【旬のひと皿】スイカのスムージー

みずみずしい旬を、食卓へ。

この連載「旬のひと皿」では、奈良で季節の料理と玄挽きの蕎麦の店「だんだん」を営む店主の新田奈々さんに、季節を味わうエッセイとひと皿をお届けしてもらいます。



「奈良にはいろんなお祭りがあっておもしろいんですよ」と、とある方から教えてもらいました。例えば毎年7月7日には吉野町のお寺で「蛙飛び行事」なるものがあるそう。

少し検索しただけでも、全国でもこちらのお寺さんだけの珍しい行事だということがすぐに出てきました。長く住んでいても知らないことが多く、お祭りといえば花火と屋台だけではない、長年、毎年行われている行事があるのだなと楽しくお話を聞かせてもらった日でした。

私の生まれ育った島根の町でも県を代表する七夕行事があります。旧暦の七夕の日(8月6日)の夜に平和を願い、浴衣やはっぴで着飾った子どもたちが笹竹に短冊や提灯などの七夕飾りをつけ、お囃子をしながら山車とともに商店街を練り歩くというもの。450年も続くお祭りです。

夏休みに入ると、お祭りの日までは毎日、午前中は準備に出かけていました。そのお祭りに欠かせないのがスイカの形をしたスイカ提灯。子どもたちの持つ笹竹や、各家庭の軒下に吊るされるものです。

手づくりなことも相まって、可愛らしいあたたかい光が灯る夜の景色。毎年お祭りには行けずとも必ず思い出す素晴らしい夏の思い出です。

毎年続けていけるのは、地元の皆さんのお力があってこそだと思います。全国の様々な行事がこの先も続くことで、各々の世代みんなが同じ経験をして育っていく。当然のようで当然ではない、貴重な経験をさせていただいたなと地域の方には感謝しかありません。

お祭りの翌日にはスイカを切って各家庭に配ってもらいました。ビックイベントが終わってしまった寂しさと、楽しかったお祭りを思い出して食べる夏のスイカはとってもおいしかったものです。

年齢を重ねた今はというと、暑さも年々増してきて、仕事おわりのスイカに助けられています。

暑いところから帰ってきて、冷えたスイカにかぶりつくのが最大限にスイカのよさを味わえるとは思いますが、今回はちょっと趣向を変え、少し塩分も加えてごくごく飲めるスイカのジュースを作ってみました。

<スイカのスムージー>

材料(2人分)

・スイカ…1/8カット
・クランベリー…お好みの量
・ハーブ(今回はミントとタイムを使用)…適宜 ※飾りに使用
・豆乳…200ml(スイカの半分程度の量になるように)
・はちみつ…少々
・塩麹…少々

作りかた

スイカは皮部分を切り落としたら、飾り用に真ん中の甘い部分を切り分けておく。時間があれば、切り分けた部分を凍らせてスイカ氷にするのもおすすめ。その他の部分は小さくカットし、種を取り除く。

クランベリーがあれば一粒を4等分に切っておく。

ボウルに種をとったスイカ、豆乳、はちみつ、塩麹を入れる。ハンドブレンダーを使い、果肉感が残るよう軽く攪拌する。

グラスに入れ、取り分けておいたスイカ、クランベリー、ハーブを飾って完成!

うつわ紹介

切子の足つきグラス 丸ちらし

写真:奥山晴日

料理・執筆

だんだん店主・新田奈々

島根県生まれ。 調理師学校卒業後都内のレストランで働く。 両親が母の故郷である奈良へ移住することを決め、3人で出雲そばの店を開業する。  
野に咲く花を生けられるようになりたいと大和未生流のお稽古に通い、師範のお免状を頂く。 父の他界後、季節の花や食材を楽しみながら母と二人三脚でお店を守っている。
https://dandannara.com/

【あの人の贈りかた】使い方も、タイミングも。頼りになる懐の深さ(スタッフ横山)

贈りもの。どんな風に、何を選んでいますか?

誕生日や何かの記念に、またふとした時に気持ちを込めて。何かを贈りたいけれど、どんな視点で何を選ぶかは意外と迷うものです。

そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

今回は経営支援課・コンサルタントの横山がお届けします。

安心できて、手放せない肌ざわり「かや織ケット」

仕事の関係で出会う、おすすめしたい事業者さんやいいブランドがたくさんあります。また自分自身も、そういったブランドや商品を探したり、買ってみて使ったりするのが趣味になっていて、気がつくとスマホのメモにストックをすることがくせになりました。

いろんな産地で出会う、いい事業者さんのブランドや商品。もっと多くの人に知ってもらいたいので、贈りものができる機会はチャンス!とばかりに張り切ってしまいます。

(たまに空回りも…)

なので、贈りものをするときは相手のことを思いながらも、今までのストックから知ってほしい地域のいいものを、事業者やブランドの背景と一緒に伝えたいと考えています。「こんないいものを知ってほしい!使ってほしい!」、そんな想いで選んでいます。

中川政七商店の定番商品であるかや織ケットは、昨年子どもが生まれたのを機に購入。その使い心地の良さに惹かれ、贈りものでも定番になりました。

ふわふわの肌触りは、赤ちゃんの肌にも優しく、うちの子は気に入っていつも握っています。(ちなみに、このケットのかや織生地は、最初からふわっとしているのですが、使えば使うほどにさらにふわふわになっていきます!)

