いい香りは消さず嫌な匂いだけを消してくれる、環境にも優しいバイオ消臭液「きえ~る」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

梶川 今日子

語り手:梶川 今日子

中川政七商店の企画展の運営と大日本市でバイイングをしています。以前は自分でお店を運営していたこともあり、素敵なものを見たり探したり発見することに「ときめき」ます。陶器の産地「岐阜県土岐市」生まれ。これまで住んだ場所は沖縄・長野(松本)・東京・埼玉・そして奈良と引越しの多い人生です。

ブランド:きえ~る
推しの逸品:きえ~るS / きえ~るD

「きえ~る」は弊社で製造する善玉活性水から作られた消臭液。ニオイの元から分解・消臭します。天然成分100%だから環境にやさしく、赤ちゃんや肌の弱い方にもおすすめ。
「きえ〜る」。一度聞いたら忘れられないインパクト抜群の商品名で、以前からその存在は気になっていました。

その名前のインパクトにも劣らないすごい効果をはじめて実感したのは、とある展示会の会場。
そこでは、虫刺され薬を用いた実験がおこなわれていました。

まずは虫刺され薬そのもののにおいを嗅いで見るとアンモニア臭が鼻をつきます。
それもそのはず、成分をみるとアンモニアとメントールが入っています。

その虫刺され薬の液を小さな容器に数滴入れて、そこへ「きえ~る」を投入。数秒間振ったあと、蓋を開けてにおいを嗅いでみると…。あれ?なんと不思議なことに、メントールのすっきりとした香りだけになっています。

えっ!す、凄い!
「きえ~る」はいい香りは消さず、人がくさいと感じるにおいだけを消してくれる魔法のような商品でした。


きえ~る

そんな「きえ~る」を作っているのは、北海道北見市の環境大善(かんきょうだいぜん)さん。
大自然に囲まれた会社で「地球の健康を探求する」をスローガンに掲げてさまざまな取り組みをおこなっています。

同社は、酵素・ミネラル・乳酸菌を含んだ不思議な液体「善玉活性水」の開発製造をされていて、この「善玉活性水」を独自の方法で精製したものが、バイオ消臭液「きえ〜る」です。

ちなみに、「善玉活性水」には土中の善玉菌を増やし、悪玉菌を抑え込む効果も確認されていて、土壌再生にも役立つことから園芸用の液体たい肥商品も商品化されています。

「きえ〜る」の特徴は「香りでごまかさない」「誰でも使いやすい」「安心安全な消臭液」「水よりきれいな消臭液」。

ということで、実際に自分の家でも使ってみました!
「きえ〜る」は、基本的な成分は同じですが、スプレータイプやゼリータイプ、無色透明のタイプなど、用途に応じてたくさんのシリーズが商品化されています。今回使用したのは、洗濯用、室内用、トイレ用の3種類。


きえ~る

我が家でまず、即戦力として活躍したのはトイレ用。家族がいると朝のトイレ問題は必ず起こります。

利用者一番手はいいのですが、問題は二番手。用が終わった人がシュッシュとしてからトイレを後にします。すると、これまで換気扇では間に合わなかったにおいを消してくれる。まさに「きえ~る」!救世主!


きえ~る

次に洗濯。
キャップに液体を計量して一緒に投入。室内干しの時に発生しがちなにおいや、汗臭が気になる息子のTシャツもすっきり!どうやら洗濯槽のカビ予防にもなるらしい。

ちょっとこれ凄くいいのでは?

雨の多くなる時期にも絶対必須!これまで酸素系漂白剤で生乾き臭を何とかしようとしてみたり、色々と策を講じてきましたが、なかなか「これだ!」というものが見つからなかった我が家に、朗報をもたらしてくれました。


きえ~る

無臭で安心で環境にも優しい。そんな夢みたいな商品をずっとどこかで探し続けていた私には何もかもが願ったり叶ったりで、強い味方を得たような気持ちです。

「地球の健康を探求する」。そして、土も水も空気も本来あるべき姿「善」の状態に戻すことを目指している環境大善さん。その商品を使うことで、地球を健康にする取り組みに私たち自身も参加していると考えられるのも、魅力の1つです。
同社の取り組みはとても素晴らしいので、ぜひ環境大善さんのHPをゆっくり見てみて下さい。

さて、今朝は息子の枕にこっそりシュッシュ!

