【わたしの好きなもの】THE Sweat Zip up Hoodie

何十年後も飽きないへたらない、着心地抜群のスウェット


夏以外はずっと活躍してくれるジップアップパーカー。

会社の帰りに寒いと感じた先週から、クローゼットから出してきた。冬はコートの下にも着るし、家でもついつい羽織ったままで過ごすし、春先もやっぱり肌寒いと手放せない。

毎回着るたびに、やわらかさと「ふかふかっ」とした肉厚な生地に包まれる心地よさに感動。

昔ながらの吊り編み機でゆっくり編まれたスウェットは、しっかりとしているのに、ゴワゴワせず、やわらかくてくったりとしている。

最初から何年も付き合ってきたような風合い。







特に着心地の良さを実感できるのが、腕を上げ下げした時。

スウェットって、ちょっと窮屈だなと思うことがあるのですが、この生地は違います。

背中部分が引っ張られる感じがなく、ストレスなく動かすことができます。







このスウェットは、生地を織るための糸を作る段階から、素材を無理に引っ張らずに自然な状態を保つように作っているそうで、パイルが蜜でしっかりしてるのに、やわらかな状態で肉厚という、ふかふかな着心地が味わえる。

これは、フードやポケット部分でも感じることで、ぺたんとならず立体的でふっくらしています。









ジッパーがフード部分まで少しかかっているデザインもお気に入り。

全部閉めると、ちょっと立ち上がった感じになり首元を包み込んでくれます。







あと、注目してほしいのが、生地ではないのですが、ジッパーの形。

ジッパーって、差し込むときにちょっとした気合がいるといいますか、、、「ぐっ」と押し込む感じですよね。

しかし、このジッパーは差し込む方が、スッと入るような形になっているので、引っかかりゼロでスルスルと閉じたり開けたり。

なんて細部まで気を使っているつくりなんだと、気づいた時は小さく感動して思わず奥さんに報告しましたね。







しょっちゅう着るので、もちろん何回も洗濯されますが、へたるどころかどんどん着心地よくなっていきます。

ちなみに、最初の洗濯の時は、遊び毛が落ちるので1枚だけで洗うのがおすすめです。



十年単位でお世話になると確信しておりますので、どうぞよろしく。





着用:Lサイズ 身長:約175cm


<掲載商品>
THE Sweat Zip up Hoodie

編集担当 森田

【わたしの好きなもの】 着けるタートルネック洗えるウール

厚着しない私の防寒術


秋冬の防寒に欠かせないマフラーやストール。

外出するときは自然と身につけることが多いですが、お家ではどうでしょう?


寒いからといって室内でもマフラーを巻いている人は少ないと思います。

でも防寒しないと首元がスッと寒い。 タートルネックの服を重ねるとちょっと暑い。

そんなときにちょうどいいのが「着けるタートルネック」です。



まるでインナーにタートルネックニットを重ねているような見た目。 でも実際に布が重なってる部分は首元だけなので、防寒しながらすっきりとした着こなしになります。







通常のネックウォーマーよりも広い範囲を覆い、首元だけでなく、冷えやすい背中や肩まで温められます。こうやってうつむいたときにも、服と肌の隙間を埋めるように体に沿うので、冷気が入ってくるのを防いでくれます。






お出かけのときに「便利だな」と思ったのは、スタンドカラーのアウターを着ても首元がかさばらないこと。秋冬のアウターは首元の風除けに衿元が立っているデザインが多いですが、その上からさらにマフラーを巻くとごわついて、肩が凝ってしまうことがあります。そうならずに、すっきりとアウターを着られるのでうれしいです。







ハンカチよりも小さいサイズなので、ポケットやいつものかばんに入れておいて、使いたいときにさっと取り出して使える手軽さもうれしいポイント。

私は家にいるときにこちらを使うことが多いですが、家事をするとき、ゴミ捨てに行くとき、寒いベランダで物干しをするときなど欠かさず身につけています。

ウール100%ですが、お家でお手入れができるので、毎日気兼ねなく使えます。 家でも外でも大活躍の「着けるタートルネック」は、おすすめしたい私の防寒術です。



編集担当 今井

【わたしの好きなもの】アロマオイルウォーマー

暮らしに取り入れたい、憧れの道具

立ち仕事で、外では1日中動いているので、家の中ではゆったりした時間を過ごすことを大事にしています。
アロマオイルウォーマーには以前から憧れがありつつも、お香やリードディフューザーなど、香りを楽しむ道具は他にもあるしと思い、買うかどうか悩んでいました。

