暑さにも寒さにも強い植物、「アデニウム アラビカム」がピンクの花を咲かせる時期です

塊根植物ブームを作ったと言われる、アデニウム アラビカム。
この時期、7月に入るとピンク色の花が咲き出します。

別の名で「砂漠のバラ」と呼ばれるアデニウムですが、なぜそう呼ばれるようになったのでしょう。
その訳を聞きに、世界を舞台に活躍するプラントハンター、「そら植物園」の西畠清順さんを訪ねました。

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7月 砂漠のバラ「アデニウム」

西畠清順さん アデニウム

— 以下、西畠清順さん

「ぽってりとした形が可愛らしいでしょう。アデニウムは塊根(かいこん)植物と言って、根や幹が養分を蓄えて大きなかたまりのように太る植物の一種です。中でもこれはアラビア半島の乾燥した荒れ地が原生地の、アラビカムという品種。

もともと日本に入ってきていたのは寒さに弱い品種で、印象もこれといって強く残っていなかったんです。ところがイエメンに初めて行った時、乾いた砂の、何の色もない荒野でピカッと冴えるように咲いている花を見つけました。それがこのアデニウム・アラビカムです。

一帯は今では戦地となって入ることの難しい荒地です。殺伐とした無味乾燥の大地に素朴なピンク色の花が咲いている。感動しました。なんて美しい花なんだろうって。

ぷっくりとした姿も面白いし、この『砂漠のバラ』を世間に訴えてみたいと動き出したのがちょうど6年前くらいだったかな。暑さはもちろん寒さにも強くて育てやすかったのも受けて、一気に人気になりました。日本での塊根植物ブームのきっかけになった植物です。

現地では樹齢数百年くらいの大きな株もあって、高さ4メートル、直径にすると2.5メートルくらいまで成長します。この鉢はいわばミニチュア版。盆栽のように、小さくても形になるところが気に入っています。小さい方が年齢にして4歳くらい。僕の叔父が種から育てたものです。大きい方は5・6歳。より温暖な台湾で育てているので育ちが早いんです。

もともと暑くて乾燥した砂漠生まれの植物なので、育て始めるにはこれからの季節がぴったりです。留守しがちな人でも日当たりさえあれば大丈夫ですよ。ぜひあのイエメンで見た、目の覚めるような『砂漠のバラ』のピンク色を楽しんでもらいたいです」


日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねる「プラントハンター西畠清順に教わる、日本の園芸 十二ヶ月」。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けしています。

7月の植物は、アデニウム。

もうすぐ中川政七商店でも販売を始めます。ぜひ、「砂漠のバラ」のピンク色をご覧ください。

<掲載商品>

花園樹斎
・常滑植木鉢、常滑鉢皿
・7月の季節鉢 ミニアデニウム(鉢とのセット。店舗販売限定)

季節鉢は以下のお店で取り扱い予定です。
 中川政七商店全店
 (東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
 *商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

——


西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。2012 年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、国内外含め、多数の企業、団体、行政機関、プロの植物業者等からの依頼に答え、さまざまなプロジェクトを各地で展開、反響を呼んでいる。
著書に「教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント」(徳間書店)、 「そらみみ植物園」(東京書籍)、「はつみみ植物園」(東京書籍)など。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

*こちらは、2017年7月の記事を再編集して掲載しました。清順さんが感動したという「砂漠のバラ」が、ピンクの花を咲かせる時期です。
*プロフィールを最新のものに修正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

