【あの人が買ったメイドインニッポン】#38 発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが“最近買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。初回は「最近買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[小倉ヒラクさんの愛着トーク]
・自身の不調が発酵について学ぶきっかけに
・発酵には、体の基礎体力をつくる力がある
・山梨暮らしの魅力は、「用事」の世界を知れたこと
・最近買ったのは、「小牧公平さんのワイングラス」
・持ち手がゆがんでいることで、飲みやすい
・不均一なので、口をつける場所によって飲む体験が変わる
・じつは何にでも対応する酒器は、分厚いガラスのコップ

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小倉ヒラクさんが最近買ったメイドインニッポン

小倉ヒラクさんが“最近買った”メイドインニッポンは、「小牧公平さんのワイングラス」でした。


ゲストプロフィール

小倉ヒラク

東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市に発酵ラボをつくる。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。「手前みそのうた」でグッドデザイン賞2014を受賞。著書に『発酵文化人類学』(角川文庫)、『アジア発酵紀行』(文藝春秋)等。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんにお話いただきます。6/14(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

【心地好い暮らしを訪ねて】#1 ひとともり・長坂純明さん、知子さん

年を重ねるごとに、家の中での過ごしかたをどう心地好いものにするか、が大きな関心事になってきました。誰かの家にお邪魔することで、暮らしが少しずつアップデートされているようにも。参考に取り入れてみては濾過され、我が家だけの暮らしが積み上がっていく。そんなことが楽しくて仕方ないな、と感じています。
そこでこの連載では、奈良に住む皆さんのご自宅にお邪魔しながら、その人ならではの心地好い暮らしをお届けします。

今回訪ねたのは、奈良に拠点をおき「建築・旅・健康」を軸とした3つの事業を展開する、「ひとともり」の長坂純明さんと知子さん。純明さんは、住宅やホテルなどの設計を通して美しい日常の提案を。知子さんは、ヴィ―ガンカフェ「生姜足湯休憩所」を運営しています。私生活ではどのように心地好い暮らしを実践されているのか、お聞きしました。
心地好い暮らしを積み重ねるヒントを見つけていきたいと思います。

すこやかな空間と健康的な食事で、こころと暮らしをととのえる

朝はふたりで近所を散歩するのが日課

光や影、マテリアルが美しく好きなもので埋め尽くされている(純明さん)

僕は30年近く企業で設計の仕事をしていたんですね。大きな建物を設計していたので、効率重視のものづくり。やりがいはある反面、もう少し人が生き生きと暮らすための「生活のデザイン」をしたかった。その一つの体験の場として、12年前に家を建てました。そこから独自の暮らしやアイデンティティが出てきて、その延長で個人の仕事が始まっていった感覚です。
自宅を建てる時に考えたのは、何よりもまず小さい家にすること。この家は77㎡くらいで、家族との距離が近いんです。廊下がなくてリビングと各部屋が繋がっているので、どこにいても家族の気配を感じます。子ども達も部屋にこもらず、いつもリビングに出てきていました。娘は受験勉強もリビングでしていましたね。バリアフリーってあるじゃないですか。僕は1番のバリアは温度だと思っていて、部屋は暖かいけど廊下に出ると寒いから出たくないってあると思うんです。だから、できるだけ温度の差をなくすために廊下がない家を建てました。家には空調はひとつしかなくて、各部屋の上部の窓を開ければ空気が循環するようになっています。これが正解とも思わないけど、でも僕らの生活の真ん中には、家族との距離感が近いこの家があります。

家族が思い思いにリビングで過ごす様子

仕事で提案していることにも通じていますが、暮らしをととのえるためには、やっぱり健康的な食事とすこやかな空間が大事。食事は妻(知子さん)任せですけど…すこやかな空間には、嫌なものが見えない環境づくりが大事だと思っています。

