【はたらくをはなそう】小売課 村上正恵

村上正恵
小売課

印刷会社の企画営業や制作サポートなどを経て2013年に入社。
入社後、小売課に所属。直営店に関わるバックオフィス業務を経て現在はスーパーバイザーとして店舗運営に携わるお仕事をしています。



「とんでもないところに来てしまった。」入社当時の中川政七商店の印象です。

中川政七商店に転職しようと思ったきっかけは、「これからは日本のものづくりに関わる仕事をしていきたいなぁ」と漠然と思っていたときに、当社がコンサルティングを手がけた、新潟県三条市の包丁メーカー・タダフサさんや、波佐見焼の陶磁器メーカー・マルヒロさんの事例について紹介された本を読んだこと。面白そうなことをしている会社があると思い、お店に足を運んだのが始まりです。いつ行っても販売員の方が商品のことをとても楽しそうに話しながら接客してくれて、この会社で日本の文化やものづくりを残していく一員になりたいと、入社しました。

入社した頃は、創業300周年に向けたイベントの準備や、展示会の進化に加え、新しい業態を立ち上げたりと、社内が大忙し。世の中にイベント会社がたくさんあるにも関わらず、外部に頼らず、自分たちのやりたいことを自分たちで体現し、やったことがなくても試行錯誤しながらやりきる。制作系の仕事をしていた私にとっては驚きしかありませんでした。

自分たちの力で有言実行していく姿に、「日本の工芸を元気にする!」ことへの情熱、本気度の熱量は今でも鮮明に覚えていて、それが冒頭の「とんでも~」となった理由です。

最初に受けた衝撃は、自分の仕事への向き合い方を見直すこととなり、今の自分の礎となっています。

メーカーさんから産地の現状のお話を聞いたり、イベントで現地の人たちの期待値をヒシヒシと肌身に感じるなかで、本気になる、自分たちでやりきる理由がわかってきました。

それからは「自分事として捉え、真剣に向き合えているか」「丁寧にものづくりをしてくれている人たちに還元できているか」と、迷ったとき自分に問いかけています。

「誠実であること」。

これは10か条からなる中川政七商店の価値基準「こころば」にある言葉の1つで、仕事をするうえでも人としても大切にしている言葉です。

直営店は、お客様と作り手との架け橋であり、双方にとっての代弁者でもあります。
入社当時から変わることなく「接客」を大切にし、お客様の暮らしに寄り添う提案をする。

脈々と受け継がれ磨かれてきたからこそ、お届けできる店舗でのお買い物体験。

10年前、自分が体験した「へぇー、そうなんだ」といった、日本についての新たな発見のお届けを大切にして、興味を持ってくださる方と出会い、「中川政七商店に行って楽しかった!」「こんな面白いお店があるよ!」と伝えてもらえたら。日々の暮らしのなかでホッと一息つける、心地好いお店づくりを目指して、これからも自分の役割の先にいる人のことを思い浮かべながら、真剣に楽しく、情熱を持って仕事と向き合っていきたいと思います。


<愛用している商品>

常滑焼の塩壷

塩さじと一緒に使っており、ストレスなく必要量のお塩を使うことができます。「プラスチックに変わるものがないかなぁ」と探していたときに発売され、すぐに購入したお気に入りのひとつです。

筆ペン

高校生まで書道を習っていて、ほどよい緊張感と集中から表現される筆ペンならではの書体が好きです。お礼や季節のご挨拶など丁寧に文字で伝えたいときに使用しています。

小林製鋏 HARVESTER

おすすめ理由:お花のある生活をはじめよう!と思い至ったときに購入しました。切れ味抜群でコンパクトで軽いので、手が小さな私にとって使い勝手がちょうどいいです。数年たった今でも切れ味が変わらない優れものです。



中川政七商店では、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは、採用サイトをご覧ください。

年を重ねたいま、自分に自信をもたせてくれる、ハレの日の服

自分らしい服ってなんだろう。年を重ねるごとに、似合うものも自分の好みも少しずつ変わってきました。
シルエット重視だった20代、何を着ればいいか迷走した30代前半。30代後半のいまでは、素材や質感など布自体が気になるようになりました。
着心地のよさはもちろん、年相応の服を着ているという安心感を求めているのかもしれません。日常の服はもちろん、特別な日となると、その安心感は一層大切です。

その場にも、年を重ねた自分にもふさわしい服。
中川政七商店のセミフォーマルシリーズは、そんな思いに応えてくれる一着です。デザイナーの一人である山口さんに、どんな風に考えて作ったのか、話を聞いてみました。

