【四季折々の麻】3月:細かな畝の凹凸感でさらりとした肌心地「綿麻の畝織」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

細かな畝の凹凸感でさらりとした肌心地「綿麻の畝織」

3月は「春分」。おだやかな陽が心地好く、草木の息吹を感じる時季となりました。景色も色づきはじめ、新たな出会いや暮らしに新鮮な気持ちになれる月でもありますね。そんな、新生活がはじまる春から着たい麻の服を今月は仕立てました。

生地に用いたのは、ラミーと綿を使った織物。綿のやわらかさのなかにラミーの爽やかさを織り込むことで、春から夏まで気持ちよく着られる生地感にしています。

ラインアップは「シャツブラウス」と「スカート」の2種類。はじめてお会いする人も増える月にも心強いよう、カジュアルすぎない印象のお洋服に仕上げました。

【3月】綿麻の畝織シリーズ

綿麻の畝織 シャツブラウス
綿麻の畝織 スカート

今月の麻生地

今回使用した麻はラミー。シャリ感がある麻で春夏にぴったりの素材ですが、ラミー100%にするとシャリ感が強く夏の印象が前に出るため、綿と合わせて今の時期にちょうどよく着られる生地感にしています。

綿の糸の間に一定の間隔で少し太めのラミーの糸を織り込み、細い畝を出したのもこだわった点。高密度に織っているためハリのある生地感ですが、細かな畝の凹凸感があることで、肌との間に空間ができてさらりと着られます。

織りを手掛けていただいたのは遠州の作り手さん。麻生地屋さんに見せていただいた、30年近く前に織られた生地見本がとても素敵で、再現したいと思い今回の生地に至りました。

お洗濯するにつれハリ感が程よくなじみ、ご自身だけの生地として育てていくのもお楽しみいただけます。

お手入れのポイント

ご自宅でお洗濯していただける商品ですが、素材の特性上はじめのお洗濯では多少縮むため、干す際はシワを伸ばし形を整えて干してください。

生地感を長く保つため、アイロンの際はあて布をご利用くださいね。

すっきり、きちんとした印象で着られる2アイテム

ご用意したのは「シャツブラウス」と「スカート」の2アイテム。生地にハリ感があるため、体の線をひろわずにすっきりと着ていただけます。

定番の「白」、キリリときられる「紺」と、今回は何といっても、この季節にぴったりな「灰桜」の3色をラインアップ。春気分をたっぷりと味わっていただければと思います。

「シャツブラウス」は比翼仕立てで、ボタンが見えないすっきりした形。織りのデティールがポイントの生地なので、生地感を見せられるようにボタンが見えないデザインにこだわりました。羽織って着ていただいた際も、見た目の要素が多くないためすっきりとした印象になります。

丈は短めで、後ろにかけて緩やかに長くなっているシルエット。パンツでもスカートでもバランスよく合わせていただけます。

身幅もゆったりしていてしっかりした生地感なので、まだ肌寒い時期には薄手のインナーを合わせ、前を開けて軽いジャケットのようにも着られます。

「スカート」はストレートの形で、後ろには深めにスリットを入れたデザインに。ハリのある生地感に合うよう、ギャザーたっぷりのスカートではなく、すっきりとした印象に仕上げました。ウエストはゴムで楽ちんにしつつ、もたつかず紐で調整もしていただける仕様にしています。

同シリーズのシャツと合わせてきれいめにも着ていただけますし、シンプルでコンパクトなTシャツとスニーカーを合わせ、カジュアルに着るのもおすすめです。ゆとりも程よくあるため、寒い時期はタイツやスパッツなどを合わせても着ぶくれしません。

なお白色には裏地が付いており、透け感を気にせず一枚で履いていただけます。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちのよさがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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【季節をしつらう暮らし】#2 端午の節句

花やテキスタイル、年中行事にちなんだお飾り。

暮らしのなかに季節を感じる景色があるだけで、毎日にリズムが生まれ、目にしたときに少し幸せな気持ちになる気がします。

そんな景色の参考になればと、スタッフやお客さまのもとにお邪魔して、中川政七商店の季節のお飾りをインテリアに取り入れていただきました。今回は「端午」をテーマに、スタッフ・平井の自宅を訪れます。

息子の成長とともに、端午の節句飾りも変化

平井:

やっぱり息子が小さい頃は、本格的な兜飾りを出していました。
でも成長するにつれて、昔みたいに兜を出しても息子もそんなに喜ばなくなって。何より家具も息子の成長とともにコンパクトに変わっていって、本格的な節句飾りを飾れるような場所がなくなってしまいました。

でも、端午の節句に何もしないのは気持ち悪くて、逆にもうできないんですよ。
だから最近は、節句飾りというより季節のしつらいとして気軽に飾れるものを取り入れています。

「有田焼の武者飾り」はそういう意味で、ちょうどいいんです。
華美ではなく、サイズ感もコンパクト。部屋の空間に馴染んでくれます。
年々出し入れが手間じゃないものがいいなと思うようになって、そういう意味でも負担がないですね。

宙に吊られているのは、「鯉のぼりの吊り飾り」。ここは元々天井にフックがあって、夏と冬と端午にモビールを入れ替えているんです。
モビールはゆらゆら揺れるのが心地好くて、好きなんですよね。しまう場所もとらないし、手軽に入れ替えられます。

玄関は、植物やスワッグの他、夏には蚊遣り豚を置いたり、正月には干支飾りを置いたり。わりと季節ごとに入れ替えています。

「鯉のぼりの木地玩具」は郷土玩具ならではの大らかな絵付けが可愛い。
隣に飾っている人形も郷土玩具なので、相性いいですね。この人形は、昔スタッフにもらったんです。うちの息子に似てるからって(笑)。

デザイナーから、男の子の成長を願って作られる九州の郷土玩具「きじ馬」をベースに、鯉のぼりの形にアレンジしたと聞いているので、意味的にもいいなと思っています。

息子ももう20歳を超えて大きくなったものの、親の気持ちとしては何歳になっても「健やかでいますように」と願ってやみません。

これから先も端午の節句には、何かしら飾っていくんだろうなと思っています。

しつらえた、お飾り
有田焼の武者飾り
鯉のぼり吊り飾り
鯉のぼりの木地玩具

今回の取材先:

中川政七商店 EC課 平井孝子

オンラインショップの企画制作を担当。
少し無骨でさっぱりした印象のインテリアに、植物や民藝品など、季節や土地のものを取り入れながら暮らしを愉しんでいる。