創業150年の鍛冶屋が叩き、作る。豊かな表情と強さを宿した「鉄鍋」

家族の団らんやハレの日のごちそうに、すき焼き鍋を囲む。

そんな時、牛肉を香ばしく焼き上げ、料理の味わいをぐっと引き立ててくれるのが鉄鍋です。その魅力を、すき焼きだけでなく日々の焼き料理でも楽しみたい。日常で気軽に使えるように、軽くて扱いやすい鉄鍋が欲しい。

そう考えて作ったのが、調理後そのまま卓上に運び、熱々を最後までお楽しみいただける「鍛冶屋の鉄鍋」です。

ものづくりの現場は、名前にあるとおり鍛冶屋さん。今の時代に至るまで技を受け継いできた鍛冶屋で鉄鍋がどのように作られていくのか、工場へおじゃまして見せていただきました。

要望に応えて何でも作る「野鍛冶」からスタート

訪れたのは、「金物の町」として知られる、新潟県三条市。和釘や刃物、作業道具などの金属製品を作る鍛冶職人が多く活躍してきた歴史があり、隣の燕市とともに、世界に誇るものづくりの町としても広く知られています。

この地で農具や鍋・包丁などの製造、修理を請け負う「野鍛冶(のかじ)」としてスタートし、150年以上にわたって技術を受け継いできたのが「近藤製作所」です。

新潟県三条市にある近藤製作所。立派な梁に歴史の息吹を感じる工場の建物は、建て替えとなった中学校の木造校舎を移築したもの

「三条は川が多く流れていて、畑もたくさんあった。野鍛冶として何でも作っている中でも、畑で使う鍬(くわ)の需要が特に高くて、うちは次第に鍬を専門に作るようになったと聞いています」

そう話すのは、近藤製作所の六代目である近藤孝彦さん。

昔から鍬などの道具は、手入れや修理をして永く使い続けるものでした。しかし時代の流れとともに各地の鍛冶屋が減っていき、今では、鍬の修理や製作を行うところは希少な存在に。そのため、鍬専門の鍛冶屋である近藤製作所には全国からさまざまな注文が寄せられるようになります。そんなお客さまの要望に応える形で、技術を磨き、繋いできました。

近藤製作所六代目の近藤孝彦さん。「うちが鍛冶屋をしていたとはっきり分かるのが六代前までで、それ以前にもやっていた可能性はあります」とのこと

「跡取りがいなくて廃業する同業者も多いですし、農機具の機械化や小型化がどんどん進むのを目の当たりにして、このままじゃまずいと思いました」

鍛冶屋の数も注文数もどんどん減少する中で、近藤さんは、「鍛冶屋だからこそできることがある」と、これまで以上に一人ひとりへ寄り添ったものづくりを考えるようになりました。

「使う人の要望に対して、細かに対応することができるのは強みだなと。今こそ野鍛冶としての原点回帰の時だと考えたんです」

そこで2024年、屋号から名付けた自社ブランド「野鍛冶やまご」を立ち上げました。その第一弾の製品はフライパン。日常でよく使う主婦の声を聞き、細部にわたる使い勝手の好さで根強いファンを獲得しています。

何より魅力的なのは、一つひとつ手作業で鉄を叩き鍛造して作ることで、世界にひとつの表情を持つ個性があること。しかも使いながらじんわりと、その人なりの風合いを育てていくことができます。使うほどに愛着がわき、永く使いたくなる。そんな愉しみが鍛冶屋の鉄道具には潜んでいます。

鍛冶職人の技を活かす、プレスと手打ちのハイブリッド製法

鉄製だけど軽くて扱いやすいすき焼き鍋を作りたい。そこに鍬づくりで磨かれてきた鍛造の技術を活かせば、工芸の空気をまとった、永く愛用できる装いになるはず。そんな期待は、実際の製品となって姿を現しました。

野鍛冶の職人が手打ちした不均一な風合いは、そのまま食卓に出してもサマになる佇まいに。いつものハンバーグやナポリタンなども、じゅうじゅうと音を立てる熱々のごちそうへと早変わりします。鍋としてはもちろん、フライパンとしても使える万能選手。永く愛用しない手はありません。

「今回は生産効率などを考えて、プレスと手打ちのハイブリッドに初めて挑戦しました」

プレスの機械

プレスで大まかな形を作った後に、手打ちで叩いて仕上げる合わせ技。手打ちならではの表情や細かい部分の微調整を活かしたまま、生産性を高めることができるハイブリッド製法で、この鉄鍋は作られています。

まず、一枚の丸い鉄の板を熱するところからスタート。600〜700度の高温で赤くなるまで熱し、ちょうどよい色合いになるのを見計らって、プレスをかけていきます。

丸くて薄い鉄板から、丈夫な鉄鍋が作られる
プレスした瞬間、鉄を熱した際にできる酸化皮膜がガラスの破片のように飛び散る
「プレスする金型作りに一番時間がかかりました」と近藤さん。型屋さんとともに試行錯誤を幾度も重ねたそう

火加減で決まる、鉄の表情

プレスした後、火力が安定して熱しやすいコークス(石炭由来の固形燃料)で再び加熱。

「求められた風合いを出すために、火加減の影響もあることに辿り着きました」

火入れの際の火加減が、仕上がりの表情を左右する

熱された鉄を叩くことで生まれる、独特の風合い。素材の個性や職人の叩き方、さまざまな要素によって表情が変化する中で、火入れの温度まで細かく試行錯誤を繰り返し、理想の仕上がりを追求しました。

だんだんと赤く発色していく色味で温度を見極め、冷める前に木槌で何度も叩く。そして次の箇所を熱してまた叩く。その作業を繰り返しながら、全体を鍛えて表情を出すとともに、鍋の形を整えていきます。

赤く熱した部分を木槌で叩くことで密度が増して強度が上がる。油のノリも良くなるそう
外側を叩き終えると、今度は内側からも

「鍛造をし始めた頃は力加減が分からなくて。腕の力に頼って思いっきり叩いていたら、めちゃくちゃ痛くなったんです(笑)」

熱さに負けず、鉄の硬さや温度を感覚で捉え、打ち続ける。そのためには手首のスナップを使った無駄な力を入れないフォームで、正確に、かつ力強く叩く必要があります。

硬い樫の木を使った木槌。変形具合が、熱と衝撃の強さを感じさせる

赤くなった鉄をカーンカーンと叩いて鍛えるたび、煌めきながら四方八方へと尾を引いて飛び散る無数の赤い火の粉。その光景は衝撃の強さを物語るとともに、鍛造の現場の緊張感と熱気を伝えてくれます。

無骨さの中にある、繊細な仕事

この鉄鍋には、他にも多くの鍛冶屋の技術が注がれています。無骨でワイルドなかっこよさに加えて独自の表情をさらに引き出すため、鍋の口を微妙に削り、硬質な鉄に薄さでニュアンスを加えたデザインにしています。この部分はグラインダーで削るのですが、繊細な作業で、匠の技が光るところ。

エッジをきかせるかのような鍋の口。立ち上がりの角度にもこだわってデザインをしている

両側に付けた持ち手は、細い鉄の棒をグラインダーで山なりに丸く削り、プレス機で成型をしてから溶接でしっかりと接合。再び滑らかになるようグラインダーで削り、最終形へと仕上げます。

