自分の分まで欲しくなる、かわいいお年玉袋・ぽち袋

こんにちは。さんち編集部の井上麻那巳です。
子どもにとってのお正月の大イベント、お年玉。小さなポチ袋を手に、今年はお年玉で何を買おうかとワクワク悩んでいる姿は微笑ましいものです。ところでぽち袋の「ぽち」とはもともと関西弁で「心づけ、祝儀」の意味。大人同士でもちょっとしたお礼やお心づけに使えるので、素敵なものを手元に置いておくと意外と便利です。そんなお年玉袋・ぽち袋、近頃では色々なデザインのものが出回っていますが、ついつい自分の分まで欲しくなってしまう、ちょっと上質なものを集めました。

KIOKUGAMI 和菓紙三昧(わがしざんまい)の和菓子型から生まれたぽち袋

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芸術家・永田哲也さんによるアートプロジェクト、KIOKUGAMI 和菓紙三昧(わがしざんまい)から生まれたポチ袋です。思わず触りたくなる大胆なエンボスは和菓子の木型によるもの。古くから祝いの気持ちを託し、鶴や亀、松竹梅など、縁起のいい動物や植物をモチーフにつくられてきた和菓子ですが、それらの型が持つ「記憶」を紙を媒体にして写し取ることから「記憶の紙」と呼んでいるそうです。この大胆なエンボスを実現するのは「西の内紙(にしのうちがみ)」と呼ばれる手漉きの和紙。独特の光沢と強くしなやかな風合いは茨城県から生まれています。

TESUKI paper worksの手染め、手漉き和紙の状袋(じょうぶくろ)

左から、墨+雲母(うんも)、群青(ぐんじょう)、柿渋(かきしぶ)、黄土(おうど)+雲母、胡粉(ごふん)+雲母。
左から、墨+雲母(うんも)、群青(ぐんじょう)、柿渋(かきしぶ)、黄土(おうど)+雲母、胡粉(ごふん)+雲母。
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ひとつひとつ表面の質感が違います。
ひとつひとつ表面の質感が違います。

鹿児島で活動するTESUKI paper worksによる手染め、手漉き和紙の状袋(じょうぶくろ)です。状袋とは古い言葉で封筒のこと。あえて状袋と名付けられたこの封筒は、名前の通り昔ながらの製法を大切につくられています。原料の煮熟(しゃじゅく)から紙漉き、染めまでひとつひとつが手作業。こんにゃく引き、藍泥染、柿渋染など全て天然素材から染められ、しっとり落ち着いた色合いとアンティークのような質感は、これぞ大人のポチ袋にぴったりです。

真工芸(しんこうげい)の十二支ぽち袋

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飛騨高山に工房を持つ真工芸(しんこうげい)からぽち袋をご紹介します。木版手染のぬいぐるみが人気の真工藝ですが、なんとも言えない愛らしいぬいぐるみの表情がそのままぽち袋にデザインされています。厚めのふっくらした和紙に鮮やかな色使いがかわいらしい雰囲気です。

自分の名前に入っている「巳」はついついひいきしてしまう。
自分の名前に入っている「巳」はついついひいきしてしまう。

高橋工房の北斎漫画ぽち袋

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創業安政年間の高橋工房によるぽち袋です。図案はご存知、葛飾北斎の「北斎漫画」。葛飾北斎といえば「冨嶽三十六景」が代表作として広く知られていますが、この「北斎漫画」も江戸の当時から現在にいたるまで多くのファンを生み、いわば絵の百科事典として親しまれています。男性でも使いやすい渋いぽち袋です。

竹尾と中川政七商店の万葉集入れ子ぽち袋

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紙の専門商社竹尾と中川政七商店によるコラボ商品。竹尾取り扱いの紙の中から発色の美しいNTラシャを使い、奈良時代に詠まれた万葉集の歌から連想された色がぽち袋に仕立てられています。シンプルなのでグラデーションが美しく映え、使うのももったいないほど。老舗の二社が時を入れ子のようにコツコツとかさね、これからもかさね続けていくというイメージで入れ子のデザインとなっています。ひとつひとつにメッセージカードが付いているので、一筆添えてお渡しできるのもうれしい。

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<掲載商品>

和菓紙三昧
お飾りぽち袋

TESUKI paper works
状袋(じょうぶくろ)

飛騨高山 真工芸
十二支ぽち袋

高橋工房北斎漫画ぽち袋

中川政七商店竹尾 入れ子 ぽち

文・写真:井上麻那巳

100年後の工芸のために。絶滅危惧の素材と道具 「NEXT100年」

こんにちは。さんち編集部の井上麻那巳です。
日本の手しごとが見直されつつある昨今、2016年10月22日より2017年1月29日まで “21世紀鷹峯フォーラムin東京「工芸を体感する100日間」” が開催されています。2015年に京都でスタートしたこの試みは、今年2016年は東京で、2017年は金沢での開催を予定しています。