尾州ウールシリーズ、刺繍のかさねブラウスを手がける山口さん

「私は30代後半で出産して、上の子はこれから卒園式入学式を迎えます。
この年でそういった式に出ると、周りのお母さん達は年下の方も多いんです。20代の方と同じ服を着ても似合わないし、それなりに年を重ねてる分似合うものを着ていたいと感じます。
ものづくりに信頼を置ける服を身に着けていると、背筋が伸びてそれが自信にも繋がると感じました」

自身の経験を糧にしながら作り進めていった、中川政七商店のセミフォーマル。
2019年からさまざまな型を発売し、それぞれにデザインのテイストが異なりますが、そこには共通する一つのコンセプトがあると言います。

「中川政七商店のセミフォーマルを貫くものは、“世界に誇る日本の技術”です。
テイストの好みは人それぞれですが、普段着ではなく特別な日に着る服なので、身に着けると自信に繋がるものを作りたいと考えました。そこで、技術も世界に誇れるようなものを採用しています」

ものづくりを知ることが自信に繋がるということで、一つずつ、どんなものづくりの背景があるのか、お話したいと思います。

ウールの世界三大産地が作る「尾州ウールシリーズ」

シワのできにくい生地とゆとりのあるパターンが毎年人気の尾州ウールシリーズ。
愛知県一宮市を中心にした尾州地域は、イギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラと並ぶ世界三大毛織物産地。海外のメゾンブランドも買い付けに訪れるような日本が誇るものづくりの産地です。

今回採用したワッシャー加工を施した凹凸のある生地はシワができにくく、目立ちにくいのが特徴です。

「保育園の式では、ヒールの高い靴はまずはけません。抱っこをしたり、子どもと目線を合わせる為に低い位置で動いたり…子どもがぎゅっと掴んでくることもあります。動きにくいのはいやなので、ゆとりのあるシルエットにして、シワが目立ちにくい加工を採用しました」

また、ウールと麻を織り交ぜた生地を採用した為、清涼感のある肌触りで長いシーズン活躍します。

「安いものではないので、たまにしか着れないのはもったいないと思い、長いシーズン楽しめる質感を目指しました。また、デザインもシンプルなので、色んなシーンで着やすいものになっていると思います」

装飾を折り目で表現する日本らしさ「重ね襞シリーズ」

昨年発売したものからデザインを微調整し、今年も登場する、重ね襞シリーズ。

「袴や折型など、日本人は装飾を折り目で表現する文化を持っています。技術だけじゃなくて、昔から日本にある表現も含めて取り入れながら展開していきたいという想いで、プリーツを採用したシリーズをつくりました」

もちろん、その技術も特別なものです。
手がけるのは、プリーツを専門に新技術の開発を行うオザキプリーツ株式会社。こちらには特許技術である「MAX PLEATS」を採用しています。

元来、プリーツがかからないと言われてきた天然素材。MAX PLEATSは、そんな天然素材にプリーツをかけることを可能にした特許技術です。
今回も表地は麻54% 綿46%の天然素材ですが、水洗いしてもプリーツ性を損なうことはありません。

自然の景色を思わせる、波皺の表情「リネンキュプラの波皺シリーズ」

中川政七商店のセミフォーマルに今年新たに加わったのが、リネンキュプラの波皺シリーズ。ベーシックでシンプルなデザインの尾州ウールシリーズや、華やかな見た目が特長の重ね襞シリーズとは、あえて印象が異なるようにとデザインされました。体のラインを拾わず全体をすっきりと見せてくれるシルエットが心強い一着です。

「次のシリーズでは上質感があって大人っぽいものを作りたくて、絹織物をはじめ高級裏地の産地として歴史が深い、山梨県の富士吉田市で織られた生地を使用しました。上質な布の美しさが映えるように、あえてすとんとしたシルエットを採用し、シンプルな形で作っています。

生地に揺れる波皺の表情は、経(たて)糸に使用したキュプラと、緯(よこ)糸に使用したリネンや綿の、それぞれの縮率の違いから生まれるもの。なみなみとした揺らぎが、水面のさざ波や富士山の裾の尾、地平線・水平線などを思わせてくれるので、『風景の見える布』をコンセプトにしています」

※担当デザイナーにものづくりについてインタビューした記事はこちら

古い織機でしか出せない細やかなレース「刺繍のかさねブラウス」

ジャケットの下に着たり一枚でさらりと着用したりと、何かと活躍する、刺繍のかさねブラウス。手がけるのは、刺繍レースを専門とするフロリア株式会社です。

「レースというと海外のイメージを持たれる方も多いと思いますが、じつは日本で独自に進化を遂げ、いいものを作っているんです。中でもフロリアさんは歴史をもち、海外からも注目されている企業さんです」