手ざわりがよくなるまで、砥石を変えながら研磨を繰り返す
角張った細い鉄の棒から作られる取っ手。丸みのあるやさしい仕上がりに
角度を埋めるように溶接棒を中に溶かし込みながら、慎重に、持ち手を真っ直ぐ付ける

グラインダーをかけると断面にバリのような粗いエッジが残るため、「砥石の粗さを変えて、3種類のグラインダーできれいにしていきます」とのこと。

使う人を思い、細部にわたって丁寧で細やかな作業を進めていく。無機質な鉄鍋に風合いだけでなく、温かなやさしさがにじみます。 さらに、ブラストという微粒子の砂を吹き付けて汚れや皮膜を除去。この時細かく入る傷は、最終工程となるシーズニング作業で油がなじみやすくなる効果もあるそうです。

シーズニングのために鍋を軽く温め、油をしみ込ませたクロスで拭くと、赤やオレンジ、青みがかった黒、白っぽい色と次々に変化をしていた色が、すっと漆黒のような深みのある黒色に変わり、重厚な風格を見せはじめます。

再び軽く熱した鉄鍋に油をなじませて、完成
ぐっと深い黒色に仕上がった鉄鍋

見た目の印象よりも軽いことも、この鉄鍋の特徴。薄手の鉄板を叩き、強くして作ることでできる限りの軽さを実現しました。持ち手部分を壁などに掛けて片付けることもできます。

「鉄鍋は扱いが難しいと思われている方も多いようですが、使う前にしっかり熱して油を敷き、一度冷ますと油が定着するので、その後再び温めて使うと焦げ付きにくくなります。使った後もお湯とタワシでさっと洗えるので、お手入れもラク。この鉄鍋で、多くの人に鉄の魅力に気づいてもらえるとうれしいですね」

「現代の野鍛冶」としての可能性

鍛冶屋の仕事は一つひとつが手作業で、大量生産には向きません。その反面、使う人の要望に細やかに対応できる強みがあります。本当に欲しいと思える、自分の作業や暮らしに合う一点ものの道具を作ることもできるのです。

その技をさらに磨くため、近藤さんは「越後三条鍛冶集団」に所属し、仲間とともに技の向上と学びを続けています。

「鍛冶集団の知り合いを通じて、いま、第2のオリジナルアイテムとして包丁づくりを試しているんです。うちはこれまでずっと鍬専門でやってきたので、包丁づくりの設備は揃っていませんが、鍛造まではうち、刃付けは知り合いにお願いするという分業の可能性もあるんじゃないかなと考えるようになりました。ものづくりの町である三条だからこそ、作れるものも、方法も、いくらでもあるように思って」

これまで製作してきた鍬のギャラリー。各地の風土や作物によって鍬の形状が変わるそうで、近藤さんも名前を覚えきれないというほど、さまざまな鍬を作ってきた

鍬づくりを中心としたさまざまな注文に応えるうちに磨かれてきた、近藤製作所の鍛造技術。

「うちの初代が野鍛冶としてお困りごとにお応えしてきたように、原点へ立ち返り、一つからでもお客さまが望むものを作る『野鍛冶』を復活させたいですね。燕三条なら何でも作れると思うので、周りと協力し合って新しい取り組みができればと思います」

そんな近藤製作所と作った「鍛冶屋の鉄鍋」。自在に鉄を成形する鍛冶屋の技があるからこそ実現できました。大切な人と囲む食卓の真ん中で、じゅうっと音を立てるごちそうと一緒に。このいい顔をした鉄鍋が、長く寄り添う道具になってくれたらうれしく思います。

<取材協力>
株式会社近藤製作所

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はじめての鉄

文:安倍真弓
写真:黒田タカシ

料理研究家・ツレヅレハナコさんがつくる、「魚焼きグリルが汚れない鉄のグリル皿」を使ったレシピ

突然ですが皆さん、魚焼きグリルをどのくらい活用していますか?

「使いかたがイマイチわからない」「後片付けが面倒」など、何となく避けていた方も多いかもしれません。じつは、私もその一人。賃貸マンションのコンロについてはいるものの、気にかけたことすらありませんでした。

そんな“魚焼きグリル未活用勢”に「もったいない!」と手を差し伸べてくださったのが、料理研究家のツレヅレハナコさん。日々の食事づくりに取り入れると、食卓の楽しさも調理のストレスも段違いに変わるというのです。

そうしたハナコさんの思いを受けて、このたび中川政七商店がハナコさんとともに開発したのが「魚焼きグリルが汚れない鉄のグリル皿」です。

「魚焼きグリル活用だけでもハードルが高いのに、素材は鉄?」

‥‥なんて、不安な声も聞こえてきそうですが、ご安心ください。何度も試作と調整を繰り返し、鉄を敬遠される方にも心強い使い勝手に仕上がりました。

今回は調理の幅を広げる台所の新たな救世主・鉄のグリル皿について、使いかたのポイントと試してほしいレシピをご紹介します。

日常料理にこそ、魚焼きグリルの活用を

サイド光の入る広い調理スペースに、ぎっしりと乾物や調味料の並ぶパントリー、世界各国の鍋が集まる飾り台と、食への探求心と愛が詰まったハナコさんの台所。

一歩足を踏み入れると、料理好きでなくとも思わず心が躍る壮観な景色が広がります。

秘密基地のようなその場所からハナコさんが提案するのは、時には凝った料理もありながら、多くはふつうのスーパーで手に入る材料を使った簡単な工程のもの。疲れた日でもどうにか作れるそのレシピの数々に、多くの台所が助けられてきました。

そんなハナコさんと今回作ったのが「魚焼きグリルが汚れない鉄のグリル皿」です。そもそもどうして、魚焼きグリルに注目したのでしょう?

「魚焼きグリルが家にあるのに、全然使いきれていない方が多いなって印象がまずあって。『落ちた油や網の隙間の掃除をしなきゃいけない』みたいな、“面倒なもの”ってイメージがとにかく強くて、それがもったいないと思ったんですよ。

もちろん、そのまま魚を焼くからこそ脂が落ちて味よく仕上がるよさもあるんですけど、掃除が面倒なときは網に食材を置かずに、調理道具をかませればいい。でも、そういう使い方に気づいてない方が多いのかなと」

当のハナコさんは普段より魚焼きグリルをよく使う、ヘビーユーザー。ご自宅を建てる際も「魚焼きグリルがついているから」と、今のメーカーのガスコンロを選ばれたほどの愛用者です。

「コンロが鍋やフライパンで埋まってるときに、もうひとつ火口ができるし、上火で焼くよさもある。火が直接食材に届くからコンロよりも高温で焼けて、パリッと仕上がる魅力もあります。あとは、焦げ目をつけたい場面でも活用できますね。

よりおいしくなるし、魚焼きグリルでしかできない調理もあることを知っていただけたらと思って、アイデアをご提案したんです」

食パンのトーストも魚焼きグリルが便利。こんがり、サクッと仕上がる

そうして魚焼きグリルを活かせる調理道具づくりがスタート。

素材には「鉄」を採用しました。

「鉄ってすごく熱伝導がいいのでカリッとおいしく焼けるし、丈夫だから一生使えます。ガンガン使ってガンガン経年変化するような、そんなところも愛せる道具になればいいなと。