今回はその中で、12月13日に行われたイベント “絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」” へ行ってきました。

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「100年後の工芸のために」を合言葉に企画、運営されている “21世紀鷹峯フォーラム”。国内外の現代の生活の中に工芸が行き渡るために、よき使い手とよき鑑賞者を生みだし、よいものをつくり続けるための支援を中心に展開されています。 “絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」” では、まさに今途絶えようとしている日本各地の工芸に使われる素材と道具がそれぞれの当事者によるライトニングトーク形式で紹介されました。

漆器づくりに欠かせない道具、漆刷毛。
漆器づくりに欠かせない道具、漆刷毛。
復活を目指して動き出しているという織機の部品、竹筬(たけおさ)。
復活を目指して動き出しているという織機の部品、竹筬(たけおさ)。

「絶滅危惧」というタイトルだけあり、紹介された素材・道具は漆、綿、刺繍針から日本画の絵の具で使用する膠(にかわ)、友禅や絞り染の下絵に使用するあおばな紙、織物の機(はた)の一部品、筬(おさ)まで、工芸関係者でも目にしたことがないような裏方の素材・道具たちが多く、ひとつひとつの取り組みが興味深いものでした。

江戸時代から300年の歴史を持つ伯州綿。
江戸時代から300年の歴史を持つ伯州綿。
伯州綿の種も配布していました。
伯州綿の種も配布していました。
美しい天然顔料。
美しい天然顔料。

当たり前のことではありますが、ものを作るには道具が必要です。私たちが普段使っているものたち。机の上のマグカップも、座っている椅子も、今着ている洋服も、それを作るための道具があってはじめて生み出されています。ひとつひとつは小さな工程や小さな道具でも、たとえそれがひとつでも欠けてしまうと、同じものは作れなくなり、その産業は続けられなくなってしまう。日本の工芸産地はひとりも欠くことのできないリレーのように成り立っています。

桶仕込み保存会のセイラ・マリ・カミングスさん。
桶仕込み保存会のセーラ・マリ・カミングスさん。

お世辞にも華やかとは言えない業界だけれど、間違いなく現在の日本の工芸を支える作り手たちの生の声。縁の下の力持ちのその声は、今にも尽きてしまいそうな産業でも希望を持って未来を拓いていく気概に満ちていました。「日本の工芸を元気にする!」、「あなたと全国の工芸産地をつなぐ」だなんて、時に “負け戦” とも言われる活動をしている私たちも改めて勇気をもらいました。

一方で、まだまだこういった催しに参加しているのは工芸関係者が多いのが現状です。ものがいくら良くてもその良さが伝わらなくてはないものと同じ。100年後の工芸のために私たちができることを改めて考えさせられた1日でした。

21世紀 鷹峯フォーラム

文・写真:井上麻那巳

【はたらくをはなそう】卸売課 課長 高倉泰

高倉泰
卸売課課長 兼 日本市ブランドユニット

2014年入社
卸売課にて受注・出荷業務、オリジナル商品の企画、催事・展示会開催を担当。
2016年課長着任
300周年博覧会にて会場構成と商品開発コンサルティングを担当。
日本市BUとしてお土産もののコンサルティングも担当しています。

「はたらく」ということが何かを考えると、
なんらかの「価値をつくる」という答えがしっくりきます。
それは誰かのためになるということで、
自分が「はたらく」ことで社会と関わっていると感じます。

自分本位の私ではありましたが、
一緒にはたらく仲間や、仕事を依頼頂いた方々、
商品を作って頂いている方々と、考えや喜びを共有することが、
楽しくて嬉しいものだな、と少しずつ感じるようになってきました。
「はたらく」うえで、関わる人に良い影響を与えたい、
という想いは忘れずにいたいものです。

日々、はたらく上で大切にしているのは「前を向くこと」。
これは中川政七商店で「はたらく」上での行動指針をまとめた、
「中川政七商店のこころば」の中の言葉の一つです。
私の場合もう少し噛み砕くと、「困っても困らないこと」。

正直、はたらいていると困ることばかりです。
困った困ったと下を向いていても解決しないし、楽しくありません。
どんな難題も、真摯に向き合えば解決しない問題はない。
と思い込んで行動できるかどうか。