生まれたての頃はおくるみに、保育園に通い始めた今はお昼寝ケットとして。これがないと寝ないほどで、もう手放せません。このケットは丸めるとコンパクトになるので、いつものカバンに入れたり、旅行の際に持ち運んだりする際にかさばらないのも助かります。

手放せないほど気に入っているので、他の人にもこの心地よさを体験してほしい。そんな思いから、身近な人の出産の際には贈るようになりました。

ケットとしてはもちろん、吸水性もいいのでタオルとしても使えます。出産祝いなどで既にケットを贈られていたとしても、「タオルとしても使えますよ」と一言添えれば、贈る側も安心。贈る人も贈られる人も、様々な使い方で日常に寄り添ってくれる、そんな懐の深さも魅力です。

<贈りもの>
・中川政七商店「かや織ケット 鹿」

奈良の物語ごと味わう「ocasi シルクチーズケーキ」

食の贈りものとして定番にしているのが、中川政七商店がプロデュースする奈良の菓子店「ocasi」のシルクチーズケーキと大和橘ジャムのセットです。

チーズケーキは「シルク」という名前の通り、なめらかな舌触り。軽いのにコクはしっかりと感じられ、ほどよい酸味が後を引きます。そして、このセットの本当の魅力は「大和橘」のジャムです。

聞き慣れないかもしれませんが、大和橘は日本最古の柑橘と言われ、今ではあまり作られていない希少なもの。独特の酸味と苦味のバランスが絶妙で、どこか山椒を思わせるような、ほかにはない香りも特徴です。

この大和橘を育て、歴史を紐解き、広める活動をしている方々が奈良にいます。「なら橘プロジェクト」という取り組みです。

ただ美味しいだけでなく、大和橘と奈良のストーリーとともに味わってもらえる。今自分が奈良で働いていることもあり、この土地の魅力を一緒に伝えられるのが、私がこのセットを選ぶ理由です。

パッケージのデザインも上品で、贈った方からは「見た目も素敵」とよく喜んでもらえます。冷凍で届くので、遠方に住む友人や実家の家族へも、相手の都合のいいタイミングで解凍して味わってもらえるのも嬉しいポイントです。

<贈りもの>
・ocasi「シルクチーズケーキ ハーフサイズ・ 大和橘ジャム セット」

記憶に残る贈りものとして「谷町納豆」

仲のいい友人や、私と「好きなものの感覚が近い」と感じる人には、少し「個性的で心に残るもの」を贈りたい。そんな時に選ぶのが、今住んでいる近所で見つけた「谷町納豆」です。

この納豆、1,200円と納豆にしては少し高価な品。そのインパクトに加え、楽しみ方の幅が広いのが魅力です。個人的におすすめしたいのは、塩で食べる方法。特に岩塩がおすすめです。納豆の旨みが引き立ち、日本酒との相性も抜群なのです。

実はこの谷町納豆は、日本酒の種類が豊富で美味しい居酒屋さんが作り始めたもの(いまは納豆に集中するため休業中)。そう聞くと、その説得力も増します。タレがついていないのも珍しい点で、そのまま何もつけずに食べても、豆本来の旨みがダイレクトに感じられ、納豆の奥深さに気づかされます。

そして、この納豆の大きな魅力は、冷蔵庫で保管している間に発酵が進み、少しずつ味が変化していく点。

清潔な状態を保つため毎回新しいスプーンを使うなど注意は必要ですが、時間が経つほどに粘りや風味が強くなるのが、個人的にはたまりません。発酵が進んできたら鰹節と海苔と少しの醤油を混ぜて食べるのが、私の中での究極の楽しみ方です。

納豆好きの方への贈りものには「長熟納豆」もおすすめ。発酵が進んでいてくせがあるけれど、旨味が強くてとっても美味しいんです。

たまに限定のお豆を使った納豆も登場するのですが、それも買いに行けるこの近所の特権を活かして、たくさんの人に知ってほしいと思っています。

単なる納豆ではなく、五感で味わい、変化を楽しむ体験を贈れる。そんな「記憶に残る」贈りものをしたい時に、迷わず選ぶ一品です。

<贈りもの>
・らくだ坂納豆工房「谷町納豆」

※中川政七商店での販売はありません

贈りかたを紹介した人:

中川政七商店 経営支援課・コンサルタント 横山遼大朗

それぞれの関わり方で、しなやかに藍染めをつなぐ。藍産地 徳島のいとなみ【すすむ つなぐ ものづくり展】

私たちの暮らしを支えてきた、日本各地の様々なものづくり。

それらがさらに百年先も続いていくために、何を活かし、何を変化させていくべきなのか。ものづくりの軸にある「素材や技術」に改めて着目し、その可能性を探るため、中川政七商店がスタートさせた試みが「すすむ つなぐ ものづくり展」です。

今回のテーマは「藍」のものづくり。

植物を発酵させることでできる、生きた染料の藍。

日本には江戸時代に広まり庶民の暮らしに根付いて以降、めぐる季節と共に、そして人々のいとなみと共に藍のものづくりはありました。

土からはじまり、また土に戻る。

素朴な自然から生まれた色だからこそ、私たちは心惹かれるのかもしれません。

かつて「ジャパンブルー」と称されたほど各地で親しまれていた藍染めですが、今では暮らしの変化とともに伝統的な植物染料での染めは減りゆき、化学染料を用いた染めが主流となりました。

そんななかでも、過去から続く藍染めの技や産地の景色を未来へつなぐ作り手たちがいます。

挑戦を重ねて”すすむ”ものづくりの現場を取材し、百年先へ藍を”つなぐ”ためのヒントを伺いました。

“生き物”である藍と、人の支援とのつながり

今回訪れたのは、藍染めの染料である「スクモ」の産地として名高い徳島県。高品質な徳島産のスクモは「阿波藍(あわあい)」として全国に知られ、江戸時代以降、日本の藍染め文化を支えてきました。

徳島を東西に流れる吉野川。かつて、吉野川の氾濫が藍の栽培に適した土壌を生み出し、藍の産地として発展した

徳島では今なお、伝統を受け継ぐ藍師(スクモ作りをおこなう職人)や染師、新進気鋭の作り手、地元企業など、様々な人たちが藍に関わり、ものづくりを続けています。

そんな中、障がいのある方たちの「働きたい」という想いを支えながら、徳島ならではの藍を用いたものづくりに取り組んでいるのが、県内の就労支援施設などでつくる特定非営利活動法人「とくしま障がい者就労支援協議会」。

就労支援施設は、障がいのある方が支援を受けながら働く場所で、就労に必要な知識や技能向上のための訓練もおこなわれます。一般的な軽作業などに加えて、同協議会が力を入れているのが藍にまつわる業務や商品の製造です。藍染めや藍染め商品の製造をおこなういくつかの施設に話を聞きました。