1月 新しい年のゲン担ぎ。豆盆栽「金豆」

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

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紅白の梅、思いのまま

12月の松に続き、今月もおめでたい植物が続きます。「思いのまま」とは、実は梅の品種名なんです。

「一本の木に紅白の花を、好きな場所に、好きなだけ咲かせます。まさに思いのまま。非常にユニークで、面白い木ですよね」

梅 思いのまま

「古い植木屋さんから聞いた話では、高貴な身分の方が、その立場ゆえに不自由な暮らしの中で、もっと思いのままになればいいのに、と好んで育てていたとも言われています」

もともと自然界にある品種ではなく、人の手で交配を重ねて生み出した園芸品種だそうです。咲き方は鉢によっても異なり、咲いてみるまでわからないとのこと。

まさに名が体をぴったりと言い当てています。

今月のもうひとつの季節鉢「金豆」も、名前に物語のある植物。キンズ、と読むそうです。

縁起を呼び込む豆盆栽、金豆

全体像

金、の字は金柑の仲間であることもあるようですが、もうひとつ、縁起を担いだいわれがあります。

「黄色く熟した果実がまるで『金の豆』に見えることから、縁起のよいものとして重宝されてきた植物です」

熟す前はこんなに青々としていますが‥‥
熟す前はこんなに青々としていますが‥‥
黄金色に輝いて見える?完熟した金豆の実。ちなみに食べられません
黄金色に輝いて見える?完熟した金豆の実。ちなみに食べられません

「また、豆という名前はだいたい小さいサイズの植物につきます。柿でも、豆柿とか言いますね。

小ぶりで可愛らしいので、豆盆栽の素材として園芸好きにも好まれています」

豆盆栽。なんとも愛らしい響きです。

黄色い実を金色の縁起ものに見立てたり、小ささを「豆」に例えたり、植物の生き様を名前に込めてみたり。

見る、育てるに加えて、植物の名前に親しむのも、ひとつの楽しみになりそうです。

「それじゃあ、また」

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・1月の季節鉢「梅 思いのまま」「金豆」(それぞれ鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
中川政七商店全店
(東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
遊 中川 本店
遊 中川 横浜タカシマヤ店
*商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

——


西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
そら植物園(株)代表取締役社長。21歳より日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラントハンターとしてキャリアをスタートさせ、今では年間250トンもの植物を輸出入し、日本はもとより海外の貴族や王族、植物園、政府機関、企業などに届けている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動・そら植物園を設立し、名前を公表して活動を開始。初プロジェクトとなる「共存」をテーマにした、世界各国の植物が森を形成している代々木ヴィレッジの庭を手掛け、その後の都会の緑化事業に大きな影響を与えた。
2017年12月には、開港150年を迎える神戸にて、人類史上最大の生命輸送プロジェクトである「めざせ!世界一のクリスマスツリープロジェクト」を開催した。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。
文・写真:尾島可奈子

12月「松ぼっくり松」でハレの日の景色を飾る

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

日本の歳時記には植物が欠かせません。春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り、新年の門松。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

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親子の共演「松ぼっくり松」

今年もいつの間にかあと1ヶ月を切り、気持ちは少しずつ新しい年へ。そんな時にはやはり、おめでたいこの植物が似合います。

松ぼっくり松

「お正月に向けて、12月は松を2種類選びました。松は長生きで、常に緑を絶やさずにいることから生命力の象徴として縁起物にされてきたんですね。

この『松ぼっくり松』は、生まれたばかりの1年生です。

松ぼっくりから松が生えています!
松ぼっくりから松が生えています!

松ぼっくりは別名を松笠と言うのですが、笠のような中に松の種子が眠っていて、落ちた笠から新しい松が生えてくるという、その景色を鉢に仕立てたものです。親から子に命がつながる瞬間を見られるのは、面白いですよね」

黒松 結び仕上げ

「この『結び仕上げ』の黒松もまだ若いです。若い松にはしなやかさがあって、形に自由がきくんですよ」

途中で幹がぐるりと円を描いています
途中で幹がぐるりと円を描いています

「古くから、枝ぶりが根元より下へと伸びているものは懸崖 (けんがい) と言って風情があるとか、“こういう形をしている松は縁起がいい”とか、松の姿には様々ないわれがあります。

ただ伸ばしっきりではなくて、幹に変化を加えることによって、一気に松自体に存在感や個性が出てくるんです。それで昔から、若い松をこうして仕立てることが好まれてきました」

松の個性が新年を華やかに彩ります
松の個性が新年を華やかに彩ります

風景を引き立てる苔

これまで1年にわたって、清順さんに季節ごとの植物を紹介してもらいましたが、松の季節鉢だけ、根元が苔で覆われています。一体なぜなのでしょう‥‥?