今日もトイレに洗濯に使用して、空気や水をきれいな「善」の状態にして出勤することにします。


<商品詳細>
【WEB限定】きえ~るS 室内用 スプレー 400ml
【WEB限定】きえ~るD 洗濯用 600ml
【WEB限定】きえ~るD トイレ用 スプレー 300ml

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久留米絣の織元・坂田織物が織りなす日常にまとえる上質な羽織もの

2022年3月30日。久留米絣の新しいブランド「sakata」がお目見えした。

折タグにも久留米絣を使用。織元ゆえの贅沢さ(展示会「大日本市」で撮影)

用意されたのは伝統的な久留米絣をベースにしながら、日常づかいの気軽さをまとう“羽織もの”。ショートとロングの2タイプを、アースカラーをベースにした8つの柄で展開しています。

春夏に使えそうな軽やかなデザイン(展示会「大日本市」で撮影)
無地からストライプまで8つの柄がある(展示会「大日本市」で撮影)

ふと、思う。

これ、久留米絣なんだ、と。久留米絣というと藍色の生地に白い文様が浮き上がる、昔ながらの風情を連想するけれど、ここに並ぶ商品は、いずれもこれまでの雰囲気とは異なる軽やかな趣をたたえていました。

昔ながらの久留米絣の模様(提供:坂田織物)

つくり手は、福岡県八女郡にある「坂田織物」。1948年の創業以来、久留米絣の伝統を受け継ぎながら、常にその魅力を現代に残し、可能性を広げるべく奔走する織元です。

福岡県八女郡広川町の本社

そんな坂田織物が中川政七商店を経営再生支援に迎えて、表現したかったこと、新ブランド「sakata」を通じて伝えたいことは何なのでしょう。

自分たちの強みは何なのか?

「新しいブランドを立ち上げた背景には、久留米絣という素材の良さをより多くの人に知ってもらいたい、という想いがあります」

そう話すのは3代目の坂田和生さん。

大手アパレルブランドに勤めた後、家業である坂田織物に入社。2017年にはニューヨーク進出するなど、常にチャレンジを続ける。一時はお笑い芸人を目指したこともあるとか

久留米絣は、夏は涼しく冬は暖かいという機能性の持ち主。また一着ごとに少しずつ異なる独特の柔らかな風合いは、着れば着るほど、洗えば洗うほどに増し、長く着るほど着心地がさらに良くなっていくという魅力があります。

「伝統工芸に注目が集まり、久留米絣の良さが見直されつつあるといっても、絣文化の縮小傾向はすぐには止まらない。さらには昨今の感染症によって状況が停滞しつつありましたし、このまま手をこまねいていても、何も変わらないんです」

むしろ停滞している今だからこそ、進む手立てを考えるチャンスと捉えた坂田さんは、絣の歴史的背景や久留米絣にまつわる技術や知恵、日本における絣文化などを徹底的に調べ直したといいます。絣づくりに携わりはじめて20年。なのに「知らないことばかりで驚いた」とか。

そして、見えてきたのは自分たちの強みーー「久留米絣という素材をつくれる」という、当たり前だけど、忘れてしまいがちな大事な事実でした。

均一の技術で生まれる 不均一な美しさ

久留米絣とは福岡県南部の筑後地方一帯でつくられる織物のこと。日本三大絣の一つとして1957年には国の重要無形文化財に指定されました。坂田さんは、2020年重要無形文化財技術伝承者でもあります。

その製造工程は、なんと30以上。世界的に見ても驚くほど複雑な工程を要するといいます。

横糸となる緯巻き(ぬきまき)づくり一つとっても、職人技が必要

柄のデザインを行う図案づくりにはじまり、経糸(たて糸)と緯糸(ぬき糸。横糸のこと)の準備、染色などすべての工程おいて職人技が必要となるけれど、なかでも久留米絣の個性を決める一番の特徴は「くくり」という工程。