気持ちいい光が入っているなとか、梁にきれいにカンナがかけられてツヤっとしていたりとか….僕はそんなことが気になるんですよ。今日も掃除をしながら、杉の板が古くなってきたけど、でもやっぱいいよなって思ったりして。光や影、マテリアルが美しく、好きなもので埋め尽くされていることが心地好い。細部まで気が行き届いていて、そういうところから生活の豊かさを感じられる。じつは最近初めてアートを買ったのですが、アートを一つ飾ることによって、見える景色がまた少し美しいと感じるものになりました。12年前にこの家で過ごし始めてから、まだまだなんですけど、でもちょっとずつよくなっているような感覚はあります。

習慣があることで、自分のリズムがととのっていく(知子さん)

私は、ヴィーガンカフェ「生姜足湯休憩所」を運営しています。足湯の他、ドリンクやヴィーガンスイーツの提供、オーガニック食品の販売を行うカフェです。生姜足湯は体をととのえるお手当法の一つで、子どもが小さい頃はなにかとやる習慣でした。生活の中で実践していることが地続きで仕事になっているのは、夫と同じです。

お味噌汁や発酵玄米など、発酵食品が中心の朝食。琺瑯容器の中に3種類の味噌が入っており、日によって使い分けている

健康を意識して食生活を変えていったのは、17年前。子どもの不調をきっかけにマクロビオティックを学びました。食事を変える中で少しずつ調子を崩すことが減っていきましたし、なにより気持ちの安定にも通じていると思います。人の体は食べたものでできていますよね。30代で食べたものが40代に、40代で食べたものが50代以降に出ると言われています。私達は50歳になる手前で独立したので、そこからもう1回人生が始まった感覚なんです。長く元気で楽しむために、食事でととのえることを大切にしています。食事の中でも1番大切にしているのは朝食。酵素玄米とお味噌汁、お漬物などの発酵食品を中心にいただきます。塩気のものをいただくことで、体のスイッチが入ります。これを食べちゃダメっていう制限があるわけではありませんが、マクロビオティックを学ぶ中で、調理法は色々と変えていきました。野菜の切り方や、食材を鍋に入れる順序を変える事で身体にもたらす作用が変わります。食べる順序も重要で、一口目はお味噌汁で胃を温めながら、ゆっくり体を起こしてあげます。発酵食の作り置きがあって毎朝同じように食べるだけなんですけど、それが心地好いんですよね。縛りがあるわけではなくととのっている感じ。

この1年ほど、夜寝る前に編み物をして1日をリセットしている

もともと春巻きを巻いたり餃子を包むような反復作業が好きで、この1年は寝る前に編み物もしています。編むことで気持ちが落ち着くんです。日々ストレスがたまるわけではないけど、寝る前に一日がリセットされるというか。朝食と夜の編み物と、習慣があることで、自分のリズムがととのっていくような気がします。習慣って言うと決まりのように思うかもしれませんが、そうじゃなく好きなことを選んでしている感覚で、自然と生活がととのっている気がします。

ひとともり 長坂純明、長坂知子

奈良に拠点をおく建築設計事務所。住宅や集合住宅、ホテル、事務所、店舗などの設計を通して日常を豊かにする様々な提案を行う。また、同敷地内では奈良町屋を宿泊施設に改修し、暮らすように泊まる一組限定の宿「宿一灯」や、ヴィーガンカフェ「生姜足湯休憩所」も展開している。
https://hitotomori.net/

奈良に遊びにいらした際は、お二人が運営する下記の施設にもぜひお立ち寄りください。

<生姜足湯休憩所>
https://hitotomori.net/footbath/

<宿一灯>
https://hitotomori.net/hotels/

文:上田恵理子
写真:奥山晴日

料理家・今井真実さんに聞く、梅干しづくりの愉しみとアレンジレシピ

ちょっと気が早いですが、もうすぐ梅仕事の季節。中川政七商店でも、「旬の手しごと 梅しごと」の予約が始まっています。
私自身、数年前から梅シロップを作るようになってからというもの、梅のあまい香りに包まれる梅しごとの時間が毎年の愉しみになりました。
作ってみると思っていた以上に簡単で、あっという間に終わってしまう。もう少し幅を広げて梅しごとを楽しみたい。でも、梅干しはできあがったものをスーパーで手軽に買えるし、干す場所や道具を考えるとちょっとハードルが高いかも….。そんな風に思って手を出せずにいました。

