中川政七商店スタッフが綴る「今日も、土鍋まかせ日記」

10月に新発売した、文筆家・料理研究家ツレヅレハナコさんとつくった「たっぷり野菜が食べられるひとり土鍋」。 冷凍うどんが平らに収まる大きめサイズや、たっぷり野菜がしっかりおさまる高さのある蓋、可愛らしいコロンとしたかたち。日々のひとりごはんを心地よく支えてくれる工夫が詰まった土鍋です。

今回、この土鍋を中川政七商店のスタッフ3名に使ってもらいました。
外食が続いてお家ごはんが恋しい日、残り野菜を使い切りたい日、お惣菜でパパッと済ませたい日・・・。そんなリアルな日常の中で、どんな土鍋ごはんが生まれるのでしょう?

コトコト煮込めば、ほろりとほどける。土鍋でつくるごちそう煮込み

平日の夜は「手軽にもう一品」、休日は「じっくりごちそう」に。そんな風に気分や時間に合わせて楽しめるのも、土鍋の煮込み料理ならでは。弱火でじっくり火を通すことで、具材の旨みが染みわたり、ほろりと崩れる食感になります。

◆「丸ごとほろほろ角煮」

◆「肉じゃが」

 残り野菜もごちそうに早変わり。土鍋で味わう、あつあつ鍋

土鍋といえば、鍋もの。肌寒くなった季節には体の中から温まりたいもの。冷蔵庫の残り物や市販のおでんも、土鍋で煮込むだけでごちそうになります。

◆「からだリセット野菜たっぷり寄せ鍋」

◆「土鍋おでん」

◆「野菜たっぷり冷凍ちゃんぽん」

炊き立てもおにぎりも。土鍋が叶える、ふっくらごはんの幸せ

土鍋で炊くごはんは、格別。ご飯粒が立ち上がるように炊けるから、炊き立てはもちろん冷めてもおいしさが続きます。

◆「金目鯛の炊き込みご飯」

◆「きのこの炊き込みご飯」

香りを楽しむ、土鍋エスニックごはん

土鍋は蓄熱性が高く熱をじんわり伝えるから、野菜の水分を引き出しながら旨味を閉じ込めてくれます。無水調理や炊き込みにもぴったり。スパイスや香りが立ち、日を追うごとに深まる味わいになります。

◆「無水スパイスカレー」

◆「土鍋でカオマンガイ」

野菜たっぷり!土鍋が叶える蒸しもの&ヘルシー料理

蒸し料理やノンオイル調理も土鍋におまかせ。野菜がたっぷりいただけます。

◆「秋鮭ときのこの蒸しもの」

◆「油を使わない麻婆茄子」

いかがでしたでしょうか?


気負わず作れるのに、土鍋で仕上げると不思議とごちそうに変わる。その温かさは、お腹を満たすだけでなく、日々の暮らしまでやさしく包んでくれます。忙しい日常でも、無理なく心とからだを整えてくれる、土鍋のある食卓。


次はどんな料理をまかせてみよう?──そんな想像を広げるのも、この土鍋の楽しみ方のひとつになりそうです。

【四季折々の麻】10月:ふっくらとあたたかく、上品な艶感「綿麻のコール天」

「四季折々の麻」をコンセプトに、暮らしに寄り添う麻の衣を毎月展開している中川政七商店。

麻といえば、夏のイメージ?いえいえ、実は冬のコートに春のワンピースにと、通年楽しめる素材なんです。

麻好きの人にもビギナーの人にもおすすめしたい、進化を遂げる麻の魅力とは。毎月、四季折々のアイテムとともにご紹介します。

※この記事は2024年10月1日公開の記事を再編集して掲載しました。

ふっくらとあたたかく、上品な艶感「綿麻のコール天」

10月は「清秋」。残暑もようやく終わり、清く澄みわたる空に爽やかな秋を感じる月となりました。木々が色を染める景色や、遠くから聞こえる虫の声。そんな時季に着ていただけたらと、豊かな空気を吸い込んで出かけたくなるような服を、綿麻のコール天で作りました。

素材に採用したのは、綿と麻を合わせた糸を使って織ったコール天生地。コール天とはいわゆるコーデュロイのことで、日本の遠州地方で作られるコーデュロイを昔からこう呼びます。手間ひまをかけて職人が手がけた、畝(うね)のふっくらとした丸みと艶が特徴です。

毎年人気で、中川政七商店でも秋の定番となっているこの生地を用いて、今シーズンは昨年から引き続きおつくりする「イージーパンツ」に加え、新たに「プルオーバーベスト」と「ジャンパースカート」をラインアップ。いずれも着まわしやすく、寒い季節まで長く着られるアイテムを揃えました。