でも、このアロマオイルウォーマーには、見た目に一目惚れ。シンプルで凛とした佇まいは、使用していないときに出しっぱなしにしておいても素敵です。

「この道具を、部屋に置きたい!」 というときめきが止まず、ついに憧れのアロマオイルウォーマーをお迎えしました。

そして家にお迎えして早速使ってみると、想像していた以上に、癒しのひとときを与えてくれました。

まずガラスのお皿にぬるま湯を入れ、好きな精油を数滴垂らします。キャンドルに火を点けると、お皿のぬるま湯が徐々にぽこぽこと沸いてきます。そうして、良い香りが広がります。

香りが広がるのをなにかしながら待ってもいいのですが、炎がガラスのお皿に映ってゆらゆらしている様子やお湯がぽこぽこ沸いている姿から目が離せなくて、毎回見つめてしまいます。

香りを楽しむだけではなく、この時間が本当に日々の癒しで。
毎日忙しなく過ごしている中で、ほっと一息つける時間が自然と生まれることも、この道具の魅力だなぁと感じます。
例えばお風呂上がりのストレッチのとき、寝る前の読書のときなど、習慣づけのおともにも一役買ってくれると思います。

そして、この美しい道具、ものづくりの背景を思うと、一層愛着が湧いてきます。

このアロマオイルウォーマーはガラスのお皿は東京、真鍮の棒は大阪、木の台は奈良と、3ヶ所のつくり手さんと一緒につくっています。

いろんな人の手が加わって、ひとつのものが出来上がっているというところにもロマンを感じずにはいられません。

何よりもガラスのお皿はすべて手しごと。一つひとつ丁寧に人の手でつくられていることを思うと、自然と扱いも丁寧に、大事にする気持ちが膨らみます。
そうは言っても、せっかくお迎えした憧れの道具。お手入れはガラスのお皿を洗うだけなので、丁寧に扱いながらも毎日使っています。

買ったばかりの頃はヒノキの精油を、本格的に暑くなってからはハッカの精油を楽しんでいます。今後は精油を集めるのも楽しみになりそうな予感がしています。

中川政七商店 高崎オーパ店 白井

海外のつくり手も元気にする。台湾発「KŌGA – 許家陶器品」デビューの道のり

2021年9月、中川政七商店の工芸再生支援を経て新たなブランドが日本でデビューします。

名前は許家陶器品(KOGA tableware)。

つくり手は、台湾で100年近く続く陶磁器メーカーです。

今回は、「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げる中川政七商店が、初めて海外のつくり手を元気にするために取り組んだ、台湾の工芸再生支援のお話です。

工芸の衰退は、世界共通の問題


きっかけは3年前に届いた、1通のメールからでした。

「この国の工芸の復興を目指したい。力を貸してもらえませんか?」

送り主は台湾の政府機関で企業支援などを行っている台湾デザイン研究院(TDRI)。ちょうど中川政七商店の社内では、社長が十三代 中川政七から十四代 千石あやに交代したばかりの頃です。

「社長交代の節目に、改めて私たちが海外でできることがあるのか、あるとしたらどんなかたちなのか。まさに可能性を検討しようとしていたタイミングでした」

2019年、プロジェクト始動時の記者会見で話す十四代の様子

そう振り返る十四代が当時、社内で話し合っていたのは4つのことです。

  • 工芸が失われつつあるのは日本に限らず、世界共通。そこに対して私たちが何かできることは無いか?
  • 日本の工芸の衰退は、戦後先進国から持ち込まれた大量生産大量消費のものづくりの影響も大きい。自分たちが海外で取り組みをする時、そうなってはいけない。
  • 日本の工芸の輸出ではなく、その土地らしさを活かしたものづくりのノウハウを伝えることなら、私たちが取り組む意味があるのでは。
  • 中川政七商店が扱うのは暮らしの道具。生活様式が似ている国なら、これまで積み上げてきたブランディングの手法が生きるかもしれない。

