紹介していきます。

敬老の日に、元気な日々を過ごすための贈りもの

今回のテーマは「敬老の日」です。

「敬老の日」は、1947年に兵庫県の多可郡野間谷村 (たかぐんのまだにむら、現在の多可町八千代区) で、「老人を大切にし、年寄りの知恵を借りて村作りをしよう」と、9月15日に敬老会を開いたのが始まりといわれています。

当初は「としよりの日」、その後は「老人の日」と呼ばれましたが、1966年に祝日法で国民の祝日として「敬老の日」と定められました。祝日法が改正された現在は、9月の第3月曜日に制定されています。

「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」とされる敬老の日。国が定める「高齢者」は65歳以上ですが、現代の日本では、いつまでも若々しくてお元気な方々がたくさんいらっしゃいます。

結婚や初孫、還暦や古希、喜寿といった節目をきっかけにお祝いを始めることが一般的ですが、両親や祖父母、お世話になっている人生の先輩に対して感謝を伝え、これからも元気で日々を楽しんでくださいね、という思いが伝わるお祝いを贈りたいですね。

メガネの聖地 鯖江で作った「読む」「見る」のお助け道具

そこで選んだのは携帯ルーペ、その名も「読書グラス」です。

めがね産業110年以上の歴史を持ち、世界三大産地のひとつである福井県・鯖江市。国産品としての国内めがねフレームのシェアは、なんと90%以上を誇ります。そんな鯖江めがねの製法を活かして作られました。

読書グラス
読書グラス。軽くて手に馴染み、扱いやすいのは、長年培ってきた鯖江のめがね作りの技術があってこそ

新聞や書籍を読む際、お買い物の時など、細かい文字が見づらい場面で、さっと手に取って使えるデザインです。本体上部に小さな穴が開いているのもポイント。首から下げたり、手からすべり落としてしまわないようにストラップを通したりできます。

ストラップを付けてすぐに使えるように
紐やストラップを付けて使いやすく

最近、見えにくいけれど‥‥

この読書グラス誕生のきっかけとなったのは、ある先輩女性の言葉でした。

「まだ老眼鏡はかけたくないけれど、かと言って素敵な携帯ルーペにはなかなか巡り会えない。私に合うものが欲しい」

制作チームによる、アクティブな大人の女性がスタイリッシュに持てる携帯ルーペづくりがはじまりました。

目指したのは、使い心地の良さと美しさが共存するもの。

フレームのカーブの角度は、手に馴染むなめらかさと美しさを追求し、何度も調整されました。鯖江の職人さんの腕の見せ所です。レンズの度数は、初めて老眼鏡を使う人が使いやすい度数に設定されています。

大きさは、小さなハンドバッグに忍ばせられるカードサイズ。「おしゃれして買い物にでかけても、店頭で値札が見えない」という声を受けて、お出かけ先で取り出しやすくしました。また、レンズ部分が傷つかないように収納して持ち歩ける、専用の小袋も付いています。

色は鯖江のメガネとしてスタンダードな黒と茶色の2色展開です。

レンズ部分が傷つかないよう、収納して持ち歩ける専用の小袋付き
フレームカラーと合わせた専用の小袋付き カラー:茶

黒のフレーム
カラー:黒

まだ老眼鏡にためらいがあったり、購入に迷っている方も、贈られたら便利で嬉しいもの。贈りものとしても選びやすいように化粧箱も用意されています。

贈りものとして使いやすいように化粧箱に入っています
化粧箱に入っているので贈りものにも

「見える」って、好奇心や楽しみを広げてくれる重要な機能。道具を使うことで、年齢を重ねても毎日を充実して過ごせたら。日々の暮らしの中で役立ててもらえる実用的な贈りものは、お互いにとって嬉しいものですね。

<掲載商品>

鯖江のメガネ屋さんで作った読書グラス(中川政七商店)

文:小俣荘子

こちらは、2017年9月11日の記事を再編集して掲載いたしました。

【わたしの好きなもの】 洗濯機で洗える絹のネックウォーマー

冬の風邪予防に、おやすみマスク。

ここ最近の寒波からエアコンを付けて室内の温度は快適に。でもその反面乾燥が気になり、特に就寝時の乾燥でたまに喉がイガイガすることも。これから本格的に寒くなる前に、風邪予防にと「洗濯機で洗える絹のネックウォーマー」を試すことにしました。

就寝時に紙マスクや布マスクは使ったことがあったのですが、ネックウォーマータイプは初めて使います。頭からすっぽりかぶるように着けるのですが、本体には小さな「耳穴」があって、口元まで上げて両耳にかけるとマスクのように使える仕組みです。

最初は「息苦しいのでは?」と心配だったんですが、そんな心配は無用でした。よく見ると、ちょうど口元にあたる部分は目の粗い編地で編み立てられていて、呼吸を妨げないように工夫されています。
そして、気になる着け心地ですが、しっとりとなめらかな肌触りで、乾燥で敏感な肌にもチクチクすることもなく気持ちのいい着け心地でした。

寝ている間もエアコンはオフタイマーで1時間ほどつけっぱなしですが、このネックウォーマーを着けて眠った次の日は喉がイガイガすることもなく、首元まで温かく、保湿されている感じでした。これはいいかも!とそれからは毎日寝るときに使っています。

顔につけるものだから清潔に保ちたい。水に弱いとされるシルク製品ですが、東洋紡糸工業が開発した「洗える絹」を使っているので、自宅でお手入れが可能です!ネットに入れて普通に洗濯機で洗っています。

就寝時の肌荒れ、喉荒れを防いでくれるうえ、毎晩の風邪対策にもなって、おかげで元気に冬を越せそうです。

編集担当 今井

<掲載商品>

【WEB限定】洗濯機で洗える絹のネックウォーマー