そんな折に、じつは干さなくても作れるらしいということを聞きつけて、じゃあやっぱり作ってみようかな、と再奮起。でも自分で作ると何がいいんだろう?干す場所や道具は?そんな梅干しづくりの疑問がむくむくと湧いてきたので、料理家の今井真実さんに聞いてみました。

<目次>
・梅干し作りのQ&A
・梅干しの作り方
・梅干しのアレンジレシピ①鯛と茗荷、梅のすまし汁
・梅干しのアレンジレシピ②鶏ひき肉のクリームスパゲティ

料理家の今井真実さん。2023年には、『今井真実のときめく梅しごと』など、梅しごとに特化した書籍を発行されています

梅干しを自分で作る魅力って?

「スーパーで梅干しが置いてある場所って、お漬物などのちょっと渋めのコーナーじゃないですか。その印象も相まって、昔ながらの伝統的なものっていう印象があると思うんですけど、その印象とは違って、生の梅は可愛いんですよね。旬のシーズンにしか会えないし、やってる人だけ分かる多幸感があるんです。それに魅了されて毎年作っています」

「何より、自分で作るとシンプルな材料で作れますよね。梅と塩だけの原材料の物って最近は中々売っていないんです。昔ながらのしょっぱくて酸っぱい味を味わえるのが、手作りならではの魅力だと思います」

梅の品種はどう選べばいいの?

「初心者の方は南高梅が扱いやすいと思います。間違いなく美味しく作れるのが魅力。地方によっても変わりますが、スーパーで売っているのも南高梅が多いです。
まずは気負わずスーパーで買ってみて、慣れてきたら自分の住むエリアに近い梅の産地のものを取り寄せるのもおすすめです。完熟した梅が最短で届くので、よい状態のものが届きます」

手作りの梅干しってどれくらいもつの?味は変わる?

きほんの塩分18%で漬ける様子

「塩分18%で漬けると一生もつと言われています。梅干しの塩分濃度は、きほんの18%を保っておくと失敗がありません。

味わいの変化はもちろんあって、ピークで美味しいと言われているのが漬けてから3年経ったものと言われています。1年だと柔らかくて、少し若い味がしますが、4年くらい経つと、少しずつ小さくなってかさついてきます。
私はそのまま食べるなら3年後くらいのものや比較的若いものが好きですが、その時の気分で食べ分けています。食感や味の違いを楽しめるのも、自分で作る醍醐味ですね」

ベランダが小さくて、干す場所がない場合は?

「干すのは日光を当ててあげるためなので、室内の窓際に置いても大丈夫です。室内が暑くなってしまう場合は扇風機をあててあげると、疑似的に室外のような環境を作れます。

私はザルにくっつくのを防ぐために、そのまま載せるのではなくて間にオーブンペーパーを挟んでいます。オーブンペーパーをくしゃくしゃにしてから載せることで、接地面が減って空気の通りもよくなるんです。ザルがなくても、木のまな板やお皿でも代用できますが、金属は熱をもちやすいので避けたほうがいいと思います」

「じつは干さなくても1年ぐらいは日持ちします。私も1年間そのまま漬けっぱなしのものを食べたりもしますし、次の年に改めて干したりもします。
干すことのメリットは、日持ちすることです。紫外線の殺菌効果と梅酢が乾くことによって、日持ちしやすくなります。