これまで中川政七商店では、自社の経営再建やブランディングの経験を活かし、全国60社のつくり手の工芸再生支援を行ってきました。「ものを売るという視点ではなくブランドをつくる」。このノウハウなら、海外のものづくり復興にも役立つかもしれない。そう海外との関わりを検討する中で飛び込んできた、台湾からの工芸再生支援依頼でした。

「国を超えて協業してほしいと言われるのはありがたいことだと感じましたし、直感的にお受けすべきだと思いました。ただ十三代会長からは当初『先に国内でやるべきことがあるのでは』と問われ、ずいぶん悩みました」

そんな時に「絶対にやるべき」と声をかけたのが、後に台湾工芸再生支援でタッグを組むことになる、method代表の山田遊さん。バイイングからショップや地域イベントの監修まで幅広く手掛け、中川政七商店のよきアドバイザーでもあります。

「白か黒かでなく、やり方を考えればいい。必要なら手伝うよ」

その言葉に力を得て、また会長からも最後には「やるからには絶対に結果を残さないといけないよ」と背中を押され、十四代と社内で結成された工芸再生支援チームは台湾へ向かいました。

初めての海外工芸再生支援先は、陶磁器メーカーのご夫婦

佳鼎の四代目、許世鋼氏

TDRIからのオファーは、日本のケースと同じく地域の中小規模の企業への経営コンサルティングとブランディング指導。手をあげた数十社から支援先に決定したのが、鶯歌(イングー)という土地の陶磁器メーカー「佳鼎(ジャーディン)」です。

実際に現地での工芸再生支援を担当した島田智子は、最初の印象をこう話します。

「鶯歌は台湾陶磁器の代表的な産地で、日本で言えば有田のような、観光もさかんな土地です。佳鼎はそこで100年近く続く歴史あるつくり手ですが、最終候補数社の視察に伺った時、お店の前では観光客向けに、仕入れた日本の焼き物の企画展が行われていました。

自社ですでにたくさんの商品も出されていましたが、売り上げの主力となるブランドが無い。ちょうど、私たちが最初に工芸再生支援を行った波佐見焼メーカー「マルヒロ」の初期の頃のように、ブランドの整理がされていない状態でした。

旧工場を観光地化。二階は歴史資料館のようになっている

それでも二階にあがると窯元の歴史資料館のようになっていて、語れる魅力が眠っていそうでした。日本で学んで現地で素材を集めて再現したという独自の釉薬も美しかった。整理すれば、台湾を代表するようなうつわのブランドが生まれるかもしれない、と感じました。

窯元独自の釉薬で開発した丹青碗。祖業である瓦工場から、日用食器へと転換するきっかけとなった商品

何より、佳鼎の経営を担う許さんご夫婦がとても勉強熱心で、これにかけるという強い意気込みを感じたんです」

こうして支援先が決定。経営面を中川政七商店のチームが、プロダクトの開発を山田遊さん率いるmethodのチームが引き受けることに。いよいよ台湾での工芸再生支援が本格化していきました。

似ているものづくり事情、異なる食卓事情

現地でのMTG風景(2019年)。窯元の歴史を掘り下げながら、ブランドを組み立てていった

「実際に始まってみると、日本も台湾も、国に関係なく『工芸あるある』、つまり中小規模のつくり手が抱える課題は同じでした。帳簿に材料費が載っていたりいなかったりと利益計算が曖昧だったり、複数ある自社ブランドの住み分けができていなかったり。

解決すべき課題が日本のつくり手と共通だったので、経営のフェーズは日本と同じプロセスをそのまま生かして進めることができました」

一方で明らかになったのが、台湾と日本の食卓文化の違いです。

実は台湾は屋台などの外食文化が根強く、日本のように毎食自炊する人は少数派です。そのため自宅に揃えている食器の数も少なく、キッチンが無いマンションも珍しくないそう。

「それでも、少ないながらも自炊する人たちはどううつわを選んでいるのか。TDRIのスタッフさんを通じて、台湾で自炊する人の食器棚を撮ってきてもらったりしながら、台湾の食卓事情をリサーチしました」

