日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
語り手:高倉 泰
中川政七商店主催の展示会「大日本市」のディレクター。 日本各地の作り手と一緒に展示会やイベントを作りあげる。 古いものを生かした生活が好きで、奈良で築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らしています。山形県出身。風呂好き。日本酒ナビゲーター認定者。ブランド:SHUKA
推しの逸品:SHUKAの4種の菓子
種と糖だけでつくる、人の手を入れすぎない控えめな、でも満ち足りたお菓子。自然がもつ生命力をそのままに、身体にいただく、そんなお菓子を目指しています。種や果実が持つ色や形を活かし、優しい甘みを添えて。自然と人、そのあいだ、SHUKA。
年にいくつものブランドデビューに伴走しますが、この10月にデビューしたばかりの菓子ブランドをご紹介します。
その名も、「SHUKA」。
素材となる種の個性を活かしきった菓子です。
手がけるのは、京都の老舗甘納豆屋、斗六屋。
「砂糖漬け」と呼ばれる甘納豆づくりで用いる古来の食品保存技術を活かしつつ、素材には従来の小豆や斗六豆の他、カカオやピスタチオなどのグローバルに愛される種も採用。
ほっとする味でありながら、新食感。新たな菓子ブランドが生まれました。
楽しいのは、それぞれの香りや味をありのままに味わえること。
僕はワインやウイスキーなど洋酒を飲むときに、ナッツをよく食べます。素朴な味わいがとてもよくて、飽きないんですが、お酒によってはもの足りないと思うことがありました。
一方で「SHUKA」の種を食べてみると、風味が活かされてそれぞれの個性が際立ってきました。
形や色だけでなく種の食感を程よく残しているため、素材の個性をまるごと味わえます。言わばアルデンテな”種感”のある噛みごたえが特徴です。
また、砂糖を足すことで、ひたすら甘くなってしまうのかと言うと、それも違います。
精製前のきび糖や和三盆糖、有機ココナッツシュガーなど、甘みだけでなく風味も大切にして種ごとに合うものを職人がセレクト。程よい甘みが、種の風味を引き立てています。
一番特徴的だったのは「カカオ」。チョコレートとは違う独特の香りがくせになります。口の中で広がる甘みと酸味が、赤ワインにもスコッチにも相性良し。
普段からピスタチオも好きで食べますが、SHUKAの「ピスタチオ」はコクと風味が増して、一粒でも食べごたえがあり、ピスタチオ好きを唸らせる味に仕上がってます。
そんな個性的な面々に対して、「斗六豆」・「瑞穂大納言小豆」の安心感。結局毎日食べたいのはこれかな、とも思います。
「斗六豆」は、栗のようにホクホクとした食感に和三盆の風味を添えた、上品で繊細な味わい。「瑞穂大納言小豆」は、噛むほどに小豆の風味が広がり、滋味深い味わいです。
保存料や着色料などの余計なものは一切使わずシンプルに仕上げていながら、常温でも数ヶ月ほど日持ちするため、お土産や贈りものにもおすすめです。
私達は工芸の定義を「風土と人がつくるもの」としています。
土地ごとの自然や文化を背景に、つくり手達が培った技術で丁寧につくられています。
SHUKAのものづくりはまさに「工芸的」。素材の良さを高度な技術で引き出し、それぞれの魅力を際立たせます。
種の可能性を甘納豆の技術で引き出した「SHUKA」
それぞれの味わいを食べ比べて楽しむのがお勧めです!
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