松ぼっくり松

「松と苔は相性がいいんです。『松ぼっくり松』も『黒松 結び仕上げ』も、小さな植木鉢の中に風景を取り入れていますね。その足元に苔をあしらうことで、さらに世界観が出るんです。まるで苔庭のようにね」

黒松 結び仕上げには縁起の良い郷土玩具フィギュアが付いています。まるで庭を走っているよう
黒松 結び仕上げには縁起の良い郷土玩具フィギュアが付いています。まるで庭を走っているよう

自分のそばにある植物を、何かに見立てて景色を楽しむ。そんな昔から行われてきた小さな工夫が、脈々とこの植木鉢に息づいています。

ゆく年を振り返り、来る年に向け気持ちを新たにする。ちょっと変わった姿をした二つの松は、背景を知ると一層、今の時期にふさわしいひと鉢に思えてきました。

「それじゃあ、また来年に」

来年も植物に親しむ豊かな1年でありますように。

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・1月の季節鉢「黒松 結び仕立て」「松ぼっくり松」(それぞれ鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
 中川政七商店全店
 (東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
 遊 中川 本店 
 遊 中川 横浜タカシマヤ店
 *商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
そら植物園(株)代表取締役社長。21歳より日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラントハンターとしてキャリアをスタートさせ、今では年間250トンもの植物を輸出入し、日本はもとより海外の貴族や王族、植物園、政府機関、企業などに届けている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動・そら植物園を設立し、名前を公表して活動を開始。初プロジェクトとなる「共存」をテーマにした、世界各国の植物が森を形成している代々木ヴィレッジの庭を手掛け、その後の都会の緑化事業に大きな影響を与えた。
2017年12月、開港150年を迎える神戸にて、人類史上最大の生命輸送プロジェクトである「めざせ!世界一のクリスマスツリープロジェクト」を開催中。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

文:尾島可奈子

11月 美しい織物のような「天鵞絨杉」

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

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◇美しい織物のような「天鵞絨杉」

先月、時代背景によって庭の様式も、植物を愛でる文化も変わっていくという話をしましたが、日本庭園のはじまりは池泉回遊式と言ってね、巨大な池を作って周りを歩いて楽しむという庭なんです。

それがある時期から、池泉回遊式よりも小さくて手間がかからない「枯山水」が流行りだします。

ひとつの大きな要因といえば、応仁の乱です。11年も続いた大戦です。大名たちも財力を使い果たして、日本全体にお金がない時代がやってきます。

お金はないけれど、景色は楽しみたい。そこでメンテナンスの手間もお金もかからない、経済的な庭が欲しいとなって、禅の思想と相まって枯山水が登場してくるんです。

枯山水が石と砂だけで景色を表現したように、こうした「見立て」は植物によくあります。

今月の植物のひとつに選んだ天鵞絨 (びろうど) 杉は、その名の通り織物のビロードが名前の由来。

美しい葉の様子

美しく輝く葉色が、江戸時代に高級織物として大名たちをうならせた「有線天鵞絨(ゆうせんびろうど)」のようだとその名がつけられたんですね。

今月の植物に選んだもう一種類である、矮性の「紺杉」と比べると、その質感の違いがよりわかるかと思います。

左が天鵞絨杉、右が紺杉。紺杉はまるで花火のように広がっている可愛らしい葉と細かい枝、柔らかな色味が特徴です
左が天鵞絨杉、右が紺杉。紺杉はまるで花火のように広がっている可愛らしい葉と細かい枝、柔らかな色味が特徴です