実際に撮影してきていただいた写真の一部

一方で許さんご夫妻には、4代続く窯元の歴史を調べてもらい、メーカーとしてのらしさを掘り下げていきました。こうして、山田遊さん率いるmethodの伴走のもと生まれたのが、台湾発の陶磁器ブランド「KŌGA – 許家陶器品」(翻訳すると「許さんの家のテーブルウェア」)。そのデビューを飾ったのが、根強い外食文化を逆手にとった「台湾の食卓で使えるきほんの一式」です。

「台湾の食卓で使えるきほんの一式」

50近いご家庭のキッチンの風景から、「台湾の人が初めて自分のためにうつわを揃えるなら、この一式を」という提案が導き出されました。

例えば、おかずを盛り付けるうつわの深さは4cm以上。お粥や煮物など汁物の多い台湾の食文化に対応します。

出来立ての熱々をいただく食事も多いため、持ちやすいように底部分には高台を設けました。

そして、どのうつわも台湾では一家に一台あるという保温・炊飯道具「万能電気釜」に必ず入るサイズに。

うつわの色は、窯の炎の色や、代々生み出されてきた佳鼎独自の釉薬の色、鶯歌の風景をイメージした色など、許さんの窯元らしさの出る4色に。

組み合わせれば、食卓がカラフルに彩られます。

海外の工芸再生支援を通じて見えたもの

ブランドのデビューはまず昨年の12月に台湾で記者発表され、年明けの2021年1月に台湾国内で販売のためのクラウドファンディングを実施。目標の10倍を超える額を達成することができました。

「もちろん日本のこれまでの事例と同じで、ブランドをつくって終わりではありません。あとはどうやって人の手に届けていくか。ここからがスタートです。

それでも、クラウドファンディングは台湾の人たちにどう受け止められるかのひとつの試金石でした。やはり食器に興味がないのではないかと、はじめは心配でしたが、早々に目標額を達成して手応えを感じました。

私たちがこれまで大事にしてきた、土地の風土や技術を生かしたものづくりのあり方が、台湾の人たちにも届いたのだなと」

また、今回のプロジェクトを後押しし、プロダクトの開発支援を担当したmethodの山田遊さんはプロジェクトの道のりと意義をこう振り返ります。

「このプロジェクトが始まる際、台湾でも若い世代を中心に、日々の食事と、その際に用いる器や道具も大事に選びたい、という気運が少しずつ盛り上がりつつあるように感じていました。

ちょうどプロジェクトの道半ばで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、全てオンラインで進めざるを得ませんでしたが、台湾の食生活を考慮しながら、台湾で作られた新しい食器で、日常の食卓を彩り、食事を楽しむ、という意義は、より強くなったように思います。」

「KŌGA – 許家陶器品」は2021年9月22日に日本でもブランドデビューを迎えます。日本の使い手にとっては、また新たなうつわとの出会いです。

国に関係なく、土地の風土や技術が生きた工芸はきっと面白い。台湾、日本、どちらの使い手にとっても、「KŌGA – 許家陶器品」が暮らしと工芸を楽しむきっかけとなりますように。

<掲載商品>
「KŌGA – 許家陶器品」

文:尾島可奈子

スープ作家・有賀薫さんに聞いた、「長いおつき合いになりそうな予感がするキッチンツールたち」

一流シェフが愛用する調理道具や、長年お店で道具と向き合ってきた店主が「これは」と手に取るもの。
道具を使うことに長けている各分野のプロフェッショナルが選ぶものには、どんな秘密があるのでしょうか。
私たちが扱う暮らしの道具を実際に使っていただいて、ものの良さだけでなく至らなさも含めて感想を教えてもらいました。

本日紹介するのは、スープ作家として365日、毎日スープをつくっている有賀薫さん。
さまざまなキッチンツールを使ってみての感想を記事にまとめていただきました。


スープ作家。1964年生まれ、東京出身。
ライター業のかたわら、家族の朝食に作り始めたスープが2020年2月時点で約2900日以上になる。
著書に『スープ・レッスン』『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』『朝10分でできる スープ弁当』など。レシピ提供、コラム執筆、イベントなどを通じて、現代家庭の料理改革を推進中。


では早速、有賀さんによる「長いおつき合いになりそうな予感がするキッチンツールたち」を見ていきましょう。

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サイズと自分の手の関係って大事だなと気づかせてくれた、DYKのペティナイフ

