洗剤の新定番。「THE 洗濯洗剤」は自然にも衣類にも人にも優しい

こんにちは、細萱久美です。

この連載では「炊事・洗濯・掃除」に使う、おすすめの工芸を紹介しています。今回ご紹介するのは、洗濯の必須アイテム、洗濯洗剤。

洗剤は消耗品ゆえ、手工芸品とは違いますが、機能性と美しさも兼ね備えた、優秀な洗剤と言えるので、あえて取りあげたいと思います。

その名も「THE洗濯洗剤」。

THE洗濯洗剤

自然保護活動家がつくった洗剤

「THE」の洗剤は中川政七商店でも扱っていますが、リピーター率の高い人気商品です。

「THE」のブランドコンセプトは、「世の中の定番を新たに生み出し、本当に「THE」と呼べるモノを、生み出していくこと」
基本的には1アイテムにつき1種のものが厳選され、開発されています。

この洗濯洗剤は、「THE」が定番になり得る洗剤として開発したものです。

あらゆる洗濯洗剤がある中で、私も発売当初から使い続けているほど気に入っており、恐らく他に浮気することはなさそうです。

日常のものなので使い勝手の良さは欠かせませんが、この THE洗濯洗剤は本当に少量で汚れがよく落ち、精油のナチュラルな香りが好みです。

あと、「THE」ならではの、ボトルデザインの清潔さと格好良さも大きな魅力。消耗品はすぐ手に取れる場所に置いておきたいので、表に出しておけるデザインは重要なポイントだと思います。

THE洗濯洗剤

少量で洗える秘密は、界面活性剤を微粒子化するというナノテクノロジーを導入することにより、少量でも優れた洗浄力を発揮すること。

製造元である「がんこ本舗」という、ちょっと変わった社名の木村社長、通称きむちんが生み出したテクノロジーです。

きむちんとは、実はTHE洗濯洗剤以前からのおつきあい。がんこ本舗の既存商品を店舗で扱わせていただいていました。

この通称からもちょっと想像できるように、かなり個性的でおもしろい社長さんです。特におもしろいのは、がんこ本舗が「洗剤を売らない努力をする洗剤屋」と言われること。

どういうことかと言うと、きむちんは自然保護活動家で、活動の継続と支援を目的に水環境改善につながる生活用品の開発に着手したのが事業の始まりで、1999年に世界で初めてすすぎ1回型の洗濯洗剤を生み出したそうです。

今ではすすぎ1回型は一般的かもしれませんが、実はこれって凄いことなのでは!?と思います。

そしてこの洗剤が最も誇れるのは、その環境負荷の低さ。洗剤は海に流された後、通常は生分解に1ヶ月ほど要すところ、THE洗濯洗剤はなんと7日間で生分解するという速さ。これが洗剤を売らないと言われる所以です。

砂浜

がんこ本舗を訪ねた際にも実験をしてもらったのですが、ここの洗剤は泡がきめ細やかで、泡の量は少なめ。細かい泡で汚れを落とし、少ない泡はキレが良い利点があります。

使われているラベンダー精油は、香りが良いのはもちろん、きめ細かい泡を作る効果もあるという秘密の一つを聞きました。

洗剤を売ってはいますが、実は心地よい生活のお助けや自然に優しい安心感を売っているきむちんにリスペクトしつつ、洗濯物を干したり畳む時の「いつものあの香り」がホッとさせてくれます。

<掲載商品>
THE 洗濯洗剤 The Laundry Detergent

細萱久美 ほそがやくみ


元中川政七商店バイヤー
2018年独立
東京出身。お茶の商社を経て、工芸の業界に。お茶も工芸も、好きがきっかけです。好きで言えば、旅先で地元のものづくり、美味しい食事、美味しいパン屋、猫に出会えると幸せです。断捨離をしつつ、買物もする今日この頃。素敵な工芸を紹介したいと思います。
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文:細萱久美

*こちらは、2018年3月3日の記事を再編集して公開いたしました

5月2日、緑茶の日。夏も近づく八十八夜におすすめのお茶

5月2日は、「緑茶の日」です

夏も 近づく 八十八夜~

「茶摘み」の歌にあるように、立春から数えて88日目のきょうは八十八夜。春から夏になる節目の日です。ちょうどこの頃、茶摘みが最盛期であることから1990年に日本茶業中央会が「緑茶の日」と制定しました。

お茶の葉にとって霜は大敵。この八十八夜までは遅霜が発生することがあるので、茶葉を守るために藁(わら)をかぶせて霜を防ぎ、八十八夜になると安心して新茶の摘み取りをはじめるのだそうです。

