2か月ごとに異なる日本を巡る。学生が本気で経営する地域産品ショップ「アナザー・ジャパン」開業

ある時は「地元」に帰ったような安心感を、またある時は「旅先」で感じるわくわくを。

東京駅に隣接する新しい街「TOKYO TORCH」の一画に、そんな不思議な体験ができる地域産品のセレクトショップ「アナザー・ジャパン」がオープンしました。

2027年度の正式開業に向けて開発が進むTOKYO TORCH街区

同店にはTOKYO TORCHの開発を進める三菱地所がプラットフォームを提供し、小売業のノウハウ教育と経営サポートとして中川政七商店が参加しています。

そして、プラットフォームと教育を提供された上で実際の運営を担っているのは、なんと全国から集まった18名の学生たち。

コンセプト策定から商品選定、仕入れ交渉、店頭での接客、売上管理やSNS等を通じたプロモーションまで、まさに店舗経営のすべてを学生たち自身の手でおこなっていることが、「アナザー・ジャパン」最大の特徴です。

取り扱う商品は、日本各地から選りすぐった地域産品の数々。

2か月ごとに特集地域と販売商品が入れ替わる仕組みで、九州・沖縄地方の産品を集めた”アナザー・キュウシュウ”を皮切りに、”ホッカイドウ トウホク”、そして”チュウブ”、”カントウ”、”キンキ”、”チュウゴク シコク”と続きます。

取材時には、初回となる”アナザー・キュウシュウ”が開催中(2022年8月2日~10月2日)。「宴」というテーマの元で集められた産品、約350点が出迎えてくれました。

「アナザー・キュウシュウ」で購入できる商品たち

お酒や酒器、おつまみなどを揃えた「宴の乾杯」、華やかなアクセサリーや洋服が並ぶ「宴の装い」、特色あるうつわを集めた「宴の宴席」などなど。店内の棚は「宴」にひもづくさまざまなシーンごとに分けられており、それらを巡りながら、九州・沖縄の魅力ある品々に触れ、買い物を楽しむことができます。

”アナザー・キュウシュウ” の商品をセレクトしたのは、九州・沖縄地域出身の3名の学生。

「自分たちの目で見て、職人さんと話をして、素直に良いと思ったもの、心に残ったものをセレクトしました」

そう話す彼女たちは、実に80日以上も現地に滞在し、商品のセレクトから仕入れ交渉までをおこないました。

熊本県天草に伝わる「天草更紗」の布。一度途絶えてしまったが、ひとりの職人によって復元されている
天草更紗を胸にあしらったTシャツを紹介する、長崎出身の山口さん

全国的に有名な焼き物もあれば、はじめて目にするような美しい布も。九州と聞いてイメージするものもあれば、予想外の驚きをもたらしてくれるものも。

改めて自分たちの出身地と向き合い、その魅力を全国に届けたいという純粋な衝動があるからこそのラインアップになっていると感じます。

長崎「瑠璃庵」 ステンドグラスのランプ。赤と白のアナザージャパンカラー
鳩笛や尾崎人形などの愛らしい郷土玩具も

実際のところ、地元の魅力を発信したいという学生の想いに心を動かされて、商品の取り扱いを認めてくれた作り手さんもいたそうです。

「”がんばってよ!”と逆に応援してくださる方もいて、本当にありがたい気持ちです。このお店で、商品や地域の魅力を伝えることが一番の恩返しになると思うので、気持ちを込めて販売していきます。

自分たちで選んで、交渉して仕入れている商品なので、思い入れも強く、色々とお話しできることもあります。ぜひ店頭で話しかけてください」

とのこと。各地域の産品が並ぶ店内をまわり、それらを選んだ学生たちのリアルな想いを聞く。そのことを通じて、実際の産地を巡り職人と触れ合った彼・彼女らの追体験ができる。そんな魅力を持ったお店だと感じました。

47都道府県の形状をかたどった木製絵馬のディスプレイ

各地域の産品が購入できるだけではなく、週末には手仕事の体験ができるなどのワークショップも開催。また、店内併設のカフェ「KITASANDO Kissa」では特集地域にちなんだ食材を活かしたメニュー等が提供されます。まさに一年中、さまざまな角度から日本を楽しむことができるお店となっています。