多くの道具は、手で触れ、手で扱うものです。だから、使う自分自身の手の大きさや形にその道具がフィットするかどうかはわりと大事にしています。でも、一度使い慣れてしまうと多少不便なものでも案外気にならなくなってしまうんですよね。
そのことに気づかされたのは、DYKのペティナイフを握ったときでした。

DYK 包丁 ペティナイフ

包丁やナイフはやっぱり道具の中でも最も握っている時間が長いものなので、持った感覚、切った感覚がしっくりくるものを選ぶようにしています。

写真を見ておわかりになるでしょうか。この包丁、普通のペティナイフと違って、刃渡りはとても短いのですが、柄は普通の包丁に近いぐらいしっかり太くて長さもあります。軽いけれどちゃんと握れる。それまで使っていたペティナイフの柄は細くて力が入りにくかったのに、使い慣れていたので不満に思うことを忘れていたんです。でもDYKのナイフを握った瞬間、これこれ!と、一気に喜びがあふれました。


刃が短いので、フルーツを切ったり、ハムやチーズをちょこっと切ったり。お蕎麦の薬味のネギやスープのトッピングのパセリが少しだけ刻みたい、そんなシーンは日々の料理の中に頻繁に出てきます。その都度、気持ちよく手にフィットする道具があるとないとでは、一日のトータルの幸福量が違ってきます。

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サイズといえば、実は同じDYKのおたまも使ってみたのですが、こちらは我が家の日常使いには少し大きすぎました(笑)

DYK ステンレス お玉

肉じゃがをよそおうとしまして、

小さめのお椀や小鉢だと、はみだしてしまいます。実はおたまって、通常のサイズでもかなり大きいんですね。なので私はかなり小さなサイズのものを使っています。写真で比べるとわかっていただけると思います。

おたまだけでなくキッチン道具は、手の大きい人か小さい人か、力のあるなし、なんだったらキッチンの大きさにもよるので、決してこの製品が悪いってことじゃないんです。でも、使うのは誰でもなく自分なので、誰がおすすめしたではなく、自分の手の感覚を信じることが大事だなとあらためて思いました。

++

ささいなことも我慢しちゃいけないんだと思えた、THEの醤油差し

長年、ストレスに思っていた道具がありました。醤油差しです。よさそうなものを買って使っても、いつも失望させられます。醤油がたれたり、口のところに醤油がガビガビ固まったり。しまおうとして、テーブルの上に醤油の輪ができていたりすると、ブルーな気持ちに。

それまで使っていたのは機能は良くてもデザインがちょっと古くさかっとり、スタイリッシュだけど頻繁に詰まったり。満点というものがなかったんです。

今回、思わぬご縁で理想の醤油差しと出会えました。それがTHE 醤油差し!

THE 醤油差し

まず、構造です。注ぎ口がどこにもありません。構造的にはふたに切れ込みが入っていて、そこから醤油が出てくるしくみ。醤油を入れて醤油をたらしてみると、素晴らしくキレがよく、思わず何度か無駄に醤油を出してしまいました。

注いで残った醤油が、微妙な角度がついた切れ込みに戻っていくため、まったく垂れない。もちろん切れ込みは醤油が行ったり来たりするので汚れますが、醤油がまだ残っていてもふたをとってふただけ洗う、みたいなこともできるのです。醤油が固まって注ぎ口に詰まるという、あのストレスから解放されます。

サイズもちょうどいい。醤油差しに入れた醤油はどうしても劣化が早く、どろっとなってしまいがち。でもこのサイズなら少量入れてさまになります。

そして、なんといっても美しさ。醤油差しは卓上で使うものなので、デザインが気になります。この醤油差しはぽってりとあたたかみを持ちながらも洗練されたイメージです。
似ていると思いませんか?そう、あの赤いふたのついた有名メーカーの醤油差しに。真似ではなく、絶対リスペクトしているよね!と、なんだか嬉しくなりました。

