老舗豆腐店が夜に開く「日本料理 かわしま」。旬の会席を隆太窯のうつわが彩る

こんにちは。さんち編集部の尾島可奈子です。

工房を訪ねて、気に入った器を作り手さんから直接買い求める。そんな旅への憧れから、今回は佐賀県唐津へ「隆太窯」を訪ねました。今日はその日の晩のお話です。

隆太窯の中里隆 (たかし)さん (右) 、太亀 (たき) さん (左) 親子
隆太窯の中里隆 (たかし)さん (右) 、太亀 (たき) さん (左) 親子

食通で知られ、作るうつわは造形の美しさのみならず「料理が映える」「お酒の口当たりがいい」ことで有名なお二人。

何の料理に使うかイメージして作るといううつわは、目に見えないごちそうがすでに盛り付けられているようで、見ていると無性にお腹がすいてきます。

嬉しいことに、そんな隆太窯の器で本当にごちそうをいただける場所が、唐津にはあるのです。山なかの隆太窯をあとに、町へと向かいました。

*隆太窯を訪ねた時のお話はこちら:はじめての窯元めぐり|唐津・隆太窯のうつわは、せせらぎとクラシックの流れる中で生まれる

老舗豆腐店が夜にだけ開く会席料理店

JR唐津駅から歩いて5分。アーケード商店街の中に、めあてのお店があります。

日本料理 かわしま。

寛政年間創業の「川島豆腐店」が、夜限定で開く会席料理店です。

日本料理 かわしま

唐津城の藩主に代々お豆腐を献上してきた歴史を持つ豆腐づくりの老舗。「ざる豆腐」を日本で初めて考案したお店としても有名です。

豆腐店併設のカウンター席のみのお店は、朝昼は「豆腐料理かわしま」として自慢のざる豆腐を使った料理を提供。夜になると唐津の山海の幸を生かした会席料理を振る舞う「日本料理 かわしま」に早変わりします。

献立は、当日の朝に市場で仕入れた食材次第。店主の川島広史さんがその日ごとにコース内容を考えます。

店主の川島広史さん。豆腐店の家業を守り継ぎながら、このお店を開くために東京の日本料理店で修行を積んできました
店主の川島広史さん。豆腐店の家業を守り継ぎながら、このお店を開くために東京の日本料理店で修行を積んできました

一夜限りの創作料理を飾るのが、地元・唐津のうつわ。その多くが、お父様の代から親交があるという、中里隆さん、太亀さんのうつわです。

カウンターの奥に器がずらり
カウンターの奥に器がずらり
おちょこを選べるのも嬉しい。合わせる地酒はぜひ川島さんにおすすめを聞いてみよう
おちょこを選べるのも嬉しい。合わせる地酒はぜひ川島さんにおすすめを聞いてみよう

「これは太亀さん、こちらは隆さんの器ですね」と料理の説明とともに器の紹介が添えられます。

一品一品出てくる姿が美しく、食べるのがもったいないくらい。とためらうのも一瞬、美味しくてどんどん食べ進めるのですが、うつわが空っぽになっていくのが、なんだか寂しく思えてきます。

「唐津南蛮」と呼ばれる、隆太窯の特徴的な器。釉薬をかけずに焼きしめた器肌が料理を引き立てる
「唐津南蛮」と呼ばれる、隆太窯の特徴的な器。釉薬をかけずに焼きしめた器肌が料理を引き立てる
こんな高台の器や
こんな高台の器や
パキッとした黄色い器も。カモのハムに合わせて
パキッとした黄色い器も。カモのハムに合わせて

コースも終盤、少しくつろいで川島さんと今日訪ねた隆太窯の話などしていると、

「実はこの内装も、隆先生にアドバイスをいただいたんです」

と驚きのお話が。お豆腐やさんが料理店を開くという新しいチャレンジを、隆さんが支えてくれたのだそうです。

明るく、こざっぱりとした店内
明るく、こざっぱりとした店内

「見借 (みるかし。隆太窯のある土地) の方には、足を向けて寝られませんよ」

そう笑う川島さんとゆったり会話を楽しみながらいただく一品一品を、隆太窯のうつわがさりげなく彩ります。

<取材協力> *登場順
隆太窯
佐賀県唐津市見借4333-1
0955-74-3503
http://www.ryutagama.com/

日本料理 かわしま
佐賀県唐津市京町1775
090-1083-8823
https://www.zarudoufu.co.jp/

文:尾島可奈子
写真:菅井俊之

*実はこの日、昼に隆太窯でお見かけしていた女性と、かわしまさんでばったり再会。「やっぱり見ていると、食べたくなりますよね」と、口福を分け合いました。

有田焼の今に出会える「in blue 暁」「陶悦窯」へ。bowl店長・高塚裕子さんと行く有田旅2日目

誰かと会う約束のある旅は、それだけでほくほくと嬉しく、楽しさが増すように感じます。

その日約束していたのは焼き物の町、有田に今年4月にオープンした日用品店「bowl (ボウル) 」の店長、高塚裕子さん。

高塚さん。開店を1か月後に控える忙しい合間を縫って、インタビューに応じてくださった
高塚さん。開店を1か月後に控える忙しい合間を縫って、インタビューに応じてくださった