絵付け体験のワークショップ
ティー&コーヒースタンド「KITASANDO Kissa」(撮影:西岡潔)
企画展のスケジュール

その地域出身の人には懐かしく、そうでない人には新しい。訪れる人や時期によって異なる体験を味わえる、少し不思議なセレクトショップ「アナザー・ジャパン」。

地元や日本のことをもっと深く知りたい、もっと多くの人に好きになってもらいたいと集まった学生たちが本気で経営するお店です。ぜひ同店を訪れて、“もうひとつの日本”を感じてみてください。

アナザー・ジャパンプロジェクトについてはこちら

<店舗情報>
学生が経営する47都道府県地域産品セレクトショップ「アナザー・ジャパン
・営業時間 11:00~20:00
・住所 東京都千代田区大手町2-6-3 TOKYO TORCH銭瓶町ビルディング1階ぜにがめプレイス

ティー&コーヒースタンド「KITASANDO Kissa」
・営業時間 平日:8:30~21:30/土日祝:10:00~19:00

文:白石 雄太
写真:中村ナリコ

【季節の手ざわり】心を整える、夜長の過ごし方 

こんにちは。中川政七商店ラヂオの時間です。

中川政七商店ラヂオ「季節の手ざわり」は、月に一度、季節ごとの風習や、暮らしに取り入れたい日本の文化についてお届けしています。
季節の移ろいを感じ暮らしを整える、そんなひと時をご一緒しませんか。

8月も下旬、まだ暑さは少し残っているものの、朝晩には涼しい風が吹くようになりましたね。季節が秋へと向かうにつれ、日ごとに昼は短く、夜は長くなっていきます。今回は「心を整える、夜長の過ごし方」のお話です。


ナビゲーター:クリス智子
ハワイ生まれ。大学卒業時に、東京のFMラジオ局 J-WAVE でナビゲーターデビュー。現在は、同局「GOOD NEIGHBORS」(月曜〜木曜13:00〜16:00)を担当。ラジオのパーソナリティのほか、MC、ナレーション、トークイベント出演、また、エッセイ執筆、朗読、音楽、作詞なども行う。得意とするのは、暮らし、デザイン、アートの分野。幼少期より触れてきたアンティークから、最先端のデザインまで興味をもち、生活そのもの、居心地のいい空間にこだわりを持つ。ラジオにおいても、居心地、耳心地の良い時間はもちろん、その中で、常に新しいことへの探究心を共有できる場づくりを心がける。


プラットフォーム

ラヂオは7つのプラットフォームで配信しています。
お好きなプラットホームからお楽しみください。

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夜長を愉しむ、暮らしの道具

①夜空を見上げ、月を愛でる時間を持つ

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② 自然のオーケストラ、虫の声に耳を傾けてみる

駿河竹千筋細工の虫籠

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③電気を消して、ろうそくの明かりを灯す

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お便りを募集しています

番組内でご紹介させていただく、リスナーの皆さまからの投稿を募集しています。
「わたしの心地好い暮らしをつくる道具」をテーマに、お気に入りのアイテムや、しつらいの風景、意外な使いかたなど、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いをお聞かせください。


次回「季節の手ざわり」は、9月16日(金)配信を予定しています。

「中川政七商店ラヂオ」では、別番組「工芸うんちく旅」も配信中です。
こちらは、工芸好き男子二人が日本全国の工芸産地を訪ね知った工芸のうんちくを語る番組。
次回は9月2日(金)配信予定です。

お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【工芸うんちく旅】大阪府堺市「注染手ぬぐい」

こんにちは。
中川政七商店ラヂオのお時間です。

「工芸うんちく旅」は、工芸好き男子ふたりが、日本の工芸産地をめぐり、職人さんや地元の方々から聞いてきたうんちくや小ネタ、地域の風習、食文化などを紹介する番組です。

大阪府堺市/注染手ぬぐい

<前編>

<後編※8/12公開>

今回の舞台は大阪府堺市。堺市は、大阪府の中で人口・面積ともに大阪市に次いで第2の都市。
歴史的にも港町として商人の街、同時に職人の街としても栄えました。

お話を伺ったのは、堺市で手ぬぐいブランド「にじゆら」を展開されている株式会社ナカニの中尾弘基さん。
工芸好き男子のふたりも、実際に職人さん達の仕事ぶりを見て「なるほど!」「そういうことだったのか!」と改めて感銘を受けたようです。
そんな注染の魅力を、3本立てで語り尽くします。

・注染の仕組みそのものがうんちくだ
・手ぬぐいは、ノベルティの元祖だった
・なに、さらしとんねん!