そもそも“絣”とはあらかじめ染め分けた(先染めした)糸を使ってつくる織物のこと。染め分け方によって、さまざまな文様を描くことができます。

「その染め分けをするために不可欠な技法であり、デザイン画に従って柄で表現したい場所を糸で縛るのがくくり。くくった部分には染色時に色がつかないため、ほどいたときに模様となって表れるんです」

図案に沿って、染めたくない部分に糸を巻きつける

染め分けにはほかにも、板に糸を巻きつける板染めや、糸に直接染料をすり込む捺染(なっせん)という方法があるけれど、「くくりによって染め分けたものは、より繊細で細かい文様を表現することができる」のだそう。

緻密にくくり、きっちりと染め分ける。均一に行うべき、この高い技術こそが久留米絣の要となるのです。

「でもね」と坂田さん。

昔ながらの久留米絣。独特のかすれ具合が美しい

「いくら均一な技術で図面通りにくくっても、糸って伸び縮みするでしょう。糸の強度やくくるときの力加減、染料の染み込み具合などにも影響されて、ところどころ不均一になってしまうんですが、これこそが大事なところ。久留米絣独特のかすれやゆらぎといった、いわば不均一な美しさが表れる。プリントなどでは決して表現することのできない、豊かな風情が生まれるんです」

捨てていた残糸が新たな個性を育む副産物に

新しい商品づくりを進めるなかでカギになったのは、そんなくくりの工程で使う“くくり糸”でした。

「くくり糸はあくまで染色する前の糸を縛るための道具。これまでは使用後の大半を処分していたんです」

途中で切れたりしては染色の妨げとなって美しい文様が描けない。くくり糸にはギュッと縛ることのできる太さと強度のある、丈夫な糸を採用していた

「でも、くくり糸がある=久留米絣屋の証拠だな、と。くくり糸は久留米絣が描く不均一な美しさの象徴のようなものだから、これを生地に織り込むことで、久留米絣という素材そのものの個性や魅力をより多くの人に伝えられるのでは、と思ったんです」

織物屋の強みは「素材をつくれる」こと。伝統技をきちんと踏まえつつ、生地の質感を多様にアレンジしてつくり変えることができるのです。

あくまで道具として扱われていた糸が、織り糸として蘇ることに

一方で、伝統にあえて従わなかった部分も。

久留米絣は紺と白、黒と白といった模様のコントラストがバチッとしているのが美しいとされてきました。

「それはそれで美しいんですが、現代人からしたらどこか民芸調のイメージもぬぐえない。だから今回はアースカラーをテーマにして、ベースの色に柄が溶け込むような模様を採用することにしたんです。昔ながらのはっきりとした染め分けではなく、久留米絣の可能性を広げるため、あえて、これまでにない曖昧さを表現しています」

マス見本。これまでの久留米絣にはなかったナチュラルな色使いも「sakata」ならでは

経糸と緯糸の割合や織りの密度などを調整しながら、ベースの色を決める。そして捨てられるはずだったくくり糸を撚り直して、染め直したり、ときにはブリーチをかけて、ベースの生地に合う織り糸に仕上げていく。

こうして久留米絣をベースとしながら、絣の新しい表現に挑戦した、これまでにない風合いの久留米絣が誕生しました。

生地一つ一つにはレインストライプ、ブラシチェックといった独特の名前が

なぜ、日常着に?
「着るほどに肌に馴染むから」。

新しい生地づくりに挑戦する「sakata」が、第一弾として提案するのは、くくり糸を織り込んだ久留米絣で仕立てた上質な日常着。

「絹を使った紬などが“ハレ”の着物なのに対して、主に木綿でつくられる久留米絣は“ケ”の日常着。着れば着るほど肌の馴染みも良くなり、普段着として活躍する丈夫さも兼ね備えています」

織る糸の密度を変えることで柔らかくしたり、厚みを出したり(展示会「大日本市」で撮影)

生地にはさらりとしたシャツ生地や、少し厚みのある生地の2種類を用意。

場所や性別、体型、年齢を選ばず、久留米絣という概念も含めて、あらゆる枠組みを取っ払いたいという想いから、ゆったりとしたシンプルなデザインを採用。着物を連想させる長い襟が特徴の“羽織もの”が誕生しました。