指定障がい福祉サービス事業所「ひまわり園」。

「ここは、今は藍染めがメインの施設です。昔は委託の軽作業がほとんどでしたが、協議会が運営する研修会に参加したり、以前の職員から教わったり、文献を参考にしたりして、藍染めについて学びながらスタートしました」

そう話すのは、就労支援協議会に加盟する「ひまわり園」の園長 森洋志さん。委託される作業にはどうしても波があり、安定して施設の利用者の方に仕事をお願いできるように、藍染めによる自主商品の割合を増やしていったとのこと。

「ひまわり園」森洋志さん。「とにかくものづくりが大好き」と言い、その情熱を持って藍染めの商品作りをスタートした

協議会では徳島県からの事業委託を受け、こうした施設に藍染めの技術を学ぶ機会を提供したり、共同受注窓口として藍関連の仕事を受注したりといった活動をしています。

職業指導員の港祐樹さん。「利用者の方と一緒にものづくりができることは楽しい」と話す
藍甕に灰汁を足して染料のph値を調整する。藍の状態が悪く、思うように染められないときは、文献などにあたりながら試行錯誤し、何度も調整を繰り返す
県内の藍師から購入している「スクモ」。藍の葉を発酵させて作られる。近年は需要に対してスクモの生産量が追い付いておらず、藍染めにおける大きな課題のひとつになっている
スクモが納品される袋

「阿波藍というと、濃いブルーをイメージされる方が多いんですが、うちではそこにこだわらず、多様な色味を表現していきたいと考えています。色んな青が出せるんだよって言いたいんです。

藍は生き物だと言われますが、発酵して日々状態が変化する藍と向き合っていると、人の支援にもつながる部分があると感じます。さまざまな色、それぞれの良さを出していくということなのかなと」(森さん)

染めの作業を担当している利用者さん
それぞれの得意なことを活かしてものづくりを進めている
藍染めで表現できるさまざまな”青”

ひまわり園では、分業でおこなわれる藍染めを、個々の利用者さんの個性を活かしながら施設内で完結させられるようにと考えています。比較的、一人で集中して何かに取り組むことが得意な利用者さんが多く、染めの技術も習熟してきているとのことでした。

「青色って、副交感神経に作用してリラックスする色とも言われていて、それも皆が落ち着いて作業できている要因なのかなって思うこともあります。ここは海も近いし、空も、藍染めもあって、青色に囲まれている施設。やっぱり、心が落ち着きますね」(森さん)

福祉の枠を超えて、ブランド力をつける

同じく、協議会に加盟している「グッドジョブセンター(GJC)かのん」の髙橋早苗さんは、自分たちがやっていること、得意なことを発信するように心がけていると話します。

「グッドジョブセンター (GJC)かのん」髙橋早苗さん
「グッドジョブセンター(GJC)かのん」の染め場

同施設は、20年以上前から藍染めの仕事をおこなっている、県内の藍染めをおこなう施設の中では最古参のひとつ。

初期の頃は県内企業からの受託で染めの作業をおこなっており、そこから段々と自社商品を作ろうという機運が高まって、最近では利用者さんの絵を用いたオリジナル商品なども作成しています。

「うちにしかできないものづくりというか。そういったものを発信していって、それを見て『ぜひ作って欲しい』とリクエストをもらえれば対応して。小さい規模の中でうまく続けていければいいなと思っています」(髙橋さん)

利用者の方が描いたイラストから生まれた藍染めのハンカチ
藍染めの生地から部分的に色を落とす「抜染(ばっせん)」という技法で作られています
「グッドジョブセンター(GJC)かのん」の藍甕。こちらも、県内の藍師さんからスクモを購入している
イラストを描いてくれた利用者さん。とにかく猫が大好きで、猫を中心に自分が好きなものを描いているのだとか

「作品を発信して、人気が出て、作家として利用者さんが東京や色々な場所に呼ばれるようになって欲しい。そうすればインプットも増えて、またクリエイティブがどんどん広がっていく。そんな野望を抱いているんです」

と、髙橋さん。障がいの有無は関係なく、その人だからできるデザイン、表現に価値がある。その可能性が藍染めとともに広がる未来を創造するとわくわくしてきます。

協議会 事務局担当として各施設と連携する瀬部さんも、

「福祉の商品という枠を超えて、ブランド化していきたい」

と話します。

「とくしま障がい者就労支援協議会」 瀬部礼子さん

協議会ではそのために、販売会の企画や販売サイトの整備をおこなったり、商品の開発力やクオリティを上げていけるように専門家の指導を仰いだりと、さまざまな取り組みをおこなっているとのこと。

徳島の文化である藍の振興と絡めながら、各施設と協力し、利用者の方々の「働きたい」想いを支え、かつ工賃を向上させることを目指しています。

こちらも、藍染めの商品作りをおこなっている施設のひとつ「ゆいたび」
「ゆいたび」管理者の榎本真大さん。藍染めならではの、価値を感じて選んでもらえる商品作りが大切と話す
ミシンを使った作業ができることが「ゆいたび」の強みのひとつ

一から藍を育て、染めて、販売する。オンリーワンの教育

もうひとつ、藍をつなぐ人々の営みとして紹介したいのが、徳島県立城西高等学校の取り組み。

同校には藍の産地ならではの「阿波藍専攻(植物活用科)」が存在し、藍の栽培から染料(すくも)づくり、染色、そして完成品の販売までを実践しながら藍染めについて学び、広める活動を行っています。

徳島県立城西高等学校

「うちは農業高校なので、自分たちで藍を育てて、すくもを作るところからやっているのが大きな特徴です。100%城西高校産のすくもを使って、染め、加工、販売まで一貫しておこなっています」