もちろん、お茶の産地によって温暖差があるので実際の時期はそれぞれかもしれませんが、八十八夜の日に摘んだ茶葉は不老長寿の縁起ものとして、昔からとても貴重なものとされています。

縁起をかつぐという意味合いだけでなくこの時期のお茶は極上品!お茶の新芽には、ひと冬の間じっくり蓄えられた成分がたっぷり詰まっています。やわらかく甘い茶葉は、うまみがあり若々しい香りも楽しめるのだそうです。

奈良最古の製茶問屋「北田源七商店」の緑茶

新茶ももちろん味わいたいですが、お茶は普段から気軽に楽しみたいもの。奈良最古の製茶問屋「北田源七商店」は、老舗の経験を生かした美味しいお茶を提供しています。

緑茶は通常、単一の茶葉だけではなく、産地や品種、季節などによって異なる茶葉の特長を見極めてブレンドするという「合組(ごうぐみ)」という技術によってつくられます。

核となる「芯」、風味を加える「添」、香りをひきたたせる「香」、色を決める「水色」において、バランスよく「合組」することで、より奥ゆきのあるお茶に仕上がるのだそうです。

「北田源七商店」が「合組」によってブレンドした毎年いちばんのお茶。味と香りはもちろんのこと、色の美しさも一見の価値あり
ていねいにつくられた本格的なお茶を手軽に楽しめるティーパック包装のお茶
合組茶2種に「北田源七商店」オリジナルの茶小紋柄の布がついたギフトセットも
白い花が愛らしい茶小紋柄の布は、湯のみや茶器を拭ったりするのに便利
白い花が愛らしい茶小紋柄の布は、湯のみや茶器を拭ったりするのに便利

忙しい毎日の中で、お茶を淹れてひと息つく時間ってわりと大切です。茶のみ仲間、なんて言葉もありますが気の置けない誰かと一緒に、ほんの少し気持ちをゆるめることでなんだかほっとしますよね。「緑茶の日」のきょうは、そんな時間を楽しめるといいなと思います。

<掲載商品>
大和冠茶/大和露地/源作焙(北田源七商店)
※ 現在は取り扱いを終了しています

<関連商品>
中川政七商店 ECサイトお茶

<取材協力>
北田源七商店
奈良県天理市蔵之庄町415-1
0743-65-1064
http://kitada-genshichi.jp

文:杉浦葉子

*こちらは、2017年5月2日の記事を再編集して公開いたしました

豆皿とご当地お菓子の組み合わせを楽しむ。「信楽」「瀬戸」「丹波」のうつわを使って

日本の工芸をベースにした生活雑貨メーカー中川政七商店では、全国の焼きもの産地とコラボして豆皿を作っています。

産地のうつわはじめ

さんちでも各地のものづくりを取材してきました。

せっかく各産地のうつわが揃ういい機会なので、今回は集めた豆皿でちょっと遊んでみようかと。

春に登場した3産地の豆皿に合わせて、ご当地菓子を探してみました。旅のお土産やうつわ選びの参考にしてみてくださいね。

左から丹波、信楽、瀬戸の豆皿。さてどんなお菓子が載るでしょうか‥‥?
左から丹波、信楽、瀬戸の豆皿。さてどんなお菓子が載るでしょうか‥‥?

信楽焼の豆皿×紫香楽製菓本舗の「うずくまる」

「土と炎の芸術」と謳われる信楽焼。粗い土の味わいを楽しめる、3色の豆皿が登場しています。

粉を引いたように白いことからその名のついた「粉引 (こひき)」、有名な信楽のたぬきの傘の色でもある伊羅保 (いらぼ) 釉、ビードロ。3色とも、わずかな焼き具合による色の変化が魅力です
粉を引いたように白いことからその名のついた「粉引 (こひき)」、有名な信楽のたぬきの傘の色でもある伊羅保 (いらぼ) 釉、ビードロ。3色とも、わずかな焼き具合による色の変化が魅力です

