沖縄「オハコルテ」の絶品レモンケーキが生まれた理由とおすすめの食べ方

取材やものづくりで、よくお邪魔する産地のお店やメーカーさん。そこで、大概「およばれ」に預かります。お茶とお茶うけ。地元の銘菓や駄菓子、そのお家のお母さんが作ったお漬物だったりと、頂くものはいろいろですが、これがまた、とても美味しいのです。普通の旅ではなかなか見つけられない、地元の日常をさんち編集部よりお届けします。

シークヮーサーの爽やかな香りが広がる、オハコルテの甘酸っぱい「ヒラミーレモンケーキ」

コロンとした形が可愛らしいレモンケーキ。実は沖縄では、お盆やお墓参りのお供え物にレモンケーキを買ってくるのが定番なんだそうです。

しかし、今日およばれにあずかったのはただのレモンケーキではありません。お供えもののイメージを刷新し、沖縄手土産の新定番になっている、「ヒラミーレモンケーキ」なのです。

オハコルテのレモンケーキ

“ヒラミーレモン”とはシークヮーサーの和名。アイシング部分のザクザク感とシークヮーサーの風味を効かせたケーキ部分のしっとり感が絶妙で、噛むほどにシークヮーサーの爽やかな香りと甘酸っぱさが口の中に広がります。

作っているのは沖縄のフルーツタルト専門店「oHacorte(オハコルテ)」さん。旬の果物を使ったタルトが人気です。

沖縄のフルーツタルト専門店オハコルテ
沖縄のフルーツタルト専門店オハコルテ

フルーツタルトと並んで人気なのが、沖縄特産の柑橘“シークヮーサー”の香りと酸味をギュッと詰め込んだ「ヒラミーレモンケーキ」です。

今回は「今日もおよばれ」特別編、作り手のオハコルテさんに沖縄とレモンケーキの美味しいお話を伺うことができました。

オハコルテのヒラミーレモンケーキ

沖縄のお墓参りの定番はレモンケーキ

沖縄では、旧暦の二十四節季のひとつ「清明」の時期に「清明祭(シーミー)」が行われます。親族が揃ってお墓参りをする先祖供養の行事ですが、お供え物の定番のひとつに「レモンケーキ」があるそうです。

レモンの形をしたケーキの上に、チョコレートがコーティングされているのが一般的なもの。沖縄ではスーパーなどで手軽に買えるそうです。

「レモンケーキは小さいころから馴染み深いお菓子で、私も大好きでした」
と語るのは、オハコルテの商品開発部長、高良鐘乃(たから・しょうの)さん。

オハコルテの企画開発部長、高良鐘乃(たから・しょうの)さん

「沖縄にあるものを使って、沖縄の新しいお菓子を作りたい」という思いから誕生したのが、このヒラミーレモンケーキです。

従来のものはレモンの形はしていても、レモンらしい味はあまりしないそう。沖縄らしくシークヮサーを使ってレモンケーキを作ろうとなった時、お菓子作りでポイントとなったのが、シークヮーサーの残さ(ざんさ:果汁を絞った後の残り)でした。

「果汁ではなく残さを生地に混ぜ込むことで、香りが豊かになり、シークヮサーの味がしっかり感じられるんです。色も可愛く仕上がって、酸味とシャリッとした食感もアクセントになりました」

生地は、従来のパウンドケーキのようなしっかり硬めではなく、スポンジケーキのようなやわらかさ。

ほおばった時にふわっと香り立つ爽やかな香りと口の中に広がる酸味、ふわふわしっとりの食感は食べたことのない美味しさで、もういくつでも食べられてしまいそうです。

楽しみ方もいろいろ

最近では、お供え物はもちろんお中元やお歳暮、3月の人事異動の時期にはご挨拶のお配りものに利用する方も多いそう。

オハコルテのヒラミーレモンケーキ

親しみのあるお菓子なのに、ちょっと特別感があって、人にあげやすい。その絶妙さが人気の秘密かもしれません。

オハコルテのヒラミーレモンケーキ

甘酸っぱいケーキは、紅茶やコーヒー、日本茶や沖縄のさんぴん茶にもよく合うそう。甘いのが苦手な方にもおすすめです。

そのままでも美味しいですが、さらに美味しくいただく方法が。

「電子レンジでアイシングが溶けない程度に5秒くらい温めると、焼き立ての食感が味わえます。冬場にオススメですね。夏は冷蔵庫で冷やして食べるのも美味しいですよ」

懐かしくて新しい、沖縄の新定番お菓子。

こんな手土産なら、もらった人もご先祖様も、さぞや嬉しいはずです。

ごちそうさまでした!