城西高等学校で阿波藍を担当する岡本佳晃さんはそんな風に話します。

阿波藍担当 教諭の岡本佳晃さん

現在、城西高校では、水田だった場所を使用して、スクモ用に約6100株の藍を栽培中。乾燥した状態で400kgほどの収穫を目標としています。藍は肥料と水をたくさん必要とする作物のため、土壌のバランスを考えて輪作でやっていく予定とのこと。(毎年藍を植えるのではなく、別の作物と交互に栽培していく)

城西高校でスクモ用に育てている藍。藍染めに適している白花小上粉という品種。この他に、食用として別種の藍も栽培中

阿波藍担当として着任して4年目になる岡本さん。藍染めの経験がある実習助手の方がサポートでつくものの、まったくの門外漢からのスタートで、最初はとにかく見様見真似、必死に文献やインターネットを調べて指導していったと言います。

実習助手の東龍成さんと2人態勢で阿波藍専攻を受け持つ
実習室。「天然灰汁発酵建本藍染」の文字が掲げられている

著名な藍師である同校の卒業生から話を聞いたり、地域おこし協力隊とコラボしたりと、教育機関であることを活かして専門家たちの協力を得ながら、生徒たちとともに藍染めについて実践し、学んできました。

「阿波藍専攻ができて今が16年目くらいで、僕が担当して4年。まだまだ藍について理解できていない部分も多いですが、自分たちで作ることに重きを置いて、なんとかやってこれました。

藍染めという徳島の文化を学んで、継承する。ここだけのオンリーワンの教育になっているのかなと思います」

この日、授業を受けていたのは、阿波藍専攻の3年生たち。植物活用科として2年間を過ごし、専攻として「阿波藍」を選んだ理由を尋ねてみました。

「もともと農業には興味がありました。その中で特に藍が面白かったのが決め手です」

生徒の一人はそんな風に話し、

「染めている時がとにかく楽しくて、染め方・染める人によって世界に一つの柄になるところが、いいなって思います」

と、染めの楽しさについて強調。染めの楽しさを話してくれる生徒は他にも数名いて、自分の手を動かすこと自体の楽しさが、手仕事の大きな魅力のひとつだと再認識できました。

そのほかには、

「藍染めをやっている高校というのは知っていて、やってみたいと思って入学しました」

「入学前は藍染めのことはぜんぜん知らなくて。本当に気軽に、楽しそうだなと思って選びました」

「マルシェでの販売ができるので、人とのコミュニケーションをそこで学びたかった」

という声も。伝統文化だからと構え過ぎず、いい意味で肩の力を抜いて藍作りや販売を楽しんでいる様子がうかがえました。

卒業後の進路について聞いてみると、

「進学して藍をさらに学びたい」「理学療法士の専門学校へ」「歯科衛生士になることが夢なので、コミュニケーション能力をそこで活かしたい」

と、さまざまな答えが。

自分の進路や経験のためのひとつのツールとして、フラットに阿波藍専攻を選択している印象を受け、人それぞれ、多様な藍との関わり方があるんだなと、その柔軟さが頼もしくも感じられました。

生徒たちが染めた作品。さまざまなデザインが楽しい

藍作りや藍染めを専門とし、生業としている作り手たち。そうしたプロフェッショナルとは違った形で、就労支援施設や学校など、地域の中で藍のものづくりに携わっている人たちもいます。

それぞれのタイミングで藍や藍染めと出会い、それぞれの立場で学び、ものづくりを進める。そしてその活動がまた誰かの目にとまり、藍を知る人、関わる人が増えていく。

そんな、藍との関わり方の多様さ、しなやかさに、産地としての底力、藍のものづくりをつなぐヒントがあると感じました。

<関連する特集>

<徳島の人たちが染めた商品>
・藍染ハンカチ
・藍染守り
※藍染め守りには、城西高校の皆さんが収穫した藍の種が封入されています。

<取材協力>
特定非営利活動法人 とくしま障がい者就労支援協議会
徳島県立城西高等学校

文:白石雄太
写真:奥山晴日

変化することこそ、伝統を守ること。本藍染めを未来へつなぐ、奈良・INDIGO CLASSIC【すすむ つなぐ ものづくり展】

私たちの暮らしを支えてきた、日本各地の様々なものづくり。

それらがさらに百年先も続いていくために、何を活かし、何を変化させていくべきなのか。ものづくりの軸にある「素材や技術」に改めて着目し、その可能性を探るため、中川政七商店がスタートさせた試みが「すすむ つなぐ ものづくり展」です。

今回のテーマは「藍」のものづくり。

植物を発酵させることでできる、生きた染料の藍。
日本には江戸時代に広まり庶民の暮らしに根付いて以降、めぐる季節と共に、そして人々のいとなみと共に藍のものづくりはありました。

土からはじまり、また土に戻る。
素朴な自然から生まれた色だからこそ、私たちは心惹かれるのかもしれません。

かつて「ジャパンブルー」と称されたほど各地で親しまれていた藍染めですが、今では暮らしの変化とともに伝統的な植物染料での染めは減りゆき、化学染料を用いた染めが主流となりました。

そんななかでも、過去から続く藍染めの技や産地の景色を未来へつなぐ作り手たちがいます。
挑戦を重ねて”すすむ”ものづくりの現場を取材し、百年先へ藍を”つなぐ”ためのヒントを伺いました。

“伝統”を知らずに、染めの世界へ

強い陽ざしのもと、鮮やかな緑が一面に広がる藍畑。そこで一人もくもくと刈取機を動かすのが、今回「藍」のものづくりでご一緒した作り手のひとり・小田大空(おだ・おおぞら)さんです。

藍の葉を育て染料をつくる「藍師」、染めを行う「染師」と分業が一般的な藍染め業界で、小田さんが代表を務めるINDIGO CLASSICは、種をまき藍の葉を育てるところから染めまでを一貫して行う稀有なチーム。取材の日は藍の葉の収穫作業が行われていました。

藍染めの産地・徳島で修行をしたのち地元である奈良で事業を始めた小田さん。藍染めとの出会いは大学生の頃、たまたま母親に連れられて訪れた藍染め体験でした。けれどその時はまだ、藍染めの背景にある「工芸」や「伝統」についてはまったく知らなかったと笑います。