表裏のない絣の良さを生かし、裏地はついていない。左/ロングタイプ、右/ショートタイプ(提供:坂田織物)
シンプルな「レインストライプ」は、柄物にも合わせやすそう(提供:坂田織物)
爽やかで大胆な「ブラシチェックブルーゴールド」(提供:坂田織物)

たとえば、白いTシャツの上にさっと羽織るだけで様になるし、ジーンズやシンプルなワンピースに合わせればただそれだけで粋な装いに早変わり。伝統のある久留米絣を気軽に着こなすことのできる日常って、ちょっと格好いい……ですよね。

日本の絣文化を世界へ

「sakata」の取り組みはファッションにとどまりません。

「久留米絣は洋服に使えることはもちろん、日常生活を彩るインテリアなどにも多彩に使えるファブリック。久留米絣の可能性を追求しながら、現代人の暮らしをより豊かにする提案をしていきたい」

製品をつくることはもちろん、久留米絣の製造を見学できるオープンファクトリー、産地ならではの使いこなしが体験できるカフェ、「ゆくゆくは久留米絣のテーマパークをつくりたい」と坂田さんは嬉しそうに語ります。

「世界に日本の絣文化を広めたい」と坂田さん。

「さらに言えば、久留米絣だけでなく、日本各地で独自に発展してきた絣の文化を、世界中に伝えていきたいですね。絣文化の底上げをしていくことが、結局は、僕たちの生き残る大事なカギになると思うから」

「sakata」の挑戦はとてつもなく大きく、でも、確実に前に進んでいました。


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<取材協力>
有限会社坂田織物

福岡県八女郡広川町長延602
http://sakataorimono.com/

文:葛山あかね
写真:藤本幸一郎(「大日本市」撮影 中里 楓)

スマートフォンから離れる時間をつくる。気分が整う、小さなおりん「LinNe Myo」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

高倉 泰

語り手:高倉 泰

中川政七商店主催の展示会「大日本市」のディレクター。 日本各地の作り手と一緒に展示会やイベントを作りあげる。 古いものを生かした生活が好きで、奈良で築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らしています。山形県出身。風呂好き。日本酒ナビゲーター認定者。

ブランド:LinNe
推しの逸品:LinNe Myo

LinNeは、心に響くおりんの音色をもっと身近に自由に楽しんでほしいという思いから作りました。素材は、「佐波理(さはり)」という銅と錫の合金を使用。代々受け継ぐ工房独自の配合率と伝統の鋳造・加工技術で素材の特性を生かし、音色を厳選することで、二つとない音色を生み出しています。
奈良に暮らし始めてからお寺が身近にあり、鐘の音を聞くことが日常になりました。朝と夕方、鐘が鳴ると気持ちが静まります。

鐘の音には特別な力があるな、と感じていたころに出会ったのが「LinNEのおりん」でした。

騒がしい展示会場を歩いているとふしぎな音色が響いてきました。目に入ってきたのはターンテーブルで回るおりん達。もともとは仏具として使われてきたものなので、ターンテーブルとの組み合わせは意外でした。


このおりんは創業180年余りの「佐波理製鳴物」を専門に製造する、京都の南條工房さんで、一つひとつ手仕事でつくられています。「佐波理」とは銅とスズを溶かした合金で、良い音がするため、昔からおりんに使われてきました。

南條工房さんは現代の生活に取り入れられるようなおりんを開発し、音楽制作やインスタレーション、ヨガイベントなども開催し、おりんの可能性に挑戦し続けています。

音色を気に入って家に持って帰ると、置いてあるだけで空間が引き締まります。棚の上などちょっとした隙間におけるサイズ感や、暮らしに馴染む佇まいもいいですね。


LinNe Myo
左から、enn(リラックス)/ hou(リフレッシュ)/ sui(コンセントレーション)