oHacorte

文 : 坂田未希子
写真 : 武安弘毅

※こちらは、2018年6月28日の記事を再編集して公開しました。

染めもの屋さん 加賀谷流のお雑煮

こんにちは。さんち編集部の山口綾子です。
今日は美味しいものの話でも。取材やものづくりで訪れる、産地のお店やメーカーさん。そこで、大概「およばれ」に預かります。お茶とお茶うけ。地元の銘菓や駄菓子、そのお家のお母さんが作ったお漬物だったりと、頂くものはいろいろですが、これがまた、とても美味しいのです。普通の旅ではなかなか見つけられない、地元の日常をさんち編集部よりお届けします。

1月15日は小正月

昨日ご紹介した加賀谷旗店さんからお話を伺ったあとに「今日は小正月だから、うちではいつもお雑煮を食べるんですよ。よかったら召し上がっていってください」奥様がそうおっしゃってくださいました。それはもう、いただきます!

ここで小正月のお話を少し。
小正月とは、正月1月15日の行事を指すそうです。時期としては、14日から16日までの3日間ともされ、他にも諸説ありますが、元日から七日までを「大正月」と呼ぶのに対して、「小正月」と呼ばれるようです。この「小正月」までで門松などの正月飾りは片付けられ、お正月の行事は終わりとされています。また別名として、「女正月」(お正月に忙しく働いた女性たちにを休ませるため)「花正月」(餅花という柳の枝に餅を小さく丸めてつける習慣から)などとも呼ばれます。年神様や祖霊を迎える行事の多い大正月に対して、小正月には豊作祈願などの農業に関する行事や、家庭的なものが中心になっているようです。

さて、およばれに戻りましょう。
お正月にふさわしい、華やかなお椀が運ばれてきました。気持ちと身体が前のめりです。お椀の蓋を開けると、ふんわりと柚子の香りが広がり、編集部一同、わぁ…という感嘆の声が漏れます。昆布と鰹節で出汁を取った透明なおつゆの中には、にんじん、ダイコン、鶏肉、エビ、シイタケ、なるとかまぼこ、三つ葉。そして忘れてはいけないお餅!たっぷり具だくさんな内容です。本当に美味しそう。

では温かいうちに、いただきます!…あぁ、冷えた身体に染み渡る美味しさ。お出汁の優しさと、ちょうどよく煮込まれた具材が相まって、コクがありつつも上品なお味。函館に来てから、何をいただいても美味しいものばかり。北海道の昆布の力と奥様の料理の腕ですね。とっても美味しかったです。ごちそうさまでした!

文:山口綾子
写真:菅井俊之

新潟・栃尾名物、大きな大きな油揚げ

こんにちは。さんち編集部の杉浦葉子です。
今日は美味しいものの話でも。取材やものづくりで訪れる、産地のお店やメーカーさん。そこで、大概「およばれ」に預かります。お茶とお茶うけ。地元の銘菓や駄菓子、そのお家のお母さんが作ったお漬物だったりと、頂くものはいろいろですが、これがまた、とても美味しいのです。普通の旅ではなかなか見つけられない、地元の日常をさんち編集部よりお届けします。

名水の歴史、大豆の香り広がる油揚げ

新潟県の栃尾(とちお)は、織物やニット産業の盛んな土地。ここからほど近くで織物製造をされている「株式会社クロスリード」さんに伺った時のこと。代表の佐藤さんが「せっかく栃尾に来たんだから」と、移動中に車で立ち寄ってくださったのが、「栃尾の油揚げ 豆選」さん。テイクアウトがメインのようですが、お店の中に少しイートインスペースがあり、そこで待つこと数分・・・。

「で、でっかい!」厚さは3センチほどもありそうな油揚げが、人数分運ばれてきました!もちろんノルマはひとり1枚。揚げたてアツアツの油揚げに、ネギと醤油というシンプルな味付けですが、これがまた美味しい。中身がほどよく詰まっていて口いっぱいに大豆の香りが広がりふっくらジューシーで。どんと出てきたときは、(さすがにこんなに食べられないぞ…)と、心の中で思っていたものの、あっという間に完食しました。

栃尾の油揚げは、間にネギとお味噌を挟んで焼いて食べるのもメジャーなのだそう。これは日本酒必須なのでは。この辺りには油揚げのお店がたくさん点在していて、十店十色にいろんな特徴があるといいます。栃尾には「保久礼の湧き水」「杜々の森の湧き水」「薬師の湧き水」など美味しい湧き水がたくさんあります。このやわらかで清らかな水が、かつてより栃尾の油揚げをつくりあげてきたのだそうです。
地元に、そこでしか食べられない美味しい名物があるって、いいなぁ。食べ比べや油揚げツアーなんていうのも楽しそうです。お土産にも油揚げをたくさんいただいて、(もちろん新潟の日本酒も手に入れて!)ほくほく抱えて奈良に帰りました。ごちそうさまでした。