干すことで味もぎゅっと濃縮するんですよね。干したての皮はパリッとしていて、いくらのようにプチっと弾けるような触感になります。
干した後しばらく置いておくと、果肉から梅酢が出てきてまた皮が柔らかくなるんです。干した後、もう1回水分が戻った時に1番美味しい状態になります。でも、できたては市販では売ってないので、ぜひ味見してみていただきたいです。
干し終わっていないものとの味の違いも面白いので、干している間に毎日1つずつ食べたり、色々お試しできるのも手作りの醍醐味かなと思います」

梅干しのきほんの作り方

▪梅の下処理

梅はすばやく丁寧に洗い、よく水気を拭き、なり口のへたを爪楊枝等でそっと傷つけないように取ります。
このなり口も丁寧にキッチンペーパーをこより状にして水気を拭き取ります。

▪材料
・黄熟した梅   1kg
・粗塩(梅の18%)  180g
・焼酎(35度)    カップ4分の1

1.容器は熱湯消毒し、乾かす。下ごしらえした梅と焼酎を一緒に入れ、梅を充分に湿らせ
  る。
2.塩を1度に入れ大きく揺すって、梅に塩を絡める。
3.梅酢が上がるまでは1日に10回ほど瓶を揺する。
4.3~4日ほどで梅酢が上がってくる。浮いている梅があれば、カビの原因になるので、消  毒した菜箸などで 沈める。
5.1ヶ月ほど漬けたら、晴れの日が3日続くタイミングを見計らって、ザルにオーブンシー  トを敷き、清潔な道具で取り出した梅を並べる。

6.ときどき裏返しながら3日間干す(天気が怪しくなったら、室内の窓際に)。
 梅酢もガラス瓶に移し、ラップをして1日日光に当てて殺菌する。

〈保存場所〉冷暗所
〈保存期間〉賞味期限はなく、塩分濃度を18%で守るとずっと食べられる。

波佐見焼の保存の器 中鉢」で漬ける様子。200gほど漬けられる。密閉性がない容器は、間にラップを挟んで漬けるといいそうです

「これがきほんの作り方ですが、塩分を18%に保っていただければまず失敗しないので、ぜひ気軽に試してみてください。

私自身、少量をジップロックで漬けることも多いんです。家にある容器に合わせて少量を梅シロップに、少量を梅干しにしたり、まずはあんまり気負わずにやってみていただけたらと思います」

梅干しアレンジレシピ①鯛と茗荷、梅のすまし汁

手作りした梅干しをより楽しむために、梅干しを使ったアレンジレシピを教えていただきました。梅の酸味が爽やかで、暑くなるこれからの季節にぴったりの味わいです。

▪️材料(2人分)
・梅干し  1/2個(叩いて上に載せる)
・みょうが 1個
・鯛 サク  150g

Aだし汁   500ml
A醤油    小さじ1
A塩     小さじ1/2
Aみりん   小さじ1

1.鯛の水気をキッチンペーパーで拭き、6cm幅に切る。
  茗荷は縦半分に切ってから斜め薄切りに、梅干しはたたいておく。

2.Aを鍋に沸かし、鯛を入れ、中火で一煮立ちさせたら茗荷を入れる。
  器によそい、梅を載せる。

「おすましの出汁は、今回『焼津鰹節専門店 基本の合わせだし』を使いました。シンプルな材料で作られた出汁の香りを生かしながら、鯛の旨味と梅の酸味、ミョウガの香りを足しています。爽やかで夏にぴったりの味わいになったと思います。
こちらは冷やしても美味しいですよ。例えばそうめんのつけ汁にしたり、ご飯にかけてお茶漬けのようにして食べたりするのもおすすめです」

梅干しアレンジレシピ②鶏ひき肉のクリームスパゲティ

▪️材料(2人分)
・スパゲティ    180g
・生クリーム    200ml
・鶏ひき肉     150g
・梅干し      2個
・青紫蘇     10枚
・パスタの茹で汁 小さじ2(水1Lに塩小さじ2)