ナビゲータープロフィール

高倉泰(たかくらたいら)

中川政七商店による産地支援事業「合同展示会 大日本市」のディレクター・バイヤー。
大学卒業後、店舗デザイン・設計の会社を経て、2014年に中川政七商店に入社。日本各地のつくり手と共に展示会やイベントを開催し、商品の仕入れ・販売・プロモーションに携わる。
古いものや世界の民芸品が好きで、ならまちで築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らす。山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。ほとけ部主催。
twitterアカウントはこちら

引地海(ひきじかい)

Pomalo 株式会社 クリエイティブ・ディレクター。大学卒業後、広告代理店を経てフリーの編集者に。雑誌やWEBサイト、イベントの企画・制作・プロデュースを手がけ、2019年よりコンテンツ・エンジニアリング・カンパニー Pomalo(ポマーロ)に参加。11歳から17歳までをアメリカ・サンディエゴで過ごした帰国子女。2児のパパで、趣味はお弁当づくりとキャンプ。


プラットフォーム

ラヂオは7つのプラットフォームで配信しています。
お好きなプラットホームからお楽しみください。

・Spotify(前編後編
・Apple Podcast (前編後編
・Google Podcasts (前編後編
・Voicy (前編後編
・Amazon Music (前編後編
・Castbox (前編後編
・YouTube (前編後編

製造風景

番組内で話していた注染のものづくりの様子を、ダイジェスト映像でお届けします。
ここでお見せするのは一部ですが、少しでもお届けできれば幸いです。

<関連記事>
夏の手ぬぐい活用術を、専門店に聞く
中川政七商店のものづくり実況レポート。発祥の地、大阪 堺で注染手ぬぐいに染まる1日
裏も表も前後もないTシャツが、子育てを少し穏やかにする

プレゼントキャンペーン

にじゆらの手ぬぐい2種をプレゼント!

<応募方法>
twitterにて、ご応募ください。

【実施期間】
2022年8月5日(金)~8月14日(日)

【応募方法】
①「@nakagawamasa7」をフォロー
②「#工芸うんちく旅」をつけて番組の感想を添えてリツイート
でご応募完了です。
(すでにアカウントをフォローいただいている方も、ご応募可能です)

【結果発表】
2022年8月下旬頃を目安に、当選者さまへDM(ダイレクトメッセージ)をお送りいたします。

職人さんへの質問募集

職人さんに聞いてみたい質問などがございましたら、下記フォームよりご投稿お申し込みください。
現在募集中の工芸は、「こけし」と「南部鉄器」になります。
番組のご感想もお待ちしております。

次回予告

次回は、8/12(金)に「注染手ぬぐい」後編を配信予定です。
お楽しみに。

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精油の選び方使い方をプロに聞く。今注目の和精油を取り入れたい理由

最近植物の力ってすごいなと改めて感じる出来事がありました。
気づいたきっかけは、精油。

家の周囲に自然が多く、築年数の古い家に住んでいるので、梅雨~夏にかけては虫との攻防戦が繰り広げられる我が家。
これまで殺虫スプレーをまいてたのですが、匂いが苦手で、代わりになるものを探していました。
そんな時に行き当たったのが、ハッカの精油。台所に精油を垂らして置いておくと、コバエがほとんど出ず、さわやかな香りで快適!