前日は、お店のインタビュー中に出た「高級より贅沢が、有田らしさ」をキーワードに、その足で高塚さんが愛する有田おすすめの場所を案内していただきました。

高塚さんと有田を巡った前日の様子はこちら
bowlの取材記事はこちら:世界で有田にしかない。仕掛け人に聞く「贅沢な日用品店」bowlができるまで

取材最終日の今日は、最後にお昼をご一緒する約束をしていたのですが‥‥

腹ごしらえから始まる2日目

向かったのはbowlの近所にある「めしや あり菜」。

あり菜

高塚さんも仕事の合間によく食べに来るという辛口ちゃんぽんを頼みました。

あり菜の辛口ちゃんぽん

からい、うまい、とつるつる麺をすすっていると、高塚さんから願ってもない提案が。

「この後もう少し、時間あります?よければご一緒したいところがあるんです」

午前中で全ての取材予定を終え、東京に戻る飛行機まであと数時間あります。

「ぜひお願いします」と答えると早速、「昨日井上酒店さんでお会いしたのですが‥‥」と、高塚さんがどこかへ電話をかけ始めました。

自然の中で器に出会えるギャラリー。in blue 暁

車で小高い丘をのぼって、とあるギャラリーに到着。

in blue 暁

ギャラリーの名は「in blue 暁(インブルー あかつき)」。昨日、偶然にも高塚さんと巡った「井上酒店」さんにお客さんとして来ていた、陶芸家の百田暁生 (ももた あきお) さんの工房兼ギャラリーショップです。

たっぷりと光の差し込む空間に、作品が映えます
たっぷりと光の差し込む空間に、作品が映えます

周りを山に囲まれ、有田の自然をそばに感じられるゆったりとした空間。体から余分な力みがするすると抜けていくのを感じます。買い付けに来た美術商の方もふらっと立ち寄られた観光のお客さんも、ゆっくりくつろいで帰って行かれるそうです。

「例えば個展をやると、百貨店など室内の照明で器を見ていただくことが多いので、自然光の中で作品を見せられる場所を作りたいとずっと思っていました」

工房でありながら、来る人に喜んでもらえる空間が作りたかった、と百田さん
工房でありながら、来る人に喜んでもらえる空間が作りたかった、と百田さん

20年以上前から構想を温めていたという百田さん理想の空間は、高塚さんもbowlのお店づくりの参考にしたそうです。

百田さんと談笑しながら、ゆっくりと器を見ることができます
百田さんと談笑しながら、ゆっくりと器を見ることができます

自然光のもとできりりと映える百田さんの器のことは、また別の記事でご紹介するのでどうぞお楽しみに。

見せていただいた奥の工房も自然光たっぷり。気持ち良く作陶に集中できるそうです
見せていただいた奥の工房も自然光たっぷり。気持ち良く作陶に集中できるそうです

実は百田さん、昨年さんちで取材した株式会社百田陶園代表の百田憲由さんの弟さんでした。
昨年百田さんのお兄さんにインタビューした記事はこちら:再興のキーは「先人の教えからゼロへの転換」 有田焼30年史に学ぶ

常にムダなく、いいものを。陶悦窯

次はわたしがbowlで見かけて一目惚れした器の製造元、陶悦窯 (とうえつがま) さんへ。

bowl取材中に一目惚れした、陶悦窯さんの蓋つきの器
bowl取材中に一目惚れした、陶悦窯さんの蓋つきの器

昨日晩御飯を食べたお店で、社長の今村堅一さんに偶然お会いしていました。高塚さんとは同じ有田の窯業学校の同窓生だそうです。

高塚さんはこの窯業学校時代に、質・量・価格ともにお客さんを裏切らないための作り手の「企業努力」を知り、衝撃を受けたといいます。

そんな「ムダなく、いいものを作る」有田らしいものづくりをされている窯元の一つが、陶悦窯さんとのこと。

お店のような素敵な玄関です
お店のような素敵な玄関です
ガラス戸に「陶悦窯」の文字

「工場見学って楽しいですよね。私も大好き」と奥さんの今村美穂さんが中を案内くださいました。

土を器の形にしていく成形から、窯入れ、釉薬掛け、絵付けと、器づくりのすべての工程がうまく循環するよう作業場や道具が配備されている
土を器の形にしていく成形から、窯入れ、釉薬掛け、絵付けと、器づくりのすべての工程がうまく循環するよう作業場や道具が配備されている
見学中に見かけた道具
見学中に見かけた道具
これは器の見本。半分だけなのは厚みを見るためだそう
これは器の見本。半分だけなのは厚みを見るためだそう
黙々と手が進む
黙々と手が進む
窯入れ前の器を並べた棚。テトリスのようにムダなく組み上げてある
窯入れ前の器を並べた棚。テトリスのようにムダなく組み上げてある