じつは最初は鋳物で作りはじめたんですけど、サンプルが出来上がって持ってみると重かったんですよね。重い道具って年々手にとらなくなるし、毎日使ってほしいから極力軽くしたくて、鋳物はやめました。

『普段の相棒になるような気軽な存在として片手で軽くとれる重さにしたい』というのは、開発時に譲れなかった点です」

側面は0.1mmまで薄くして、軽量化を目指した

面倒なイメージを持つ鉄だからこそ、お手入れも簡単に。

塗装をしていないため使い終わったあとは気負わず洗えて、特殊な加工により使いはじめの油ならしは不要と、鉄初心者の方も安心です。

そしてこの鉄グリル皿、じつは魚焼きグリルだけではなく、“鉄のフライパン”のようなイメージでコンロでも使えます。

ポイントは底につけた凹凸の波目。これにより絶妙な焼き目がつけられ、まるでレストランのような仕上がりが楽しめるように工夫しました。

「食べ物に焼き目がつく楽しさを届けたくて、デザイナーさんと微調整を繰り返しました。特にコンロで使っていただくと際立つと思います。

そんな風に、コンロで焼き目をつけたい料理にも、魚焼きグリルで仕上げたい料理にも使える、2wayな道具ができたらいいなって」

大きさは、魚焼きグリルの庫内を最大限に使えるサイズ感に。グラタンなども受け止められるようにと、少し深さを出したのもこだわりです。

また、魚焼きグリルへ入れる際に緩衝しないよう、取っ手はサイドに配置しました。

ツレヅレハナコさんが提案する、鉄グリル皿レシピ

推しの点を挙げれば止まらない鉄のグリル皿。ぜひ毎日の食卓でたくさん使っていただけたらと、ハナコさんにおすすめのレシピも3つ教えていただきました。

※それぞれ、鉄グリル皿1枚で作りやすい分量にてご紹介しています
※魚焼きグリルでの調理時間・工程は、両面焼き仕様のグリルを使用した場合の内容です

海老ときのこのみそクリームグラタン

<材料(2~3人分)>

・むき海老…150g
・マカロニ…80g
・玉ねぎ…1/4個(約50g)
・しめじ…1/2パック
・ピザ用チーズ…100g
・牛乳…2カップ
・バター…30g
・塩…少々
・みそ…大さじ1
・片栗粉…大さじ1
・小麦粉…大さじ3

<作りかた>

1. 海老は背わたをとり、塩、片栗粉をまぶして軽くもんだら水で洗い流す。マカロニは袋の表示通りゆでる。玉ねぎは薄切りにし、しめじは石づきを切ってほぐす。鉄グリル皿の内側にバター(分量外)を塗る。

2. 別のフライパンにバターを溶かし、玉ねぎ、海老、しめじの順に加えて炒める。小麦粉を入れてまぶすように炒め、牛乳を3回に分けてなじませながら煮る。

3. 沸いたらみそ、マカロニを加えて温め、鉄グリル皿に入れてチーズをのせる。魚焼きグリルに入れ、表面に焼き色がつくまで強火で10分ほど焼く。

「ひとつめにご提案するのはグラタン。魚焼きグリルの上火は、表面に焼き色をつけたい料理にぴったりです。オーブンと違って予熱不要ですぐに焼きはじめられるのも、魚焼きグリルのよさのひとつですね。

直火ならではのぐつぐつした出来上がりはそれだけで魅力的。普段の食卓にもおもてなしの料理にもおすすめです」

ポークソテー 和風プチトマトソース

<材料(1人分)>

・豚ロース肉(厚切り)…1枚
・ミニトマト…6~8個(約150g)
・新じゃがいも…2個
・大葉…2枚
・しょうがのすりおろし…1/2かけ分
・塩、こしょう…各少々
・薄口しょうゆ…小さじ1
・オリーブオイル…大さじ1

<作りかた>

1. 豚肉は筋を切り、塩、こしょうをふる。ミニトマトはヘタをとり半分に切る。新じゃがはよく洗って皮ごと電子レンジ(600W)で3分ほど加熱し、半分に切る。大葉はせん切りにする。

2. 鉄グリル皿を中火で熱し、オリーブオイルをしく。十分に温まったら豚肉と新じゃがを断面を下にして入れ、動かさずに2~3分焼く。豚肉を裏返して弱火にし、空いたところにミニトマトを入れて少し煮崩れるまで焼く。

3. トマトにしょうがとしょうゆを加え、うつわに盛って大葉をのせる。

「ふたつめのメニューには、焼き目を楽しむ料理としてコンロで作るポークソテーをご提案しました。こんがりついた焼き目が食卓にごちそう感を増してくれますし、底の凹凸があるので適度に脂が落ちて、食材がおいしく仕上がります。

彩りもきれいでメイン料理になるし、トマトソースまで鉄グリル皿で作るから洗い物は少なくて済む、普段の食事にぴったりのメニューです。

ポイントとして、コンロで使用する際は予熱してから使うようにしてください。こうすることで食材がくっつきにくくなり、料理のストレスも減るしおいしく仕上がります。

豚肉は薄すぎると反り返りやすいのでご注意を。筋切りをすれば反り返りにくいですが、もし膨らんできたら真ん中を押さえてあげるときれいに焼けます」

タンドリーチキン

<材料(2人分)>

・鶏もも肉…1枚(約350g)
・れんこん、パプリカ(赤)…各適宜
・オリーブオイル…大さじ1

[A]
・ヨーグルト(無糖)…100g
・にんにくのすりおろし、しょうがのすりおろし…各1かけ分 
・ケチャップ…大さじ1
・カレー粉…小さじ1
・塩…小さじ1

<作りかた>

1. ポリ袋に鶏肉、[A]の材料を入れ、袋の外側から全体をもむ。冷蔵庫で30分~一晩おく。れんこんは8mm厚さ、パプリカは縦1.5cm幅に切り、オリーブオイル小さじ1/2(分量外)をまぶす。

2. 鉄グリル皿にオリーブオイルをしき、鶏肉をのせて庫内へ入れたら強火で5分ほど焼く。

3. 一度グリルの扉を開け、空いている場所にれんこんと、パプリカをのせてさらに5分ほど焼く。焦げそうになったら、アルミホイルをのせる。

「パリッと焼けた皮目がシズるタンドリーチキン。表面を焼きつつ中まで火を通してくれる、魚焼きグリルならではのよさを感じられるメニューです。

うつわにのせて焼くのでたれが落ちすぎないのも、この道具を使うからこそできること。調味料につけこめばあとは焼くだけで、簡単に一品が完成します。

ポイントは、火が強いので添える野菜がカリカリになりすぎないよう、あらかじめ油をまぶして水分をキープすること。油分が少ない食材はここに注意すればおいしく仕上がります」

最後にハナコさん、完成した鉄グリル皿を前にひとこと頂けますか?