「僕、藍色ってずっとかっこいいものだと思ってたんですよ。色自体が好きというか。当時は伝統工芸とかそういう側面を知らなくて、単純にファッション的な要素の一部だと思ってたんです。デニムと藍の違いも理解をしてなかったし。アパレル的な視点から藍に注目しはじめて、そっからって感じですね」

はからずも藍染めに興味を持った小田さんでしたが、在学中の就職活動で藍の仕事を探すも見つからず、一度はアパレル企業へ就職。そこからも毎年求人を探し、ようやく3年目の春、徳島の地域おこし協力隊で藍染めの仕事を見つけます。

すぐに徳島へ仕事を移した小田さんは、そこではじめて「どうやら伝統工芸が背景にあること」「伝統的な植物染料での染めと、化学染料での染めがあること」を知りました。

「徳島では藍畑で藍を育てるところから染料をつくって染めるところまで経験したんですけど、『染めだけやれたら楽しい』みたいなモチベーションで協力隊に行ったんで、一年目とかは正直、畑仕事が全然楽しくなかったんですよ。

でも始まってちょっとしてから面白さに気づいてしまって。『これ、畑から染めをやらへんかったら自分でやる意味がないかも』みたいな考えになったんです。

きれいに染めようと思うとそもそも藍をうまく栽培しないといけないんですけど、自然のものなのでコントロールできない領域があまりにも大きいんです。ただ僕は、自然の影響が大きすぎるっていうのが逆にめっちゃ面白くて。『これは100点出すまでやめられへんな』って思いましたね」

産地ではない奈良で、本藍染めの工房を開く

そうして約2年半の修業を経て、地元・奈良で、種まきから染めまで一貫して行うINDIGO CLASSICを起業。

今では化学染料が多く用いられる藍染めですが、日本では長い歴史の間、植物がその原料として利用されていました。植物を染料にした伝統的な藍染めは「本藍染め(または正藍染め)」と呼ばれ、INDIGO CLASSICもこの本藍染めを手掛けています。

藍の葉を育て、

葉を発酵させて染料である蒅(すくも)をつくり、

そして染め上げる。

おおまかにお伝えすると藍染めにはこの3つのステップがありますが、冒頭でお伝えした通り藍染め界は分業制がスタンダード。すべての工程を一社で手掛けるINDIGO CLASSICのような作り手は珍しいとされています。

また産地としては歴史のない奈良に、その活動の拠点を持っているところも特筆すべき点のひとつ。日本で広く知られるのは徳島で、染料づくりも染めも、多くの作り手がここを拠点に取り組みます。そんななかなぜ、奈良に工房を開いたのでしょう。

「徳島には有名な作り手さんがたくさんいますからね。そこで勝負しても、僕がクライアントなら自分に頼まないと思ったんですよ。

でも奈良に開いたら関東とか関西からも工房を訪ねやすいし、他に同じようなとこもあんまりないし。地元に想いがあるとか、全然エモーショナルな理由じゃないんです(笑)。あくまでビジネス的な視点が大きいです」

成果が出るのは一年半後。腹をくくって楽しめるか

縮小傾向の藍染め業界ではありますが、決して新たな作り手の挑戦がないわけではありません。ではなぜ、作り手が一向に増えないのか。その大きな理由を小田さんは「独立直後だと作れる染料の量が少ない」ことと話します。

「作り手が増えないっていうより、うまくいかないっていう表現の方が合ってるかもしれない。染められる量って染料の量に比例するので、まずは染料を確保することがめっちゃ大事なんです。染料は買えもするけど、独立した直後ってお金がないので自分でつくるしかないじゃないですか。

でも収穫機がないと藍の葉の刈り取りがきついんですよね。とはいえ収穫機も結構な価格やから、だいたいは手刈りしか方法がなくなっちゃって、蒅をつくれる量が少なくなるんです。そうすると当然売上も上がらないから投資もできなくて、事業が大きくなっていかない。

あとは藍の種を3月にまいてから染料として使えるようになるまでって、1年半ぐらいの時間がかかるんですよ。独立してすぐは、次の蒅ができる1年半先まで染められる量の蒅を確保しておくか、生活費の確保のどっちかをしないといけなくて、その問題にもぶつかるんですよね」

当然、小田さんにも同じ壁が現れます。

地域おこし協力隊の仕事でつくる藍の葉や染料は、すべてその地域の持ち物となるため、普通に独立しては生活していける分の染めがすぐにはできない。その問題に当初から気付いていた小田さんは、徳島での修行時代から戦略的に「独立後の蒅をつくっておく」ことをはじめました。

所属していた地域の役場に「刈取機だけ無料で貸してほしい」と交渉し、協力隊の仕事後に自腹で借りた藍畑で藍の葉を育て、蒅をつくる。そうした戦略と努力があってこそ、独立後すぐに染めの仕事に取り組めたのです。

「とはいっても、独立してしばらくは新卒の時の給料にも至らないくらいの額しか稼げなかったんですけどね。でも少しずつ知っていただけるようになって、ようやく生活できるようにはなりました」

先ほどもお伝えしたように、種まきから染めまで一貫して行っているINDIGO CLASSIC。藍染め業界全体を見ても、同じような畑のキャパシティで藍を育て、染めまでを行う作り手は他にあまり例がありません。

「他にあまりないのがどうしてかって言われたら、なんか、腹のくくり方な気がします。藍って生き物なんで、365日、畑とか染料の調子を見る生活が続くんです。単純に大変すぎますよね(笑)。

土をつくるのも基本的には1年で成果が出るようなものじゃないし、蒅も3~4か月は我慢しないとできないし。大変な思いをして育てても、染めてみるとイマイチなことももちろんあります。その答えが種をまいてから1年半後にしか見えないけど、それを『難しいけど楽しい』って思えるかだと思います」

変化を続けることは、伝統を守ること

小田さんにお話を伺っていると、技法は「伝統」そのものながら、「伝統」への向き合い方はあくまで軽やか。「楽しいから自分はこの方法を選択している」という、無理に背負わないスタンスが印象的です。