だから、一緒にはたらく方々と意見を出し合って、
良い案が出た瞬間が最も楽しいかもしれませんね。
曇り空に光が差し込んでくるイメージです。

東京から奈良に来て2年が経ちました。
小さくも大きな変化は、
月曜日を迎えるのが苦ではなくなったことかもしれません(笑)。
と言うと家族に誤解を与えそうですので弁解しますが、日曜日もとても楽しく、
家族の支えがあって「はたらく」を楽しめていることを最後に加えさせて頂きます。

【はたらくをはなそう】中川政七商店デザイナー 渡瀬聡志

渡瀬聡志
(中川政七商店BU デザイナー/ 花園樹斎 ブランドマネージャー)

2014年入社。
中途入社し商品企画課 デザイナーとして勤務。
現在は中川政七商店ブランドのデザイナー、花園樹斎ブランドマネージャーを兼任。

生活に根付いた道具、雑貨が好きで、
2年前に文房具メーカーから中川政七商店に転職しました。

中川政七商店で扱う品は多岐にわたり、
スプーンから歯ブラシ、植物まで、生活にまつわる様々なものを企画できます。
雑貨が大好きな私はそれだけでとても楽しいのですが、
加えてここには、それを練り上げていける感性の近い仲間と、共感して形にしてくれるつくり手がいます。
シンプルながら、これらが揃うものづくりの環境はとても恵まれていると感じています。

多種多様なものと向き合う毎日ですが、
ものを作るときは、最大限に自分ごととして捉えるよう努力しています。
それを誰よりも好きになって、一番詳しくなれるように。
一番のものさしを自分自身にして、本当にこれを欲しいのか、自問自答します。
調べて、考えて、あーだこうだ揉んで、腑に落ちるところまで落とし込む。
ギリギリまでやって出来上がったものが、
自分の家と誰かの家に置いてあったら、それが本懐です。

今年はものづくりに携わって10年目。
次の10年、その先も、好きなものを、好きな人たちと、楽しく作り続けていられたら最高です。

【はたらくをはなそう】日本市店長 新井あずさ

新井あずさ
(日本市 博多デイトス店店長)
2009年、遊 中川 六本木ミッドタウン店スタッフとして入社
2011年 遊 中川 横浜タカシマヤ店店長
2014年 日本市 博多デイトス店店長

私が日々仕事をする上で大切にしているのは「想像力」です。
自分の話した言葉で相手がどう思うのか。
表情を見てどう感じるのか。
ここに並べることでどんな風に手にとってもらえるのか。
ここに置きっ放しにすることで何が起こるのか。
忘れてしまうことで誰にどんな迷惑をかけるのか。
細かいことを言い出したらきりがありません。

楽しい想像や自分に都合のよいことばかりではありませんが
そこから自分のするべきことがさらに想像できます。
必ずその先には結果があります。
楽しくリラックスしてお買い物を楽しんでいただける。
贈られた方が喜んでくださる。
スムーズに作業が進む。
大事な仕事を覚え身につけてもらえる。
もちろん想像通りになることばかりではなく
失敗することもあります。
でも、さらにそこから想像できる範囲がひろがり
同じ失敗をせずにすむようになります。

毎日の自分の小さな仕事一つ一つが
お客様やスタッフ、お取引さまのお役に立てることを想像しながらそれを原動力に、
これからも楽しくはたらきたいと思っています。

【はたらくをはなそう】日本市ブランドマネージャー 吉岡聖貴

吉岡聖貴
(日本市ブランドマネージャー)

2013年入社。
小売課スーパーバイザー、オペレーションマネージャーを経て、
2014年日本市ブランドマネージャーに就任。
薫玉堂のコンサルティングアシスタントも担当しています。

生まれ故郷の九州から奈良へ引っ越してきた2年半前、
当時はあんなに関西の食や方言が憂鬱だったのに、
今ではすっかりその暮らしを楽しむ毎日を過ごしているなと
思うと、自分の順応ぶりにびっくりします。

社会人になり、いろんな方と一緒にお仕事をする中で思うのは、
強いチームには沢山の共有知が存在するということです。
それはつまり、改めて口にしなくてもわかっている「何か」を
互いに共有しているということ。

「同じ釜の飯を食う」という言葉がありますが、
語り合い、感じ、体験を共有する時間を重ねることで
知らないうちにいろんな暗黙知が生まれていて、
それが仕事の成果に繋がったのかなと感じることが
今までにも幾度となくありました。

なので、私が仕事で大切にしているのは、
一緒に働くみんなとのコンテクスト(共有知)を育むこと。
尊敬する象設計集団の言葉です。

中川政七商店の社員、そして、これまでとこれから関わる
日本全国いろんな地域の皆さんとの繋がりを大切に、
困った時には助け合いながら、
時には美味しいご飯を食べながら(笑)、
10年先も繋がっていられるようなチームでありたいと思います。