付属する「りん棒」で打ってみると、美しい音が鳴り始めます。スーっと伸びる響きが残り、余韻があるのが印象的です。そして静寂が広がります。音が鳴ることによって音がなかったことに気が付きます。
その後にまわりのささいな音、鳥の鳴き声だったり、やかんの音や空調の音がなっていることに気が付きます。耳の感覚が研ぎ澄まされる印象です。


自宅で仕事をする時間が長くなってきましたが、煮詰まって集中力が切れたときに鳴らすと、気分が整い、気持ちを切り替えられます。
ざわつく心と向き合う時間になって、目の前のことを客観的にみるきっかけになります。

子ども達にも、おすすめしていますが、音を鳴らしてしばらくは、喧嘩なく穏やかに過ごしています(笑)


LinNe Myo

寝る前の瞑想もおすすめです。以前、仏教講座を受けて瞑想を体験してから、定期的にやってみたいなと思っていたのですが、なかなか習慣化できませんでした。このおりんがあることで、瞑想を始めるリマインドの役割も果たしてくれています。

静かにおりんを鳴らして、スマートフォンから離れる時間をつくってみようと挑戦中です。

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ランドセルづくりで培った技術が活かされた、大人のリュック「IKUTA KABAN SQUARE」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

福井 隆史

語り手:福井 隆史

中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。長く愛用できるスタンダードなものが好きで、日々使用しお手入れして出てくる表情にグッときます。相棒のように愛用品を身につけ、気持ちよく散歩するのが好きです。

ブランド:IKUTA KABAN
推しの逸品:SQUARE

70年間本革ランドセルにこだわってきた生田だからこそできる新しい挑戦は何か、考え抜いた末に行きついたのはやはり「背負うかばん」でした。初めてランドセルを背負ったワクワクを思い出させるような「背負う」にこだわったかばんをつくりたい、その志を元にたちあげたのが『IKUTA KABAN』です。
ほとんどの人が、小学生時代に「ランドセル」を背負っていたのではないでしょうか。
ランドセルってすごいですよね。ほぼ毎日の登下校に、教科書をたくさん入れたり、リコーダーを入れたり、公園で遊ぶときには大雑把に道端に置いたり…。

6年間どんなにやんちゃに使っても、僕のランドセルは全く壊れずに連れ添ってくれました。そういえば、ランドセルを買い替えなおす友達もいなかったような。

最近通勤途中に、元気に登校をする小学生の集団を見て、ランドセルのような頑丈なリュックがあったらいいなー。でも、大人がランドセルを背負うわけにもいかないよな…。
なんて思っていました。

そんな矢先、まさかの出会いが!
僕の目に止まったのは「IKUTA KABAN SQUARE」。

一目惚れと言っていいほどの出会い。これだ!と思わず声が出てしまうほど、言わば “大人のランドセル” を見つけたのです。


IKUTA KABAN SQUARE

「IKUTA KABAN SQUARE」は、見た目はランドセルではありません。でも、四角くてどこかランドセルを思わせるような佇まい。都会的でありながら、自然皮革だからこその質感もあいまって優しさも感じられる絶妙さ。オールレザーだから高級感も感じられます。
実はこのかばん、手作りの本革ランドセルづく作りの技術から生まれたのです。ランドセルの製造技術を応用した作りで、頑丈でありながら背負いやすさも◎
まるで、リュックと一体化したと感じるほどの背負いやすさです。

なぜ、こんなにも背負いやすいのだろう。僕の疑問の答えは、細部のつくりにありました。


IKUTA KABAN SQUARE

「肩ベルト」の付け根にご注目ください。あーランドセルっぽい!そう思いませんか?
本体に肩ベルトが直接固定されておらず、輪っか状の金具が取り付けられています。これは、可動域を広く設けることができるランドセルの機能が用いられていて、どんな体型の方にも合うよう配慮したつくりになっています。

これが背負いやすさの秘密だったんですね。
6年間、大きく変化する体型に合うようにつくられるランドセルの技術が活かされていると思うと、納得のフィット感です。
こんな細部にも、頑丈さだけでなくランドセルの技術が応用されているなんて。