1.梅干しを荒く潰す。青紫蘇は千切りにする。

2.生クリーム1パックに鶏ひき肉120gを溶かすように混ぜて、弱めの中火に2分かける。
  パスタは1%の塩分の茹で汁で、表記時間より1分早く茹で上げる。

3.1の梅と青紫蘇をフライパンに加えて、茹で水を大さじ3入れる。
  茹で上げたパスタを和える。

「梅干しのクリームパスタは、定番のレシピでよく作ります。今回は大葉を使って、より夏らしく爽やかな香りになるように作りました。
これからの季節、冷たいものやサラッとしたものばかり食べたくなってしまいますよね。でも、温かいものに梅干しを入れて、さっぱりした味わいにすることで食べやすくなりますし、体をいたわっている満足感なども得られると思います。そういうことも食事には大切だと思うので、ぜひ活用していただければ嬉しいです」

<関連商品>
旬の手しごと 梅しごと
琺瑯の手しごと容器
波佐見焼の保存の器 中鉢
焼津鰹節専門店 基本の合わせだし
食洗機で洗えるお椀 ハンノキ
小鹿田焼の平皿

今井真実

料理家。「作った人が嬉しくなる料理を」をモットーに、雑誌、ウェブ、企業広告など、様々な媒体でレシピの制作、執筆を行う。身近な食材、意外な組み合わせなど、新しい発見を見出す個性的な料理は、何度も作りたくなる、やがて我が家の定番になると、多くの支持を受ける。

今井真実さんの書籍『今井真実のときめく梅しごと』では、今回紹介しきれていない梅しごとのレシピが多数掲載されています。
完熟梅のスパイス砂糖漬けや梅ダージリンなど、梅しごとの楽しみをどんどん広げてくれるようなレシピの数々です。ぜひあわせてご覧ください。

今井真実さんの書籍『今井真実のときめく梅しごと』では、今回紹介しきれていない梅しごとのレシピが多数掲載されています。
完熟梅のスパイス砂糖漬けや梅ダージリンなど、梅しごとの楽しみをどんどん広げてくれるようなレシピの数々です。ぜひあわせてご覧ください。

文:上田恵理子
写真:田ノ岡宏明

【あの人が買ったメイドインニッポン】#37 著作家・山口周さんが“一生手放したくないもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

ゲストは引き続き、著作家の山口周さん。今回は「一生手放したくないメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[山口周さんの愛着トーク]
・一生手放したくないのは、「鉄工職人の田ケ原弘さんが作るステンドグラス」
・ギリシャ語で「ΙΧΘΥΣ(イクトゥス)」と書かれている
・光があたると、空間を浄化するような美しさ
・家に置くもので気を付けているのは、全体の調和
・物として素敵かどうか以上に、家にある物と仲良くなれるかどうか
・心地好い暮らしは、身の丈に合ってること
・言葉を変えて言うと、心地好さと規律のバランスが取れていること

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山口周さんが一生手放したくないメイドインニッポン

山口周さんが“一生手放したくない”メイドインニッポンは、「鉄工職人の田ケ原弘さんが作るステンドグラス」でした。


ゲストプロフィール

山口周

1970年東京生まれ。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。中川政七商店の社外取締役も務める。
著書に『ビジネスの未来』『ニュータイプの時代』『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『武器になる哲学』『クリティカル・ビジネス・パラダイム』など。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


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番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、著作家の山口周さんにお話いただきます。6/7(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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【くらしの景色をつくる布】#3 CIRCUS・鈴木善雄さん引田舞さん

皆さんは暮らしを飾るインテリアを、どんなふうに選んでいますか?