精油というと、好きな香りを愉しむものなのかと思っていましたが、実用的に生活の役にも立つのだな、と認識が一変しました。

そうなると、もっと色々活用してみたい、と興味も沸くもの。そこで、ジャパニーズアロマの第一人者である重松浩子さんにお話を伺いました。

重松浩子

Jスタイルアロマ研究所代表
英国ITEC認定アロマセラピスト

北海道から沖縄まで日本産精油の産地訪問を重ね、産地と消費者をつなぐ「日本産精油」の普及に力を注いでいる。日々の暮らしになじみ、道具のように使う精油(エッセンシャルオイル)の活用を研究。著書に「はっか油で楽しむ暮らしのアイデア」(玄光社)ほか。アロマセラピー&自然療法専門誌「セラピスト」(BABジャパン)にて、日本産精油についての記事を連載。

精油を生活に取り入れる魅力とは

「便利な暮らしの中で、旬とか季節感を忘れてしまいがちですが、じつは身体は季節ごとのリズムをとらえて、リズムに合わせてバランスをとろうとしてるんです。そこに対してアプローチして、心身のリズムを整えてくれるのがよいところだと思います」

たしかに、コロナ禍で外出制限が続く中、家に花を飾ることが癒しになったという方も多いのではないでしょうか。
春の桜に、秋の紅葉。季節のうつろいに目を向けることは、四季のある日本に暮らす私たちにとっては、季節の習慣のようなものなのかもしれません。

ところで、精油って様々な種類がありますよね。
難しく考えずに好きな香りを楽しめばいいのかもしれませんが、リズムを整えるためには、選び方にも何かコツがありそうです。

植物を暮らしに取り入れる、と考える

「皆さん、精油として瓶になった瞬間、使い方が分からないと言うんですが、植物を暮らしに取り入れることって、ごく自然に行ってることですよね。

端午の節句に菖蒲、七夕に笹の葉、冬至に柚子湯などの行事もそうですし、ふだんから季節ごとのお花を飾ったりもすると思います」

そこで重松さんが特におすすめしているのが、和精油。
和精油とは、日本の風土で育つ植物からつくられる精油のことです。

和精油のメリットとは

「元の植物を知ってるということは、生活に取り入れるのに適したタイミングや取り入れ方が自然と分かるということ。

例えば、柚子なら冬。お風呂に柚子を浮かべるように、精油を1~2滴垂らせば柚子湯です。海外の植物では、それが分かりません。

日本で見かける植物なら、時期や取り入れ方をなんとなく知ってるので、気負わなくても自然と使えるものです」

なるほど、家に飾る花が季節によって変わっていくことを考えれば、香りもその時々に適したものを選ぶというのはごく自然なことだと感じます。
日本の植物であれば、自然と選ぶこともできそうです。

精油を自宅で気軽に取り入れる方法

選び方のコツを掴んだところで、自宅で気軽に取り入れるおすすめの方法を聞いてみました。

重松さんのおすすめは、芳香浴。
ひとくちに芳香浴と言っても、リラックスしたい時とリフレッシュしたい時で取り入れ方に違いがあるようです。

①いい空気をつくってリラックス

芳香浴と聞くと、香りを楽しむような印象ですが、
はっきりと香らせるだけではなく、まずは“いい空気をつくる”ことがおすすめなのだそうです。

「森林浴の香りをこんな“香り”と言える方はいないけど、空気はいいと感じるじゃないですか。
いい香りではなく、自然と深呼吸したくなる、いい空気をつくるのがコツです」

例えば、掃除のスプレーに混ぜて、拭き掃除する時に使ったり、カーテンやソファ等のファブリックにスプレーで吹きかけたり。
アロマポットなど特別な道具を準備しなくてもいいので、気軽に始められそうです。

②はっきり香らせてリフレッシュ

次に、はっきりと香らせて気分転換するいわゆる香りを楽しむ方法があると言います。

「春の沈丁花や秋の金木犀のようにはっきり香りを届けることで、気分転換することができます。
おすすめの方法は、マグカップにお湯を垂らして香りを楽しむこと。ハンカチなどでも代用できます」

マグカップがおすすめなのは、温かいと早く香る為。疲れてる時や乾燥する季節には特に、湯気とともに吸うのも心地好いと言います。

その他、ボウルや洗面器にお湯を張り、精油を垂らして、手首まで浸す手浴(しゅよく)という方法も教えていただきました。

「私は手浴をする際、ボウルに花ふきんをいれておくんですよ。その後に絞って、首の後ろに当てると更に心地好いんです」

そして最後に、その香りが好きだからといって、ずーっとそれだけではなく、メリハリ、リズムをもつことが大切だと言います。

「香水や柔軟剤の香りが強い方って、ご本人は気付いてないことも多いと思いませんか。
嗅覚は、センサーなんです。焦げくさい、腐ってるといった危機を判断したら、香りを感じ続けている理由がないので、次に備えます。
だから、ずっと同じ香りをまとってると、どんどん香りが分からなくなってしまうんです。