豆選
新潟県長岡市栄町2-8-26
0120-05-5006

文・写真:杉浦葉子

お茶の産地は器の産地。お茶が輝く「夕日焼」。

こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。
今日は美味しいものの話でも。取材やものづくりで、よくお邪魔する産地のお店やメーカーさん。そこで、大概「およばれ」に預かります。お茶とお茶うけ。地元の銘菓や駄菓子、そのお家のお母さんが作ったお漬物だったりと、頂くものはいろいろですが、これがまた、とても美味しいのです。普通の旅ではなかなか見つけられない、地元の日常をさんち編集部よりお届けします。

夕日のように輝くお茶と、ていねいに作られたお菓子

お茶の産地として有名な福岡県八女(やめ)市。工芸の産地でもあり、和紙、独楽、提灯、竹細工、仏壇、石灯籠といった伝統工芸も数多くあります。今回は八女市星野村にある「星野焼」の窯元、「源太窯」にお邪魔してきました。

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源太窯で作られた茶器でいただく、本日のおよばれ。お茶を淹れて下さるのは急須ではなく、取っ手のない「宝瓶(ほうひん)」。片口で湯冷ましをしてから「宝瓶」に入れて少し待ち、茶葉が開いたのを確認すると、静かにゆっくりと注ぎます。地元、星野のお茶。茶器は、星野焼の伝統手法である「夕日焼」です。お茶を入れると、内側が夕日のように輝いて美しいことから、その名前がついたのだそう。
実は、長年途絶えてしまっていた星野焼。80年間の廃窯(はいよう)の後、「星野のお茶が最高に美味しく頂ける茶器と食器を作りたい」と、たった一人で復興させたのが、この源太窯の山本源太さんです。以降、新しい作り手も出てきています。
また、お茶もさることながら、一緒にいただいたお茶うけも本当に美味しい。源太さんの器に、奥さんが手作りしたという紫花豆と柚子の白玉だんご、クコの実が盛られて出てきました。「なんでこんなに上手に炊けるのだろう」と、紫花豆の調理のコツを聞いたところ、何度も何度もお水を変えながら、じっくり時間をかけて炊くのだそう。やっぱり美味しいものを食べようとするのに、手間ひまを惜しんではいけません。圧力鍋での短縮調理を反省しつつ、ていねいに作られたお菓子をありがたくいただきます。ただでさえ美味しいお茶とお茶うけ、素敵な器も相まって更に美味しく感じます。自然に囲まれた庭で過ごす、何とも贅沢な時間。贅沢な一時をありがとうございました。

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源太窯
福岡県八女市星野村10471
0943-52-2188

文・写真 : 西木戸弓佳

80年以上変わらない優しい味のワッフル

こんにちは。さんち編集部の西木戸弓佳です。今日は美味しいものの話でも。
取材やものづくりで、よくお邪魔する産地のお店やメーカーさん。そこで、大概「およばれ」に預かります。お茶とお茶うけ。地元の銘菓や駄菓子、そのお家のお母さんが作ったお漬物だったりと、頂くものはいろいろですが、これがまた、とても美味しいのです。普通の旅ではなかなか見つけられない、地元の日常をさんち編集部よりお届けします。

福井県鯖江市の老舗 亀屋万年堂さんの銘菓ワッフル

レトロなフォントで「ワッフル」と書かれた包み紙がなんとも可愛らしい、亀屋万年堂さんの「銘菓 ワッフル」。ふわっふわの生地に、しっとりとしたカスタードクリームが包まれています。甘さ控えめで、とても素朴な味。80年も前からずっと、変わらない味で作られ続けているそうです。

福井県鯖江市 株式会社 漆琳堂さんで頂きました

先日取材で訪れた福井県鯖江市にある漆器メーカー漆琳堂さん。取材を終えて雑談をしていると突然、「お茶ですー」と電話のスピーカーが鳴りました。1Fのお母さんからの集合合図。漆琳堂さんでは、10:30と15:30の日に2回、お茶タイムがあるそうです。そこに、私たちもちゃっかり便乗させていただきました。いただいたワッフル、漆琳堂専務の内田さんが子どもの頃から食べ親しんだお馴染みのおやつだとか。なんとも羨ましい・・・。
ここで、お菓子話のついでに内田さんが教えてくれた福井の習慣。
夏の季語、冷たくて美味しい水羊羹。ですが、福井では冬の名物なんだとか。11月に入るとどこのお菓子屋さんにも水羊羹が並び、地元の方は「あぁ、冬が来たんだなぁ」と感じるのだそう。なんでも、福井の水羊羹は糖度が少なく保存が効かないため、寒い時期に作る風習が残っているのだとか。「よその水羊羹と福井の水羊羹は全然ちがう」そうなので、雪が積もる頃にまたお邪魔しようと思います。

亀屋萬年堂菓舗
福井県鯖江市本町1丁目2-13
電話/0778-51-0230

文:西木戸 弓佳
写真:林 直美