合わせたお菓子は紫香楽製菓本舗の「うずくまる」。

信楽焼の豆皿×紫香楽製菓本舗の「うずくまる」

茶人に愛されてきた信楽の焼きもの。中でも室町時代に、その色かたちに侘びがあると花入れに好まれた小さな壺が「蹲 (うずくまる)」でした。

紫香楽製菓本舗さんが作る「うずくまる」はその小壺をなぞらえた姿。

信楽焼の豆皿×紫香楽製菓本舗の「うずくまる」

つぶあんを包む生地には信楽の朝宮茶が添えられ、口に含むとほんのりとお茶の香りが広がります。

瀬戸焼の豆皿×YUIの「窯垣の小径焼菓子」

2つめは瀬戸焼の豆皿。

右から時計回りに「馬の目皿」「三彩」「黄瀬戸」
右から時計回りに「馬の目皿」「三彩」「黄瀬戸」

作り手である瀬戸の名窯、瀬戸本業窯さんの取材で出会ったのが「窯垣の小径 (かまがきのこみち) 」です。

窯垣の小径
窯垣の小径の先に瀬戸本業窯さんの窯があります。ちょうど良い散歩道です

古くなった窯道具を積み上げて石垣がわりにした垣根の道は、焼きものの一大産地である瀬戸の歴史を感じさせます。

瀬戸本業窯 窯垣の小径

窯垣の小径を紹介した記事はこちら:「日本のタイル発祥の地『瀬戸』は壁を見ながら歩くのが面白い」

この瀬戸ならではの情景を表現したのが「窯垣の小径焼菓子」。開発には、瀬戸本業窯の水野雄介さんをはじめ地域の方の協力があったそうです。

瀬戸焼の豆皿× YUIの「窯垣の小径焼菓子」

丸い「エンゴロ」はほろ苦いコーヒー味、細長い「ツク」は米粉のクッキー。四角い「タナイタ」は抹茶味。どれも瀬戸にゆかりのある生産者さんの素材を使っています。

さらに包装紙は瀬戸焼を包む緩衝材、箱は贈答用の瀬戸焼を入れる貼り箱工場さんに依頼するなど、どこをとっても瀬戸愛がたっぷり。

合わせるのはもちろん、瀬戸本業窯の豆皿を。

瀬戸本業窯の豆皿

瀬戸本業窯の豆皿を取材した記事はこちら:「食卓に小さな『違和感』を。瀬戸本業窯の豆皿が新生活におすすめな理由」

丹波焼の豆皿×酒井七福堂の「手づくりあられ」

3つめは丹波焼の豆皿。

丹波焼 丹窓窯の豆皿

作るのはバーナード・リーチ仕込みのスリップウェアを手がける「丹窓窯」さんです。

多くの窯元が軒を連ねる丹波立杭の町。天気のいい日は、外にもこんな産地らしい風景が広がります
多くの窯元が軒を連ねる丹波立杭の町。天気のいい日は、外にもこんな産地らしい風景が広がります

丹窓窯の豆皿を取材した記事はこちら:「日本にしかないスリップウェアの豆皿。中川政七商店とバーナード・リーチ直伝の『丹窓窯』が提案」

取材時に8代目の市野茂子さんが「どうぞ」と勧めてくださったのが、酒井七福堂さんのおかきでした。

自家栽培のもち米に、醤油は京都の「たまり醤油」。炭火で焼き上げる手作りおかきは白地に格子柄のスリップウェアに盛り付けられて、なんだか格好良く見えました
自家栽培のもち米に、醤油は京都の「たまり醤油」。炭火で焼き上げる手作りおかきは白地に格子柄のスリップウェアに盛り付けられて、なんだか格好良く見えました

ご馳走になったのは山椒入り。このあたりでは山椒がよく採れるそうで、この味がお気に入りなのだとか。ひと口食べるとピリリと美味しく、ついつい手が伸びます。

丹窓窯さんでご馳走になった「山椒」入りと、丹波といえば有名な「黒豆」入りも一緒に
丹窓窯さんでご馳走になった「山椒」入りと、丹波といえば有名な「黒豆」入りも一緒に
パッケージも味わい深い
パッケージも味わい深い

3時のおやつで産地を旅する

せっかく各地のうつわが揃うなら、何か土地らしいものを盛り付けてみたいな。

ちょっとした興味からご当地菓子を探してみたら、産地や作り手さんの周りに、ゆかりの美味がすぐに見つかりました。

お菓子の背景やエピソードを知ると思いがけず産地やうつわに詳しくなって、パッケージから豆皿に盛れば食卓の風景も楽しい。

中川政七商店の豆皿

いつもよりちょっと豊かな3時のおやつになりました。他の産地のうつわでもやってみると、また面白い出会いがありそうな予感がします。

<掲載商品>
信楽焼の豆皿
丹波焼の豆皿
瀬戸焼の豆皿

<取材協力> (掲載順)
【信楽】紫香楽製菓本舗
【瀬戸】YUI (現地では瀬戸観光案内所などで取扱いあり)
【丹波】酒井七福堂

文・写真:尾島可奈子

*こちらは、2019年4月15日の記事を再編集して公開しました