一定時間使ったら換気したり、別の香りにしたり。その時々の体調リズムにあわせて使い分けるのがおすすめです」

選び方にも使い方にも、共通してリズムやメリハリが大切なのだということが分かりました。

ただ、精油って容器は小さいけれど、1~2滴垂らせば十分なことが多いため意外と長持ちします。
せっかく購入したのだから、1シーズンと言わず長く使いたいもの。例えば、夏におすすめのハッカの精油。これは夏しか使えないのでしょうか。

季節ごとの活用方法

「小豆をゆでるときに、砂糖だけじゃなく塩をちょっといれたりするでしょう。
同じように、主役として使うのか、隠し味として使うのか、季節によってそれぞれの役割も変わります。
同じ精油でもオールシーズン役割を変えながら楽しむことができるんです」

清涼感あふれるハッカも、夏場だけでなくそれぞれの季節に合わせて幅広い楽しみ方ができると言います。

<主役となる春夏の活用術>

主役として使われることが多い夏には、まずは暑さ対策として。

「お風呂に少し垂らしたり、水に精油を垂らして布を浸し、クールダウンしたい場所をふき取るのもおすすめです。
私は、お手製のリンスに加えて清涼感を楽しんでいます。夏のお風呂は暑いので、スーッとするのが気持ちいいんです」

水を無香料の消毒液などに変えてつくると、虫除け用の足ふきシートとしても活躍します。
掃除スプレーとして水に少し混ぜて使えば、芳香浴にもなります。

<引き立て役となる秋冬の活用術>

ハッカというと夏のイメージですが、じつは秋冬にも引き立て役や気分転換として活躍します。

「例えば、秋冬に活躍するヒノキなどの樹木精油に少しだけ加えることで、木の香りの独特なえぐみが、落ち着きます。
我が家では、衣類や布団など、布ものを仕舞うクローゼットに使うことが多いです。

また、お湯を入れたマグカップに1滴垂らし、目を閉じて香りの湯気を鼻からゆっくり吸いこみます。風邪のひき始め、花粉の時期など鼻づまりが気になる時にスッキリします。
仕事や勉強がはかどらないときに集中力を取り戻す気分転換にも便利です」

今回はハッカを例に取り上げましたが、それぞれの精油のおすすめの活用方法は商品ページでご覧いただけます。

クスノキ
ハッカ
ヒノキ
ヒバ
ブンタン
ユズ

自然のリズムにあわせて精油を選び楽しむ。
そんなコツが分かっていれば、こうしなくてはいけないというレシピではなく、応用を利かせて自分で楽しめるように思います。
ハッカを手始めに、次はこれからの季節に活躍しそうな樹木精油を取り入れてみたいと思います。

<関連特集>

写真:奥山晴日
文:上田恵理子

【わたしの好きなもの】奈良の焙じ茶 丸カステラ

ひと手間アレンジで休日のおやつ

私は小さい頃からカステラが好きなんです。スポンジケーキともホットケーキとも違う、カステラならではの甘みと食感。それと一緒に牛乳をいただくおやつの時間は、子供にとっては幸せな時間の記憶でした。
大人になっても牛乳とカステラのセットは大好きで、中川政七商店からカステラが発売された時は、いち早くいただきました!

まず、真ん中に穴があいていて、どちらかというと小さなシフォンケーキの形に「はじめまして」の気持ちに。
紙から外してお皿にのせてフォークを添えると、もはや立派なケーキな見た目!!
フォークで切ると、ふんわりとした弾力で、スポンジともホットケーキとも違うこれこれと思えるカステラ感。通常のカステラよりもシフォンケーキのふんわりに近いけれど、しっとりぎゅっとしてるのは、やはりカステラ!
やさしいほうじ茶がふんわり香って、口に入れると小さなザラメがカリカリとして、「カステラの幸福感ありがとう」と思うひとときです。