【10月】麻の高密度織シリーズ:

綿麻のコール天 プルオーバーベスト
綿麻のコール天 ジャンパースカート
綿麻のコール天 イージーパンツ

今月の「麻」生地

秋から冬まで長い時期で着られる、綿麻素材の肉厚なコール天生地。

夏のイメージが強い麻ですが、実は秋冬にもたくさん着たいおすすめの素材です。吸湿発散性があるので重ね着する場合もムレにくく、何より上品な艶感で、秋冬らしい落ち着きを纏っていただけます。今回は綿が主流のコール天生地に麻を取り合わせることで、綿の肌あたりのよさと、麻ならではの軽やかで上質な質感をそなえた生地に仕上げました。

国産コーデュロイ、特に遠州のコール天は、一つひとつの工程が丁寧で手が込んでいるのが特徴です。ベースとなるのは、タオルのように糸をループ状にして織り上げたパイル織生地。そこから糸をカッティングして凸凹した畝を作り、全体の糊を洗い落とす「糊抜き」後に、「毛焼き」の作業を施していらない毛羽を落とします。こうすることで、ふっくらとやわらかで、なめらかな生地に仕上がるのです。

完成した生地は艶があるためカジュアルすぎず、上品な“大人のコール天”といった印象に。

現場では腕のよい職人さんの高齢化も進んでいて、「あと何年できるか」という話もよく出ます。ですが一方で、国産のコール天に魅力を感じた若い職人さんが後を担おうとする動きも出てきているそう。いずれにせよ、貴重な生地であることに変わりはありません。

お手入れのポイント

お洗濯はできるだけ手洗いで。脱水で洗濯機を使う際や、洗濯機の手洗いモードを使って洗濯する際は、お洋服を裏返してネットに入れてください。

また着用時や着用後に洋服ブラシを軽くかけてもらうと、毛並みが整い艶も美しくなり長持ちします。毛並みは下から上の流れになっているので、ブラシも下から上にかけてくださいね。

ひと手間かかってはしまいますが、手間をかけることでよい状態で長く着られるはず。お洋服を手入れする時間も楽しんでいただければ嬉しく思います。

きちんと感もカジュアル感も出せる3アイテム

セットアップにブーツや革靴を合わせてきちんと着たり、単品アイテムにスニーカー合わせでカジュアルに着たりと、いろいろな雰囲気をつくれる3アイテムをラインアップ。

色展開は、これまでの生成・墨紺に加え、新色のブルーグレーを加えた3色で、長く着られる色合いを揃えています。特に生成は素材そのものの色合いのため、麻の繊維も混じり杢(もく)感があり、奥行きのある雰囲気でおすすめです。

プルオーバーベストは、かぶりタイプであたたかな一着。肩を覆い、ほどよくゆったりとしたシルエットで気を遣わずに着られますが、コール天の艶感が上品な印象に仕上げてくれます。イージーパンツと合わせてセットアップで着るのもおすすめです。

前も後ろも深くVが入った形で堅苦しさのないジャンパースカートは、下から履いても着られるような、リラックス感のあるデザイン。左右の大きなパッチポケットをアクセントにしました。

ここ数年、なかなか予想できない気候が続いているので、気温に合わせて重ね着したり、薄手のアイテムを合わせたりと、調整しやすいアイテムにしたのもポイントです。秋は薄手のカットソーを合わせ、寒くなればタートルネックニットを合わせるなど、ぜひ長いシーズンでご着用ください。

イージーパンツはとにかく暖かく、秋冬にたくさん履きたい楽ちんシルエットに。シンプルなトップスと合わせてパンツの存在感を引き立てたり、ざっくりしたニットに合わせてほっこりしたコーディネートにしたりと、合わせるアイテムで印象ががらりと変わります。おしりのポケットの毛並みを横に配しているのがポイントです。

素材自体が呼吸をしているような、気持ちの良さがある麻のお洋服。たくさん着ると風合いが育っていくので、ぜひ着まわしながら愛用いただけると嬉しいです。

「中川政七商店の麻」シリーズ:

江戸時代に麻の商いからはじまり、300余年、麻とともに歩んできた中川政七商店。私たちだからこそ伝えられる麻の魅力を届けたいと、麻の魅力を活かして作るアパレルシリーズ「中川政七商店の麻」を展開しています。本記事ではその中でも、「四季折々の麻」をコンセプトに、毎月、その時季にぴったりな素材を選んで展開している洋服をご紹介します。

ご紹介した人:

中川政七商店 デザイナー 杉浦葉子

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