「器って焼くと小さく縮むんですね。だから、例えば蓋付きの器なら、焼いた時の蓋と本体の収縮の具合が揃わないとうまくかみ合わないんです。

作るのに手間がかかるものなのに、安定して数を作って、価格も手ごろ。そこに至るまでに、どれほどの工夫が積み重ねられているんだろうと思うと、品物を扱うものとして背筋が伸びます」

陶悦窯の今村さんご夫妻
陶悦窯の今村さんご夫妻

もうそろそろ出発の時間です。

ちょっと車で行った丘の上に、素敵なギャラリー。その作家さんが通う酒屋さんは、全国の飲食店が信頼を寄せる目利きのプロ。そのご主人を師と仰ぐ近くの日用品店には、日々この町で当たり前のように行われるものづくりの精神が受け継がれています。

「高級ではなく『贅沢』が有田らしさ」。始まりに高塚さんが言った言葉が思い出されました。

「有田のほんとうの面白さは、ちょっと通りがかるだけだと気付きづらいかもしれません。それがまた日本らしくて興味深い土地で、私はそんな魅力に夢中です」

にっこり笑う高塚さんに手を振って、この2日間で味わった贅沢さをかみしめていました。

<取材協力>*登場順
bowl
佐賀県西松浦郡有田町本町丙1054
0955-25-9170
https://aritasu.jp/

めしや あり菜
佐賀県西松浦郡有田町大野
0955-43-2208

in blue 暁
佐賀県西松浦郡有田町黒牟田丙3499-6
0955-42-3987
http://inblue-akatsuki.com

陶悦窯
http://touetsugama.com

文:尾島可奈子
写真:菅井俊之、藤本幸一郎

bowl店長・高塚裕子さんと行く有田。1日目はプロが頼る「井上酒店」、窯元御用達「むく庵」へ

さんち旅は突然に。

「工芸産地を地元の友人に案内してもらう旅」をさんち旅といいます。昨年の春には編集長が、富山でその魅力を存分に堪能していました。

編集長の記事はこちら:編集長・中川淳がさんち旅を薦める4つの理由。富山をCHILLING STYLE・大澤寛さんと旅して改めて感じたこと

この春わたしのさんち旅が突然に始まったのは、日本磁器発祥の地、有田でのこと。

その日訪ねたのは1か月後にオープンを控えた「bowl (ボウル) 」というお店でした。有田の器も扱いながら全国から目利きした生活道具を揃える日用品店として、4月のオープンを目指して準備を進めている真っ最中です。

bowl
地元の人がちょっとした贈りものを買いに立ち寄ってくれるようなお店にしたい、と全国から厳選した生活道具が並びます
地元の人がちょっとした贈りものを買いに立ち寄ってくれるようなお店にしたい、と全国から厳選した生活道具が並びます
こんな遊び心のあるディスプレイも
こんな遊び心のあるディスプレイも

オープンの経緯やコンセプトを店長の高塚裕子さんに伺ううちに、インタビューは「有田らしさとは?」という話題に。

店長の高塚裕子さん。大分出身。有田の窯業学校を卒業後、結婚を機に波佐見焼で有名なお隣の波佐見町に暮らす。同町で人気セレクトショップ「HANAわくすい」を一から作り上げた手腕を見込まれ、今度のお店づくりを任される
店長の高塚裕子さん。大分出身。有田の窯業学校を卒業後、結婚を機に波佐見焼で有名なお隣の波佐見町に暮らす。同町で人気セレクトショップ「HANAわくすい」を一から作り上げた手腕を見込まれ、今度のお店づくりを任される

「高級ではなく『贅沢』が有田らしさなんです。八百屋や酒屋さんなど、地元の方が利用するお店にこそ有田の真の価値観があります。よかったらぜひ、私の思う有田らしさをアテンドさせてください」

こうして日が暮れてきた有田の町で、高塚さんによる「贅沢」ツアーが始まりました。

取材中に一目惚れしたのが、この蓋つきの有田焼の器。他の日用品の中に、さりげなく有田のものが溶け込んでいます
取材中に一目惚れしたのが、この蓋つきの有田焼の器。他の日用品の中に、さりげなく有田のものが溶け込んでいます

bowlの取材記事はこちら:世界で有田にしかない。仕掛け人に聞く「贅沢な日用品店」bowlができるまで

全国の飲食店が信頼を寄せるプロフェッショナル。井上酒店

「井上さんみたいなお店にしたい。私の憧れです」

そう案内してくれたのはbowlから車で5分ほどの距離にある一軒の酒屋さん。

井上酒店

お店に入ってまず目に飛び込んできたのは、あちこちに積み上げられたダンボールの箱、箱、箱。ほどなく集荷の車が来て、慣れた様子で20以上はある荷物を運んで行きました。