アイスクリームと生クリーム添え

そして、このシフォン型を見ると、どうしても真ん中の穴に何か美味しいものをプラスしたくなりませんか。
まずは定番アイスクリーム!
正解に決まっています!アイスが少し染み込んだカステラは最高ですね。
贅沢に生クリームがあったら、もう立派なカフェデザートの気分です。
ジャムやあんこも、おすすめです。

あずきバターや、やさしい甘さの柿ジャムはこれからの秋冬におすすめです。あずきバターはクリームチーズと混ぜたものを添えてもさっぱりとして美味しいですよ。

そして、休日に時間がある時は、豪華パフェに!
豪華と言いましたが、家に余っているジャムやクリームチーズ、ヨーグルト、季節のフルーツ、アイスクリームなどをグラスに好きに詰めるだけです。
自分の好きな量を、好きな順番で詰めることが出来て、おうちパフェはなかなか至福のおやつですよ。
子供は大きなグラスに、多少いろいろ気になる母は小さめになどなど、好きに作っています。

グラスが小さめでも十分なボリュームです
ご褒美レベルの詰め放題パフェ


そして、わたし的発見がザラメ側を焼いてみる!
ザラメがたくさん付いているので、これをバターで焼くとカリッカリにキャラメリゼのようになるのでは。

バターをジュワッとフライパンで溶かして、カステラのザラメが付いている側を下にして、焦げすぎないように様子を見ながらザラメが溶けたら出来上がり。

カリカリザラメに柿ジャムを添えて

正直、見た目は地味かもしれない出来栄えですが、美味しい!!
カリカリに加えて、焼いたことでほうじ茶の風味が増していい香りに、さらにバターの香りもあわさって、まるで焼き立てカステラのような風味じゃないかと思っています。
我が家では欲張って、半分はそのままで、半分を焼いて食べるという、両方味わいたい欲を満たしています。。
ぜひこれは、チャレンジしていただきたいひと手間です!

生菓子よりも賞味期限が長いので、我が家のおやつ箱の定番ストックに。休日のおやつにひと手間アレンジで、家族や友人と美味しくいただいています。



紹介商品:奈良の焙じ茶 丸カステラ
特集はこちら
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担当編集者 宮浦

「本って、いいよね。」を増やしたい。本をめぐる環境を整えるため、悩み続けるバリューブックス

“値段はつけられませんが、それでもいいですか?“

読み終えた本を古本屋に持ち込んだとき、こんな風に言われることがある。

大事に読んできて保管状態は良く、思い入れもあったけれど、悩んだ末にスペースの関係で手放すことを決めた。そんな本に対してこう言われると、少し悲しい気持ちになる。

一方、引き取る側はタダで本を仕入れることができて嬉しいのかというと、実はそれも違う。

そもそも値段がつけられないのは、なんらかの理由でその本の販売が難しいから。引き取ったところで、そのまま古紙リサイクルに出さざるを得ないケースが大半だ。手間が増えこそすれ、利益になるということはない。

双方にとって嬉しいことはなにもなく、その本が再び別の誰かの手に渡ることもない。本が本として循環する道はそこで途絶えてしまう。

こう書くと少し大げさに聞こえるかもしれない。しかし、実際に捨てられていく大量の本を目の当たりにすると、きっと見方は変わる。

古本屋が目の当たりにした、捨てられる本の現実

「本の最後を見届ける、古本屋だからこそ気づくことがあります」

そう話すのは、長野県上田市に拠点を置く「VALUE BOOKS(バリューブックス)」で取締役副社長を務める、中村和義さん。

オンラインでの本の買い取り・販売を中心に事業を展開する同社の倉庫には、日々多くの本が届く。しかし、そのおよそ半数に値段がつけられないのだという。

VALUE BOOKS 中村和義さん

値段がつけられない一番の理由は、需要と供給のバランスが崩れてしまっていること。発売時にたくさん印刷された本ほど、数年後に中古市場に出回る数も多くなる。そのタイミングでは発売時ほどの需要はなく、供給過多で販売が難しくなってしまう。

「本そのものの価値は変わらないんです。今でも読みたい、手に取れば面白い本がたくさんある。それを何もしないままリサイクルに回すのはしのびない。何かできないかという想いが強くあります」