「魚焼きグリルも鉄も、多くの方には少し距離がある存在。だからこそ、ハードルを下げて日常に寄り添えるような道具を目指しました。つい毎日手にとっちゃうような、いい道具になればいいなと思います。

気軽に使える“マイファースト鉄”として仲良くなってもらいつつ、皆さんの食卓に幅が生まれると嬉しいです」

魚焼きグリルを、そして焼き料理を、もっと身近に、おいしくしてくれる鉄のグリル皿。たくさんの台所の、よき相棒となりますように。

ツレヅレハナコさん

食と酒と旅を愛する文筆家、料理研究家。著書に『まいにち酒ごはん日記』、『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』、『ツレヅレハナコのからだ整え弁当』など。食や日常を綴るSNSも人気。
●Instagram
https://www.instagram.com/turehana1
●note
https://note.com/rosy_carp2435

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はじめての鉄

文:谷尻純子
写真:衛藤キヨコ

【はたらくをはなそう】中川政七商店 店長 島袋悠真

島袋悠真
中川政七商店 アミュプラザ長崎新館店 店長

2022年 中川政七商店 マークイズみなとみらい店 店舗スタッフとしてアルバイト入社
2024年 社員登用 エキスパートスタッフ
2024年 中川政七商店 二子玉川ライズ店
2025年 中川政七商店 金沢百番街Rinto店 店長
2026年 中川政七商店 アミュプラザ長崎新館店 店長


小さい頃から、合気道、書道、空手道など「道」のつくものに親しんできました。どれもすぐに結果が出るものではなく、肝心なのは日々の積み重ねと、それにどう向き合い続けるかという姿勢そのもの。そうした経験を通して、目の前のことに丁寧に向き合い、続けていくことの大切さを自然と学んできたように思います。

はじめて中川政七商店の店舗を訪れたときの接客は、今でも強く心に残っています。

商品そのものだけでなく、産地や職人さんの想い、ものづくりの背景まで丁寧に伝えてもらい、「こんなふうに想いを届けられる販売スタッフになりたい」と感じました。

もともと日本の文化やものづくりに携わりたいという気持ちがあり、その想いと重なった瞬間でした。

現在は店長として、接客をはじめ、スタッフの育成や売り場づくりなど、日々の店舗運営全般を担っています。正直に言うと、店長としてはまだまだ駆け出しです。社員登用の際に「1年以内に店長を目指します」と宣言し、そのちょうど1年後に店長の話をいただいたときは、不安とワクワクが入り混じった気持ちでした。

初めての店長。初めての土地。

それでも、先輩店長や上司に相談でき、きちんと話を聞いてもらえる環境に支えられ、良いスタートを切ることができたと感じています。

仕事をする上で大切にしているのは、こころばです。特に「ベストを尽くすこと」と「楽しくやること」をいつも大切にしています。

どんなときも自分なりに考え、できる限りのベストを尽くす。その上で、楽しみながら取り組む。そうした姿勢こそが、良い店づくりの土台になると考えています。

中川政七商店には、「やってみたい」と声に出せば耳を傾けてもらえる環境があります。これからも新しいことにも挑戦し、視座を高めていきたいです。

そして、「道」で学んできた姿勢を大切にしながら、目の前のお客様やスタッフと誠実に向き合い、日々の接客や売場づくりを積み重ねていきたいと思います。まだまだ道の途中ですが、店長として、お客さまと作り手の想いが届くお店を目指していきたいです。

「日本の工芸を元気にする!」というビジョンに向かって、これからも一歩ずつ進んでいきたいと思います。

<愛用している商品>

野菜がたくさん食べられるひとり土鍋

おすすめ理由:一人暮らしを始めたときに、はじめて購入した土鍋です。野菜をこんもり盛ることができ、そのまま蓋をうつわ代わりにして食べれば洗い物も少なく済みます。土鍋ならではの熱々の状態のまま、最後まで冷めずに食べられるのも嬉しいポイント!冷凍うどんがすっぽり入るサイズ感も使いやすく、気づくとつい手に取ってしまう、お気に入りの土鍋です。

すっきり爽やか 青柳番茶

おすすめ理由:さんち修学旅行で茶畑を訪れたことをきっかけに、飲み続けている番茶です。
実際にものづくりの現場を訪れ、職人さんの話を聞く中で、毎日のお茶時間を大切にしたいと思うようになりました。ティーパックで手軽に淹れられ、仕事の日は水筒に入れて持ち歩いたり、日常の中で気軽においしいお茶が楽しめます。毎日の中で、ほっと落ち着く時間をつくってくれる番茶です。

荒れ性用花梨の化粧水

おすすめ理由:お店のスタッフさんが愛用していると聞き、使い始めた化粧水です。
ベタつきが少ないのに、肌にすっとなじんでしっとりとした使い心地で、毎日のお風呂上がりにも無理なく使えます。



中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは、採用サイトをご覧ください。

食卓のうつわはどこから来るのか、どこへ還るのか。ものづくりを未来につなぐ「土」のはなし

私たちが暮らしの中で愛用している、工芸の品々。

なかでも、毎日の食卓を彩るうつわたちは、特に身近な存在のひとつ。

そんなうつわの原料について、深く考えたことはあるでしょうか?

職人の手によって作られていることはわかっていても、その手前の原料となる「土」は一体どこからやって来るのか。逆に、役目を終えたうつわはどこへ還るのか。

美濃焼の産地、岐阜県多治見で「土」をめぐる課題に向き合い、さまざまな取り組みを進めている株式会社井澤コーポレーションの代表 井澤秀哉さんに話を聞きました。

中川政七商店が新たに始動した「“工芸のしまいかた”を考える循環プログラム『C KOGEI(シー コウゲイ)』」を担当する羽端が聞き手を務めます。


枯渇しつつある、世界で唯一無二の奇跡の「粘土」

羽端:昨年、井澤さんたちが主催されている「土談(つちだん)」*というイベントに参加させていただいて、「土」が置かれている危機的な状況を知りました。「土」に対する課題はいつ頃から意識されていたのでしょうか?

※土談:地域の「土」に着目し、その価値や課題を共有しながら、次のものづくりの可能性を探るための新しいコミュニティ。土を知り、土を語り合い、土から学ぶことで、これからのものづくりや地域産業のあり方を考えることを目指す。

井澤:実は私も、2017年に鉱山会社の社長さんから「このままいくと陶磁器に使う『土』、特に『粘土』が枯渇する」という事実を教えてもらうまではまったく意識していませんでした。産地の中でもほとんどの人がそうだったと思います。

土が枯渇するとは誰も知らずに、どんどん掘っていた。そこで、まずはこの事実を産地の中でシェアしないといけないよねと。

今このあたりで掘られている「土」は、琵琶湖の6倍の大きさだったともいわれる「東海湖(とうかいこ)」が存在した時代のもの。その「東海湖」をひとつの産地として捉えると、萬古焼も瀬戸焼も常滑焼も美濃焼も、同じ「土」を使う仲間じゃん!となって、有志が集まりました。

それが「東海湖産地構想」。そして窯業に携わるすべての人に「土」の現状や課題、ポテンシャルを自覚してもらおうと始めたイベントが、羽端さんも参加してくれた「土談」なんです。