箱が旅立った先は、全国のレストランやホテル、旅館。

各地の良質なお酒を揃え、管理の難しい日本酒をベストコンディションで扱える井上さんに、全国の飲食店が目利きを頼んでいるのです。ちなみに先ほどの大量の出荷は本日2回目だそう。

大正時代から続く井上酒店の3代目、井上信介さん。お酒は全て蔵元に直接出向き、長い時間をかけて顔の見える関係を築いてから仕入れる。選ぶ基準は、究極は作っている「人」だそう
大正時代から続く井上酒店の3代目、井上信介さん。お酒は全て蔵元に直接出向き、長い時間をかけて顔の見える関係を築いてから仕入れる。選ぶ基準は、究極は作っている「人」だそう

「お酒はもちろん、何気なく置かれている仕入れの食品まで、井上さんの選んだものは何を買っても安心で美味しいんです」

「無農薬無添加は当たり前」という、井上さんの目にかなった食品だけが置かれる
「無農薬無添加は当たり前」という、井上さんの目にかなった食品だけが置かれる

もともと井上商店のファンだったという高塚さん。「自分が信じるいいものを背景からしっかり伝えていくことが大事」と井上さんが語ると、「道具も一緒です」と強くうなずきます。

「例えば一万円する箒が、なぜその値段になるのか。高い、で終わらせずに理由がわかれば、暮らしの中でものを選ぶ『選択肢』が広がっていきますよね」

お酒も、道具も一緒ですねと話がはずむ
お酒も、道具も一緒ですねと話がはずむ

井上さんに信頼を寄せるのは高塚さんだけではありません。インタビュー中も次々とお客さんがお酒を買いにやってきます。遠方から車でわざわざ「お酒を切らしちゃって」と来る人もいるそう。

「こういう集まりがあって」などお客さんの話を聞き、会話しながらベストの1本を絞り込んでいく井上さん。常連さんは来た時の顔の表情でセレクトを変えることもあるという
「こういう集まりがあって」などお客さんの話を聞き、会話しながらベストの1本を絞り込んでいく井上さん。常連さんは来た時の顔の表情でセレクトを変えることもあるという

その中の一人を認めて高塚さんが、

「あ!こんにちは」

と声をかけました。

聞けば近くにギャラリーを構える作家さんだそう。

「すごくかっこいい焼き物を作られるんですよ」と高塚さん、井上さんが口を揃えます。なんと焼き物の町らしい出会い。

最後にはわたしたちも常連さんにならって、

「こういうお酒が好きなんですが‥‥」

と、井上さんに1本お酒を見立ててもらうことに。思いがけないお土産を手に入れて、ほくほくとお店を後にしました。

窯元の社長さんも御用達。むく庵

「ああ、むく庵さんなら何でもうまいよ。いってらっしゃい」

と井上さんに背中を押されて向かった晩御飯のお店は、表通りから細い横道を入ったところにありました。

むく庵

先頭の高塚さんがお店に入ると、「あ!」と声が。

中を覗くと、奥の座敷で窯元の社長さんたちがちょうど会合中でした。高塚さんとはもちろん顔見知りです。

奥の座敷で有田焼の窯元さんたちが宴会中。ふらりと訪ねたら、そんな光景に出会えるかもしれません
奥の座敷で有田焼の窯元さんたちが宴会中。ふらりと訪ねたら、そんな光景に出会えるかもしれません

「お店の準備はどう?」「もう1ヶ月切りました」と高塚さんが言葉を交わすうちのお一人は、まさに昼間、bowlで一目惚れした器を作られている窯元の社長さん。こんな形で作り手さんに出会えるなんて。

有田のこと、お店のこと、お酒を交わしながら尽きない話題に、明日もお昼ご飯をご一緒することを高塚さんと約束して、さんち旅の夜が更けていきます。

*2話目に続きます。お楽しみに。

その日仕入れた材料を生かした創作メニューが並ぶ。締めには「焼きちゃんぽん」を注文
その日仕入れた材料を生かした創作メニューが並ぶ。締めには「焼きちゃんぽん」を注文

<取材協力> *登場順
bowl
佐賀県西松浦郡有田町本町丙1054
0955-25-9170
https://aritasu.jp/

井上酒店
佐賀県西松浦郡有田町白川1-1-1
0955-42-3572
http://inoue-saketen.com/

むく庵
佐賀県西松浦郡有田町本町丙819-1
0955-42-5083

文:尾島可奈子
写真:菅井俊之、藤本幸一郎

離乳食作りから生まれた使いやすさ。「備前焼・一陽窯のすり鉢」

こんにちは。中川政七商店のバイヤー、細萱久美です。

この連載では「炊事・洗濯・掃除」に使う、おすすめの工芸を紹介していますが、今回がいよいよラストとなります。最終回でご紹介する調理道具は、最近使い始めてすぐに使いやすさを実感したので是非ご紹介したい「備前焼のすり鉢」です。