古紙リサイクルに回される本たち。コンテナいっぱいの本が、一日に一度回収される
日々大量の本が送られてくるVALUE BOOKSの倉庫

保育園や小学校等に本を寄贈する「ブックギフト」、運営する実店舗での取り扱い、パートナー企業のチャネルを介しての販売。同社では、送られてきた本をできる限り本として活用するために様々な取り組みをおこなってきた。

「“従業員の子どもが通う保育園に持っていこうよ!”と、最初にはじめたのが『ブックギフト』です。

ありがとうと言ってもらえればやりがいにもなりますし、最初に本を送ってくれた人たちも、本が必要とする誰かの手に渡ることを喜んでくれる。

コストは発生しますが、それでも“みんなにとってそっちの方がいいよね”と決めて、今も続けています」

上田市にある実店舗のひとつ「VALUE BOOKS Lab.」。“捨てたくない本”ということで、オンラインで値がつけられない本をアウトレット価格で販売している。思わぬ掘り出し物に出会えることも

適切な価格で本を買い取るためにはじめた「送料“有料”化」

送られてきた本をできる限り捨てないというアプローチに加えて、本の買い取り率を向上させる施策にも取り組んでいる。買い取り希望の本を送ってもらう際に、送料無料をやめたこともその一環だ。

倉庫内の様子。本の査定や仕分け、発送などあらゆる業務が効率よく進められるかどうかが最重要

送料無料であれば、“値段がつくかどうか分からないけど、とりあえず送ってみよう”と、気楽に本を送ることができる。しかし、実際のところ無料となった送料は引き取る側が負担している。

その状態で販売できない本がたくさん届いてしまうとコストだけがかかり、その他の本の買い取り金額を圧迫してしまう。

販売できない本が負担となり、適切な価格で本が買い取れない。そんな悪循環を改善するために、 バリューブックス は業界の中では異例の“送料有料”に踏み切った。

「きちんと送料をいただく代わりに査定の基準を分かりやすく提示し、簡単に概算金額を算出できるスキャンシステムなども導入しました。

送料がかかってしまう分、きちんと選別した本を送っていただく。その前提で、買い取り金額自体を従来の1.5倍程度に引き上げました」

査定中の様子。こうした業務システムも自社開発している。効率よく、スピーディーに作業できるほど、買い取り価格にも還元できる

結果、送る側の意識も変わり、買い取れる本の割合が10%以上増えたそう。それでも、まだまだ多くの本を捨てるしかない現状はある。

「できる限り、 バリューブックス が活用できる本を送ってもらえるとありがたいです。とはいえ、本自体に罪はなく、どの本も送ってくれた皆さんにとっては思い入れのあるものだと思っています。

極力、本は本のままで次の読み手に渡った方が幸せだと思うので、そのために色々な方法を考えてあがいている最中です」

古本屋の枠組みを超えて動き続ける理由

古本屋として目の当たりにしてきた現実を、少しでもよくしようと模索する バリューブックス 。今年15周年を迎えた同社ではこれまで、上記で触れたこと以外にも実に様々な活動をおこなってきた。

中古バスを改造した移動式書店「ブックバス」、古紙回収に回った本を再生した商品開発、最近では自社での出版・流通事業まで。古本屋としての枠組みを超えた多岐に渡る取り組みの先に、どんな未来を描いているのだろうか。

実店舗「本と茶 NABO」の外観
店内にはカフェスペースも

「弊社は“日本および世界中の人々が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える”というミッションを掲げていますが、もっとシンプルに言えば、“本っていいよね”ということ。

そんな本をより多くの人が読んだり、楽しんだり、それが学びになったり、そんな世界になったらいいなと思っています」

ミッションの“環境を整える”という部分には、自分たちだけではやれないという想いも込められている。

「本は多くの人が手に取るものだし、どんな分野に対しても接続できるものです。とても多くのプレーヤーが関わって、本をめぐる環境というものが出来上がっています。

成熟した業界だけどまだまだ歪な部分も多く残っていて、そこにはよりよい最適解がきっとあるはず。多くの人と協力して少しずつ整えていきたいですね」

新刊市場と中古市場のよりよい関係を目指して

たとえば、一次流通と二次流通の分断は大きな課題のひとつ。出版社や著者の立場からすれば本は新刊で買ってもらうことが重要で、いかに発行部数を伸ばせるかが肝になる。中古市場でいくら本が流通しようとも、彼らには何の収益も発生しないのだから当然だ。