それまで私は、醤油差しという商品に対してそんなにパーフェクトを求めちゃいけないのかなと、なんとなくあきらめていました。でも、使ったあとでネットの紹介ページをよく読んだら、私が感じたことがそこに全て書いてあったんです。
考えている作り手はちゃんと考えてくれている。だから使う側の私たちも我慢したり妥協するのではなく、こうなっているほうがいいよね、という「使い手の気持ち」をもっと伝えなくちゃいけないんだなと思いました。

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さて、我慢と言えば、スープ作家としてなんとなく不満だったのが、だしを漉すあみ。通常のザルはどうしてもかつおぶしの細かいくずがあみの目を通ってしまいます。撮影などではさらし布を使って漉していましたが、それも面倒です。

家事問屋のだしとりあみは網の部分がすごく細かいメッシュ状になっているので、袋の最後に残った粉状のかつおぶしを全部入れても写真の通り、クリアなだしがとれます。

家事問屋 だしとりあみ

こういう小さなストレスが解消されるのって本当に快感です。だしとりあみは使わない人も多いと思いますが、よくだしを取る人にはおすすめ。

使っているうちに、その良さがじわじわきた漆器

第一印象はいまいちだったんだけど、付き合ってみるとその人柄に引き込まれる人っていますよね。この器は私にとって、そういう人のようでした。RIN&COの越前硬漆シリーズです。

RIN&CO. 越前硬漆

スープを盛り付ける色つきの器で、いいものがないかなと思って探していました。漆器なのに洋食器に寄せた形がいいかな、と気軽に選んだものの、届いてみると、思った以上にカラフル。うちにある器と馴染むかとひいてしまいましたが、こわごわ使い始めてみると、あれ?とても使いやすい。

漆器といってもカジュアルです。とくに、上の写真で使っている、口の広い形の平椀は盛り付けやすく使い勝手が幅広い。スープはもちろん、ちょっとした常備菜を盛り付けるにも大活躍だし、ふだんのご飯茶わんをこういう塗りものに変えるの、ありかもと思いました。刷毛目がついていて傷もつきにくく、気楽に使えます。

しかもこれ、なんと食洗機対応なんです。漆器としては本当に画期的ですよね。「硬漆」は新しく開発された技術で傷つきにくい強い漆なんだそうです。(じつは途中までそのことを知らずに手洗いしていました…)

漆器は軽く、手ざわりや口当たりがよく、熱いものを入れても持ちやすくて、かつ保温性もある。せとものと違って割れにくいから子どもが使っても安心です。それは私たちも普段の生活で実感しているはず。
こんなに高性能なのに、なぜみんなが漆器をお椀以外に使わないかといったら、お手入れが大変そうということと、なんとなくイメージとして感じる格式の高さ、現代の食卓に合わないデザインかなと思います。

昔の物事から新しい知恵を開かせる「温故知新」という言葉がありますが、いまどき、それをやっていると昔の良いものはどんどんなくなってしまう。今必要なのは、目の前のみんなの暮らしをよーく見て、そこに古い知恵をどう使うか考えていく「温新知故」なんじゃないか。この器を使いつつそんなことを考えました。

多くの人が求めているのは、特別な日に使う特別な器ではなく、日常に気兼ねなく使えるシンプルで飽きのこない器です。その点、この漆器は、お手入れの点は完全にクリアしていますし、カジュアルな雰囲気もあります。
ブルーなどはおいしそうに見せるのが若干難しい色なので、もう少しおだやかな色のものも選べると、色物をアクセントに使って今っぽい食卓につながるかもしれないと感じました。

売る人が「気軽ですよ、今の暮らしに合いますよ」というのではなく、商品そのものが暮らしを語りかけてきたら最高です。

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同じくじわじわと良さを感じたもうひとつの商品が、この越前木工の丸いトレー。お盆って、これまでほとんど使いませんでした。もちろんいくつか使ってみたのですが、どうもしっくりこない。うちは少人数家庭なのでお盆なしでも困りません。

RIN&CO. 越前木工 丸トレー

このトレーは気がつくとつい使っているのです。さりげないというか、お茶にもコーヒーカップにも汁物碗にも合う感じ。
なにより、手に持ったときの縁のカーブがなんとも気持ちいいんです。急に立ち上がっているわけでもないし、かといって浅すぎない。指をかけるとほっと落ち着くこの感じ。