いわゆる賃貸のマンションに住んでいると、間取りや壁紙などの躯体はそんなに代わり映えがしません。かく言う我が家も賃貸マンション住まいです。
暮らしを飾る物を上手に取り入れることで、もっと自分らしい心地好い空間をつくっていきたい。個人的にもそう思っていた折に発売したのが、インテリアコレクション「くらしの工藝布」。使い手次第でさまざまな取り入れ方が膨らむ表情豊かな布たちは、暮らしを飾るのにぴったりのアイテムです。
この人の家で使ってるところを見てみたい!と思った方にお声がけして、実際に使ってみていただきました。

鈴木善雄さん、引田舞さんご夫妻

今回訪ねたのは、店舗の内装設計やディレクションを行い、古今東西の古道具や作家作品の買い付けもするユニット「CIRCUS(サーカス)」の鈴木善雄さん、引田舞さん。東京・新木場にあるショップ、カフェ、スタジオなどが集まった複合施設「CASICA」のディレクションだけでなく、渋谷PARCO内のショップ「Archives」を運営したり、子ども服ブランド「tapis」を手がけるなど、幅広く活動されています。

キッチンの壁面

家族4人で暮らす家の玄関を開けると、大きなダイニングテーブルと、キッチンの壁面にずらりと並ぶ棚の数々が目に入ります。キッチンの壁面に設置された古家具は、家をリノベーションした際に、自分達でパズルのように組み合わせていったそうです。

そんな古今東西のものが入り混じる空間で、「くらしの工藝布」を取り入れていただきました。取り入れていただいたのは、こちらのラインナップです。

手刺しのタペストリー(曲尺)M
滝織の多様布 本藍染 濃藍

壁を飾るハードルを下げてくれる「手刺しのタペストリー」

「壁面って何もないと寂しいけど、絵を飾るのは少しハードルがあるじゃないですか。
単純に高額ですし、僕は飽きっぽいので、この値段をかけて飽きちゃったらどうしようっていうためらいもあります。でも布であれば、ぐるぐるローテーションさせやすいですよね。
それこそ手刺しのタペストリーは主張が強いわけでもないし、壁面を飾るハードルを下げてくれると思います」(鈴木さん)

壁面に合わせて、吊り方を変えられるよう真鍮のバーが2種類と紐が同封されている

「具象のモチーフではなく模様になっているのも、家の中になじみやすいですよね。
それに、このタペストリーは、壁に掛ける際の仕様もきちんと考えて作られているので、その点でも取り入れやすいと思います」(引田さん)

布だからこそ、さまざまに使える「滝織の多様布」

「滝織の多様布は、ソファの横にくるくるっと丸めて置いておくだけで、ちょっと雰囲気を変えてくれます。見せたくないものの上にぱさっと掛けて、隠すのにもいいですよね。
他にも、防寒のためではなくて、なにか体に掛けたい時ってありません?生地がやわらかくて適度に重みがあるので、そういう時にもいいと思います」(鈴木さん)

「これからの時期は子ども達がお布団を掛けてくれないので、子どもが寝る時にもよさそうです。爆睡してても掛けた瞬間蹴っちゃうのですが、お腹にはなにか掛けておきたくて。お布団より通気性もいいし、子どもに掛けるのにちょうどいいサイズだと思います」(引田さん)

「テレビを見ない時に掛けておくのもいいですね。テレビって埃がすごく目立ちやすいじゃないですか。そういえば実家でもテレビには布を掛けていて、試しにかけてみたら我が家のテレビにはぴったりでした」(引田さん)

経年変化して味わいが出るものを、大切に長く使う

「自宅に取り入れるものも、CASICAで扱うものも、幅の違いはありますが、基本的な考え方は一緒です。すぐだめになってしまったり、経年変化が愉しめないようなものはなるべく置きたくないなと思っています。やっぱり古いものを扱っているので、経年変化して味わいがどんどん出てくるようなものを取り入れたいですね」(鈴木さん)

ものを大切にというのは、伝え手としても大切にしていて、暮らしの道具は長く愛用してもらえるよう、自分達が使っていいと思ったものを販売している

「基本的に手仕事のものが好きなんですよね。買う時の値段は少し高くなるかもしれないけど、長い年月使えばいいと思っていて。手仕事のものの方が、なんかやっぱり飽きないんです。
10年後20年後に、趣味は変わっているかもしれないけど、ベースの軸は変わらないと思うんですよね。何年経っても手仕事は好きだろうなと思います。
くらしの工藝布も、そういった工芸品ならではの魅力をもっていますよね」(鈴木さん)