「『この仕事を今後はどうしたいんですか』ってよく聞かれるんです。あわよくば自分が死ぬまで自分の好きなことで食っていきたいって気持ちはあるけど、その道中で必要とされなくなったら淘汰されても別にいいと思ってます。欲しいと思ってもらえないなら、それってしょうがないことというか。でも、諦めないっていう気持ちですね」

「僕らの仕事で大事なのって作り方とか染め方とかを、お客さんから求められるものにきちんとフィットさせにいくことだと思うんです。

徳島で習った藍染めの世界は、どっちかというと伝統とされるものを守るというか、自分たちがやってきたことを変えないってスタンスだったんですけど、時代に合わせて、お客さんの希望をどう叶えるか考えることを自分たちは大切にしていて。その方が喜んでいただけますよね。

そもそも、藍染めがはじまったときって伝統でも何でもないじゃないですか。昔の人たちが残してくれた理由ってたぶん、時代に沿って求められるものに合わせてきたからだと思うんですよ。

その続けてきたものを守るっていうんやったら、時代に合わせて変化していった方が、守ってきた思想みたいなものにはフィットしてるんじゃないかなって、僕は思うんです」

過去から続く製法を用いながらも、伝統にとらわれないことで伝統を守っていく。そうやって柔軟に受け入れ、つくる、覚悟と好奇心こそ藍を未来へ「つなぐ」ヒントなのかもしれません。

最後に小田さん、私たちが本藍染めを暮らしに取り入れるよさとは何なのでしょう。

「『本物に常に触れ続ける』っていう感覚を持ってもらえたら嬉しいなと思うんです。最初はわからなくても、そばに置くことでちょっとずつ審美眼が鍛えられることってあるじゃないですか。そうやって自分の感覚を磨いていくことで、美しいものを見る目があがる。

別に価格の高いものがいいものってわけではないんですよ。でも、『自分にとってはこれがいい・悪い』の判断が自分でつけられるようになるのは大事だなって。だから僕たちはちょっとだけ背伸びしたら買えるくらいの生活に近いものに挑戦して、できるだけたくさんの方にお届けできたらって思いますね」

歴史や背景ではなく、藍そのものの魅力にとりつかれたからこそ、とらわれずに、しなやかにその技を未来へつないでいく。

すすむ、つなぐものづくりとは何なのか。そのひとつの答えと、これからの工芸の姿がそこに見えました。

<関連する特集>

<INDIGO CLASSICさんが染めた商品>

藍染ギャザーキャミソール
藍染フラットバッグ
藍染タペストリー
藍鹿の一輪挿し飾り
SETOMANEKI earth 藍染 小

文:谷尻純子
写真:奥山晴日

ロングセラーの「花ふきん」。スタッフに愛用方法を聞いてみました

「台所に彩りを」。

そんな願いから生まれた中川政七商店の花ふきんが、今年で30周年を迎えました。

当社の商品のなかでも特に、スタッフに愛用者が多い花ふきん。「どんなふうに使ってる?」と聞けば熱い声がたくさん返ってきます。

ひとつの使い方だけにとどまらない愛用方法を、届いた声そのままにご案内します。

台所しごとの万能選手

「花ふきん」の名は、30年前に企画を手がけた担当者が「台所や食卓に置いた時に彩りを添えるようなものにしたい」と、花の色に見立てて染めたところから名付けられたもの。

台所の景色になじみながら、華やかさも添えてくれて使い勝手もバツグン。30年前も今も、台所しごとで大活躍の一枚です。

食器や道具を拭く

食器拭きとして、大きくて乾きやすく、本当に使いやすいです。一日一枚、使い終わったら琺瑯の桶に入れておいて、数枚まとめて煮沸して部屋干しで乾かします。夜遅い時間に干しても確実に翌朝には乾いていて、手軽にいつも清潔な状態のものを使えるのが気持ちいいです。親にプレゼントしたら、使いやすいからもう何枚か欲しいと言われました(笑)。(生産品質管理課/森下)

ひとつのボウルで次々と調理して行く際、さっと洗い、さっと拭けます。とにかく吸い取りがよいので、1〜2回拭けば次の調理に取りかかれます。他のふきんでは何度拭いても水滴が残ることが多く、最後にキッチンペーパーを使用していました。エコにも繋がっていて嬉しいです。(ルミネ横浜店/菊田)

実家暮らしの頃から食器拭き担当だった私は、三枚セットで数百円のふきんから、手ぬぐいや綿、リネン製のものなどありとあらゆる布を試しましたが、なかなかピンと来るものに出会えず、すぐにびちゃびちゃになるのがストレスでした。そんな時、中川政七商店の麻の花ふきんに出会いました。綿と麻のどちらも食器拭きとして使ってみたのですが、食器拭きには断然、麻!“シャリッ”とした質感で濡れても嫌な感じが一切ありません。さらに一度拭いたら次の食事の頃にはほぼ乾いている驚きの速乾性で、濡れふきんを見るたびにやる気を失うこともなくなりました。麻の花ふきんを使いはじめてから、面倒だった食器拭きも楽しくなり、「家事が楽しい」という豊かさを感じています。ひとり暮らしになった今でも、食器拭き専用として麻の花ふきんを愛用し続けているのは、その小さな喜びを手放したくないからです。(二子玉川ライズ店/林)

手を拭く

花ふきんのよさを特に感じたのはコロナ禍でした。消毒のしすぎで弱っていた手で触れたとき、タオルよりもさらにやさしい肌触りであることを改めて実感し、心地よい肌触りに気持ちも軽くなりました。それから我が家では手を拭くタオルの代わりとして、花ふきんを愛用しています。(ルミネ池袋店/井上)

食器を乾かす

手洗いした食器は水切りかごに置いているのですが、「乾いたかな」と思ってもうつわの高台がまだ濡れていたりすることも。「もう少し乾かしておきたいけれど、追加の食器も洗ってしまいたい」。そんな食器乾燥場所の二軍目として、竹かごに花ふきんを敷いて乾燥させてます。(小売課/福井)