なにがいいのか、理由はよくわからないです。なんだか自分に合ったんですね。道具にはそういうところがあると思います。

撮影にもよく使わせてもらっています。

このお盆の上の、THE SOUP SPOONも、自然に手に取ってしまう道具でした。柄が丸くて適度な重みがあって、持って落ち着くカトラリーです。

++++

さて、ご紹介した道具たち、いかがでしたでしょうか。今回は私が選ばせてもらっていくつか使った商品の中から、特に良いと思ったもの、紹介したいと思ったものを書いてみました。ひとめぼれのもの、使った瞬間すぐわかるもの、じわじわ良さがわかるもの。道具は人にも似ています。

自分のこれ!という道具と出会うことはそう簡単なことでもないと思っています。でも、考えてみてください。この先の人生から食べるということがなくなるとしたら、それは死ぬとき。だからキッチン道具選びには長い時間をかけてもいいのです。出会ったり別れたりを繰り返しながら、これ!という一生ものの道具と出会えたら、暮らしは少しずつ豊かになっていくはずです。

みなさんも、自分にぴったりの道具を探し当てられますように。

文:有賀薫
note

<掲載商品>
DYK ペティナイフ
DYK ステンレス お玉
THE 醤油差し
THE SOUP SPOON
家事問屋 だしとりあみ
RIN&CO.

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*この記事は、中川政七商店が運営する合同展示会「大日本市」の「カタリベ」企画で書かれた記事を再編集して掲載しました。

【工芸の解剖学】一人分のお茶を手軽に楽しめる「一杯のための金網茶漉し」

仕事の合間にほっと一息つきたい時、気分転換したい時、美味しいお茶が飲みたくなります。茶葉から淹れると美味しいと思っていても、一人分のお茶を急須で淹れるのはちょっとハードルが高い。もっと手軽にお茶が淹れられるような道具があれば……。そんな思いから、「一杯のための金網茶漉し」が生まれました。銅製の金網が美しく、急須と同じような美味しいお茶が淹れられる、そんな茶漉しをご紹介します。

解剖ポイントその1:いつものマグカップだけで淹れられる手軽さ

日本茶や紅茶を茶葉から淹れるのって、ちょっと難しそうだし、急須などの道具を出すのも面倒。
「休憩時間や気分転換に何か飲みたい時、日本茶や紅茶などさまざまなお茶をその日の気分に合わせて楽しめたらいいな」そんな思いから、茶漉しづくりは始まりました。
こだわったのがお気に入りのマグカップで使えること。
「世の中にある茶漉しを調べてみると、マグカップとセットになっているものが多かったんです。だから、自分のお気に入りのマグカップで使えるものにしたいと思いました」とデザイナーの岩井美奈さん。

中川政七商店で取り扱う、全てのマグカップと湯呑みでテスト

お茶の味や香りを引き出すために、茶葉がお湯に浸かる深さと、茶葉が上下に動ける広さを保ちながら、どんなマグカップでも入るようなサイズ感の茶漉しを目指すことに。中川政七商店で取り扱う、全てのマグカップと湯呑みでテストを行って、それらに入る一番大きな広さと深さを探っていきました。

深めのマグカップでも使えるように、よくある半円形でなく円柱型の形状を選択。またお茶を淹れ終わった後、デスクなどに置いておけるよう、底を平らにして茶漉しが自立するような形にしています。

解剖ポイント2:受け皿になる蓋付きだから、茶葉が蒸らせて、二煎目、三煎目も楽しめる

お茶を美味しく淹れるポイントの1つが、茶葉を蒸らして成分を抽出させること。そこで、茶葉を蒸らすための蓋を用意しました。

素材や厚みを変えて検証した蓋のテストサンプルの一部。最終的に決定した桜材(真ん中下)は、主張し過ぎず、上品な木目が美しい


世の中にある蓋付きの茶漉しの蓋は、ステンレス製が多かったのですが、熱くなりやすいため扱いにくく感じました。そこで、熱を伝えにくく、見た目も美しい木製の蓋を採用することに。ところが木と高温多湿な状態は相性が悪く、湯気に触れると反ったり変形したりしてしまいます。木の種類や厚みを変えたり、いろんな塗装を試したり、何度も検証を重ねることで、熱や湿気に強く、金網とのバランスもいい蓋の仕様に辿り着きました。