株式会社井澤コーポレーション 代表取締役 井澤秀哉さん。
うつわの製造販売からスタートした同社の四代目。雑貨マーケットへの参入や、陶磁器デザイン会社の設立など新たな試みを積極的に展開。「東海湖産地構想」や「セラミックバレー構想」など、「土」をコンセプトにした地域ブランディングの活動にも力を注ぐ。陶磁器という枠を超え、街の課題解決のために複合施設「THE GROUND MINO」を開発し、運営している。
「土」をコンセプトにした複合施設「THE GROUND MINO」 
街・窯業・料理人の3つの課題を解決するための、ショップやギャラリー、陶芸工房、シェアキッチンなどが入る。

羽端:実際に鉱山にも案内していただいて、最初はその規模感に圧倒されて。これだけたくさんの「土」があるのに枯渇するの?という感覚をもったくらいです。でも詳しく伺ってみると、そんなに単純な話ではないということが分かってきました。

中川政七商店 羽端

井澤:ひとつの鉱山から採れる土は、陶磁器用のものだけじゃないんですよね。どんな土でも焼けばそれなりに固まりはしますが、うつわ作りには適していない。陶磁器に最適な「土」となると、形状をキープする可塑性や耐火性が必要になる。

なかでも蛙目(がいろめ)、木節(きぶし)と呼ばれる「粘土」は、世界中探してもこの東海地区でしか採れない貴重なものなんです。陶磁器の「土」は、粘土・長石・珪石の3つの要素からできているんですが、ここに蛙目を少し混ぜるだけでも成形性が良くなる、いわば魔法の「粘土」なんですね。

マグマが冷えて風化した花崗岩が流れていった先に「東海湖」があったおかげでそこに堆積して。奇跡的なプロセスをふみながら何百万年もかけて醸成され、「粘土」へと変化していった。でも、それがこのままだと枯渇するという話なんです。

実際に案内していただいた、多治見の鉱山
かつて「東海湖」の一部だった鉱山にて
500万年前から600万年前とされる貴重な粘土層。蛙目や木節と呼ばれる「粘土」が採れる

陶磁器は、二度と「土」には還らない

羽端:「土」が枯渇してしまうということもそうですが、陶磁器は「土」に還らないというお話も聞いて、さらに驚きました。自然素材なので、それこそ庭に置いておけばいずれ「土」に戻るものだと、なんとなく思っていたので。

井澤:役目を終えた陶磁器の処理も、大きな課題のひとつです。多くの方が「土」に還るイメージを持たれていますが、高温で焼きしめた陶磁器が自然に「土」に還ることはありません。遺跡などで、一万年前の土器が出土しているのはそういうわけなんです。

自治体が回収してリサイクルする仕組みもありますが、現状は廃棄物として埋め立てられているもののほうが多くなっていて。埋立地のスペースを圧迫するだけでなく、微生物などの生物多様性を奪っていくことにもつながると、専門家も警鐘をならしています。

「土」は地球から窯業界に託された素材です。何百万年経っても「土」には還れないことを理解したうえで、「土」を扱い「土」を焼くという責任を、作り手は持たないといけない。ここに向き合わない限り、次の世代につないでいくことはできないと思っています。

「土」のことを語っていくと、自然と環境のことに繋がっていくと語る井澤さん

リサイクル(再利用)からサーキュラー(循環)へ

羽端:「THE GROUND MINO」の入り口に回収ワゴンがありましたが、美濃では、不要食器の持ち込み、回収が日常的におこなわれているんでしょうか。

電化製品やペットボトル、最近ではアパレルなども、回収が当たり前という感覚になっています。それと比べると工芸の世界はまだまだと感じるので、全国的にそうした機運が高まれば良いなと。

「THE GROUND MINO」入り口にある回収ワゴン。地域の人が不要なうつわを持ち込み、使用不可能なうつわは細かく粉砕してリサイクル陶器「セルベン」に。

井澤:美濃では、30年近く前から不要食器の回収・リサイクルの活動があり、不要食器を粉砕したリサイクル陶土(以下、「セルベン」)や、それを20%ブレンドしたリサイクル陶磁器の開発も行われてきました。

ただ、ものづくりを取り巻く状況が変化していく中で、リサイクルという言葉だけに捉われず、資源も含めた循環を意識した「サーキュラーエコノミー」へのアップデートが必要ではないかと話し合っているところです。

サステナブルやリサイクルという機能ばかりに価値を求めすぎるのもいけないというか。たとえば、「セルベン」を調合する割合が20%に満たなくて「リサイクル陶磁器」の定義から外れるとしても、3%でも5%でも、技術的なことも含め無理なく作りやすい調合で「サーキュラー」させていくほうが大事だと思っています。

羽端:なるほど。それぞれの状況に応じた循環をまず実践していくというか。そこにきちんと魅力や価値が生まれていくとなおよいですよね。

井澤:「東海湖産地構想」の仲間とともに、新たな商品の開発なども進めているところです。

また、この「GROUND MINO」を拠点にして、美濃の魅力につながるものを展示したり、地元の若手作家のうつわを販売したり。併設のキッチンスタジオで料理人の方々とコラボしつつ、うつわと料理の関係をみんなで学んだり。エンドユーザーさんに陶芸体験を通して土の価値をお伝えしたり。さまざまなことに取り組んでいければ。

「土」の問題を抜きにしても、全国の窯業の衰退は1990年後半から起きていて、今もその流れは止められていません。もし僕たちの構想がうまく機能した時には、ほかの産地にもその成功体験をシェアする活動ができたらいいなと思っています。

レストランなどのマーケット向けのうつわの展示(THE GROUND MINO)
土の特徴や魅力が伝わる展示もあり、ミュージアム的な側面も(THE GROUND MINO)
陶芸体験ができるスペース(THE GROUND MINO)
「東海湖産地構想」に参画している美濃焼の窯元「晋山窯ヤマツ」が開発した花器「Crunch vase(クランチベース)」。あえて粗く粉砕した「セルベン」を混ぜた独特の表情が人気(2023年グッドデザイン賞 受賞)
晋山窯ヤマツ株式会社 代表取締役 土本正芳さん。作り手として、ものづくりを循環させることと、消費者にとっての価値になることを両立させるために日々思考錯誤を繰り返している。

消費者も、「資源提供者」として工芸の担い手に

羽端:ちょうど、中川政七商店らしいサステナビリティについて議論していた時期でもあり、美濃の話は本当に興味深く、社内でも刺激になりました。

これまで、「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げて産地や作り手さんたちを支援してきましたが、工芸の始まりである「原料」を意識することは少なかったのが正直なところです。

陶磁器以外の商品もたくさん扱っている中で、まずうつわから「C KOGEI」をスタートさせたのは、井澤さんたち産地の方々が自ら課題解決のために発信されていたのが大きかった。昨年の夏から、実際に相談にも乗っていただいていました。

井澤:私たちもプロジェクトを進める中で、情報を産地内でシェアするだけでは、なかなか行動につながりにくいこともあります。中川政七商店さんが「C KOGEI」のような取り組みを始めて、やらなくてはいけないことだと言ってもらえると、まだ行動できていなかった産地の関係者が動き始めるきっかけにもつながっていくんです。ありがたいことだと思っています。