鍋をつかむ、鍋に敷く

アルミ鍋のような熱伝導がよい道具は火にかけるとフタや取っ手が熱くなるので、花ふきんでつかんでいます。以前は鍋つかみも利用していましたが、常にすぐ手に届くところに置いている花ふきんを使うことが結局多く、今では花ふきん一択です。鍋つかみや鍋敷きを置くスペースも不要になり、狭いキッチンを有効に使えています。薄手のため持つときに熱くないか不安になる方もいるかもしれませんが、重ねて折って使うと厚みも出るので意外と大丈夫です。(西宮ガーデンズ店/松田)

鉄瓶や土鍋の鍋つかみとして使用しています。鉄瓶は蓋も持ち手も熱くなりますし、蓋をずらして湯を沸かすので熱い蒸気も上がります。花ふきんだと熱くなった蓋を押さえながら、持ち手にも巻きつけて湯を注ぐことができ、熱くなった蓋を机に置く時にもかまして置けて安心です。蓋についた水滴も花ふきんがしっかり吸ってくれます。ついでに注ぎ口や蓋周りの水分を拭えば、錆びにくいようケアもできます。大きい土鍋のときは両手で包み込むように花ふきんをかまして移動させています。(渋谷店/辻川)

お弁当箱を包む

中川政七商店の「ごはん粒のつきにくい一膳曲げわっぱ」をお弁当箱として愛用中。家に帰ってからが楽なように、食べ終わったらすぐに洗うようにしています。そのとき包んでいた花ふきんで水分をすぐに拭い、そのまま包んで持ち帰ります。ふわふわと肌触りがよく乾きが速いので、水を拭ってもべたつきが気にならず持ち帰れます。(渋谷店/辻川)

毎日作るお弁当を、猫村さんの花ふきんとトトロの花ふきん、どちらかで包み出勤しています。大判なのでお弁当箱と果物を一緒に持っていくときなど、かさばるときも安心して包めます。お昼ごはんの時間、包みを広げているときもかわいいデザインが心を和ませてくれます。また、使って洗った時も乾きが早くて助かります。(神戸大丸店/中西)

食材の調理にも

薄手で大判、乾きやすいという特徴は、調理の最中にも大活躍。「〇〇用」と色を変えながら、使い分けるのもおすすめです。

野菜の水を切る

この使い方をするのは大葉!昔からどうやって水気を切るのがベストか疑問に思っており、以前はキッチンペーパーを使用していました。ただ、どうしてもゴミが出てしまうのが気になって‥‥。そんな時に、野菜の水切りに花ふきんが使えることを知り、試してみると、さっと水気がとれてゴミも出ない!と嬉しかったことを覚えています。それ以来、大葉料理には必ず活躍してます。(浜松メイワン店/田代)

じゃがいもなどの根菜の水切りに。土を落とすために水に通した後、花ふきんで拭っています。皮付きのまま食べられて便利です。(コミュニケーションデザイン室/寄田)

ペーパータオル代りとして、洗った後の野菜や果物の水気をとるのに使っています。色は、野菜の色がついても漂白できる白を選択。ペーパータオルを切る手間がないのと、ペーパータオルを何枚も使うよりも、破れずしっかり水気をとってくれます。レタスなど大きな野菜も一枚で足りるところが便利です。(分店土産 奈良三条店/森本)

野菜の皮をむく

レンチンしたじゃがいもの皮を優しくなでると、つるんとむけます。(小売課/佐々木)

食材を寝かせる

パン生地を寝かせるときの濡れふきんや、生春巻きを作るときの濡れふきんとして愛用。薄手で大判、丈夫なので重宝してます。(小売課/福井)

中川政七商店で働く以前から、自宅でパンを焼くときや発酵させるときに花ふきんを使用しています。(アトレ浦和店/荘司)

せいろに敷く

目の粗いかや織り生地は蒸気をほどほどに逃がしてくれるので、せいろに敷いて使っています。油の多いお肉やお魚の油がせいろにつかないので、お手入れのハードルをぐっと下げてくれています。使い終わった後は、ふきん専用のせっけんで洗えば清潔に使えます。(大日本市課/藤田)

お出かけ時にも活躍

ご家庭での使用はもちろん、お客様からはハンカチのように使っているという声も多く頂きます。そう見立ててみればさらに用途は多様に。スタッフの一例を見てみましょう。

バッグに巻く

キャラクターの花ふきんや毎年発売される干支の花ふきんなど、柄付きの花ふきんをカバンやスーツケースの手すりに巻いて目印代わりに使っています。他にはない個性的な柄なので一目で自分のカバンだとわかるのと、長時間持っていても手が疲れにくく汗でかぶれたりすることが減りました。(新潟ビルボードプレイス店/齋藤)

お出かけ道具を包む

外で過ごしやすい季節にピクニックやおやつタイムをするのが好き。普段は室内で使っている茶碗や道具を、まるっと花ふきんにくるんで野点に出かけます。包みやすいし濡れても吸ってくれるし、包み兼ふきん兼敷き布として気兼ねなく使えてよいのです。(商品部/奈部)

子どもの手口を拭く

子どもとの外出時によだれ拭きとして持って行っています。おやつを食べるときにエプロンとして首の後ろで巻けば、服も汚れません。(奈良本店/木村)

以前は卓上ウエットティッシュを子どもの手口拭きに使っていましたが、三歳の子どもはまだまだ食べこぼしや口周りの汚れが多く、すぐに消費してしまってエコではないなと思い、猫村さんのふきんを使うことにしました。ふんわり柔らかいので手口をしっかり拭いても肌当たりがよく、子どもも「ねこちゃんのタオル!」と気に入っています。汚れてもすぐに水洗いすればまた使えるのでとても便利です。(マークイズみなとみらい店/玉澤)

最後まで使える、暮らしの道具

たくさん使ってくたびれてきた花ふきん。そこで捨てるのはもったいない、実はもうひと仕事ができるのです。最後まで使いきれる気持ちのよさと、掃除道具としての便利さが、結局、何よりの愛用の理由かもしれません。