あえて古い機械でゆっくり織ることで、ふんわりと⽴体的なふくらみや、繊細な模様を表現しています。

「フォーマルなシーンでは、基本的にはジャケットを羽織っていることが多いと思いますが、長時間過ごす中で温度調整したいタイミングもあります。
でも、ジャケットを脱ぐと急に質素な印象になってしまったり、透けてしまったり…脱ぐのをためらうことがあって。そういう不安がなく、脱いでも華やかさが損なわれないものにできたらと思って、前面を二重にして刺繍を刺しました」

最後に、中川政七商店のセミフォーマル、どんな風に着てほしいですか?と聞くと、
「ハレの日にはもちろん、ちょっとしたお出かけにも、普段からたくさん着てもらえると嬉しいです」
とのこと。

中川政七商店のセミフォーマルは、シリーズを通して天然素材をベースに作っているため、素材感がマットで落ち着きがあります。きちんと感や品はありつつも、確かにちょっとしたお出かけなど、日常のシーンでも使いやすい質感です。

ものづくりについて語りたくなる、特別な日に自信をもたせてくれる服。フォーマルシーンにも、ちょっとしたお出かけにも、様々な場で一緒にお出かけしていただけたら嬉しく思います。

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尾州ウールと麻のジャケット
尾州ウールと麻のワンピース
尾州ウールと麻のタックワイドパンツ
尾州ウールと麻のテーパードパンツ

リネンコットンの重ね襞ジャケット
リネンコットンの重ね襞ワンピース

リネンキュプラの波皺ジャケット
リネンキュプラの波皺ワンピース

刺繍のかさねブラウス

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*この記事は2022年1月11日公開の記事を、再編集して掲載しました。

【あの人が買ったメイドインニッポン】#16 インテリアデザイナー小林マナさんが“旅先で買ったもの”

こんにちは。
中川政七商店ラヂオの時間です。

今回からゲストは、設計事務所ima主宰のインテリアデザイナー・小林恭さん、マナさん。初回は、マナさんが「旅先で買ったメイドインニッポン」についてのお話です。

それでは早速、聴いてみましょう。

[マナさんの愛着トーク]
・世界一美しい民窯と呼ばれる「小鹿田焼」の産地で
・知人が出してくれた酒器に惹かれたのが出会い
・片口で抹茶を立てる使い方に惹かれて
・お酒はもちろん、抹茶も立てられる酒器
・片口やピッチャーなど、口がついてる物が大好き!
・玄関入ってすぐに食器棚がある自宅
・ついつい使っちゃう器とは?

プラットフォーム

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小林マナさんが「旅先で買ったメイドインニッポン」

小林マナさんが“旅先で出会った”メイドインニッポンは、「坂本拓磨さんの酒器」でした。


ゲストプロフィール

小林恭・マナ

設計事務所ima(イマ)を主宰。
恭さん、マナさんともに前職を1997年に退社後、建築、デザイン、アートの勉強のため半年間のヨーロッパ旅行で17カ国70都市を巡る。帰国後、現在の事務所を共同で設立。
物販、飲食のインテリアデザインを主軸にプロダクトデザイン、住宅建築、住宅リノベ、幼稚園、ホテルや展示会の会場構成など、幅広く空間デザインを手掛けている。


MCプロフィール

高倉泰

中川政七商店 ディレクター。
日本各地のつくり手との商品開発・販売・プロモーションに携わる。産地支援事業 合同展示会 大日本市を担当。
古いモノや世界の民芸品が好きで、奈良町で築150年の古民家を改築し、 妻と二人の子どもと暮らす。
山形県出身。日本酒ナビゲーター認定。風呂好き。ほとけ部主催。
最近買ってよかったものは「沖縄の抱瓶」。


番組へのご感想をお寄せください

番組をご視聴いただきありがとうございました。
番組のご感想やゲストに出演してほしい方、皆さまの暮らしの中のこだわりや想いなど、ご自由にご感想をお寄せください。
皆さまからのお便りをお待ちしております。

次回予告

次回も引き続き、小林恭さん、マナさんに出演いただきます。1/12(金)にお会いしましょう。お楽しみに。

中川政七商店ラヂオのエピソード一覧はこちら

年始のご挨拶。中川政七商店が大切に思うこと2024

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は中川政七商店をご愛顧いただき、本当にありがとうございました。