羽端:こうした取り組みをお客さまへどう伝えていくかなど、アドバイスがあればぜひお聞かせいただきたいです。

井澤:そうですね。私たちは最初に「消費者参加型のものづくり」だと伝えています。中川政七商店さんに、割れたり不要になったりした食器を持っていった時点で、そのお客さまはもう「資源提供者」なんです。

そうして受け取った資源を産地に返してものづくりをスタートさせる。お客さまが参加してくださってはじめて「サーキュラー」なものづくりが始まるんです。

羽端:なるほど、そして作り手を経て、再びうつわとなってお客さまの元に還ってくる。難しいことは考えずとも、工芸の担い手になっていけるんですね。

井澤:まだ使えるうつわに関しては、金継ぎなどをして再販もできますよね。

そこにも次の価値が生まれる余地があるなと思っていて。たとえば、古い産地の食器に現代のアーティストが絵を描くと、今までにない面白さが生まれる。一万年以上持つ素材ですから、世代を超えてリメイクしていく面白みが残っていくと思うんです。

羽端:何百万年前の奇跡の「土」で作ったうつわを、現在の私たちが使っているという時点でロマンを感じています。それに手を加えて100年後に誰かの手に渡り、さらに手を加えてずっと継ぎ足されていく。ものづくりの循環に、すごくポジティブに向き合えそうな気がします。

100年単位で遊ぶつもりで「サーキュラー」していく、そんな当たり前の未来を、皆で作っていきたいと思います。本日はありがとうございました。

廃棄される陶器を美濃で粉砕したリサイクル陶土「セルベン」で作った庭

<関連する特集>
「“工芸のしまいかた”を考える、 循環プログラムC KOGEI」

<取材協力>
井澤コーポレーション
晋山窯ヤマツ

文:石田多美
写真:阿部高之

和食器を面白く!愛と情熱の「うつわ研究所」座談会

「大切な人に美味しく食べてもらいたい。ともに楽しい時間を過ごしたい」

昔ながらの和食器には、人を思いやる気持ちが込められています。

そんな和食器を今の暮らしに合わせて再解釈し、あらためてその魅力や楽しみ方を伝えていきたい。そう考えて、うつわを愛してやまない工芸デザイナーが集い、始まったのが「うつわ研究所(うつわ研)」の活動です。

メンバーは、Oji&Design代表の大治さん、中川政七商店の榎本、岩井、大久保。この4名が定期的に集まって議論を交わし、時には産地の現場を訪れながら和食器について考えた結果、第一弾の商品として作ったのは「蓋もの」でした。

今回、今の時代の新たな「蓋もの」として「玉手どんぶり」「おめかし重」という2アイテムが発売されるタイミングで、「うつわ研」のメンバーによる座談会を開催。普段の活動やうつわに対する想い、商品開発の苦労などについて話を聞きました。

「工芸は楽しい!」が伝わるうつわを

—うつわ研がスタートした経緯を教えてください

榎本:社内で今後の「うつわ」作りについて検討していた中で、産地に根ざした手工業デザイナーとして、多くの生活道具を生み出してきた大治さんとご縁があって。なにかご相談できないかなと思ったのが最初ですね。そこからこのメンバーが集まって2025年4月にスタートして。毎月のように集まったり産地を見に行ったりしてきました。

中川政七商店 榎本雄

大治:うつわ研をスタートするにあたって僕から皆に伝えたのは「もっと”中川政七商店らしさ”のあるうつわを作ってもいいんじゃないか」ということでした。

店舗に並んでいる商品を見ていて、産地を応援したいことは伝わってくるし、佇まいも良い。だけど、どこかで遠慮も感じたんですよ。

産地に寄り添いすぎると「この産地はどんぶりを作ってるから、今回も作りましょう」と、手段が目的化してしまう。そうじゃなくて「この時代に和食器を使う意味を考えると、普段のどんぶりじゃなくてこれかも」みたいな提案をしていくというか。そんなことをやりたいなっていう話をしました。

大治 将典(手工業デザイナー/Oji & Design 代表)

日本の様々な手工業品のデザインをし、それら製品群のブランディングや付随するグラフィック等も統合的に手がける。手工業品の生い立ちを踏まえ、行く末を見据えながらデザインしている。

大久保:確かに「この産地はこういう物が得意だから、それを作る」という思考で固まってしまっていたなと思って。

産地の良さを活かすことは大切なんですが、一歩引いて俯瞰で見ることで、本当に必要としていることが分かって、逆に作り手との距離が近くなることもあるんだなと。「うつわ研」の活動を通じて、そんな気づきがありました。

中川政七商店 大久保優希

—第一弾として「蓋もの」を作った理由は?

大治:中川政七商店らしさとはなにかと考えた時に、「工芸を元気にする」ことだという話になって。じゃあ「工芸を元気にする」ために、「工芸は楽しい!」が伝わるうつわを作るのがいいんじゃないかと。

単に「使いやすい」ではなくて、「使いこなしてみたい」もの。手にしたお客さんが能動的に変わっていけるようなものがいいよねって。

「蓋もの」は、電子レンジや冷蔵庫も無かった時代には、食事を保温するために必要だったし、保存容器としても重宝されていたんです。

時代が変わって、そういう和食器ならではの形が必要とされなくなった。でも、たとえば蓋を持ち上げた時、料理の湯気が上がる瞬間には感動がある。そうやって視点を変えれば、うつわの持つ佇まいが喜びや楽しさに変わるようなことはまだまだたくさんあるはずで、それを探していこうよと。

榎本:自分たちで考えていた時は、蓋があるうつわを提案していこうとはまだ思えていなくて。大治さんとご一緒して、その部分が楽しさとか価値になるということに気づけたのは収穫でしたね。

日本人の暮らしと和食との間に距離ができている中で、うつわから入って食事の楽しさに気づくこともあるはずなので、そういったものを作りたいと思いました。

岩井:洗い物もふたつになるし、ものづくりとしても複雑になるし、どちらかと言えばネガティブに捉えてしまいがちなところを、敢えてポジティブに楽しもうという視点にはっとしたというか。すごく腑に落ちました。

中川政七商店 岩井美奈

使い勝手よりも、エモーショナルが少しだけ勝る「和食器」づくり

―「玉手どんぶり」について、どんな風に考えて開発を進めたのでしょうか

大治:「蓋もの」のどんぶりが今の生活にフィットして使えるか考えてみた時に、遅く帰ってくる家族のために、ご飯を盛って蓋をして冷蔵庫に入れておけば「このままチンできますよ」とか。ラップをかけなくても大丈夫とか、そういう便利な方向にも割と使えそうだなと。

被せの蓋なので、小ぶりに見えて意外と容量があることとかも、使い勝手がよい。その辺りは榎本さんがすごく細かい部分のデザインやサイズを突き詰めたからこそ出来上がっていると思っています。

その上で、湯気がブワーッと出る楽しみっていう情緒的な面白いところもあるし。使い勝手も結びつきつつ、最後のところではエモーショナルが勝つような、そこのバランスはとても大事に考えました。