掃除する

「The Magic Water」と合わせて、キッチンからレンジ、コンロの掃除に主に使います。使い古したものは雑巾としてベランダや自転車の掃除に活用したり、床拭きに使ったりしています。(経営企画室/中田)

ふきんとしてもお弁当包みとしても使っていますが、正直、一番重宝してるのは掃除の時。薄いから細かい部分や角も拭き取りやすいんです。雑巾やタオルは分厚いので角が拭き取りづらいのですが、花ふきんは角もしっかり拭き取ってくれます。拭き掃除が嫌いだったのですが、花ふきんに変えてからはわりと楽しくできるようになりました。道具次第で家事のやりたくなさが軽減するのを実感しました。(商品部/上田)

使いすぎて役目を果たした花ふきんは雑巾として使用。個人的には最強の雑巾だと思います。掃除はもちろん、趣味で飼っているメダカの水換え時に部屋が汚れないよう、花ふきんを床などに敷いたりもしています。普通のタオルを雑巾として使うと、使うごとに嫌なにおいが染みついてしまい、すぐに捨てることが多かったのですが、花ふきんだと洗いやすく嫌なにおいが付きにくいので、その点でも最強の雑巾と感じます。雑巾にしたらいい!ではなく、本当の最後まで使いきれる、という意味です。(EC課/森田)


お届けしたのはスタッフから届いたほんの一部の使用例。

ご紹介したものに限らず、アイデア次第で幅広く使っていただけます。これからも皆さまの暮らしを心地好く、便利にする道具として、新しい用途との出会いがあれば嬉しく思います。

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長く使うことは、長くつくること。花ふきんは、無理のないものづくりが生んだロングライフデザイン

【四季折々の麻】7月:風が通り抜けて涼しく着られる「麻のかや織」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2024年8月1日公開の記事を再編集して掲載しました。

風が通り抜けて涼しく着られる「麻のかや織」

7月は「涼月」。ふと入った木陰を通り抜ける夏風に、涼しさを感じる月。暑さがピークに向かうなかでも心地よく過ごせるようにと、風を感じられる麻の服をつくりました。

ラインアップは「ブラウス」と「ギャザースカート」、「羽織ワンピース」の3アイテム。風が抜けて涼しく着られるよう、目の粗いかや織の生地を採用して仕上げています。

いずれの服も、縫製後には洗い加工をかけてふんわりとした風合いに。かや織の透け感、風に揺れる様子を愉しんでいただける夏の服です。

【7月】麻のかや織シリーズ:

麻のかや織 ブラウス    
麻のかや織 ギャザースカート
麻のかや織 羽織ワンピース   

今月の「麻」生地

かや織は「風は通すが蚊は通さない」と重宝されてきた蚊帳(かや)に使われる、目の粗い薄織物。中川政七商店の代名詞といえる「ふきん」にも使っている布地です。

今月の麻生地ではその通気性のよさを活かしつつ、強度・透け感など洋服に適した密度になるよう織り上げました。

目の粗い生地は縫っているときに歪みやすく、実はかや織は、縫製に高い技術を要する織物。加えて繊細な生地でつくる洋服のため、縫製の仕様にも注意が必要です。今回は作り手さんにご協力いただき、縫い合わせに力がかからないデザインや、力がかかった際も生地を傷めにくい縫製仕様など、手間のかかる方法を選択することで完成しました。

素材は麻のなかでもリネンを採用。ラミーやヘンプなど麻にも様々な種類とそれに応じた特徴があるなかで、リネンは洋服によく使われるさらりとした風合いのよい素材です。

今回は糸の状態で染めた「先染め」のリネン糸を用いて、やわらかな複雑さを持つ表情の生地を織りあげました。一見すると一色に染めたように見えますが、実はタテ糸とヨコ糸の色を微妙に変えており、色に奥行きを持たせています。

先染めは生地の状態で染めたものに比べて色落ちしにくいのもポイントで、汗をかいて洗濯が増える夏の衣類にうれしい生地です。

さらには薄地で織り目の粗い生地のため、洗濯後の乾きが早い点も魅力の一つ。麻素材を使っているためさらに乾きが早く、洗うほどにやわらかくなっていきます。

お手入れのポイント

お洋服を長くご愛用いただけるよう、基本的には手洗いをおすすめしています。目の粗い生地のため、ひっかけには要注意。脱水時はネットに入れるようお願いします。

干し方はお好みで。形を整えて乾かせば自然なシワ感になりますし、さらにシワ感を楽しみたい方は、手で絞ってシワをつけて干してみてもよいでしょう。シワ感がお好みでない方は、乾いてからアイロンをかければ上品でなめらかな印象となります。

ふんわり、肌離れよく着られる夏の服

ゆったりとしたシルエットにデザインしているため、肌離れがよく、とにかく涼しい今月の麻の服。色展開は定番色として毎年人気の「紺」と、爽やかな印象を引き立ててくれる「水色」、また装いに華やかさを添える「薄紫」の三色をご用意しました。

「ブラウス」はすとんとしたシルエットで、とにかく涼しいイチ押しアイテム。すっきりと着られる丈感で、パンツにもスカートにも合わせやすいように作っています。同じシリーズのブラウスとギャザースカートを上下で合わせ、セットアップにするのもおすすめです。

「ギャザースカート」は、足首が見えるぐらいの丈感で、足さばきよく履いていただけます。表地に透け感があり涼し気ですが、裏地がついているのでインナーは透けません。ウエストはゴム仕様のため楽な履き心地で、裾広がりのシルエットで体型も選ばずきれいに着用いただけます。

「羽織ワンピース」は前を開けても閉じても着られます。ボタンを開けて着れば、ロングカーディガンのような装いに。Tシャツとパンツ、といったラフな格好にも羽織るだけで、よそ行き感が増すアイテムです。

ふんわりしていてシワ感も気になりにくいため、クシュッとまとめてカバンにポンと入れ、ぜひ旅行にもお持ちください。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

特集サイト:中川政七商店の麻

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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