備前焼のすり鉢

ところで備前焼についての基礎知識を少々。私も名前と焼き締めの渋い感じは知っていましたが、実際に自分で使ったのは今回がほぼ初めてです。

備前焼は、千年の歴史があり、信楽や瀬戸などと並ぶ日本六古窯の一つとされています。主に岡山県の備前市伊部町で作られる焼き物で、赤松の割木をなんと約10昼夜の間炊き続け、およそ摂氏1200度という高温で焼き締めます。

「土と炎の芸術」と言われる備前焼は、焼きと同様に土も重要。原土は伊部周辺の粘度の高い土を使います。投げても割れないと言われるほど頑丈な備前焼は、その昔はすり鉢をはじめ、大ガメ、壺などの日用雑器から、茶道が発展した時代には茶陶としても全盛期を迎えました。

備前焼は釉薬を使わず、炎や灰の当たり方によって自然の模様を生み出す「窯変」が大きな特徴です。千差万別の模様となるので、作家さんも窯出しは緊張と興奮の時間であろうと思います。

ちょっと渋好みで、どちらかと言うと高級な器も多いため、今まで近寄りがたい存在ではありましたが、ろくろで一つずつ成型し、登り窯でじっくり焼き付けることを考えると価格も納得なのと、一つとして同じモノがないのも魅力です。

備前焼は釉薬を使わないので、表面の微細な凹凸によってビールの泡がきめ細かくなったり、水を良い状態で長く保つので花瓶にしても花の持ちが良いそうです。基礎知識を学ぶだけでも、機能性にも富んだ備前焼が改めて気になり始めました。

今回ご紹介のすり鉢は、備前焼窯元の一陽窯のオリジナルです。すり鉢と聞くと、上に広がった円錐形が多い中、このすり鉢は、背の低い丸い形をしています。

一陽窯のすり鉢

この形が摺りやすさのミソなのですが、すりこぎを側面のカーブに沿うように動かすと簡単に上手に摺ることが出来ます。

また見た目以上に重量感があるので、軽く押えれば動きにくく摺りやすいのです。そして、食器のような形なので、胡麻和えなどを入れたままテーブルに出しても違和感がありません。一陽窯の木村さんが若きパパの頃、離乳食作りのために考案したのが商品化のきっかけだそう。

一陽窯では、このすり鉢のほかスパイスミルも作っていて、某スタイリストさんなどにも支持されています。もちろん茶道具や日常の食器まで幅広い商品展開なので、産地を訪れることがあれば、一つ一つ微妙に違う中からお気に入りを選ぶのも楽しいです。タイミングが合えば、作業現場も見学させて頂けますよ。

同じ一陽窯さんで購入したもの。砂糖壺として使っています
同じ一陽窯さんで購入したもの。砂糖壺として使っています

一つのアイテムから、今まで気付かなかった工芸の良さや産地に目を向けるきっかけをもらいました。これから和え物の登場が増えそうです。

細萱久美 ほそがやくみ
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。
お茶も工芸も、好きがきっかけです。
好きで言えば、旅先で地元のものづくり、
美味しい食事、美味しいパン屋、
猫に出会えると幸せです。
断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。
素敵な工芸を紹介したいと思います。

文:細萱久美

スノーピークに教わる、今さら人に聞けない「キャンプの基本」

新緑が美しい季節、屋外で過ごすのが快適な気候になってきました。これからは山登りやハイキングなどに絶好なシーズンです。

そんなアウトドアの楽しみ方のなかでも、最近はブームと言ってよいほど人気があるのがキャンプです。バーベキューや焚火を囲んで食事をしたり、テントを張って寝泊まりしたり。そんな自然と溶け込むことができる体験は、心と身体を穏やかにリフレッシュしてくれるはずです。

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初めてキャンプをしてみたいと思い立った時、一体どうしたらいいのでしょうか。初心者は、キャンプには何が必要なのか、どんな楽しみ方があるのか、わからないことがいろいろあります。

そこで、わかりやすいキャンプの基本を、日本を代表するアウトドアブランド「スノーピーク」を訪ねて教えていただきました。

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新潟県三条市に本社があるスノーピークは、機能性の高さとスタイリッシュなデザインの製品で人気。「スノーピーカー」という熱狂的なファンもいるほど、多くの愛好者に支持されています。

その本社には、小高い丘に広がる素敵なキャンプ場が併設されています。ここで、スノーピーク広報の伊豆昭美さんに、まったくのキャンプ初心者に向けて、キャンプの楽しみ方やキャンプ用品の揃え方などについて、入門的なお話をうかがいました。

お話を伺った本社併設のキャンプフィールド
お話を伺った本社併設のキャンプフィールド

テントの次に揃えたいもの

キャンプと言えばまず思い浮かべるのはテント。そのほかには何が必要になってくるのでしょうか。

「そうですね。テントのほかには、眠るためのシュラフ(寝袋)、タープ(日除け)、折り畳み式の椅子やテーブル、調理器具と食器。そして調理に使ったり集いの場の中心となる焚火台といったものがあるといいですね。