試作検討を重ねて、徐々に出来上がっていった新しい「蓋もの」のかたち

榎本:僕の方ではサイズ感をどこに絞るのかっていうのは結構悩みました。どうしたら手軽に感じてもらえるか。いかに親近感を持ってもらえるか。

形状も切立(きったて)に近くして容量も稼ぎつつ、ご飯の盛りやすさにもつなげたりとか。

大治:普通に見えるけど、ぜんぜん普通じゃないんだよね。

榎本:そうなんです(笑)。この蓋の形自体も気に入っています。ありそうで無い形。やっぱり、蓋が美しいということは、パカっと開けた時の喜びに繋がると思うので。博物館へ行って「奈良茶碗」をリサーチしてみたり、本当に‟研究”しながら作っていきましたね。

実際に料理を入れて使ってみましたが、湯気が出るときは本当に美しくて。ああいう体験を皆さんにしてもらいたいなと思いました。

絵付けも、あえて釉薬がちょっと滲むようなものを意図的に狙っていて。一つひとつが違って見えてくるっていうところをメーカーさんと一緒にできたのは良かったですね。手の跡が感じられるものはやっぱり面白いです。

伝統的なうつわの形状やデザインをあらためて研究

――おめかし重についてはどうでしょうか

大治:苦労しましたね。最初は普段の使い勝手を意識していたけど、最終的に‟ハレ”の方向にギュッと寄せた。

岩井:ハレとケのバランスを取ろうとして、ずいぶんぐるぐる行ったり来たりしました(笑)。

お重というものの性質をあらためて考えてみると、お花見や運動会、おせち料理など、誰かと一緒に楽しむ際に使われてきたうつわなんですよね。

そこに気づき始めた時に、やっぱり‟ハレ”かもって。お正月だけじゃなくて、日常の中の小さな特別の時に使いたくなる‟ハレ”感を出せればと腑に落ちて。

あとは自分でも毎日のように使ってみながら、「これだと小さいかも」「あと5mmあればもうふたつお皿が入るのに」とか、使いこなす楽しみみたいなものを体感しながら開発できました。皆さんにもそういった楽しみを、使いながら見つけてもらえれば嬉しいなと思います。

大治:諦めずに形になって本当に良かった。料理が美しく見えるように蓋の小口を斜めに切って、その角度も蓋がずれない最適な傾斜を追及して。細かいところも工夫が行き届いている。

守破離で言うところの「守」だったお客さんが、「破」にジャンプするためのジャンプ台というか。そんな商品になっているんじゃないかと思います。

誰かを想う気持ちが込められたうつわで、暮らしを楽しくする

―今回、和食器に向き合って気づいたことは?

榎本:和食器の意匠とか形状って、大切な人に食事をどう届けるか、どう一緒に楽しむかということがすごく考えられてきたんだなと思いました。

冷めないように美味しく食べてもらいたいから蓋があって、開けた時の湯気もそうだし、蓋の裏にちょっとした絵が描いてあったりする驚きもあって。誰かを想う気持ちを形にしてきた。そこを深堀りしていくと、新しい価値が生まれるんじゃないかなと。

大治:装飾イコール悪じゃなくて、思いやりみたいなことになったらとてもいいと思うんですよ。こんな感情になってもらいたい、自分もこうなりたい、みたいなことがあるから、その線やデザインが決まっていくわけで。

柔らかい線だったら柔らかい気持ちに多分なるだろうし。

岩井:「おめかし重」も、開発中に家で出してみると、いつもと違うものが出てきた時の「うわぁー!」という反応があって。

大治:喜んでくれるよね。

岩井:喜びがあって、場の空気が変わる。すごい力を持ってるなというのは純粋にありました。でも、なんていうか、それが普段のほかのうつわとなじんでいる状況が豊かだなぁと思ったんです。

ひとつあるだけで空気は変わるけど、違和感が強すぎても無理があるというか。なので少しずつ、ちゃんと愛されて続いていくものを「うつわ研」としてひとつふたつと増やしていけると、健やかに混ざっていくんじゃないかっていうのを感じながらやっていました。

大久保:僕は今回、このチームで色々な現場に行ったり、打ち合わせを重ねたりする中で、デザインに関する考え方が少し変わりました。

デザインを考えるとき「こういう形がきれいだな」という理想をもって進めるんですが、素材の特徴や作り手の個性の影響を受けるので、100%デザイン通りには仕上がりません。その時に、「デザインと違うからこう修正して」ではなく、「こっちの方が(自分のデザインよりも)良いな」と思えたというか。なぜ完成品の方が良いのかを判断できるようになった感覚があります。

大治:よい変化だと思います。デザインしたものをその通りに作ってくださいというのはものづくりではないんですよ。デザインしながら色々な影響を受けて変わって、その結果が良ければ別にそれでいい。受け入れる気持ちがちゃんとあれば、作り手や素材と混ざって、一緒に作るようになっていく。コントロールしながらコントロールしたくないというか。それがいい物を作る時に大事なことだと思っています。

大久保:あとは、誰が使っても馴染むようなものでなくてもいいのかなっていうか。作る人の個性とかが、もっとものに現れてもいいんじゃないかなということを、あらためて感じました。

大治:僕は普段は一人でやっているので、「やっと工芸デザイナー仲間ができた!」みたいな気持ちで。作家や職人、産地のことなんかを話しても「ふーん」で終わってしまうところが、この3人だと「そうそう!」って共感してもらえる。

商品に関しても「ここがちょっと違和感あるかも」と伝えたらちゃんとディテールが修正されて返ってくるし、打てば響くというか。本当に楽しかったなぁ。

榎本:我々も、大治さんがどんな風に産地でコミュニケーションして、ものを作っているのか見ることができてとても勉強になりました。暮らしが楽しくなる手応えは得られた気がしているので、和食器を面白くする取り組みを今後も続けていきたいですね。

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玉手どんぶり
おめかし重

文:白石雄太
写真:阿部高之

料理家・minokamo長尾明子さんの“蓋をあける”食卓【おめかし重編】

いつもの料理も、うつわをひとつ変えるだけで心が躍る。

そんな、食卓に楽しみを添えるうつわの提案を目指して、この春、中川政七商店が新しくつくるのは「蓋もの」です。

昔ながらの和食器にはよく見られる蓋つきのうつわですが、自宅の食器棚に目をやれば蓋があるものはほとんどなし。そもそも、日々の暮らしで蓋ものに出会う機会も今は少ないように思います。

けれど、いざ手にしてみれば、蓋があることで楽しみも使い勝手も想像以上。蓋をあける瞬間が、日常の食事をごちそうにしてくれるのです。

今回お届けするのは「おめかし重」。

ぜひこの“蓋をあける”幸せを皆さまにも届けたいと、屋号・minokamoの名称で活動する料理家の長尾明子さんを訪ね、ひと足先に使っていただきました。長尾さんが合わせる料理とともに、初めての蓋ものにも心強い合わせ方のヒントも伺ってきたので、ぜひご参考ください。