IKUTA KABAN SQUARE

もうひとつ、このカバンならではの魅力が。
なんと、メインスペースがぱかーんと180度も開くのです。

1日分の着替えなら充分入るので、ちょっとした出張にも役立ちそう。
僕は動きやすさを優先したいので、出張のお供はいつもリュック。宿泊先のホテルでリュックの底に入れた着替えを出すことにいつも面倒で困っていたのですが、これなら荷物をリュックから全部出す作業の必要もなくなりそう。


IKUTA KABAN SQUARE

収納ポケットも充実していて、大切なノートパソコンもかばんの中でごちゃごちゃすることもありません。内側だけでなく外側にもポケットが2つついています。ひとつはサイドファスナーで開けられる仕様なので、出し入れの多い財布の収納にぴったりですね。

正直、ぱかーんと開くリュックは初めて見ました。荷物を整理しやすいのは、出張が多い僕にはとても魅力的です。小旅行にも役立ちそう!


IKUTA KABAN SQUARE

そういえば、荷物はたくさん入るのに、ごつごつと大きい印象がありません。

正面から見たら四角いですが、横から見るとかばんの上部には傾斜が。これにより、頼れる収納力でありながら、圧迫感がなくシュッとした印象に。
大人らしい雰囲気で、普段着はもちろん、これならスーツにもよく合いそう。

オールレザーのため少し重たく感じますが、見た目は重々しくないので、大きめのリュックが欲しいという女性の方にもおすすめですよ。

革の風合いも良いですね。革の醍醐味といっても過言ではない、エイジング(経年変化)も愉しめそう。
まだ出会ってすぐなので大きな変化はありませんが、どんな色に育ってくれるか楽しみです。使うほどに革も柔らかくなって、体に馴染んでいくそうなので、それも楽しみです!


IKUTA KABAN SQUARE

初めてランドセルを背負ったときの、あのわくわく感。
大人になってまた味わえるなんて、思ってもみませんでした。

6年間とは言わず、ずっと大切に使っていきたいと思います。


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半世紀も愛されている、まるでペリカンのような形の急須でお茶時間が豊かに。「ペリカン急須」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

梶川 今日子

語り手:梶川 今日子

中川政七商店の企画展の運営と大日本市でバイイングをしています。以前は自分でお店を運営していたこともあり、素敵なものを見たり探したり発見することに「ときめき」ます。陶器の産地「岐阜県土岐市」生まれ。これまで住んだ場所は沖縄・長野(松本)・東京・埼玉・そして奈良と引越しの多い人生です。

ブランド:晋六窯
推しの逸品:ペリカン急須

創業者から受け継ぐ、使い手にとって使いやすい器をコンセプトに一つひとつ丁寧に制作しています。「民芸」の大らかさと素朴さがあり、釉薬やデザインは初代より引き継がれた独自のものです。晋六窯で制作している陶器の中でも、オリジナルであるペリカン急須Rは、60年以上ご愛顧頂くオリジナルの急須です。
ころんとかわいい形状、思わず手で包み込みたくなるような丸み。そして気になるネーミング。

ペリカンの様な特徴的な口の形状がこの名の由来らしい。私の中で急須の口は、細長くスッと付けられたものやちょこんと小さく三角についているものというイメージがありました。
その概念を超えた急須の形状にどんなワケがあるのか?少しわくわくしながら、早速使い始めてみました。


ペリカン急須
「小」サイズのペリカン急須。「中」サイズもあります。

このペリカン急須は京都の晋六窯で50年前に考案された急須。考案者である現窯元のおじいさんが、茶葉が注ぎ口にたまってもスムーズにお茶が出てくるようにと穴を沢山あけてこの形にたどり着いたそうです。
なるほど、口から見える無数の細やかな穴。美しく丁寧な手仕事を感じます。

本体のころんと丸い形状にも理由がありました。お湯を注いだ時に茶葉がよく回転し、よく開くように底を丸くしているそう。お米で言えば釜の中で踊る、対流のような感じでしょうか。

早速、ほうじ茶が好きなわたしはいつものほうじ茶をいれてみることに。


ペリカン急須

焼き締めの急須を先に温め、茶葉を適量いれてお湯を注ぎます。お湯を注ぐとペリカンの口の部分にもお湯がみえます。もう既にいつもと違うおもしろさ。しばらく置いてから湯のみに注ぎます。