また、キャンプ場の中にはトイレや水道、食器などの洗い場があるところもあり、ランドリールームやシャワールームまで併設されているところもあります。本格的なキャンプは初めて、という方は、まずそうした施設が充実したキャンプ場を調べて利用されるのもよいかと思います」

とは言っても、いきなりテントなどの大物を揃えるのは初心者にはちょっとハードルが高いかもしれません。

スノーピークのキャンプフィールドでは、先ほど挙がったような基本のキャンプ用品のレンタルがあり、さまざまなスノーピーク製品を実際に使って試してみることができます。

伊豆さんにご協力いただいて、実際に設置にチャレンジしてみました。

目指すはこの完成形です
目指すはこの完成形です
今回お話を伺った広報の伊豆さん。テントの設営もテキパキと手馴れています
今回お話を伺った広報の伊豆さん。テントの設営もテキパキと手馴れています

まず、伊豆さんとともにフィールドにテントを張ってみます。

今日用意していただいたのは、「ランドロック」という大型のテント。4人が寝泊まりできる大きさです。内部は2部屋に分かれているので、寝室とリビングと用途を分けて使えます。組み立てる前のテントは、大きめのボストンバッグに収まっていて意外にコンパクトです。

「まずは建物の柱や梁に当たる、テントの骨組みとなるフレームを幕体(ばくたい。テントの布地のこと)に差し込みながらテントを設営していきます。その中にインナーテントを吊り下げる形です。

そしてテント全体をペグで固定していきます。固定することでテントが風に煽られても安定しますし、居住性が高くなるんです」

ペグで固定している様子
ペグで固定している様子

ペグは大きめの釘のような形のもの。スノーピークの「ソリッドステーク」というペグは、鍛治の街三条の起源とも言える、和釘を作るのと同じ技術で製造されているそうです。鉄を溶かし、型に入れて、叩いて強度を出す、鍛造の技術で作られています。

この写真のテントを固定するのに、大体30〜40本のペグを使用。ハンマーで地面に打ち込んでいきます。

産地の技術を活かしたペグ
産地の技術を活かしたペグ

「堅い地面でも柔らかい砂地でも打ち込むことができ、テントを固定しやすいのが特長です。ペグというと消耗品というイメージが従来強かったのですが、これは一生もののペグとして、なくしたりしないようにリボンで印をつけたりして大切に使われている方もいらっしゃいます」

立ち上がったテントの内部に入ると広々として快適です。インナーテントはメッシュ地になっているので、外側を空けておくと風が通って心地よく、キャンプ場では虫除けの網戸代わりにもなります。

シェラフを敷いたテント内。メッシュ状のインナーテントが網戸代わりになって快適に眠れる
シェラフを敷いたテント内。メッシュ状のインナーテントが網戸代わりになって快適に眠れる

ペグと同様に、三条の金属加工の技術で作られているのが、焚火台です。

団らんの中心となる焚き火台
団らんの中心となる焚き火台

「焚火台という製品を、最初に作ったのがスノーピークなんです。

もともとキャンプの焚火は直火で行われるのがほとんどでしたが、芝生が燃えてしまったりと、環境に対してのダメージが大きかったり、焚火後ゴミをそのまま放置してあるというのも悲しい風景になります。

そこでそれらの問題を解決するために、この焚火台が考えられました。車のマフラーなどと同じステンレスで作られていて丈夫です。重さがあるため安定感もあり、シンプルな構造で壊れにくい。

キャンプの楽しみは非日常感を味わうことですが、そのなかで焚火は、火を囲みながらみんなで食事をしたり話をしたりお酒を飲んだり、人の和の中心にあるものですね。バーベキューなどの料理もできます」

キャンプならではの料理を楽しむ

キャンプというとやはり楽しみなのは食事。アウトドア用の調理セットや食器も、コンパクトで使いやすく、ふだんの台所と同等の料理が作れるものが今は揃っています。また、災害時などいざという時のために揃えておく、という意識も最近は高まっているようです。

ミニマム仕様の調理道具は普段使いにも便利そうです
ミニマム仕様の調理道具は普段使いにも便利そうです

薪、炭が手に入りやすいキャンプ場という環境だからこそ、ふだんの都会生活ではなかなか調理する機会のないバーベキューやスモーク料理なども楽しめます。

そのほかダッチオーブンがあれば肉のロースト、フライパンではパエリヤやピザなどを作っても楽しそうです。調理道具があれば、ホットサンドとコーヒーなど、朝昼晩それぞれのシーンにあった食事が楽しめます。

テントのリビング部分を内側から見た様子。急な雨風や強い日差しも気にせず快適です
テントのリビング部分を内側から見た様子。急な雨風や強い日差しも気にせず快適です
完成!これだけあれば、快適なキャンプが楽しめそうです
完成!これだけあれば、快適なキャンプが楽しめそうです

快適なキャンプデビューのために

最後に服装のお話を。野外では、昼は日差しが強くても朝夕は冷え込んだりと、寒暖差が激しい場合があります。日焼けや虫から身体を守るためにもアンダーウェア、シャツ、上着、さらにボトムスにはレギンスや靴下も用意して、重ね着によって調節できる用意をしていったほうがよさそうです。