ちょっと気がはやいですがクリスマスの時期にも似合う植物です。小さいけれど飾ると空間が凛とした空気になりますよ。

それじゃあ、また来月に。

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・10月の季節鉢 杉(鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
 中川政七商店全店
 (東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
 遊 中川 本店 
 遊 中川 横浜タカシマヤ店
 *商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
そら植物園(株)代表取締役社長。21歳より日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集するプラントハンターとしてキャリアをスタートさせ、今では年間250トンもの植物を輸出入し、日本はもとより海外の貴族や王族、植物園、政府機関、企業などに届けている。
2012年、ひとの心に植物を植える活動・そら植物園を設立し、名前を公表して活動を開始。初プロジェクトとなる「共存」をテーマにした、世界各国の植物が森を形成している代々木ヴィレッジの庭を手掛け、その後の都会の緑化事業に大きな影響を与えた。
2017年12月には、開港150年を迎える神戸にて、人類史上最大の生命輸送プロジェクトである「めざせ!世界一のクリスマスツリープロジェクト」を開催する。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

文:尾島可奈子

10月 ベランダに秋を告げる「ダルマホトトギス」

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

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◇10月 ベランダに秋を告げる「ダルマホトトギス」

10月はダルマホトトギス。秋を告げる山野草の一種なのですが、夏鳥である「ホトトギス」の名前が付いているのは、花の斑点が胸の模様に似ているところからつけられているそうです。

「ダルマ」の由来はその葉の形から。ぷっくりとした丸い葉を見立てたのですね。育っても大きくはならないのが特徴で、9月下旬〜10月にかけて赤紫色の花を咲かせます。

「ホトトギス」の名前の由来となった斑点が鮮やかです (写真:夏海)
「ホトトギス」の名前の由来となった斑点が鮮やかです (写真:夏海)

この連載で、ダルマホトトギスがなぜ10月の季節鉢に選ばれたのか、だんだん私にもわかってきました。時々清順さんが語られる、日本人が昔から愛し育ててきた「ミニマルな世界観」が、宿っているようにも思うのです。

ぷっくりとした葉が立体的でかわいらしい。小ぶりな鉢植えが似合います
ぷっくりとした葉が立体的でかわいらしい。小ぶりな鉢植えが似合います

「坪庭文化や盆栽のような、小さな空間で植物を愛でる文化は江戸時代に発達しました。なぜ生まれたのか。本当ならお殿様は、外で雄大な景色を楽しみたいわけですよね。ところが城から一歩外に出たら、命を狙われるかもしれない。

塀に囲われた自分の敷地の中にどれだけ雄大な景色を持たせるかを考えた時に、本来なら大きく育ててこそかっこよくなる松を、剪定して剪定して、小さな世界で愛でたんです。だから盆栽が生まれた。狭い空間の中に、雄大な景色を見ていたんですね。

かたや、ヨーロッパの貴族のお城は、広大な土地をどうやって埋めるかでしょう。まったく視点が逆なんです。時代ごとの背景によってその庭の様式も、植物を愛でる文化も変わっていきます。

じゃあ現代はどうかというと、一軒家よりも庭のないマンションに住む人が増えていますよね。けれど本格的な盆栽をじっくり育てる時間もなかなかない。だから今の暮らしには、こういうミニマルな世界観を持ちながら手軽に育てられるような植物が、ぴったりだと思っています。

それじゃあ、また来月に」

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・10月の季節鉢 ダルマホトトギス(鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
 中川政七商店全店
 (東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
 遊 中川 本店 
 遊 中川 横浜タカシマヤ店
 *商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目であり、そら植物園 (株) 代表取締役社長。
日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。国内外含め、多数の企業、団体、行政機関、プロの植物業者等からの依頼に答え、さまざまなプロジェクトを各地で展開、反響を呼んでいる。
著書に「教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント」 (徳間書店) 、「そらみみ植物園」 (東京書籍) 、「はつみみ植物園」 (東京書籍) など。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

文:尾島可奈子

9月 葉の美しさを競う「ソング オブ サイアム」

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。
日本の歳時記には植物が欠かせません。新年の門松、春のお花見、梅雨のアジサイ、秋の紅葉狩り。見るだけでなく、もっとそばで、自分で気に入った植物を上手に育てられたら。

そんな思いから、世界を舞台に活躍する目利きのプラントハンター、西畠清順 (にしはた・せいじゅん) さんを訪ねました。インタビューは、清順さん監修の植物ブランド「花園樹斎」の、月替わりの「季節鉢」をはなしのタネに。

