【四季折々の麻】7月:風が通り抜けて涼しく着られる「麻のかや織」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2024年8月1日公開の記事を再編集して掲載しました。

風が通り抜けて涼しく着られる「麻のかや織」

7月は「涼月」。ふと入った木陰を通り抜ける夏風に、涼しさを感じる月。暑さがピークに向かうなかでも心地よく過ごせるようにと、風を感じられる麻の服をつくりました。

ラインアップは「ブラウス」と「ギャザースカート」、「羽織ワンピース」の3アイテム。風が抜けて涼しく着られるよう、目の粗いかや織の生地を採用して仕上げています。

いずれの服も、縫製後には洗い加工をかけてふんわりとした風合いに。かや織の透け感、風に揺れる様子を愉しんでいただける夏の服です。

【7月】麻のかや織シリーズ:

・麻のかや織 ブラウス    
・麻のかや織 ギャザースカート
・麻のかや織 羽織ワンピース   

今月の「麻」生地

かや織は「風は通すが蚊は通さない」と重宝されてきた蚊帳(かや)に使われる、目の粗い薄織物。中川政七商店の代名詞といえる「ふきん」にも使っている布地です。

今月の麻生地ではその通気性のよさを活かしつつ、強度・透け感など洋服に適した密度になるよう織り上げました。

目の粗い生地は縫っているときに歪みやすく、実はかや織は、縫製に高い技術を要する織物。加えて繊細な生地でつくる洋服のため、縫製の仕様にも注意が必要です。今回は作り手さんにご協力いただき、縫い合わせに力がかからないデザインや、力がかかった際も生地を傷めにくい縫製仕様など、手間のかかる方法を選択することで完成しました。

素材は麻のなかでもリネンを採用。ラミーやヘンプなど麻にも様々な種類とそれに応じた特徴があるなかで、リネンは洋服によく使われるさらりとした風合いのよい素材です。

今回は糸の状態で染めた「先染め」のリネン糸を用いて、やわらかな複雑さを持つ表情の生地を織りあげました。一見すると一色に染めたように見えますが、実はタテ糸とヨコ糸の色を微妙に変えており、色に奥行きを持たせています。

先染めは生地の状態で染めたものに比べて色落ちしにくいのもポイントで、汗をかいて洗濯が増える夏の衣類にうれしい生地です。

さらには薄地で織り目の粗い生地のため、洗濯後の乾きが早い点も魅力の一つ。麻素材を使っているためさらに乾きが早く、洗うほどにやわらかくなっていきます。

お手入れのポイント

お洋服を長くご愛用いただけるよう、基本的には手洗いをおすすめしています。目の粗い生地のため、ひっかけには要注意。脱水時はネットに入れるようお願いします。

干し方はお好みで。形を整えて乾かせば自然なシワ感になりますし、さらにシワ感を楽しみたい方は、手で絞ってシワをつけて干してみてもよいでしょう。シワ感がお好みでない方は、乾いてからアイロンをかければ上品でなめらかな印象となります。

ふんわり、肌離れよく着られる夏の服

ゆったりとしたシルエットにデザインしているため、肌離れがよく、とにかく涼しい今月の麻の服。色展開は定番色として毎年人気の「紺」と、爽やかな印象を引き立ててくれる「水色」、また装いに華やかさを添える「薄紫」の三色をご用意しました。

「ブラウス」はすとんとしたシルエットで、とにかく涼しいイチ押しアイテム。すっきりと着られる丈感で、パンツにもスカートにも合わせやすいように作っています。同じシリーズのブラウスとギャザースカートを上下で合わせ、セットアップにするのもおすすめです。

「ギャザースカート」は、足首が見えるぐらいの丈感で、足さばきよく履いていただけます。表地に透け感があり涼し気ですが、裏地がついているのでインナーは透けません。ウエストはゴム仕様のため楽な履き心地で、裾広がりのシルエットで体型も選ばずきれいに着用いただけます。

「羽織ワンピース」は前を開けても閉じても着られます。ボタンを開けて着れば、ロングカーディガンのような装いに。Tシャツとパンツ、といったラフな格好にも羽織るだけで、よそ行き感が増すアイテムです。

ふんわりしていてシワ感も気になりにくいため、クシュッとまとめてカバンにポンと入れ、ぜひ旅行にもお持ちください。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

特集サイト:中川政七商店の麻

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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