せっかく茶葉から淹れるなら、二煎目、三煎目も楽しみたい。そんな時、蓋を逆さにすれば、淹れた後の茶漉しを置く受け皿になります。例えば、一煎目は50~60℃のお湯を注ぎ、2分ほど蒸らせば、フレッシュな香りと旨みを。二煎目は、一煎目よりも少し高い70~80℃で渋みを、三煎目は熱湯に近い温度で淹れると、それぞれ違った風味が楽しめます。四煎目には、玄米を足すのもおすすめ。玄米の香ばしい香りが広がります。

四煎目には玄米を足すのもおすすめです

今回「この茶漉しで本当に美味しいお茶が淹れられているのか?」と思い、奈良吉野で天保の頃からお茶を製造されている「嘉兵衛本舗」のみなさまに、一杯のための金網茶漉しを試していただきました。

嘉兵衛本舗さんにお邪魔して、実際に使用していただきました

「この茶漉しは、急須と同じように一回分の茶葉で3回、4回とお茶を楽しめるのがいいですね。一煎目は旨み、二煎目は渋みを味わって、四煎目くらいに玄米を足して、味の違いを楽しむ飲み方もおすすめ。また、蓋付きでしっかり蒸らせるので、和紅茶を淹れるのもいいと思います。日本茶も紅茶も、茶葉から淹れると葉を傷つけないので、お茶本来の味が楽しめる。生産農家として、お茶を一番良い状態で飲んでもらえないのは悲しいこと。茶農家ごとに水色も味も変わるので、その繊細な違いを楽しんでほしい」

お湯を切るときは、キュッと傾けて、最後の一滴まで出すことがポイント、とのこと

解剖ポイント3:デスクに置いておきたくなる手編みの美しい佇まい

今回の茶漉しでこだわったのが、一人分のお茶を淹れられる手軽さと、そのまま出しておきたくなる佇まい。「茶漉しの網部分で、どれだけ美しさが出せるのか。どうしても器具感がぬぐえない…」と悩んでいた時に岩井さんが出会ったのが京金網でした。

「さまざまな素材や仕様の可能性を探る中、そのまま出して置きたくなる佇まいや質感がなかなか見つからなかったんです。そんな中、見つけた京金網の銅製の網は、濡れてもそのままでも美しい。また、使い込むと色が変わっていくことも味が出ていいなと。木の蓋との相性も良くて、これを使ってお茶を淹れて飲んでみたいと思いました」

左が新品、右が使い込んだもの。使い込むことで育ち、銅の色が変化していく楽しみがある

そんな佇まいの美しい茶漉しを手掛けたのが、明治22年創業の鳥井金網工芸さん。京都で130年にわたり、銅やステンレスの針金で、豆腐すくいや水切りカゴなどの家庭用品から、寺社仏閣の鳩よけなど大きなものまでをつくっています。

金網茶漉しは、金網部分はもちろん、設計図となる木型や枠、柄の部分もすべて手作業。手が変わると網目も変わるため、一人の職人の手によって1本1本丁寧に編み込んでつくられています。

まずは底面から。茶漉しの大きさに合わせた木型をつくり、針を打って銅線を固定したら菊出しと呼ばれる技法を用いて菊のような模様に編み込んでいきます。

菊出しが終わったら、側面を木型に沿って亀の甲羅のような六角形に編んでいきます。

側面を編み終えたら、先につくっておいた枠(柄の部分)をはめて、銅線をねじって留めていきます。

ペンチで全体のバランスを整えたら、内側にメッシュを張って、木型で形を整えながら枠を折り込んだら完成です。

「銅線はつながっているので、常に全体のバランスに気をつけながらつくっています」と、5代目の鳥井勇佑さんは言います。そばで見ていると、一つの工程のなかで、何度も何度も細かく金網を整えてられているのが印象的でした。


どれも少しずつ違う手編みの金網は、そばに置いておきたくなる美しさ。日々の暮らしにお茶を淹れる時間を持つことが、心のゆとりを生むことに気づかせてくれます。

<掲載商品>
一杯のための金網茶漉し

<取材協力>
鳥井金網工芸
嘉兵衛本舗

文:眞茅江里