植物と暮らすための具体的なアドバイスから、古今東西の植物のはなし、プラントハンターとしての日々の舞台裏まで、清順さんならではの植物トークを月替わりでお届けします。

9月はソング オブ サイアム。どこかエキゾチックな名前ですが、秋の入り口、ブライダルシーズンも始まるこの時期にぴったりの植物なのだそうです。今回も清順さんが代表を務める「そら植物園」のインフォメーションセンターがある、代々木VILLAGEにてお話を伺いました。

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◇9月 葉の美しさを競う「ソング オブ サイアム」

ソング オブ サイアムはドラセナという植物の一種で、世界でもそら植物園でしか扱いのないオリジナルの植物です。

4月に紹介したオリーブが平和の象徴であるのは有名ですが、ドラセナ類も古くからいろいろな民族にとって幸福の象徴とされていて、例えばポリネシアの人たちは庭の玄関の前に植えたりします。

縁起が良くて育てやすいので、ドラセナは観葉植物として世界的に人気です。中でも知名度が高いのが、ソング オブ インディアとソング オブ ジャマイカ。サイアムは、ここ10年で発見された新種なんです。実は俺が命名しました。

ソング オブ サイアムを手元に寄せる清順さん

どこで見つかったかというと、タイの王族が管理する植物園の中。突然変異から生まれたんですね。俺がその王族の方から譲り受けることになって、ソング オブ サイアムと名付けました。サイアムは、タイの古い呼び名なんです。

インディアは黄色、ジャマイカは緑色なのに対して、サイアムはちょうどその中間。斑入りの葉色がなんとも美しいです。ちょっと置いておくだけでもかっこいいんですよ。

ベランダに置いてある様子

日本では江戸時代後期に、こうした葉に特徴のある植物が愛好家の間で爆発的な人気になって、葉の形や模様を愛でる「葉芸 (はげい) 」が流行したと言われています。

キリッとしたソングオブサイアムの葉っぱ

ヨーロッパで植物を愛でる時には、だいたい花や香りを楽しむんですね。葉の表情を鑑賞するというのは、日本独特の価値観です。

そんな葉芸の風情を楽しんで欲しくて、今月の植物に選びました。育てやすくて何より幸福の象徴なので、ブライダルの時期に向けて、結婚のお祝いに贈ってもいいですね。

それじゃあ、また来月に。

<掲載商品>

花園樹斎
植木鉢・鉢皿

・9月の季節鉢 ソング オブ サイアム(鉢とのセット。店頭販売限定)

季節鉢は以下のお店でお手に取っていただけます。
中川政七商店全店
(東京ミッドタウン店・ジェイアール名古屋タカシマヤ店・阪神梅田本店は除く)
遊 中川 本店
遊 中川 横浜タカシマヤ店
*商品の在庫は各店舗へお問い合わせください

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西畠 清順
プラントハンター/そら植物園 代表
花園樹斎 植物監修
http://from-sora.com/

幕末より150年続く花と植木の卸問屋「花宇」の五代目。
日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。

2012 年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、国内外含め、多数の企業、団体、行政機関、プロの植物業者等からの依頼に答え、さまざまなプロジェクトを各地で展開、反響を呼んでいる。
著書に「教えてくれたのは、植物でした 人生を花やかにするヒント」(徳間書店)、 「そらみみ植物園」(東京書籍)、「はつみみ植物園」(東京書籍)など。


花園樹斎
http://kaenjusai.jp/

「“お持ち帰り”したい、日本の園芸」がコンセプトの植物ブランド。目利きのプラントハンター西畠清順が見出す極上の植物と創業三百年の老舗 中川政七商店のプロデュースする工芸が出会い、日本の園芸文化の楽しさの再構築を目指す。日本の四季や日本を感じさせる植物。植物を丁寧に育てるための道具、美しく飾るための道具。持ち帰りや贈り物に適したパッケージ。忘れられていた日本の園芸文化を新しいかたちで発信する。

文・写真:尾島可奈子