伊豆さんによるとキャンプ・デビューの時期は春か秋がおすすめとか。

「キャンプというと夏というイメージがありますが、夏はやはり暑いので、初心者の方はむしろ春や秋に始められるほうがいいと思います。夜はちょっと寒くても、むしろ焚火というもののを魅力をよく味わえますから」

一度こんなふうにキャンプを体験したら、徐々に道具を揃えてアウトドアライフを充実させていくのが楽しみになりそうです。これからの季節、初めてという人も、ぜひキャンプに挑戦してみてください。

<掲載商品>
スノーピーク オンラインストア

<関連商品>
野遊びを知り尽くしたスノーピークと、茶の湯の心を今に伝え続ける茶論(さろん)、そして工芸を活かした暮らしの道具をつくる中川政七商店のトリプルコラボで生まれた「野点セット」。

<取材協力>
株式会社スノーピーク


文:鈴木伸子
写真:神宮巨樹

この記事は、2017年5月6日公開の記事を、再編集して掲載しました。キャンプをする方もしない方も、みなさん素敵な連休をお過ごしください!

テーブルと椅子で学べる茶道、「茶論」の稽古を体験

掘りごたつのテーブル席に、運ばれてくる美味しそうな和菓子。

掘りごたつ
和菓子

今日やってきたのは最近できたおしゃれな喫茶店‥‥ではありません。

実はこれからこのテーブルの上で、茶道のお稽古をするところなのです。

やってきたのは奈良に4月24日にオープンしたばかりのお茶の新ブランド「茶論 (さろん) 奈良町店」。

お茶道具にも用いられる「奈良晒」の商いで奈良に創業した中川政七商店グループが運営する、お茶の稽古・喫茶・茶道具のお店です。

「茶論(さろん)」の茶道風景
テーブルで行なう「稽古」
「喫茶」
器との取り合わせも楽しい「喫茶」
お茶道具を購入できる「見世 (みせ) 」
お茶道具を購入できる「見世 (みせ) 」

総合監修は、茶人・芳心会(ほうしんかい)主宰の木村 宗慎(きむら そうしん)氏。

テーブルと椅子で気軽にお茶を学べると聞いて、いったいどんなものなんだろう、と90分の体験稽古に申し込んでみました。

手ぶらで茶道のお稽古へ

古都・奈良らしい風情を残す奈良町エリアのとある路地。中川政七商店が運営するテキスタイルブランド「遊 中川 本店」奥にお店があります。

大きく「茶論」と染め抜かれた白い暖簾を翻して、

「いらっしゃいませ」

茶論 奈良町店店長の西さん
茶論 奈良町店店長の西さん

店長で、今日の稽古を受け持つ西さんが笑顔で迎えてくれました。

お店に入り口からすでに、今まで持っていた「茶道教室」や「先生」のイメージと全く違います。

「茶論では、師匠とお弟子さんという師弟関係がないんです。講師と生徒さんという間柄で稽古が進みます。

部活動で言えば監督やコーチというより、先輩くらいの距離感でしょうか。一緒に茶道文化を学んでいけたらと思います。

それでは、これから初級コースの体験稽古にご案内しますね。こちらへどうぞ」

お店が入っているのは、奈良町の伝統的な町家建築。案内された暖簾の奥は、元々居住スペースだったそうです。

人の家にお邪魔するような気持ちで靴を脱いで板の間にあがると、すぐ立派なお庭が目に飛び込んできました。

庭

お庭を臨む一室が今日の稽古場所。なんとお座敷ではなく、掘りごたつです。

稽古する部屋

正座するとすぐに足がしびれてしまう私には、とても嬉しい環境。

ほどなくシソを浮かべた「香煎 (こうせん) 」と、華やかなお茶菓子が運ばれてきました。

香煎は、お菓子をいただく前に口を湿らせて食べやすいように、との心遣いなのだそうです。またお点前の前に心を落ち着かせるという意味も
香煎は、お菓子をいただく前に口を湿らせて食べやすいように、との心遣いなのだそうです。またお点前の前に心を落ち着かせるという意味も

「お菓子は講師の合図があるまで少しお待ちください」

アナウンスの通り香煎だけいただいて待っていると、スッと襖が開きました。

西さん

先ほど入り口で出迎えてくれた西さんが、お稽古の「講師」として登場。

きれいなお辞儀に、場の空気がキリッと引き締まりました。

着席と同時に、テーブルの上に四角い木箱が置かれます。

茶箱

これは…?