もし、この新刊と中古本のビジネスをうまくつなげることができれば、需要と供給のバランスが大きく崩れて捨てられてしまう本を減らせるかもしれない。ここ数年はそんな取り組みもはじまっている。

出荷前の本
同封される納品書の“ウラ書き”には、おすすめの本の情報などが記載されている。購入した人が新たな本に出合うための工夫のひとつ

「たくさんの中古本を取り扱う中で、特定の出版社さんの本はいつも安定して買い取れるということに気づきました。

こういった本が増えれば、よりよい循環が生まれるのでは、と思って始めたのが『VALUE BOOKSエコシステム』です。

今のところ4社だけのトライアルにはなりますが、その出版社さんの本が バリューブックス で売れた場合に、売上の33%を還元しています」

中古本市場での売上が、新刊業界にも還元される。今はまだ試験段階だが、この関係性が浸透していけば、最初から二次流通のことも考えた出版がおこなわれるようになるかもしれない。そんな可能性も感じられる。

「そうなれば理想ですが、実際はまだまだ。これが正解の形なのかもわかっていません。この取り組みで出版社さん側のビジネスがうまく回る、というところまではいけていないので。

最初に本をつくっている人たちがいるからこそ、僕たちも存在できている。そこに対して何かよりよい形はないだろうかというのはずっと考えています」

15周年を迎えたVALUE BOOKSが、現在の自分たちと本を取り巻く環境を落とし込んだイラスト。中央がVALUE BOOKS。向かって左側の本を作る人たちと結ばれた線が非常に薄く表現されている。“ここを太くしていきたいんです”と中村さんは言う

“本っていいよね。”を増やすために

自社で出版事業をはじめたのには、自ら一度モデルケースを体感することで、二次流通まで含めた本の売り方を模索する狙いもある。

「実店舗のNABOやLABもそうですが、まず自分たちでやってみる。それが成り立つことではじめてほかの人を巻き込んで次の段階にいけるというか。

出版から二次流通、そしてその先まで考えてやってみて、それで成り立つのであれば、今よりもっと持続可能な社会に近づいていけると思うんです」

NABOに入ると実感する、古本のセレクトショップならではのラインナップ

人によって本に触れる場所はさまざまで、その環境が多種多様であれば、より多くの人が本と出合えるはずだ。

中古書店だからこそ見つけられた本をきっかけに、次はその作者の新刊を買う人もいる。保育園や学校の図書室で出会った本がきっかけで、読書の楽しみに目覚める子どもたちもいる。

本が社会をうまく循環することで、本との出会いが増え、本を必要とする人が増えていく。

「一気には変わらないので、ちょっとずつ、ちょっとずつ。いろいろな人たちと関わって模索しながら、いい循環をつくっていけると理想的です。

これまでお話しした取り組みも、すべてうまくいっているわけではなくて、むしろできていないことがたくさんあります。そんなギャップを抱えながら、それでもよりよい未来のために、腐らずにやっていくしかない。

本当に少しずつですが、チャレンジは続けられているのかなと思います」

日頃から本を読み、楽しんでいる私たち自身も、本を取り巻く環境の一部。本がどうやってつくられて、どんな最後を迎えているのか。改めてイメージしてみると、どこで買うのか、どこで読むのか、誰に譲るのか、一つ一つの選択もきっと変わってくる。

古紙になってしまう本を減らしたい。そして、“本っていいよね。”を増やしていきたい。そんな未来に向かって、 バリューブックス は今日もブレずに悩み続けている。


<取材協力>
「VALUE BOOKS」:https://www.valuebooks.jp/

※VALUE BOOKS×中川政七商店コラボキャンペーン実施中※
中川政七商店では、本の循環する社会を目指すVALUE BOOKSの取り組みに共感し、応援したいと思いました。読み終えた本をVALUE BOOKSにお送りいただくと、中川政七商店で使用できるクーポンが付与されるキャンペーンを実施中です。ぜひこの機会にご利用ください。

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文:白石 雄太
写真:中村ナリコ