未来のアンティークを育てるために、今のものづくりを大切に

「それに、古いものを扱うからこそ、現行のものづくりを大切にしないといけないとも思っています。
CASICAを始めた頃に、『古いものだけでいいのに、なんで新しいものを扱うんですか』って聞かれたことがあるんですけど…
僕らがいいなと思う古いものって、作られた当時は新しい工芸品だったわけじゃないですか。時間が経ってアンティークになっていったものなので、今度は僕らが新しいものを守らなければ、未来のアンティークは生まれないですよね。
過去のものが好きだからこそ、未来のアンティークを育てないといけない。そのためには、現行のすばらしい産業を維持しないといけないし、そこに対して敬意をもたないといけないとも思っています」(鈴木さん)

「くらしの工藝布でテーマにされていた裂織や刺し子の技術も、放っておいたら失われてしまうかもしれない。ちゃんと作る人がいて、産業を守っていくのは大事なことだと思うので、こういう取り組みは必要なことだなと思います。
もしかしたら、100年後に誰かが競り落としてるかもしれないですよね。『オールド中川』って呼ばれて売られているかもしれない。なんかそういうことを想像するのも面白いなと思います」(鈴木さん)


<掲載商品>
手刺しのタペストリー(曲尺)M
滝織の多様布 本藍染 濃藍


鈴木善雄さん、引田舞さん

アートディレクションやブランディング、古家具の卸、商品セレクト、ギャラリー企画などを行うユニット「CIRCUS」を主宰。
東京・新木場の「CASICA」や子供服「tapis」のディレクションに加え、「TAKIBI BAKERY」や渋谷PARCO 4Fにある「Archives」も手がけている。

そんなお二人のまなざしで選ばれたものが気になった方は、ぜひ下記の店舗に足を運んでみてください。

CASICA
東京・新木場で展開する、ショップやカフェ、ギャラリーなどがある複合施設。ショップでは、時代や価格、国や民族にとらわれず、ものの魅力を再考し再構築している。
今年4月には食料品庫「CASICA PANTRY」も新設された。

Archives

渋谷PARCOの4階で展開するショップ。博物館のバックヤードをコンセプトとし、膨大なストックの一部と思考回路を覗くようなアーカイヴが積み上げられている。


<関連特集>

<関連記事>
くらしの景色をつくる布

文:上田恵理子
写真:田ノ岡宏明

【あの人が買ったメイドインニッポン】#36 著作家・山口周さんが“ついつい買ってしまうもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

ゲストは引き続き、著作家の山口周さん。今回は、「ついつい買ってしまうメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[山口周さんの愛着トーク]
・目に心地の好いもの、人の叡智を感じるものが心を豊かにしてくれる
・ついつい買ってしまうのは、「古いぐい吞みや薩摩切子のグラス」
・際限がないので、月に1つまでと決めて購入している
・生活の中で使える、手で愛でることができるのが魅力
・目で見ても美しく、手にもった質感や重量感、口あたりの違いを愉しめる
・古くから残っているものは、時代の風雪に削られない強度がある
・人類がずっと受け継いできた文化は、人が幸せになるのに必要なこと

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山口周さんがついつい買ってしまうメイドインニッポン

山口周さんが“ついつい買ってしまう”メイドインニッポンは、「古いぐい吞みや薩摩切子のグラス」でした。


ゲストプロフィール

山口周

1970年東京生まれ。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。中川政七商店の社外取締役も務める。
著書に『ビジネスの未来』『ニュータイプの時代』『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『武器になる哲学』『クリティカル・ビジネス・パラダイム』など。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


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番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、著作家の山口周さんにお話いただきます。5/31(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

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