蓋を外すと‥‥
蓋を外すと‥‥

箱の中に入っていたのはお茶を点てるための道具一式でした。ピタリと箱の中に収まっている姿がなんとも格好いい。こうした道具が一式入った「茶箱」でするお点前を茶箱点前と呼ぶそうです。

道具を卓上に並べ終えると、西さんが抹茶をすくうための「茶杓」を手にとって、

「お菓子をどうぞ」

一礼

かしこまった挨拶に、こちらも少し緊張しながら頭を下げます。

食べ方に決まりはあるだろうか、と不安になって聞いてみると、「どうぞ気にせずお召し上がりください」とのこと。

お茶菓子は全て、奈良の和菓子の名店「樫舎 (かしや) 」さんが手がけているそう
お茶菓子は全て、奈良の和菓子の名店「樫舎 (かしや) 」さんが手がけているそう

ただただ美味しくお菓子をいただく間に、西さんが流れるような所作でお茶を一服点ててくれます。

お点前
部屋にはシャカシャカシャカシャカ‥‥という音だけが響きます
部屋にはシャカシャカシャカシャカ‥‥という音だけが響きます
お点前
お点前

甘味のあとのお抹茶の美味しいこと。自分もこんな風にお茶を点てられたら、と憧れます。

スライドで学ぶ茶道の歴史

お点前を終えたところで、ここからは座学の時間。なんとスライドを使って、茶道の歴史について教えてくれました。

お茶はいつ日本に来たと思いますか?など会話を交えながらレクチャーが進みます
お茶はいつ日本に来たと思いますか?など会話を交えながらレクチャーが進みます

西さんの解説によると、おもてなしとしての茶道ができる以前は、お茶は薬として重用されたり、なんと味を当てる賭け事に使われた時代もあったとか。

「おもてなしの心だけではなく、お点前などの型と、こうした知識、『心・型・知』3つをバランス良く学ぶことを茶論では大事にしています」

西さん

「想いがあっても、伝わらなければもったいないですよね。見えない『心』を、伝わる形にするのに『型』と『知』が必要になります。

知識は今のようにスライドを使って目と耳で覚えて、型はやってみて体で覚えるのが一番です。それでは、早速やってみましょう」

いよいよ今度は、自分でお茶を点ててみます!

お茶を美味しく点てるコツ

「茶筅 (ちゃせん) はこう持つんですよ」

茶筅

「ほとんど力を入れずに、手首だけを動かして‥‥」

一緒に練習します
一緒に練習します

見よう見まねでやってみると、

お抹茶をすくうのも緊張の一瞬です
お抹茶をすくうのも緊張の一瞬です
シャカシャカシャカシャカ‥‥
シャカシャカシャカシャカ‥‥

私もお茶を点てることが‥‥できました!

私も点てることができました!
私も点てることができました!

「初級コースはまず、お茶を美味しく点てることを目標にします。全6回で、お抹茶を中心に煎茶など日本茶全般を美味しく淹れる方法を学んでいきます」

お抹茶に加えて他の日本茶のことも学べるのは嬉しいところ。しかも月謝制でなく都合の良い時に予約できるチケット制というのも、茶道教室としては珍しいように思います。

どうして、これだけ一般的な茶道教室と変えているのでしょうか?

茶道文化の入り口として

「今日、お稽古の初めにお辞儀ひとつで空気が変わったように、茶道の中で得た型は、日常の中でも活きます。

もしそれが、正座の辛さや敷居の高そうなイメージから敬遠されてしまっていたらもったいない。

そんな思いから、茶論は『茶道文化の入り口になる』ことを目指して始まりました。だから茶論をきっかけに、他の茶道教室に通っていただいてもいいんですよ。

例えば今日来るお客さんのためにどんな花を飾ろうとか、お菓子は何にしようとか。そんなおもてなしの力量を上げたい人におすすめです」

ちなみに、アクセサリーを外しておけば、服装はどんな格好でもOKだそう。

「ただ、茶論の日はこういう格好、と自分でモードを決めて臨むのもいいと思います。

自然と背筋がしゃんとするような服を選ぶと、気持ちが変わりますよ」

お辞儀で空気を変える。装いで気分を変える。自分なりのおもてなしで相手が喜ぶ。お茶のお稽古の先にそんな未来が待っていたら、毎日がちょっと楽しくなりそうです。

茶論 奈良町店
〒630-8221 奈良県奈良市元林院町31-1(遊中川 本店奥)
0742-93-8833

営業時間
【お稽古】 10:00~18:30
【喫茶・見世】 10:00~18:30 (LO 18:00)
定休日 毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)

 

茶論
https://salon-tea.jp/

文:尾島可奈子
写真:今井晃子

帰りにはお隣の喫茶スペースで「くずやき団子」をいただきました。このケースも、お菓子を監修している樫舎さん特注品だそう
帰りにはお隣の喫茶スペースで「くずやき団子」をいただきました。このケースも、お菓子を監修している樫舎さん特注品だそう
茶論の物販スペース「見世 (みせ) 」では、お茶道具を購入することができます。通うとどんどん欲しくなってしまいそう‥‥
茶論の物販スペース「見世 (みせ) 」では、お茶道具を購入することができます。通うとどんどん欲しくなってしまいそう‥‥
懐紙入れなども色柄がたくさんあって選ぶのが楽しそう
懐紙入れなども色柄がたくさんあって選ぶのが楽しそう