びっくりするくらい濃く、しっかり出ています。もしかして濃すぎる?と思いつつ飲んでみてびっくり!
一口目の印象はなんとも「まろやか」でした。

しっかり茶葉の味を感じられるのにまろやかな味。通常時間を置くと渋みを感じるけれど、あまり感じない。急須でこんなに違うものかと素直に驚きました。


ペリカン急須

二煎目は急須の蓋を取らず口から注ぎます。スムーズにお湯が入り、茶葉が穴に詰まらずストレスを感じません。そして注ぐ時も片手で蓋を楽におさえながら注げる設計も魅力でした。


ペリカン急須

一煎目をいれるときに蓋を置く場所に困ることもあるのですが、この急須は、蓋をペリカンの口に置いておける仕様になっています。通常露が落ちるのを気にしながらテーブルに置いたり、お盆に置いたりしますがそんなことを気にせず、急須の上で完結できる優れもの。

使い手のことを考えて、一つ一つの動作性まで細やかに考え抜かれた急須だと実感。道具ってこういうところがまた使いたくなる要素だと思ったりします。


ペリカン急須

急須には磁器製やガラス製、鉄瓶と色々あるけれど、茶葉の味を楽しむのにぴったりな土物の急須。冷めにくく、まろやかで美味しいお茶を入れられる毎日の道具。ペリカンの口をしたコロンとかわいいペリカン急須。私のお茶時間の大切なお供に追加することにします。

今度はフレーバーティを入れてみようかな?紅茶はどうなんだろう、と日本茶だけでなく、他もいろいろと試してみたくなりました。

今日は何のお茶にする?
とペリカンの口をした急須が私に話しかけてくれそうです。


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自宅のすきま時間に、ものづくりの楽しさを味わっています。「大槌刺し子 みやびふきんキット」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

白山 伸恵

語り手:白山 伸恵

中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。長い社歴の中で繋がった全国の小売店様へ更によいものをお届け出来るように奮闘しています。日々明るく楽しく過ごすことがモットーです。工芸メーカーさんもお客様も笑顔に出来ればうれしいです。

ブランド:大槌刺し子
推しの逸品:みやびふきんキット

東日本大震災により、町や大切な人、家、仕事を奪われ綻んでしまった大槌という町を「刺し子」を通してもう一度、繕い、補強し、みんなが誇れる美しく、たくましい町にしていきたい。2011年6月、大槌町発、一歩を踏み出した女性たちによるプロジェクト。
昔から洋裁や刺繍が好きなのですが、しばらく間が空いていました。今年、家にいる時間が増えて、久々に手に取ったのが「大槌刺し子 みやびふきん」のキットです。

かつて貴重だった布地を繰り返し補修し、長く大切に使うために生み出された「刺し子」。娘がお嫁に行く時に、お母さんがひと針、ひと針、刺し子をしたふきんを花嫁道具として持たせる風習が、東北を中心に各地にあったそうです。

大槌刺し子

この大槌刺し子のキットは、きれいに草木染めされた刺し子糸と生地がセットになって、誰でも気軽に刺し子のふきんをつくることができます。

大槌刺し子

生地には図案が薄くプリントされてあるので、刺し間違えることもありません。普段裁縫や刺繍をしない人でも取り掛かりやすいと思います。

やるのは仕事から帰ってきた夜の時間や休日です。刺している間は何も考えず、ただ静かに手を動かすだけ。この無心になれる瞬間が心地よく、時間を忘れて夢中になります。

大槌刺し子

ふと手を止めると、きれいな色合いの模様が浮かび上がっているのが嬉しく、また針を進める、という感じです。ひと針ひと針縫いあげて完成に向かう喜びは癒しにもなりました。久々にものをつくる楽しさを味わったように思います。

大槌刺し子

出来上がったら自分の作品のような気持ちです。道具としても、もちろん丈夫なのですが、すぐに食器拭きなどに使うのはもったいない気がして、飾ったり、器やフルーツの上に伏せてかけたりして、模様を楽しむのも良いかなと思っています。


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