長尾さんと蓋もののお付き合い

郷土料理や日常料理を背景として、にこやかな食卓を届ける長尾さん。決まったかたちに収まらない、ひと皿の姿や盛り付け方には長尾さんらしさが溢れます。

提案する料理は等身大の安心感がありながら、一つひとつが愛おしさの魔法にかかったよう。工芸ならではの“揺らぎ”に感じる、ぬくもりに似たものを覚えました。

そのセンスが光るのは調理だけではありません。うつわ選びにもおおらかさがあり、長尾家に並ぶうつわたちはどれをとっても個性豊かな顔つきをしています。

「うつわは縁のある作家さんのものを迎えることもありますし、旅先で購入することもあります。なかには友人や知人から譲り受けることもあるのですが、受け身で迎えたうつわにも新しい発見があって面白いですね。

今は東京と故郷の岐阜の二拠点生活をしていて、岐阜のほうには祖母が昔から使っていたうつわもたくさん揃えています」

そんな長尾さん、じつは蓋もの使いもお手のもの。ハレの日に限らず普段使いもすることで、“ケのなかのハレ”のような印象を食卓に演出されています。

「今回蓋もののお話を頂いて、自分が使っているうつわを改めて考えてみたんですよ。一番使うのはお重。あとは漆器や、陶磁器のお椀なども少しありますね。

例えば漆や陶のうつわは、冷ましたくないものを盛り付けるのに活躍します。この使い勝手のよさが蓋ものを選ぶときの一番の理由かな。汁ものに限らず、ごはんものでもよく出番がきてますね。

あとは、蓋を開けたときの高揚する気持ちをつくりたいもの。だからおもてなしの席ではちょっとした惣菜やお菓子もお重に入れたり、お楽しみの汁ものなんかも蓋の付いたお椀によそいます。

お重に関してはお客様を迎える際にも重宝してます。ちょっとバタバタしている場合も、あらかじめお重に詰めておけばさっと出せて便利ですよね。

開けた後の蓋はそのまま取り皿にも使えて、蓋だけでもそのあとの行き先がある。これも蓋ものの魅力だと思います」

普段より蓋ものに親しんでいる長尾さん。早速、今回のおめかし重も使っていただきましょう。

まずは定番の組み合わせ「稲荷ずし」

最初は「お重といえば」の組み合わせから。お重と聞くとややハードルが高く感じる方も多いかもしれませんが、お弁当箱のようなもの、と捉えればたちまちイメージもわいてきます。

「定番セットはやはりご提案できたらなと思って、稲荷ずしをメインに玉子焼きと青菜のおひたしを添えました。少し大きめのお弁当箱のような使い方にしています。

今日は出先に持ち運ぶイメージでぎゅっと詰めていますが、家で食べるなら余白をつけて盛り付けるのもおすすめです」

表面にウレタン塗装を施しているため、汚れが付きにくいのもポイント

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

華やかなサラダガーデンが食卓に「緑のサラダ」

続いてご提案してくださったのは、お重いっぱいにサラダを詰める新鮮な使い方。見慣れないお重の姿に心がくすぐられます。

「ちょっと意外な組み合わせもあると使い方のイメージが広がるかなと思い、お重いっぱいにサラダを詰めてみました。

円形のうつわに盛り付けることが多いサラダですが、今回は四角に詰めることで、すっきりときれいに見せています。卓上の畑のような、遊び心がある見せ方です」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

晩酌を凛と飾る「バケット、チーズ、ハム、オリーブ」

お酒の時間に、少しずつ色々なおつまみをいただきたいとき、お重を使ってみるのはいかがでしょうか。凛とした佇まいが上質な時間を飾ってくれます。

「ひとりで、もしくは友人と、ゆっくりお酒をいただくときにもお重は活躍します。冷蔵庫にあるちょっとしたアテを余白を持たせて盛り付けるだけで、特別な時間が演出できるんです。

蓋をしたまま食卓に出して開ける時間を楽しんだ後は、蓋を取り皿に。今回はワインを添えるイメージでご提案してみました」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染

行楽気分を彩る「おにぎり、から揚げ」

おめかし重は一段仕様の他、二段仕様もご用意しています。複数人と食卓を囲む際や、近場にお出かけする際などは、ぜひ二段重で。普段着の料理もお重に詰めれば、“おめかし”の装いです。

「お花見や遠足のような行楽イベントはもちろんですが、自宅で友人とお酒を飲むときにもこんな風にちょっとずつつまめるメニューがお重に入っていれば嬉しいかなって。

おにぎりをたくさん作って詰めておけば、それぞれが好きな量を食べられるし、話し込んでいるときに『おかわりください』って話をさえぎってしまう心配もありません(笑)。

あとは蓋つきなので、帰宅時間がバラバラな家族用に詰めて置いておくのにもいいですね。蓋があるだけで残りものっぽく見えないし、美しいかたちのまま保てます」

<使用した商品>
おめかし重 二段 柿渋染

甘い時間のおめかし「お菓子重」

最後に、二段使いのご提案をもうひとつ。こちらでは箱内のスペースを贅沢に使い、お菓子を並べてくださいました。

「じつはこのお菓子たち、中にはスーパーで売っていたものもあるんです。気軽に買えるお菓子もお重に盛り付けたとたんに特別感が出ますよね。

友人や家族とのお茶の時間にこのお菓子重を出して銘々につまみつつ、少し余ってしまったらそのまま蓋をして置いておけます。そんな気軽さがお重のいいところだなと思うんです」

<使用した商品>
おめかし重 一段 柿渋染
おめかし重 二段 柿渋染 

開発ほやほやのおめかし重を使ってくださった長尾さん。試してみて、いかがでしたか?

「お重って『ピクニックに活躍する』とも言うけれど、実際にはピクニックに行くことはあまりないですよね(笑)。なので、いかに日常で使うかが大事だと思うんです。

今回の料理はもちろん普通のお皿に盛り付けてもいいんだけれど、やっぱり蓋があることでちょっとしたものでも上質に見せてくれるというか、華やかさが出ますよね。

詰め方のコツとしてお伝えしたいのは、まずは『ひとマスに一種類』からはじめること。色々詰めなきゃと思うとハードルが高いのですが、まずはおにぎりだけ、から揚げだけでも大丈夫。それが二段、三段と重なるときっといい風景になると思います。慣れてきたら葉野菜などで仕切って、二種類に増やしていってみてください。

あとはぎゅっと詰めてもいいのですが、少し慣れてきたらぜひ余白使いを愉しんでもらえたら。うつわのなかに抜け感が出て、より特別なひと皿に見せてくれます。

その点、このお重はちょうどよい大きさとかたちで、余白を活かしても盛り付けやすいサイズ感ですね」

四角いかたちと蓋が日常にハレ感を醸してくれる、お重という選択。「難しそう」とどことなく避けていましたが、長尾さんに倣えばその不安も払拭できそうです。

蓋を開ける1秒が、おいしいスイッチ。蓋つきならではの食卓の魅力を、ぜひ存分に味わってみてください。

プロフィール:

minokamo・長尾明子(ながお・あきこ)

料理家、写真家。
岐阜県美濃加茂市出身。東京の自宅兼アトリエと、祖母が暮らした岐阜の古民家の2拠点で活動中。岐阜新聞での連載のほか、近著に『みそ味じゃないみそレシピ』(池田書店)『つつむ料理~焼売/餃子/肉まん/おやき』『粉100水50でつくる すいとん』(技術評論社)などがある。
https://www.instagram.com/minokamo

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文:谷尻純子
写真:濱津和貴