皆さま、お正月はいかがお過ごしでしょうか。

初詣や正月飾りのしつらいなどを通じて新年を晴れやかに祝ったり、お雑煮やおせちに舌鼓を打ったり。一年の中でも、昔ながらの風習や伝統料理と触れる機会が特に多いお正月。

その風習や料理も、地域や家庭によって本当にさまざまです。

新年を喜び、家族や周囲の人たちの幸せを願いながら、その土地や家ならではの過ごし方でお正月を迎える。そんな様子を想像してみると、日本の暮らしの豊かさを感じられて、なんだかとても楽しい気持ちになってきます。

元日の今日は、お正月の風習や“ハレの日”に関するお話をお届けします。

思い思いのペースで、ゆっくりのんびり楽しんでいただければ幸いです。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


短期連載:ハレの日の食卓

季節の行事や家族の誕生日、人生の節目になるようなタイミング。

ハレの日は、食卓もいつもより少し特別です。

暮らしを楽しむ作り手さんに、どんな料理でハレの日の食卓を囲んでいるのか教えていただきました。

読みものはこちら

しめ飾りの種類をいくつ知っていますか?「べにや民芸店」で見るユニークな正月飾り

伊勢地方に伝わる「笑門飾り」

お正月に年神様をお迎えする準備のひとつとして飾る「しめ飾り」。

神聖な場所を示すしめ縄に、稲穂や裏白(うらじろ)、だいだい、御幣(ごへい)などの縁起物を付けて作られますが、地域や作り手さんによって特徴が異なるのをご存知でしょうか。

全国各地で今も作られ続けているバラエティ豊かなしめ飾りの一部をご紹介します。

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連載:あの人の贈り方

何かの記念日や、特別なハレの日に、どんな視点で贈りものを選べばよいのか。そんな悩みの助けになればと、中川政七商店ではたらくスタッフたちに、おすすめの贈りものを聞いてみました。

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土鍋でことこと七草粥。お正月気分が落ち着いたら七草の節句です

1月7日は、五節句の最初に当たる「人日 (じんじつ) の節句」。日本では「七草の節句」としておなじみです。

少しだけ気が早いかもしれませんが、お正月のごちそうでちょっと疲れてしまった胃を休めるために、七草粥はいかがでしょうか。

読みものはこちら


「日本の工芸を元気にする!」ために作った、新たな「場」

最後に、少しだけ改まったお話を。

今も100年先も、日本の工芸とともに心地好い暮らしをつくり続けていきたい。私たちはそう考えて、日々活動しています。

そのための大きな指針として掲げているのが、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンです。

昨年、このビジョンの実現に向けてさまざまな「場」を作り、種をまきました。この機会に、皆さまにご紹介させてください。

工芸特化のECモール「さんち商店街」開設

日頃から全国各地800社を超える作り手の皆さんと一緒に、ものづくりを行う中川政七商店。私たちが企画したものだけでなく、作り手さんがご自身で手がけるファクトリーブランドもそれぞれに興味深く、もっと紹介したいと常日頃より思っていました。そこで、それらのブランドを一堂に集めて紹介するECモール「さんち商店街」を開設しました。

全国のものづくりメーカーと皆さまが直接つながる場となり、一社でも多くの事業発展をサポートすることを目指しています。
さんち商店街

4都市に直営店オープン

新たに、虎ノ門・大船・浜松・長崎に直営店がオープンしました。全国約60店舗で、より多くのお客様に工芸のものづくりを伝え、お届けいたします。お近くの方はぜひ、お越しください。

・店舗一覧

初のコンペティション「地産地匠アワード」開催を発表

地域に根ざすメーカーと、地域を舞台に活動するデザイナーが共に手を取り、新たなプロダクトの可能性を考えるコンペティション「地産地匠アワード」を開催しています。中川政七商店が主催する初めてのコンペティションになります。

ものづくりメーカーとデザイナーの協働による新しいスタンダードを発掘、受賞作の商品化と流通支援によって、産地の作り手・デザイナーへ還元する仕組みを作ってゆきます。

地産地匠アワードHP
主催者インタビュー:「循環するものづくりを地域に増やしたい」
審査員座談会:「工芸の“良い間違い”には可能性がある」


種をまいたばかりの新たな「場」。年が明け、ここから芽吹く小さな苗を、長く大きく育ててゆきたいと思います。

これからも、日本の工芸が元気になる未来を目指して、私たちは歩み続けてまいります。何卒よろしくお願いいたします。